「令和3年第3回都議会定例会」総務委員会~総務局②令和2年度東京都内部統制評価報告書、他

福島りえこ,都議選,世田谷区,都民ファーストの会,都議会議員ブログ

「令和2年度東京都内部統制評価報告書」に関しては、再発防止策を行政システムに盛り込むこと、「新しい多摩の振興プラン」では、多摩エリアの皆様とのコミュニケーション改善のために、パブリックコメント等の実施時期の前倒しを提案するとともに、デジタルブックを活用すること、「東京都過疎地域持続的発展計画」については、特にMaaSの実用化への期待を伝えました。

令和2年度東京都内部統制評価報告書

Q1 地方自治法に基づく内部統制と監査制度の違いについて伺う

A1 監査委員による各種の監査は、長から独立した執行機関として行う制度。これに対し、地方自治法に基づく内部統制は、長の補助機関である内部の職員自ら自律的に行う取組。

Q2 内部統制の取組によってどのような効果があるのか伺う。

A2 内部統制の取組においては、「財務に関する事務について優先して防ぐべき事務処理の誤り」、具体的には、例えば、支払いの相手先や金額の誤りや情報が洩れるなどの誤りを示して注意喚起を行うとともに、誤りが発生した場合は、是正・改善して報告するという仕組みを整備。こうした運用を地道に積み重ねていくことにより、
① 職員一人ひとりにおいて、「優先して防ぐべき事務処理の誤り」を発生させないよう留意して事務の適正な管理・執行を日々励行するという意識づけが浸透する。
② 誤りを把握した場合には、速やかに是正し、原因を分析し、再発防止に向けて改善を図っていく。
という対応を組織として行う組織風土が醸成されるものと思料

事務の誤りの再発防止に向けた対応がなされるとともに、適正管理・執行について、財務に関する事務に係る一人ひとりの意識づけがなされる、とのこと。都職員は多い。

Q3 「内部統制推進体制」とは、具体的にどんな体制だったのか。また、その体制において、「職員一人ひとりに対して意識づけが浸透」に至るまでにどのような仕組みになっているのか伺う。

A3 内部統制の取組については、知事を最高責任者とし、総務局長のもとで、コンプライアンス推進部が実務を担当。そして、財務局や会計管理局等の制度所管部門は所管事務について整備・運用の状況を自己評価し、各局は日々、適正に業務を遂行し、その運用状況の自己評価を行った上で、制度所管部門やコンプライアンス推進部も関与して再発防止を図っていくという推進体制。こうした体制により、日々の業務遂行過程及び自己評価の過程を通して、職員一人ひとりに事務の適正な管理・執行を日々励行するという意識づけが浸透。

自己評価ということで、負担が生じているわけだから、相応の結果も得られることが望ましい。

Q4 具体的な改善事例としてどのようなものがあるか伺う。

A4 例えば、外部にメールを送信する際に、誤って内部情報が混在した資料を送信してしまったという誤りについては、内部資料と外部送信用のファイルを別フォルダで管理し、フォルダやファイルの名称自体も識別できるよう設定することが有効、など、どこの部署でも起こりうる誤りについて、実効性ある対策を講じるよう全局に周知。

意識づけもいいが、人間はエラーを起こすものなので、システムでエラーを防げればそのほうがいい。この事例では、行政システムにおいて、外部に発信するときに、添付ファイルの再確認を促すアラートをあげる、という方法が考えられる。他にも、誤った情報が入力されないようにするための入力制御や、入力チェックのためのチェックリストや画面、異常値を入力した場合のアラートなど、内部統制のためにITができることは多い。

Q5 行政手続きを電子化することで防げる事象について、最も本件について真剣に考えている総務局コンプライアンス推進部からデジタルサービス局や担当局に、積極的に働きかけるべき。

A5 内部統制の取組を通じて把握した事案の発生原因・再発防止策については、各制度所管部門も把握しており、また、事案の内容に応じて、関係部署にも情報提供しているところ。引き続き、関係部署と連携し、事務処理の誤りの発生抑制に尽力。

簡単に調べただけでも、既に複数の事業者が、行政手続きのシステムに内部統制の仕組みを入れ込むサービスを提供している。システム構築の後工程になるほど、内部統制要件を組み込むためのコストも増えるので、早め早めの提案を求める。

新しい多摩の振興プラン

都政についてお伝えし、参画いただくための媒体の一つとしての「新しい多摩の振興プラン」の在り方について、質疑をする。

Q1 本プランは、何を目的として、誰にむけての資料なのか伺う。

A1 多摩の振興については、都の長期的方針やその時々の社会経済状況等を踏まえ、節目節目でプラン等を策定し、振興策を推進。前回のプランの策定から4年が経ち、この間、コロナ禍でデジタルシフトが加速するなど社会が大きく変化し、令和元年東日本台風をはじめとした、自然災害の激甚化なども顕在化。こうした状況を踏まえて、多摩振興に取り組んでいくため、本プランを策定。また、本プランは、広く都民や多摩地域の市町村の皆様にも、今後の都の多摩振興の内容が伝わるよう、事業の担当局名などを詳しく記載

