「令和6年都議会第1回定例会」総務委員会①~総務局

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帰宅困難者対策オペレーションシステム

13年前に発生した東日本大震災では、首都圏で515万人の帰宅困難者が発生し、徒歩で帰宅する方も多くいたことから、緊急車両が道路を通行できないなどの課題が浮かびあがりました。

これを受けて都は、大規模地震の発生直後は、最大3日、安全な場所で待機する「一斉帰宅抑制」の方針を打ち出すとともに、帰宅困難者を一時的に受け入れる「一時滞在施設」の設置を進めています。

加えて、令和4年度から3か年の予定で、首都直下地震等が発生した際、都内の混雑状況等や一時滞在施設の開設・運営状況等を把握し、帰宅困難者にリアルタイムに情報を発信するための「帰宅困難者対策オペレーションシステム」を開発しています。

本システムに対し、私は、「ユーザーである区市や一時滞在施設の管理者などが災害時に的確に操作できるよう、実装できた機能についてはユーザーテストを実施するとともに早期にリリースすべき」と質問、「今年度中に区市町村等向けの機能を開発しリリースする」との答弁を得ています。そこで、

Q 帰宅困難者対策オペレーションシステムの実装できた機能について、区市町村や一時滞在施設の管理者などに対するリリースの状況について伺う。

(防災対策担当部長)
○ 帰宅困難者対策オペレーションシステムの開発において、現在、人流や一時滞在施設の状況を表示する画面などの機能について実装。
○ その機能を使用する区市町村等に対し、説明会を実施するとともに、順次リリース。
○ 今後は、関係機関に対する説明会を拡充することで、災害時の円滑な運用に繋げていく。

帰宅困難者が多く発生するであろう都心3区のみならず、島しょ部を除いた区市町村が説明会に参加したと聞いています。確実に進めていることを確認しました。

本年元旦に発生した能登半島地震では、支援を行うにあたって、避難所以外で避難する人を把握する難しさが指摘されました。

「帰宅困難者対策オペレーションシステム」を用いて、帰宅困難者のホームタウンがわかれば、地元自治体における物資の配分等の発災後の対応の精度を高められる可能性があります。

私は、昨年の事務事業質疑で、「帰宅困難者対策オペレーションシステム」で、都や区市町村が地域内の残留人口と流出人口を把握することが可能かどうかを質疑、災害対策における活用方法について検討していくとの答弁を得ています。そこで、

 帰宅困難者対策オペレーションシステムにおいて、GPS位置情報によって、帰宅困難者の具体的な動きの推定に関する研究の状況について伺う。

(西山防災対策担当部長)
○ 個人を特定する情報を含んでいない携帯電話のGPS位置情報を基に、「帰宅困難者対策オペレーションシステム」で把握した混雑状況について、帰宅困難者と住民等を区分することで、帰宅困難者の具体的な動きなどを推定できるか研究。
○ 現在、GPS位置情報を基に得られた推定人数等について、国勢調査などのデータと照合して、精度の評価。
○ 引き続き研究を進め、帰宅困難者対策で活用できるよう精度を改善。

令和4年5月に発表された「首都直下地震等による東京の被害想定」では、約453万人の帰宅困難者が発生することを予想。東京都の常住人口1,405万人、昼間人口は1,675万人。いずれにしても帰宅困難者の占める割合は約3割と高く、発災後の対応に大きく影響すると考えます。引き続きの検討を求めました。

また、私は、国が昨年度、基礎自治体向けに有償で公開した「クラウド型被災者支援システム」カタログ)には、発災直後の一人ひとりの状況把握から、都が開発を進めている「災害時都民台帳システム」が担う罹災証明書の発行に至るまで、マイナンバーと連携させたうえで、現時点で想定される多くの手続きが可能であることを紹介してきました。

デジタル化ではよくあることですが、都内自治体が先行して導入してきた「被災者生活再建支援システム」には、一人ひとりの状況把握の機能がまだありません。今後開発予定であるとは聞いていますが、都は、集合住宅を中心に在宅避難を進めようとしています。機能追加の改めての要請をお願いしました。

出火防止対策促進事業の区市町村との連携状況について

「首都直下地震等による東京の被害想定」で想定した死者数の要因は、揺れ等と火災です。私たちからの働きかけもあり、本年度、都は「出火防止対策促進事業」として、木造住宅密集地域を中心に、コンセントタイプの感震ブレーカーを配布しています。

