環境政策
太陽光発電設備の設置義務化~取組みの輪の拡大
小池都知事のもう一つの大きな成果が、ゼロエミッション東京の実現に向けた脱炭素化の取組です。
気候危機が一層深刻化し、地球沸騰と呼ばれる事態となる中、この危機を回避するには、省エネを徹底するとともに、化石燃料への依存から脱却し、再生可能エネルギーの導入の加速化が急務です。知事は、再生可能エネルギーの中でも太陽光発電と水素エネルギーに着目し、東京での実装に向けた取組を牽引してきました。
都内のCO2排出量の7割以上は建物由来であり、中でも家庭部門、すなわち住宅のCO2排出量は全体の約3割を占めています。これに対して、知事は、約2年前に太陽光設備の個人宅への導入推進を表明、手厚い支援を行うとともに都民を啓発、事業者をも育ててきました。電力の大消費地である東京都のリーダーとして、地方で発電した電気を消費する立場に安住しない、そして、国内のエネルギーミックスにおける再エネの割合を高めることに大きく貢献するものです。そこで、太陽光発電設備の設置義務化など、新制度の導入を契機とした住宅などの環境性能向上について伺います。
都が令和7年4月から施行する建築物環境報告書制度は、断熱、省エネ性能を高め、再エネ設備などの設置を促進する実効性の高い施策です。都は、条例改定以降、私たちの要望も踏まえ、様々な支援策を講じながら、施行に向けた取組を丁寧に進めています。先月には、新制度の開始に先駆け、環境性能の高い建設物の普及に取り組む事業者を対象とする、東京エコビルダーズアワードの表彰式が開催されました。そこでは、大手ハウスメーカーのみならず、地域工務店においても極めて優れた取組を行っている事例が紹介されました。
Q 今後、都が先頭に立ち、環境性能の高い住宅の標準化に向けた取組の輪をさらに広げていくことが重要と考えますが、新制度の施行に向けた決意と併せて、知事の見解を求めます。
A(知事)
○ 新制度の導入を契機といたしまして、脱炭素化に向けて、また、それに加えまして、快適性、防災性の観点からも建物の環境性能の向上を推進することが重要でございます。
○ 東京エコビルダーズアワードについてのお尋ねでございました。
○ これは、高い断熱性能と太陽光パネルを標準搭載する企業など26社を表彰したものでございます。企業の規模を問わずに、創意工夫を凝らした取組が進展していることを実感いたしております。
○ 太陽光パネル設置義務化などの制度につきましては、都と川崎市に続いて、長野県や相模原市などにおいて検討を開始する旨、表明されておりまして、都といたしましても、積極的に協力連携を図ってまいります。
○ 新制度の開始によって、例えば新技術がさらに促進をされるなど、我が国におけます建物の脱炭素化の流れを大きく前進させる、そのような契機と、また、転機ともなりますよう、今後とも、都民、事業者と共に取り組んでまいります。
都の新制度は、他の自治体や海外都市からも高い関心を集めています。引き続き、制度の円滑な施行と他都市への政策支援を通じて、脱炭素社会の実現に貢献していただくよう要望しました。
太陽光発電設備の設置義務化~事業者支援
新制度を実効性あるものにするためには、制度対象となる事業者の積極的な取組をいかに促していくかが重要です。また、新制度は環境性能の高い住宅の普及を目指しているため、中小企業などの制度対象外の事業者にも分け隔てなく後押しする必要があります。
Qそこで、都は住宅供給事業者をはじめとするさまざまな事業者に対し、環境性能の高い住宅の普及を加速させるための取組を継続的に行うべきだと考えますが、具体的にどのような取組を行っていくか伺います。
A(環境局長)
○ 都は、これまでに大手事業者等を5回以上訪問し、制度の理解促進と取組状況に応じた補助金の活用を促すなど、事業者の取組を後押ししてございます。その結果、屋根形状を見直し、大容量パネルを搭載する住宅など、商品ラインナップの多様化が進んでございます。
○ 今後、義務対象事業者に加えまして、より多くの企業による任意での制度参加を促し、取組の裾野を広げてまいります。
○ さらに、業界団体と連携し、地域工務店等によるパネル設置に必要な認定の取得や施工の効率化など、技術向上に向けた取組を一層促進してまいります。