答弁では、多摩部について、独自にプラン、すなわち計画を策定してるかのように聞こえるが、実態は、5年程度で中期計画の見直しがあり、今年3月に新たな中期計画として都が策定した「未来の東京戦略」のなかから、多摩部関連の事業を抜き出し、2つの方向性と5つの区分のもと、事業名や、担当局名などを整理した内容である。

Q2  市町村は本プランを見てどう取り組めばよいのか、また本プランをどう活用できるのか。

A2 本プランにより、市町村と都の今後の取組について共通認識。プランに掲載されている市町村への支援制度の活用により、更なる連携。

都の事業について、多摩部の市町村によりご理解いただき、活用していただくためのものである、というご答弁。そうであれば、これは政策集、事業リストであって、「計画等の策定に係る意見公募手続に関する要綱」に従って、パブリックコメントをいただくような性格のものなのか。

Q3 「新しい多摩の振興プラン」という名称だけでは、政策集、さらには事業リストであることがわかりにくい。副題でいいので、政策集、事業リストであることを記載するべき。

A3 都はこれまでも、多摩振興に対する都の基本姿勢や方向性を示し、各局一体となって取り組む羅針盤として、多摩振興に係るプラン等を策定。「新しい多摩の振興プラン」は、これまでのプラン等の成果を踏まえつつ、「未来の東京」戦略や各局の計画等に基づき、3か年で都が実施する取組を中心に、その方向性や具体的な取組を多摩に特化した視点でとりまとめたプラン。本プランでは、コロナ禍で生まれた社会の変化を多摩地域が発展するチャンスにしていくことを方向性とし、「サステナブル・リカバリー 多摩のさらなる発展に向けて」が副題。策定に当たっては、市町村への意見照会やパブリックコメントを実施。今後とも、寄せられた意見も参考に事業を進めていくとともに、本プランで掲げた工程表に基づき進行管理を行い、各局連携して多摩振興に係る取組を推進。

市町村への意見照会や、都民からパブリックコメントをもらった時点では、既に今年度の予算は決まり、事業は走っている。独自の中期計画のような扱いは、誤解を生む。

ちなみに、私は、多摩部の計画を抜き出し、手厚く説明することで、地域の皆様との議論を活性化し、最終決定する、というプロセスには賛成の立場。しかしながら、その場合は、「新しい多摩の振興プラン」(素案)も、「未来の東京戦略」(案)と同じく、遅くても(正直、計画に反映するには遅すぎだが)今年2月にパブリックコメントを実施し、そこで頂いた都民の意見、加えて議会の意見を踏まえて、「未来の東京戦略」(確定)にフィードバックするとともに、「新しい多摩の振興プラン」(確定)も発行するのが正しいのではないか。

Q4 紙がいい人もいるが、電子化したのであれば、事業名から、その説明サイトにリンクを貼れば、事業リストとして、使い勝手が改善する。目的に照らしあわせて、電子化なりの工夫をするべき。

A4 本プランは、HPで広く都民に公表し、各事業については担当局を明記するとと
もに、事業実施箇所を数多く記載。さらに、都民がスマートフォン等からプランを閲覧できるよう、デジタルブックを作成。

都は、私の質疑を通じて、一部HPにアクセス解析の導入をはじめている。電子ブックにアクセス解析を導入すれば、どこが読まれているか、すなわち都民の興味がわかる。電子化は、一方的な情報提供から双方向のやり取りに変わる可能性を秘めている。電子化なりの使い勝手の向上、双方向化の検討を要望する。

東京都過疎地域持続的発展計画(素案)

Q1 法律に則り作成したとのことだが、推進、実行に関して、総務局はどういう立場にあるのか。

A1 東京都過疎地域持続的発展計画(素案)は、過疎地域の役割や課題、目指す姿
を定めた「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」や「東京都過疎地
域持続的発展方針」に基づき、都の施策を纏めたもの。総務局は、都の過疎対策の取りまとめ役として、事業の進捗管理を行い、達成状況を各局や町村等と共有。

各局の取り組みを取りまとめる立場だからこそ気づくこと、できることがあると思う。例えば、過疎地域の課題のひとつである、公共交通の利便性の低下への対策であるMaaSの推進は、今後の少子高齢人口減少社会を迎える日本にとって大変重要で、実用化してほしいサービスだが、関係者が多い、収益化が難しいなどの課題があり、国内ではなかなか実証実験の域を出ない。

Q2 過疎地域における交通施策など、「未来の東京戦略」のなかで描かれていることを、地域の実情を踏まえ、しっかりと実現につなげる必要がある。そのためにも、過疎地域持続的発展計画の策定を通じて気づいたこと、重要性を、改めて各局に働きかけていくことが必要と考えるが、見解を伺う。

A2 東京都過疎地域持続的発展計画は、「未来の東京戦略」を踏まえ、過疎地域の持続的発展を推進することを目的とし、過疎地域の町村や各局の意見を聞きながら策定。過疎地域の町村についても、過疎地域持続的発展計画を策定することとしており、過疎対策の推進に当たっては、地域の実情を踏まえた取組を行うことが重要。交通施策について例を申し上げると、総務局は、八丈島においてデジタル活用協議会を立ち上げ、検討テーマの一つとして議論。町村や地元関係者の意見を踏まえ、各局と連携しながら、取組を加速。

関係機関と連携できるのは、総務局ならではであり、実用化に向けた力強い推進を期待する。

コメント

タイトルとURLをコピーしました