「令和6年予算特別委員会」代表総括質疑②~子育て支援・教育

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子育て支援

018サポート

 小池都知事が進めてきた東京大改革は、子育て環境整備、気候変動対策、国際競争力強化、性別や障害の有無で差別のない社会の実現に向けた取組み、と多岐にわたり、振り返ればいずれも欠かせないものばかりです。そして、その中でも大きなインパクトを与えた取組みが「子育て支援策」の強化ではないでしょうか。

 政治の重要な役割のひとつは、政策の優先順位づけです。

 小池都知事の就任前は、都政においても子育て環境整備の優先順位は長らく低いままであり、都内の保育園の待機児童数は平成29年までの10年間にわたり、8,500人を越えていました。
知事は、就任以降、待機児童対策の予算を抜本的に拡充、知事の進める改革を共に進めることへの期待を受けた都民ファーストの会が第一会派として予算編成に賛同してきた結果、待機児童数は大幅に減少、令和5年には都内で286人にまで減少しました。待機児童の劇的な解消は小池知事の都政における大きなレガシーの一つです。

 そして、日本の政治における「子育て支援策」の優先度を大きく高めたのが、昨年、私たちが都民の声を小池都知事に届けて実現した、所得制限なしでの全ての子ども達への月5,000円の給付をする「018サポート」です。実質的な子育て世代への支援であるだけでなく「社会全体で子育てを応援する」というムーブメントを引き起こしました。結果、児童手当の所得制限を進めてきた国政与党も「異次元の少子化対策」を進めると発表、「子供政策連携室」に遅れること1年、「こども家庭庁」を設ける、という組織改変も起きました。

 国においては財源の後ろ盾がないという問題が今頃噴出していますが、子育て環境整備においては、都が国を牽引しているといっても過言ではありません。

 この「018サポート」について私たちは先日、都民アンケートを行いました。多くの喜びの声が届く一方、手続き面では改善を求める声も届いております。例えば、多くの場合、子どもは父親の扶養に入っているため、母親が手続きをする場合はより煩雑になることや、対象区分がわかりにくい、必要書類が多いなどの指摘がありました。

Q  今年度手続きをした方に対しては、これまで会派が主張してきたワンスオンリーの考えに基づき来年度は原則としてプッシュ型で支給するとのことですが、来年度新規に申請する方はより簡単・便利に手続きできるようにするほか、支給の迅速化も図り、都民目線での工夫を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

A(福祉局長)
〇 都は来年度、018サポートを新規に申請する方に対して、従来の申請方法に加え、国と連携し、保護者と子供両方のマイナンバーカードをかざすだけで申請が完了する新たな方法を導入いたします。
〇 また、従来の方法で申請する場合につきましても、住民基本台帳の情報で出生日や転入日を確認することで、それらの確認書類の提出を省略するなど、手続を簡素化いたします。
〇 給付金につきましては、来年度は、子供の育ちをきめ細かくサポートするため、8月、12月、来年4月の年3回に分けて支給をいたします。

 書類の簡素化や、支給をこれまでの年に1回から3回に分けるなど、引き続き都民の声に耳を傾けながら、施策のブラッシュアップをよろしくお願い致します。

こどもDXの推進

 018サポートに限らず、児童手当の申請、予防接種のクーポン、保育・幼児教育の無償化、学童の申請など、子育て関係の支援を受けようとすると、何度も同じ様な書類を記入することがあります。また、子育て支援に関わるサービスを提供する主体は、国・都・区市町村、民間事業者など多岐にわたることから、子育て世代にとっては、情報の把握も大きな負担となっています。これらの課題をデジタルのカで解決していくことが重要です。

 先の第4回定例会における私たちの、こどもDXの成果を早く出すよう求めた質問に対し、知事からは、「2025年度までに、利用者の声を反映させ、サービスを実装する」との答弁がありました。

Q  都民の負担を軽減し、便利で快適な子育てサービスを実現するためには、行政や民間などが垣根を越えてデータ連携するなどの取組をスピード感を持って、都が先駆的に進めていくことが必要ですが、今後、どのように取り組むのか伺います。

