令和元年度 第2回の「東京都総合教育会議」、「これからの特別支援教育の在り方」を傍聴

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2/13の日中は、令和元年度第2回の「東京都総合教育会議」(東京都)を傍聴しました。ちなみに第1回は「Society5.0 時代の学校教育」として昨年8月に実施されましたが、これについても聴講しています。

第2回のテーマは「これからの特別支援教育の在り方」。同じ文教委員会でインクルーシブ教育を議会で主導する龍円あいり都議も一緒でした。

会議では、日本相談支援専門協会の顧問で「バリバラ」(NHK)でコメンテーターをしている玉木幸則氏が当事者として、関西学院大学教授の眞城知己氏が専門家としてそれぞれ20分程度講演、調布市立飛田給小学校校長の山中ともえ氏、各委員が質疑、小池都知事が感想を述べられました。

私が最も心を動かされたのが、玉木氏の講演です。出産時の事故が原因で脳性麻痺となった玉木氏が、小中学校では「合理的な配慮」のもと、生徒会長や副会長を務めるなどされたこと、一方、義務教育ではない高校では、全寮制の養護学校にしか進めなかったこと。本来社会に出て困らないようにするのが教育なのに、社会生活とは全く異なる閉鎖的な環境で、年相応の生活体験をする機会を奪われてしまうこと、などを述べられました。

玉木氏があるべき姿として述べられたのは「フル・インクルージョン」な社会で、そこでは、障害の有無に関わらず、ともに生きられる(合理的配慮ではなく、対等な)合理的調整が図られます。本来、包摂性の後に来るべき個別性が、日本では順序が逆になっており、インクルーシブな教育を受けたことがない教員が、「子供の育ちのためには特別支援学校がいいですよ」と勧めてしまったり、一人ひとりにあった個別支援教育をしている特別支援学校を卒業した後に行ける先が入所支援施設に限られていたりする、という問題点を指摘されました。

眞城氏の講演では、障害の有無に関わらず一緒にするだけでは「インテグレーション」であり、インクルーシブ教育とは、教育的ニーズの多様性を包含する範囲を拡大するプロセスである、という、概念の理解のしかたを教わりました。例えば東京都が進める特別支援教室ですが、現在の通級制度は、障害のある子のみが対象になっています。これを、どの子も週1で通常の教育に付加または異なる対応が受けられるようにすることで、特別な対応ではなくなる、というものです。障害のある人が共に学ぶ、普通学校でも特別支援学校でもない新しい学校がどんどん増えるといい、というご講演でした。

いずれも大変勉強になる講義でした。

北村委員からは「現在特別支援学校でも、特別支援教育の免許を持っている教員が8割に過ぎず、全ての先生が特別支援教育の免許を取得したり、特別支援学校との人事交流があったほうがいい」という意見が、都知事からは、「2020東京大会の成功はパラリンピックの成功であると以前から発信してきたが、大会を契機に、インクルージョンやバリアフリーといった言葉をより定着させたい」というコメントがありました。最後に玉木氏より、「インクルーシブ教育は全ての人にとって学べる教育だ」というコメントがありましたが、正にその通りだと思います。

東京都からインクルーシブ教育に舵が切れるよう(そのための予算が獲得できるよう)、部会メンバーと協力して取り組んでまいります。

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