○ 都は、制度開始に向け、企業の実情に応じたきめ細かな支援によりまして、環境性能の高い建物の普及拡大を図ってまいります。
事業者の規模の大小に関わらず、制度開始に向けた、積極的な企業の動きを確認しました。これまで都が義務対象となり得る事業者を何度も直接訪問し、信頼関係を構築するなど、きめ細かな対応を行った成果であると考えます。今後も、業界団体とも連携し、住宅供給事業者だけでなく、中小事業者を含めた、業界全体の底上げを図るよう、引き続き、都による積極的な支援を要望しました。
太陽光発電設備の設置義務化~理解促進
制度の円滑な施行には、住宅供給事業者の取組はもとより、都民の理解促進が不可欠です。都はこれまで様々な広報を行ってきましたが、都民が太陽光パネルを備えた住宅のメリットなどについての理解を深め、具体的な行動に移せるよう、継続的な取組が必要です。
また、先日の能登半島地震の発生後、太陽光パネルに関して、都民に誤解を与えかねない情報が、SNS上で飛び交っていました。
都は、あらゆる災害時を想定した太陽光パネルの取り扱い等について、既にQ&Aにより周知を行っていますが、今後、能登半島地震による太陽光パネルを設置した住宅の被害状況なども確認した上で、正確な情報を分かりやすく、都民に発信すべきと考えます。
Qそこで、条例成立後のこれまでの取組の成果と、令和7年4月からの新制度の開始に向け、どのように都民の理解促進に取り組んでいくのか、伺います。
A(環境局長)
○ 都は昨年1月に、制度に関する相談窓口を開設し、これまで約4500件の問合せに対応してきたほか、対象に応じた媒体によりまして、きめ細かな広報を行ってまいりました。
○ これらの取組によりまして、昨年11月に行ったウェブアンケート調査では、3年以内に都内で住宅の新築を検討されている方の制度の認知度は7割を超えてございます。
○ また、停電時に太陽光発電を自立運転させる方法や災害時の注意点について、従来からQ&A等を通じて発信しており、引き続き正しい情報の提供に努めてまいります。
○ 今後、これらに加えまして、都民が住宅の環境性能を検討する際に役立つ情報を分かりやすい動画等にまとめて提供することなどによりまして、都民の理解を一層促進してまいります。
引き続き、環境性能の高い建物の普及拡大に向けた社会全体の機運醸成に努めていただきながら、都がしっかりと都民・事業者の後押しを行っていただくことを、改めて要望しました。
八丈島のグリーン電力発電設備の設置について
私たちは、昨年、八丈島を視察、離島ならではの様々な課題について学び、既に予算要望や議会の質疑を通じて対応を求めてきました。なかでも、離島でのゼロエミッション推進は、災害等のエネルギー供給の継続、燃料輸送コストの削減、再生可能エネルギー関連事業による地域経済の活性化など、さまざまな効果が期待されます。
Q 島しょ地域において、グリーン電力拡大に資する、太陽光発電設備の支援を拡充すべきと考えますが見解を伺います。
A(環境局長)
○ 島しょ地域における太陽光発電設備等の設置については、強風や塩害など、区部や多摩地域とは異なる地域特有の自然条件等への対応が必要なため、導入費用が高くなる場合がございます。
○ こうしたことを踏まえまして、都は令和四年度より、島しょ地域向けの手厚い補助事業を実施してございまして、設備費や強風、塩害などの対策等に係る経費の四分の三を上限一億円まで助成してございます。
○ 来年度は、助成内容を拡充し、蓄電池の補助上限容量を撤廃することで、停電時の電源確保などレジリエンス向上や、再エネの地産地消の観点から、島しょ地域の取組を後押ししてまいります。
島しょにおける太陽光発電設備の導入には、強風対策や塩害対策が必要であり、設置事業者が限られるとのことです。対応する事業者の一覧をHPに掲載するなど、導入しやすい工夫をしていただくよう要望致しました。
女性活躍
女性活躍は小池都知事のライフワークともいえるものです。知事は、東京に留まらず、日本全体で女性の活躍を後押しするため、ご自身の発信力を活かして先導的な役割を果たされてきました。
女性活躍①