A(デジタルサービス局長)
〇 デジタルの力で子育て世代の利便性を向上させるこどもDXにつきましては、現在、六自治体の子育て支援制度のデータベース整備を先行的に進めており、ふだん利用しているアプリを通じて給付金などの情報をプッシュ型で届けるサービスを今月末から順次開始をいたします。
〇 来年度は、都内全域での情報配信に向け、国と連携して取組を進めます。
〇 また、保活ワンストップサービスについては、都は全国に先駆けて、様々な主体をつなぐシステムの構築を目指しており、今後、共に取組を進める自治体の募集を開始いたします。
〇 保護者や保育関係者の声も聞きながら、施設見学から入所申請までを一元的に行える利便性の高いサービスの実現に向けて取組を進めてまいります。

 都民の声に耳を傾け、アジャイルに改善を重ねることで、忙しい子育て世代を助けるサービス提供をお願いしました。

プレコンセプションケア

 子育て世代への情報提供に加え、子どもを持ちたいと考えている方への情報提供も大切です。晩婚化が進む中で、夫婦の4.4組に一組が不妊検査や治療をしているという調査結果もあります。こうした状況を踏まえ、私たちは不妊治療の対象拡大や卵子凍結補助等などの不妊治療への支援拡大に加え、不妊治療に至る前の段階で、自らの体を知り将来設計に活かす「プレコンセプションケア」を推進してきました。

 これを受け都は今年度より、出産に向けた正しい知識を伝える講座の開催や、体に残された卵子の目安を知り、妊活、不妊治療に生かすことのできるAMH検査支援を始めています
当然ですが、不妊の原因は、女性だけでなく男性にも同程度あります。しかしながら、男性の不妊に対する意識は低く、自分が原因だと思っていないケースも少なくありません。女性のみならず男性への不妊に対する情報の普及啓発や不妊治療への支援が必要です。

Q  今後より多くの方がプレコンセプションケアを進められるよう支援すべきと考えますが、見解を伺います。

A(福祉局長)
〇 都は現在、プレコンセプションケアに関する講座を受講した方のうち、AMH検査の受検を希望する方が、無料で、地域の医療機関において検査を受けまして、その結果につきましては、国立成育医療研究センターの医師から助言を受けられるよう支援を行っております。
〇 来年度は、新たに男性向け検査への支援を開始するとともに女性向け検査の種類も拡大をいたします。
〇 また、より多くの方が支援を受けられますよう、地域の医療機関で検査から助言まで実施できるようにいたします。
〇 さらに、性別、年代別の啓発動画を作成いたしまして、SNS等で発信するなど、若い世代が将来の妊娠、出産に関する正しい知識を身につけられるよう支援してまいります。

 新たに男性の検査にも支援拡大をするという前向きな答弁でした。将来子どもを持ちたいと考える全ての都民が正しい知識を得ることのできる体制を求め、次の質疑に移ります。

教育

グローバル人材育成に係る施策の検証

 小池都知事は、スピーキングテストの導入や都立高校への国際交流プログラムの新設、教員の海外派遣など、グローバル人材育成を強力に推し進めています。人が宝であるこの国において、大変重要な取り組みです。

 私たちは、これらの教育プログラムが、これからを生きる子供たちにとって必要不可欠であるからこそ、エビデンスベースでかつ長期的な視点をもって施策の質を高める重要性を指摘してきました。

Q  私たちの求めに応じ、来年度に新設した「グローバル人材育成の成果検証」事業において、生徒の成長をどのように継続的に把握し、事業のブラッシュアップに活かしていくのかを伺います。