Q 今回、事業を実施するにあたり、町会・自治会と連携し、感震ブレーカーを対象世帯に直接配布することにしたの理由について伺う。

A(防災対策担当部長)
○ 大規模災害時に火災の被害を最小限に抑えるためには、出火防止対策により火災の発生を未然に防ぐことが重要なことから、都が指定している木造住宅密集地域の対象世帯に対し、感震ブレーカーを配布することで、出火防止対策の重要性を普及啓発
○ 対象地域がある区市に対しては、丁寧に説明するとともに、町会・自治会への周知方法やリーフレットの配布時期などについて、事業実施前に個別調整
○ 災害時に地域の防災力の要となる町会・自治会や関係区市と連携して事業を推進することで、共助の力を活かした出火防止や初期消火など、多面的な取組につながるものと考えている。

区市に対して事前に丁寧な説明と調整を行ったとのことですが、区市によっては、より性能の高い感震ブレーカーの配布を既に行っていたところもあり、都民からは重複している、わかりにくいとの声も届いています。

本事業は、出火リスクを下げるだけでなく、都の取組姿勢を示す意味もあったことは理解しますが、大規模災害発生時の対応の主体はやはり基礎自治体です。自らの地域の災害リスクを下げるために、どのエリアにどのように配るかも含めて、基礎自治体主導で進めてもらう方法もあったのではないか、と思います。今後の防災関連の事業設計にあたっては、基礎自治体の主体性、という観点を大切にしていただくよう求めました。

テレワーカーの地域防災への参加について

かねてから求めている、テレワーカーの地域防災への関わりを促進するための提案をしました。

地域の事業所が、消防団活動に協力している場合、これを証明する「消防団協力事業所表示制度」があります。これに認定されると、東京消防庁発注工事や、基礎自治体の工事において、加点対象となるなどのインセンティブがあると聞いています。

消防団活動ということで、現在は、この証明を受ける事業者は地域に根差した企業になっているが、例えば、テレワーキングを進める企業が、テレワークしている社員の地元の消防団活動への協力を推進し、これを証明する & 都の総合評価方式で加点する、などは有効ではないでしょうか。

消防団員の担い手不足と高齢化への対策、加えて、子育てに限らない、ライフ・ワーク・バランスの推進策として、検討いただくよう求めました。

大規模噴火降灰対応

「TOKYO強靭化プロジェクト」で、風水害や地震と並べて取り上げられているのが、火山噴火です。富士山噴火については、前回の噴火から約300年が経過し、いつ起こるとも知れない状況にあります。

国が令和2年に公表した報告書によると、降灰による角膜や呼吸器への影響やライフラインへの影響など、都民の日常生活に大きな影響を及ぼす被害が生じる恐れがあることが指摘、起こりうる被害に対する備えの強化が必要です。一方で、富士山噴火に関わる施策に関して、マスク・ゴーグルの備蓄の必要性はまだ知られていません。

 必要なマスクやゴーグルの性能、そして、個人の備蓄をどう進めるのかについて伺う。

(防災計画担当部長)
〇 マスクやゴーグルの性能については、顔への密着性が高く、火山灰が侵入しにくいものが推奨されるとされているが、健康被害の防止に必要な性能については、今後、有識者の意見も踏まえつつ具体化
〇 また、マスクやゴーグルの備蓄を促進していくためには、都民等が降灰の影響を自分事として捉え、平時から降灰に備えた準備を行えるよう、適切な情報発信が重要
〇 令和6年度は、マスクの備蓄等の必要性も含め、健康障害へのリスクに対して取るべき対策等について、リーフレットなど視覚情報の活用により、広く情報発信・普及啓発

都民が備蓄するとなると、流通にもそれなりのインパクトがあるものと思うので、配慮しつつ進めるようお願いしました。

 降灰によって、停電や断水、物流の停止などが起こることが理解されているように思えない。今後の啓発をどう進めるか、伺う。

(防災計画担当部長)
〇 人口や交通機能等が集中する東京において、降灰時に都市機能を維持していくためには、降灰がライフラインや交通インフラに与える影響について、都民等の理解を深め、自助・共助の取組を促進していくことが重要
〇 令和6年度は、停電や断水など、降灰が都市に与える影響や、噴火時に起こりうる災害状況等について、CG動画等を活用するとともに、多言語化等により、分かりやすい情報発信を行っていく
〇 また、SNSや特設サイトなど、様々な媒体を活用し、広く情報発信することにより、噴火による災害リスクへの理解を高めていく

噴火というと、平成26年の御岳山の噴火が思い起こされます。火口付近に居合わせた登山者ら58名が死亡、行方不明5人、と、戦後最悪の火山災害ともいわれていますが、発生直後は写真を撮影していた人もいました。

噴石が飛来しなくとも、視界を遮る、呼吸が困難になる、目や呼吸器官を傷める、外に出られない、停電、断水・・・と様々な被害が想定されている。答弁にあったCG動画はじめ、都民が火山噴火の影響と被害を理解し、備えにつながる取り組みを進めていただきたくよう要望しました。

