3/13は総務委員会にて、人事委員会事務局、選挙管理委員会事務局、監査事務局、子供政策連携室の予算案と報告事項に対する質疑が行われました。私の質疑を紹介します。
選挙管理委員会事務局
インターネット投票について
選挙は、民主主義社会において、有権者の意思を政治に反映させる仕組みとして、極めて重要な役割を担っています。多くの有権者の意思を政治に反映させるためには、誰もが投票しやすい環境を整えていく必要があります。
一昨年に行われた衆議院議員選挙では、解散から投票までの期間が現行憲法下で最短だったことに加え、コロナ禍で国際郵便が遅れたこともあり、海外に居住する有権者が投票できなかったケースが発生しました。その後、海外に居住する有権者が投票する際の「在外選挙制度」について、改善を訴える声が数多くありました。
また、郵便での投票が認められている投票弱者以外にも、投票所までの移動が困難であったり、
仕事や学校の都合で投票に行く時間がないなど、様々な制約を受けている有権者がいらっしゃいます。
これらの制約の解決策として期待されているのが、インターネット投票です。インターネット投票制度の整備は国が行うものではありますが、我が会派では、「令和5年度 東京都予算編成に関する要望書」において、インターネット投票の将来的な実現を見据えて、国の動向等を踏まえつつ、都民の理解を深めるための啓発に取り組むよう、要望してきたところです。
導入にあたっては、利便性の向上といったメリットがある一方、なりすましを防ぐ確実な本人確認や、投票内容の秘密保持といったセキュリティ対策について情報発信するなど、有権者の理解を深めていくことが課題です。
Q1 そこで、東京都選挙管理委員会では、来年度から「投票のデジタル化に関する啓発事業」に取り組むとのことですが、まず確認の意味で事業内容について伺います。
A1 インターネット投票は、国外に居住する選挙人等の投票機会の確保につながるなど、期待の声がある一方、立会人等のいない投票やセキュリティに懸念の声がある。このため、想定されるメリットや課題を明らかにし、有権者の理解を深めてもらうことを目的として、来年度から新たに2つの啓発事業を行う。
1つ目は、有識者等によるシンポジウムを開催するとともに、インターネット投票を見据えたシステムにより投票体験を行うものである。
2つ目は、東京都選挙管理委員会で毎年度実施している「明るい選挙ポスターコンクール」において、このシステムにより投票をしていただくものである。
「インターネットによる投票体験」を体験し、有権者の一人ひとりが、紙に記載する現行の投票制度と比べて、どのようなメリットがあるか、どのような課題があるかを考えていただく機会にしてもらうためには、この「インターネットによる投票体験」が、将来実装される形に近いものにしていくことが重要です。
例えば、誰に投票したか明らかにされることはないという「秘密投票」は選挙の基本原則ですが、
投票データを暗号化することなどにより、投票の秘密を担保することが可能です。
Q2 都選管が来年度から実施するインターネットによる投票体験については、総務省が在外選挙への導入を見据えて行っている、インターネット投票システムの技術的な検証状況を踏まえて、実施すべきと考えます。見解を伺います。
A2 インターネット投票のシステムには、個人認証機能、投票内容が見られないように集計する秘匿化集計機能、改ざん防止機能、事後検証機能等が必要になる。
都選管の事業においては、個人認証機能については、総務省が想定しているマイナンバーカードの公的個人認証は利用しないが、それ以外の想定されている機能を概ね備え、本人確認、投票先の決定、投票先の送信という流れを体験していただく。
インターネット投票システムに求められる機能を分かりやすく伝えた上で、投票体験をしていただくことで、有権者の理解を深めていく。
総務省と連携を図り、投票体験にリアリティをもたせ、啓発効果が発揮できる事業にするよう、要望しました。
若者に対するアプローチ
新たな投票方法の導入は選挙制度の根幹に関わることであり、本事業を展開するにあたっては、幅広い有権者にアプローチし、参加を呼び掛けていくことが重要です。
特に、選挙権を手にする18 歳までの間にこのようなインターネットによる投票に慣れ親しんでもらえれば、有権者になった際に、公職選挙においてもインターネットでの投票方式を選択肢の1つとして考えてもらえるのではないかと思います。
内閣府のスーパーシティ型特区に指定されているつくば市では、高校の生徒会選挙でスマートフォンから投票を行い、初めて選挙権を得る世代が「インターネット投票ネイティブ」になることを目指した取組を行っています。
Q3 こうした観点から、都選管が実施するポスターコンクールにおける啓発事業においても、幅広い有権者、特に投票率が低い傾向にある若者に積極的にアプローチしていくべきと考えますが、見解を伺います。
A3 本事業では、若年層を中心として幅広い有権者に対して、インターネットによる投票体験をしていただくため、毎年、小中高の児童・生徒から16,000点ほど応募がある「明るい選挙ポスターコンクール」を活用する。来年度は「高等学校部門」の優秀作品、約10点に対して、インターネットで投票を行っていただき、「優秀賞」を選出する。この投票体験に合わせて、インターネット投票の想定される効果や課題等も発信していく。ポスターコンクールに参加した生徒や、その保護者、選挙関係のボランティアである明るい選挙推進委員なども含め、都民約1万人の参加を目指していく。
ポスターコンクールに関わる中で高校生という、これから選挙権を得ようとしている世代が「インターネット投票」を体験し、技術的に可能であるということがわかるということは、非常に意義があるものだと思います。区市町村の選管や学校と連携を図りながら、着実に実施していただくよう求めました。
さらに、「インターネット投票システム」はウェブサービスとして構築するということなので、高校生等にインターネットによる投票をより身近に体験してもらうために、教育庁に情報共有し、先ほどのつくば市のように生徒会選挙に用いるなど、学校での活用について検討を促すよう求めました。
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