デジタル教科書や学校ICTに関する意見交換(Libry、TransRecog、他)

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12/22の日中は、先日ご紹介を受けた、東京都立大学発ベンチャーの株式会社TransRecogで、PDF編集ツール「AxelaNote(アクセラノート)」を手掛ける小林敬明先生と、教科書や参考書の電子化で先行する「Libry」代表の後藤匠氏、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの黒田由加氏と、zoomにて、教育分野に関する意見交換をしました。

私個人としては、これまで、小中学校における教科ごとの使用時間を「授業時間数の2分の1未満」としていた要件の撤廃方針が先日報道された「デジタル教科書」を取り巻く状況を知る、大変有意義な時間でした。

学校ICTについて

・教育ビジョンがあって、必要な機材が決まることから、自治体に教育CIOの配置が求められる。人材としては、例えば「ICT活用教育アドバイザー」。本来、教育は、地方が主体で、国はそれをサポートするはずだが、今は上意下達になっている。ICT化のタイミングは、本来の教育の姿に戻れるチャンス。

・ICT支援員を地元のIT企業から招いた場合、端末やインフラについて分かっていても、教育については知らない

「ICTコネクト21」で教育の情報化を広く議論している。

デジタル教科書について

・学校で活用するにあたって必要なのは、
 「ルールの整備」・・・持ち帰りの是非等
 「環境」・・・通信速度等
 「先生の研修」

デジタル教科書等の活用のために、先生の研修費用を予算化する必要がある。指導者としては、導入で先行した小金井市立前原小学校や佐賀県の先生等は適任。

・デジタル教科書等の学習ソフトの調達仕様が課題。安価かつ多機能が選ばれがちだが、実際に大切なのは、学校現場が今までの教育の中でいかに無理なく使えるか(後藤代表はこれを「滑らかさ」と表現)。しかしながら、現行の仕様にはそれを評価する項目がない。

・「教科書検定は、検定スケジュールを考えても次回(2024&5年)までは紙が前提、デジタル前提の教科書が出るとしてもその次(2029&30年)ではないか。今後、教科書検定の在り方が変わる可能性がある。(今後のデジタル教科書のあり方検討会議)。

Libryのサービス

・中高生向けに、教科書や副教材、問題集をPCやタブレット端末で閲覧できるようにデジタル化。今後は小学校にも展開を検討。類似した問題を複数の問題集を横断して探すことができる。

・閲覧ログや問題を解く時間などの学習履歴と正誤情報を蓄積し、復習するべき箇所や、苦手を克服するための問題をレコメンデーションする。問題を解くのはペンとノートで、撮影した画像&正誤を記録する。

・現在は、既存コンテンツ中心だが、デジタルならではのコンテンツは今後。

・トライアル導入含め、既に私立中心に600校に提供、アカウント付与。

・出版社が電子版として拡販してくれている。この関係を築くのに10年を要した。Libryで電子化することで高機能になることが評価されている。高校の理数の教科書は、全国で5社だが、そのうち4社と提携。学研などの参考書も扱っている。

・紙の教科書や問題集と比較して、授業が2/3の時間で済み、成績も伸びている。

・レコメンデーション機能や、板書時間の削減、宿題の管理ツール(ノート改修が不要、正答率も集計、理解度が低いところを中心に確認等)して使えることから、1日あたり2時間以上の業務負荷が軽減され、先生方の働き方改革につながる。

・既存の教育との連続性(滑らかさ)を大切にしている。今までの紙よりいい部分を示せば、自然に導入が進む。

・ペーパレスで購入するなら書籍価格に同じ、紙も必要な場合は+500円。しかしながら、導入すると紙の教材を使わず、翌年から紙は買わなくなるケースもある。現在、3割程度がペーパレスで導入。

Libryの教育ICTに対するスタンス

学習履歴は学習者のもの、学校やEdtech企業は、閲覧許諾を得て分析というスタンス。統計情報については、利用規約やプライバシーポリシーで、匿名加工を施した上で使えるように許諾を得ている。書籍単位でどう使われたか、は出版社に無償で提供している。

・出版社の著作物を預かってビジネスをしていることもあり、著作権保護を最優先。今後、オリジナルの問題かどうかの評価、パトロール体制もつくりたい。

・将来的には、紙のテスト等、他の情報も集積できると精度が向上するが、利用者自らが成績等を入力したくなる設計が必要だと考える。

・ある学校では、生徒の安全のために、保護者からの許諾を得た上で、端末のGPSデータをとっている例もある。

認知特性、療育とデジタル教科書

・学校の授業のやり方があっていないだけの可能性。データを積み重ね、特性を見えるようにしたい。

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