私たちの要望もあり、今年から始まった東京くらし方会議では、企業における女性の登用についても議論され、本年1月には、大企業を含め 30 社の企業と、女性活躍とダイバーシティ経営の推進に向けた共同宣言が出されました。特に基調講演では、経営者自身からトップの行動を促す力強い発言もあり、共同宣言をきっかけに女性の登用を積極的に行う企業のつながりもできたと聞いています。
Q今後、この企業同士の輪をさらに広げる取組や、ネットワークを活かして新たな取組を行うとともに、将来を担う若い世代にも働きかける工夫が必要であると考えますが、都の見解を伺います。
A(産業労働局長)
○ 働く女性の活躍を推進する上で、その管理職への登用を増やすことは重要でございます。
○ これまで都は、会社の女性管理職を増やすため、そのメリットを経営者に伝えるセミナーを開くほか、その登用に向けた制度の導入に係る相談対応を行ってまいりました。
○ これに加えまして、来年度は、女性の登用に意欲を持つ企業同士のネットワークづくりを後押しいたします。具体的には、本年1月の女性活躍を推進するイベントに参加をした30社の企業が中心となり、様々な会社に働きかけ、100社以上のグループをつくります。このつながりを通じ、女性管理職を増やすノウハウの共有や、その候補にふさわしい人材の育成等を進めます。また、高校生などの若い世代への啓発活動も展開をしてまいります。
重層的に取り組むことを確認しました。
女性活躍②
先週は国際女性デーであり、国内外で女性の活躍を一層推進しなければならないとの共通認識が図れたところです。
ご自身が女性リーダーのパイオニアである知事のもと、都庁では女性活躍が進み、都内でも女性の首長が目覚ましく増加しました。先に述べた東京くらし方会議では、女性を取り巻く社会に着目し、日々のくらしや基盤となる働き方について幅広く議論がなされました。その成果も踏まえ、 国への提案や多くの企業トップが集まるイベントの開催、さらに、私たちの提案を受け、いわゆる「年収への壁」への対策も来年度予算に手厚く盛り込まれました。
Q ここまでの到達点を踏まえ、今後、女性活躍施策を一層進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
A(知事)
○ 我が国最大の未活用エネルギー、それは女性の力と何度も申し上げてまいりました。その力を経済の分野で遺憾なく発揮できる社会をつくってまいりたいと考えております。女性のこれからの活躍が東京の都市としての存在感を大きく左右してまいります。これは都民の生き方、そして働き方を考えるということで、東京くらし方会議でご議論いただいておりますが、その中でも同じことが明らかになっております。
○ 企業の最前線の現場で働く女性に立ちはだかります、ご指摘もありました年収の壁でありますけれども、これを正確な知識と冷静な判断で乗り越える、その後押しをしていきたいと考えております。職場での一層の活躍に役立つスキルも身につけて新たなキャリアに踏み出す、そのような支援にも力を入れてまいります。
○ マネジメントを担う女性のネットワークをつくって、課題解決に向けたやり取りを通じて高め合っていく、こうした切磋琢磨のつながりの大切さを多くの企業に伝えてまいりたいと考えております。これまでの働き方を根本から見直す、そして男性が家でリモートで仕事をこなし、育業にも確実に取り組むといったような、これらを支える柔軟な勤務の仕組みを意欲を持って導入する会社を増やしていく、そして女性の活躍の場を広げてまいります。これらによって、女性が仕事で輝く東京を実現してまいります。
男性優位の日本社会で、東京都知事として意思決定を行う知事の姿に、どれほど多くの女性が勇気を与えられてきたことでしょうか。ご答弁にあった、マネジメントを担う女性のネットワーク作り、切磋琢磨の繋がりは、まさに、小池都知事のご経験に基づく取組みです。引き続き、都から女性活躍施策を牽引していただくよう、お願いしました。
カスタマーハラスメント対策① ~具体的取組み
