3/15は、経済港湾委員会が開催され、港湾局と、中央卸売市場の来年度予算を中心に質疑がなされました。私は、来年度制定予定の「東京都中央卸売市場経営計画」に先立ち取りまとめつつある「東京都中央卸売市場経営指針」について会派を代表して質疑しました。
経営指針について
Q1 経営指針を策定した趣旨・目的は
A1 都民生活における使命を将来にわたり果たすための、今後の市場経営のビジョンを示すために策定。都の中央卸売市場が目指すべき終局的なゴールを「都民生活の幸せの実現」とし、「2040年代の中央卸売市場の姿」と、「持続可能な市場経営」の双方を実現するための7つの方向性を明らかにした。具体的な取組については、令和3年度に策定する「経営計画(仮称)」の中で示す予定。
具体的な目標であるべき「ゴール」を、「都民生活の幸せの実現」と抽象的な表現にとどめたこと、目指すべき姿であるべき「ビジョン」が、「2040年代の中央卸売市場の姿」と「持続可能な市場経営」と、その中身が「方向性」になっていることなど、言葉の使い方で気になる点は指摘しました。
都と市場業者が、暁の姿であるビジョンを共有し、達成するべきゴールを共有して、取り組むことは重要ですが、市場取引を担う個別の市場業者が、「具体的にどう取り組むか」までブレイクダウンしなければ、行動変容につながらりません。
Q2 市場業者の経営体質の強化をどのように図っていくのか
A2 日々の指導監督により市場業者の経営状況を把握するとともに、検査業務等を通して経営状況に即したきめ細かな経営指導を実施、加えて、個々の市場業者が抱える経営上の課題解決に向けて、公認会計士や中小企業診断士など、課題に対応した専門家による経営相談などのサポートを行う。
都政改革本部や、市場問題プロジェクトチームの検討結果からも明らかなように、市場会計の健全性が損なわれたのは、豊洲市場の開設に伴う維持費や減価償却等の増大が原因です。今後の市場会計においては、これを克服するための、明確な経営指針が必要であり、来年度策定する「経営計画」においては、市場会計の健全化に必要な具体的な目標値として、必要な取扱量や市場経由率、それと関連する各事業者の利益率や生産性など、経済的側面の指標を「数字」で示すことを強く求めました。これらの「数字」が、個々の市場業者の目標値にブレイクダウンできてはじめて、答弁にあった「日々の経営状況を把握」することに意味が生じ、専門家による適切な経営指導も可能になります。
方向性1「生鮮品等流通の基幹的なインフラとしての機能の強靭化」について
コロナ禍における卸値の低下や取扱量の減少を抑制するためには、平時から多様な販路を確保しておく必要があります。
Q3 多様な販路の確保に向けて、今回の経営指針を踏まえ、経営計画を策定するとのことだが、今後、どのような方向性で取り組んでいくのか
A3市場業者の多様な販路の確保に対しては、これまでも、ECサイト構築による販売ルートの多様化、海外取引等の販路拡大等の取組を後押ししてきた。経営指針(案)では、市場業者による販路の多角化等により経営体質の強化を図るとしており、今後も、意欲ある取組みについて、来年度創設する中央卸売市場強靭化推進事業で強力に後押しする。
生鮮品の海外輸出について、提案をしました!
2013年末のユネスコ第8回政府間委員会で、「和食」が無形文化遺産に登録されました。森記念財団の「世界の都市総合力ランキング2019」でも、東京は、「食事の魅力」指標で世界ランキング1位です。
令和2年第3回定例会の我が会派の代表質問に対する答弁で、知事からは、「東京が持つ食の魅力は、都市の競争力の源泉であり、大きな強みである。東京がコロナ後も世界の台所としてさらに輝き続けるための取り組みを長期戦略に盛り込む。」との答弁を得ています。また、今回策定した「経営指針」にも、「国内のみならず世界から多様な食材を集め、世界各国の多様な食を楽しみ、洗練された食文化を支える「世界の台所」としての役割を果たしている。」との記載があります。
和食に、そして、東京に、食の魅力があることは間違いありません。そこで、生鮮品の海外輸出拡大にむけてダイレクトに取り組むことに加えて、海外から料理留学を受け入れることを提案しました。
学生時代を過ごした場所に、知人が仕事や旅行で訪れると聞いて、その地のB級グルメを、ソウルフードとして熱く紹介したことはないでしょうか。冷静に見ればそれほど特徴のない、大学の具の控えめなカレーを、懐かしむ人も少なくありません(ちなみに私は学食で初めて盛岡冷麺に出会い、好んで食べ続けました。そして、理想の冷麺は今でも学食の冷麺です!)。
我々が推薦しても、素人の思い出話、だと割り引かれて受けとられるだけですが、これが、日本で学び、自国に戻ってレストランを営む料理人が「本物の和食を作りたければ豊洲市場の食材で、本物の和食を食べたければ東京で」と語れば、その信ぴょう性はけた違いに高くなります。
料理人としての基本をつくる時期に、「豊洲」の食材を使った和食の基本を「銀座」を中心とした東京で学ぶことで、和食のさらなる地位向上や、東京への外国人旅行者のさらなる獲得、そして、日本の食材の海外展開につながるのではないでしょうか。
京都府立大学では、2019年4月に和食文化学科を創設、和食の成り立ちやだしの成分、料亭の経営を研究するとともに、京都にある料亭や和菓子屋などに直接足を運び学ぶ機会も設けられています。一方、国の推進策では、食分野における日本の国際的発信力・展開力の強化にとどまっています。
総務局と連携して、都立大学に、海外から人を招き、日本食文化を研究し、料理人を育てる学科を設置し、豊洲市場や築地跡地に分室を誘致し、市場の品々や食文化に日々触れてもらう、そんな取り組みを検討していただきたいと、提案しました。
取扱量の減少を抑制するためには、多様な販路の確保に加えて、多くの買出し人に市場へ足を運んでもらうことも重要です。例えば、豊洲市場では、市場業者が利用しやすいよう、場内を循環する買い回りバスをさらに拡充して築地地区と豊洲市場間のシャトルバスとして運行、買出し人の方々からは好評を得ていると聞いています。
Q4 豊洲市場の買い回りバスの来年度の計画は
A4 引き続き買出人の利便性向上を図るため、来年度も現在と同様の運行を行う
利用者から好評の買い回りバスが来年度も継続して運行することを確認しました。
新型コロナウイルス感染症のみならず、社会に大きな影響を与える有事が発生した際、食品流通におけるハブ拠点である市場が閉鎖される事態になれば、生鮮品等の安定供給に与える影響は甚大です。
Q5 取引の継続に向けたBCPの取組を強化について、今後、どのように取組を進めていくのか
A5 令和2年3月には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、「新型インフルエンザ等発生に伴う事業継続計画」(BCP)を改訂、市場業者と連携してハード・ソフト両面において感染防止対策を徹底するとともに、感染者発生等に係る情報連絡を着実に実施した。今後は、実効性あるBCPを策定するとともに、シミュレーションや訓練を通じて、市場業者と連携した強固な事業継続体制を構築する。
都がBCPを策定することはもちろんだが、市場業者にも策定を促すべきであり、どの程度の事業者が策定できているのか把握するとともに、経営相談等の機会をとらえて、策定できていない理由なども踏まえた支援策、例えば規模と業態に応じたBCPのひな形を提供するなどの取組みを要望しました。
(②DX推進に続く)
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