A(教育長)
〇 未来を担う子供たちは、英語力を基盤として、社会の様々な課題を主体的に解決していく力や多様な人々と協働する力などを身につけることが重要でございます。
〇 都教育委員会は、来年度、グローバル人材育成に係る施策に関して、生徒にアンケートを実施し、生徒の意識や行動の変化などと、都の様々な事業の取組状況を併せて分析することで、施策の成果検証を推進してまいります。
〇 さらに、都独自の留学制度である次世代リーダー育成道場や海外派遣に参加した生徒について、卒業後も継続的に進路やキャリア形成の状況を把握することで、長期的な視点も踏まえて検証し、施策の充実を図ってまいります。

 グローバル人材育成に係る施策はじめ教育施策に関して、長期的にデータを取得し、エビデンスに基づく評価を行うよう、継続して求めてきました。本質的な取組みが進んでいます。

教育DX

 Society5.0時代を生きる子供のための教育環境整備、「GIGAスクール構想」の後押しを受け、令和4年度には都立高校への一人一台端末と通信環境の整備が完了しました。ハード面の整備に加え、私たちの提案により進めた当時のICTサポート人材、現在のデジタルサポーターの各学校への配置は、現場からは大変喜ばれ、当初の委託事業から今年度より会計年度職員への移行も進んでいます。

 一方で、私たちの元には、デジタル利活用が進んだからこその様々な課題についてのお声も届いています。

Q  都立学校におけるデジタル利活用を定着させ、子供たちに質の高い情報教育を提供するために、資格試験の活用などデジタルサポーターの質の向上につながる仕組みを創設するとともに、学校現場の声を丁寧に聞きとり、デジタル環境を一層向上する取り組みを改めて行うべきと考えますが、見解を伺います。

A(教育長)
〇 都教育委員会は、都立学校のネット回線の高速化などデジタル環境を充実するとともに、デジタルサポーターを全校に常駐させ、学校を支援しております。
〇 今後は、国のDXハイスクール事業なども活用し、プログラミングを学ぶロボット教材や高性能なコンピューターを購入するなど、各学校の実態に応じてハード面の整備を進め、デジタル環境の充実を一層図ってまいります。
〇 また、学校で使用するシステムや授業支援のノウハウをまとめたガイドブックを作成するとともに、業務に関連する資格取得について研修で情報提供を行い、デジタルサポーターの技量の向上を図ってまいります。

 学校のデジタル化を、デジタル環境の整備というハード、デジタルサポーターの技量向上というソフト、の両面からの支援を確実に行っていただくよう求めます。

「子供向けデジタル体験向上プロジェクト」

 子供達に、デジタルの消費者ではなく、デジタルを使って創造する側になるための教育機会を平等に設けることも、重要です。

 私たちの要望を受け、都は今年度より、米国ボストン発祥の「コンピュータークラブハウス」を参考に、子供達が、初歩のプログラミングや創作活動など、幅広い体験や学びができる「子供向けデジタル体験向上プロジェクト」をスタート、来年度には、定期的な開催に向けて予算を組んだことを評価します。

 都内IT企業の中には、社会貢献と人材育成を目的として、教育プログラムを提供している企業もあります。取組を広げていくためには、こうした企業と連携することも重要です。

Q  都民にこの取組が伝わるよう、わかりやすい名称を付けるとともに、都内IT企業の協力を得ながら取組を広げていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

A(デジタルサービス局)
〇 都は今年度、NPOや企業等の知見も得ながら、子供たちに幅広いデジタル体験を提供する事業を都内十五自治体で実施いたしました。
〇 来年度は、この取組をさらに広げるため、規模を拡充し、区市町村と連携して児童館などの子供に身近な場所二十か所で様々なプログラムを実施いたします。
〇 さらに、自治体が主体となって継続的に実施するデジタル体験は、都が人的支援を含め伴走型でサポートいたします。加えて、いつでも体験ができる常設の拠点をSusHi Tech Squareに新たに設置いたします。
〇 今後、子供たちに親しみやすい事業名称を検討するとともに、都内IT企業や大学などの協力も得て内容をさらに充実させ、東京全体で子供たちの創造性を育むデジタル体験のムーブメントを創出していきます。

 一歩ずつ着実に取組みを広げていることを確認しました。

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