私たちはかねてより、カスタマーハラスメントに悩む多くの都民の皆様の声を継続して取り上げてきました。知事もこれを大変重く受け止められており、私たちの今定例会の本会議での代表質問に対し、条例の制定を検討する、との答弁をなされました。全国初の条例制定でもあり、私たちにも、多くの期待の声が届いています。
実効性の確保には 専門家等による議論を深める必要がある一方で、カスハラは待ったなしの課題であり、 ルールづくりと並行して悪質な迷惑行為がなくなるよう、こうしたハラスメントの認知を高めていくことが求められます。
Q都は条例の検討と併せて、顧客等からのハラスメント行為に関し、普及啓発の取組を幅広い関係者に伝わるよう、しっかりと進めていくべきと考えますが、具体的な取組内容について伺います。
A(産業労働局長)
○ 過大な要求や不当なクレームを受け、働く方がダメージを受けるハラスメントへの対応について、現在、専門家等が検討を進めているところでございます。
○ 一方、現場では顧客とのやり取りを行う従業員に対して、社会的な常識や通念を超えた言動を行う状況がございまして、これを速やかに抑えるため、来年度、都は、啓発活動に力を入れます。
○ 具体的には、従業員への苦情を常識を超えた言動で行うことは適切ではないとするポスターに関し、店舗等への配布に加えまして電子データも提供し、掲示の箇所を増やす工夫も行います。
○ また、苦情から社員を守る必要性を伝える掲出物も会社に提供をいたします。さらに、これらの内容を発信するサイトを立ち上げるほか、普及啓発を集中的に行う月間も設けます。
答弁にあったポスターについて、カスハラは現場で働く従業員の人格を傷つけるものであり決して許されないということが、しっかり伝わるものをぜひ作成いただくようお願いしました。
カスタマーハラスメント対策② ~企業支援
都民などに広く呼びかけていくことに加え、カスタマーハラスメントのない東京を実現するためには、 企業が現場の最前線に立つ従業員を守るための取組を後押ししていくことも必要です。
Q都は、カスハラの防止に向けて、 企業が置かれている状況に応じた支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
A(産業労働局長)
○ 顧客からの過大な要求や不当なクレームから働く方を守る上で、会社の事業の内容に応じたきめの細かい対応は重要でございます。
○ これまで都は、顧客からの過大な要求等による従業員のダメージを防ぐための知識や情報の提供に向け、セミナーの開催や専門家派遣を行ってまいりました。
○ 来年度は、生産やサービス等の事業に応じた実例や対応方法などを紹介するセミナーを開くほか、専門家派遣の規模を600件に増やし、きめの細かい支援を展開いたします。
○ また、普及啓発に向けたウェブサイトの中で様々な会社の事例を動画で紹介し、業務に即した対応の方法やノウハウに関しまして幅広く共有する取組を進めてまいります。
介護と仕事の両立(介護離職防止)
エネルギーや原材料の価格上昇に負けない賃上げに取り組むと同時に、就業継続できる環境整備も大切です。特に高齢社会の日本では、働き盛りの世代が介護を担う仕事と介護の両立は大きな課題です。
国においては、 介護離職防止のため、育児・介護休業法などの改正法案を今国会に提出する動きがあります。この改正案では、家族の介護に直面した労働者に、制度の周知や意向の確認を事業主に義務付けているほか、テレワークの制度を努力義務とするなど、介護離職を防止する措置が盛り込まれています。
Q 都においても、 介護によって仕事をやむなく辞めざるを得なくなる方を一人でも無くすよう、これまで以上に介護離職の防止に向けた取組を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
A(産業労働局長)
○ 会社で働く方が介護と仕事を両立することができるよう、職場環境の整備を効果的に進める支援は介護離職を抑える上で重要でございます。
○ 中小企業が法令を上回る日数の介護休業等を取得できるルールを設け、従業員の15日以上の休業とその後の職場復帰を実現した場合、都は奨励金を支給しております。来年度はこの規模を倍増し、60社に拡充をいたします。
○ また、働く方が家族を介護しながら勤務をする際に役立つテレワークの仕組みや機器を導入する会社に最大100万円の助成を開始いたします。
○ さらに、今後、会社は従業員に介護休暇等の仕組みを伝える必要性が高まるため、経営者に対し、介護と仕事の両立に取り組む企業の事例を紹介するシンポジウムに関しまして、新たに従業員向けのものも開催をいたします。
介護離職防止については、主要な支援制度である介護休業制度の利用率ですら3割を下回るなど、制度はあっても使われていない、という課題があります。この問題についても都が先頭に立って機運醸成を行っていただくことを要望しました。
デフリンピック
デジタル共生社会の実現について
東京のDXを推進するにあたり、大切なのは、誰一人取り残されないデジタル共生社会を実現することです。
2025年にデフリンピックが開催される今こそ、障害の有無にかかわらず、デジタル技術を活用して誰とでも円滑にコミュニケーションが取れる社会にしていく必要があります。
私たちは、昨年の第三回定例会の代表質問において、障害のある方の生活の質の向上に真に役立つサポートを進めていくべきと訴えてきました。
Q都は、障害者の方が、日常生活を送る上で便利なアプリやサービスを使いこなせるよう、スマホ体験会などの充実を図るとともに、生活の質を高められるよう、デジタルを活用した支援を充実させるべきと考えますが、見解を伺います。
A(デジタルサービス局長)
○ 視覚、聴覚に障害のある方向けのスマホ体験会では、プログラムに便利なアプリなどの体験を盛り込むとともに、手話や要約筆記の提供、点字や音声教材の事前配布など、障害特性に応じてサポートをしております。
○ 来年度はフォローアップの場を新たに設け、個別相談に加え、参加者同士で便利な使い方の共有が図れるようにいたします。また、参加後に気軽に相談できる窓口も開設いたします。
○ さらに、スマホアプリを活用し、障害者の外出時の困り事をサポートする仕組みを、店舗等の協力を得て街に導入する取組を開始いたします。
○ 障害者団体の意見も聞きながら、デジタルの力で障害者の生活の利便性が向上するよう支援を充実させてまいります。
医療
新生児マススクリーニング
近年、医療の進化によって、SMA(脊髄性筋萎縮症)とSCID(重症複合免疫不全症)は早期発見と早期治療ができれば自立歩行ができるまで回復するケースもあることがわかりました。
ところが、これらの病気の検査が新生児マススクリーニングの対象に含まれておらず、その結果、発見が遅れるという問題がありました。
私たちは、令和5年第1回定例会の代表質問や厚生委員会において、新生児マススクリーニングに、これらの病気の早期発見のための項目を入れる提案をしてきました。
Q都は来年度、どのように取組んでいくのかを伺います。
A(福祉局長)
○ 新生児マススクリーニング検査は、国の通知に基づきまして、これまで先天性代謝異常等の20疾患を対象として都道府県が実施してまいりました。
○ 今般、国が、この20疾患以外で新しい治療法が開発されている重症複合免疫不全症、脊髄性筋萎縮症の2疾患についても検査を行うモデル事業を開始いたしました。
○ 都は、この2疾患と同時に検査結果が判明するB細胞欠損症を独自に加えた計3疾患につきまして、本年4月から新たに公費負担を開始いたします。
○ 今後、さらに検査対象に追加すべき疾患につきましても、専門医の意見などを聞きながら検討を進めるとともに、国に対しては公費負担の対象拡大を求めてまいります。
HPVワクチンの意識啓発
毎年、約3,000名もの女性が命を落としている子宮頸がんの予防策として、HPVワクチンの接種は有効です。しかしながら日本では、副反応に対する懸念から長らく接種が控えられ、その結果、接種率は先進国の中で最低水準にとどまっています。
現在積極的勧奨の差し控えで接種する機会を逃した方に向けた救済措置、いわゆるキャッチアップ接種が行われています。無料で定期予防接種を受けることができますが、対象世代の約6割が認知していないという調査もあります。
Q キャッチアップ接種の期限は来年3月末までとなっており、来年度当初から早急に制度周知や正しいHPVワクチンに関する意識啓発をすべきです。見解を伺います。
A(保健医療局長)
○ HPVワクチンは、標準的には三回接種の完了までに六か月が必要とされており、キャッチアップ接種の実施期限である令和六年度末までに計画的に接種していただく必要がございます。
○ 都は、実施期間の終了を見据え、都立高校や都内の大学への情報提供のほか、区市町村に対し未接種者への個別勧奨の依頼を行うなど、幅広く周知を図っております。
○ 来年度は新たに、対象となる年齢層にターゲットを絞った啓発動画を配信するとともに、リーフレットやポスター、SNSなどを活用した接種期限の周知に取り組み、教育所管部局とも引き続き連携を図りながら、効果的な情報発信を早期に展開し、接種を促進してまいります。
特に重要なのは学校との連携なので、教育庁とも連携しながら効果的な周知をお願いしました。
男性のHPVワクチン
定期接種の対象となっていない男性の場合、ワクチンが自費となり接種が進んでいません。私たちは令和5年第3回定例会において、国に先駆けた男性のHPVワクチン接種助成を求め、知事からは制度創設に取り組むとの前向きな答弁がありました。男性接種の助成が予算案に盛り込まれたことは画期的です。
Q 既に20程度の区市町村で実施に向けた検討が進んでいると聞いていますが、男性のHPVワクチン助成が多くの自治体で進むよう、都としても関係者へ積極的に働きかけを行うべきと考えますが、見解を伺います。
A(保健医療局長)
○ 都は、HPVワクチンの男性への接種が定期接種化されるまでの措置として、来年度から独自に、小学六年生から高校1年生相当の男性を対象に、区市町村が負担する接種費用の1/2を補助いたします。
○ 本事業の趣旨や仕組みにつきまして、東京都医師会等を通じて地域の医療機関に周知するほか、区市町村向けの説明会を行うなど、様々な機会を捉え丁寧に説明することで、都の補助事業の活用を促してまいります。
○ あわせて、国に対し、定期接種化に向けた検討の促進を改めて働きかけてまいります。
既に諸外国においては、男女とも公的接種の対象となっていますが、日本では遅々として議論が進んでいません。国に先駆けた都の取り組みが日本全体に広がるよう、しっかりと国に働きかけて頂くよう求めました。
介護支援専門員更新研修について
介護離職を無くすためには、そのための社会システム構築が不可欠です。これを担うのが介護人材です。女性が担うことが多いためか、古い政治では介護人材の待遇は長く据え置かれたままでしたが、私たちは現場の声を丁寧に拾い、伝えてきました。
ケアマネージャーから寄せられる課題の一つに、更新研修の負担があります。この研修は長時間の研修に何日も通う必要があり、研修時間が長い、最新の内容が反映されていない等の意見が寄せられています。オンライン化などにより負担軽減に取り組んでいることは承知していますが、抜本的な改善にも着手すべきです。
Q 介護支援専門員の更新研修において、ワーキングチーム等を開催し、改善に向けた議論を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
A(福祉局長)
○ 介護支援専門員は、五年ごとに資格の更新が義務づけられておりまして、更新に当たりましては、法令により国が定める研修の受講が必要でございます。
○ 都はこれまで、研修のオンライン化を進めまして受講者の負担軽減を図ってまいりましたが、研修時間数の多さや科目間での内容重複など、実務経験を有する介護支援専門員にとっては負担となっております。
○ また、主任資格の更新には、法令に定める研修に加え、区市町村等が実施する研修の受講も要件とされており、さらに負担が大きくなっております。
○ 今後、こうした区市町村等が実施する研修の義務化を見直すなど、都独自の負担軽減を図ります。さらに、都としても、学識経験者や事業者団体等の意見も伺いながら、質の担保と負担軽減が両立した研修内容となるよう検討いたしまして、国に対して見直しを提案してまいります。
更新研修の負担軽減に都として取り組むことが新規かつ前進答弁です。
児童相談所と警察の情報共有プログラム
埼玉県が構築した児童相談所と警察本部の双方が児童虐待情報を入力し、共有できる「児童虐待情報システム」は、今では全国の約半数の自治体が導入しています。私たちは埼玉県の取組を視察しましたが、導入予算は1千万円程度とのことでした。
ハイリスクの状態にある子どもを守るためには、児童相談所だけでなく、多くの関係者や多様な職種の関わりが必要です。そのために大切なのが「情報共有」です。
Q 都は、「児童虐待情報システム」をできるだけ早いタイミングで導入すべきと考えます。見解を伺います
A(福祉局長)
○ 都は、平成30年9月に警視庁と協定を締結いたしまして、虐待に該当しないケースや児童相談所の助言指導で終了したケースなどを除き、リスクが高いと考えられるケースを全て共有しておりまして、定期的にケースの一覧データを情報提供するとともに、緊急性が高いケースはその都度提供しております。
○ さらに、児童虐待に関する情報を都内の児童相談所と警察署の間でリアルタイムの共有ができるよう、システムの構築に向けて、現在、警視庁と鋭意協議を進めております。
今回の質疑にむけたやり取りの中で、台東区の死亡事件について児童相談所から警視庁への情報提供が3回であったことがわかりました。今後、予定されている今回の台東区の事件に関する都の検証においては、児童相談所と警視庁の情報提供の状況についても検証するよう要望しました。
これまでの成果について
最後に、知事に伺いました。
私たち都民ファーストの会東京都議団は、一部の人間、集団の利益のための政治と決別し、都民ファーストの視点で「人」が輝くための政策を、知事と共に前へと進めてきました。知事は 就任以降、セーフシティ・ダイバーシティ・スマートシティの3つのシティ、さらにはその核となるチルドレン、長寿、コミュニティの3つのCなど、「人」に 着目し、東京を「成長」と「成熟」の両立した都市へと発展させるべく、様々な 改革を断行してきました。
とりわけ、二期目においては、新型コロナウイルスとの闘いの先頭に立ち続けながら旧来の常識にとらわれることなく、大胆な発想で、都民と共に東京大改革をさらに前へと推し進めてきました。知事の行動を改めて評価します。
Q 知事は、これまでの成果をどのように捉えているのかを伺います。
A(知事)
○ まず、鳥の目で見ますと、我が国は今、少子高齢化、人口減少など、長年先送りにし続けてきた構造的な様々な課題が先鋭化しているといっていいと思います。まさに今、大きな転換点を迎えております。
○ そこで、将来、一体どうなるんだろうかという、都民の皆さんは明るい未来への展望、道筋が見えないということが不安につながっていると、このように考えなければなりません。だからこそ、今、手を打たなければならないという課題、これについて取り組んできたわけでございます。都民ファーストの視点から、東京大改革、全身全霊で努めて、推し進めてきたと、このように考えております。
○ なすべきは、時代の行く末をしっかりと見定めることであります。そして、覚悟を持って社会の形を変えるということで、東京のポテンシャル、最大限に引き出すことだと考えております。その鍵は、まず三つのシティがありますけれども、それを支える核であり、鍵となるのはやはり人です。そして、Children、Choju、Community、この三つの観点から様々な政策を練り上げて、果敢に展開をしてまいりました。
○ 待機児童の解消、チルドレンファースト社会の実現などなど、全て人が関係しております。女性、高齢者、障害者など、そしてまた、スタートアップも人がなし得るものでございます。TOKYO強靱化プロジェクトの立ち上げで安全・安心を守っていく、その取組にも全力で取り組んできたところでございます。また、デジタルの力、これも世界に追いつき、追い越していく必要がございます。
○ 東京大改革、これまで足跡を幾つか残してまいりました。それはすなわち、大都市東京がこれから伸びていく、それも持続的に発展していくために必要な軌跡だと、このように考えております。
古い政治を新しく。都民ファーストの会東京都議団が目指す政治改革が知事と同じであることを確認することができました。
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