ソーシャル・キャピタルの現状を踏まえた地域防災力の向上について

 関東大震災でも、東日本大震災でも、復興にコミュニティが果たす役割の大きさが示されました。能登半島地震の避難生活においても、顔見知りだから避難所生活が堪えられた、落ち着いて過ごせたとの声が届いています。

 都が進める「TOKYO強靭化プロジェクト」の計画段階から、私たちはコミュニティ強化の重要性を訴え、都は、プロジェクトを推進するにあたっての連携先に「コミュニティ」を追加、都民の7割の世帯が居住していながら、行政からの働きかけが難しかった「マンション防災」の強化などの新しい取り組みにつなげてきました。

このような防災面のコミュニティ活性化策に取り組むと同時に、実際に活性化しているかを把握し、施策のブラッシュアップを行う、いわゆるPDCAも大切です。

私は、ただPDCAを求めるだけでなく、具体的なやり方に踏み込んだ提案をしてきました。すなわち、地域における「日頃挨拶する人の数」、「災害が発生したら気遣う人の数」、さらには、「災害が発生したら避難を手伝う人の数」など、住民のつながりの状況、ソーシャル・キャピタルを、サンプリングでよいので評価し、これを各局のコミュニティ活性化策のブラッシュアップに活かす、というものです。

先日の私たちの、予算特別委員会の総括質疑では、「各局が取り組むコミュニティ活性化施策が本当にコミュニティ活性化につながったのかについて、例えば中学校区で比較ができる定点調査を行うなど丁寧に検証し、事業のブラッシュアップを重ねていく」よう求め、総務局長からは、「防災に関する都民の意識調査の精度を上げることや、その結果を都民の防災意識をより高め、具体的な行動につながる手法などについて、専門家の意見も聞きながら議論を深めていく」と答弁をいただいています。

地域住民のつながりの状況を防災の観点から把握し、施策の精度を高めていく、という、新たな取り組みに期待しています。

この調査についてですが、具体的に、例えばコミュニティの広がりが中学校区程度と仮定し、中学校区ごとに比較をしようとすると、都内には約600校区があり、統計的な補償をしようとすると、各校区ごとに400サンプルの調査が必要です。つまり、都内で約240,000サンプルとなり、設問数にもよりますが、定点調査には数千万円~億の予算を要すると考えます。

調査費用を下げる方法はいくつか考えられますが、例えば、テスト・マーケティングの場合、静岡県が選ばれることが多いそうです。その理由は、

・経済規模が全国平均より高い人口が多すぎず少なすぎずに適当
・東西日本の文化的な接点に位置する
・気候が温暖である
・都市部では商工業が共に盛んで、郊外型都市も散在する

などがあげられています。

 これを踏まえ、コミュニティ活性化施策の効果検証を目的にするのであれば、何も都内全域を調査するのではなく、代表できる地域を選ぶ、という方法もあります。なによりも、定点調査となると、継続的な調査になることから、調査項目の精査が大切です。そこで、

 質問項目の精査や、サンプルの仕方など、専門家の意見も聞きながら丁寧な検討を行っていただきたいと考えます。見解を伺います。

(防災対策担当部長)
○ 都はこれまで、防災に関する都民の意識調査等を通じて、地域や各家庭における取組状況等を把握
○ この意識調査は、都内1万5千人を対象に、都民の防災に対する意識及び災害への備えなどの取組状況について、区部と市町村部それぞれにおいて把握するなど、都の防災対策の参考とするために実施
○ 今後、災害の際の住民のつながりについて、本調査の精度を上げることや、その結果を都民の具体的な行動につなげる手法などについて、専門家の意見も聞きながら議論を深めていく。

ソーシャル・キャピタルについては、子育てや子供の育ちにも大きく関わります。私の働きかけにより、子供政策連携室の「とうきょうこどもアンケート」や、令和6年度は、少子化対策の調査でも予算が組まれています。重複しないように、また、互いに活用できるよう、意見交換をしながら進めていただくようお願いしました。

東京都パートナーシップ宣誓制度について

性的マイノリティの方々が暮らしやすい環境づくりについては、藤井都議、龍円都議を筆頭に、都民ファーストの会として継続して取組みを求めてきました。

平成30年の「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」制定、令和4年の「東京都パートナーシップ宣誓制度」の運用開始、は、東京都における多様性推進のエポックメイキングといえる。

都の継続的な取組みもあり、令和6年1月に公表された「人権に関する都民の意識調査 報告書」によれば、
「性自認」という言葉の認知度について、『知っている・計』は、令和5年度では 69.5%と、令和2年度の 62.2%から 7.3 ポイント増加し、約7割が認知しているという結果になりました。


「性的指向」という言葉の認知度は、「内容を詳しく説明することができる」、「詳しく説明できないが、ある程度内容を知っている」42.0%、「内容は知らないが、名称だけは知っている」24.5%を合わせた、『知っている』の合計は、やはり7割を超えています。

 我が会派の要望を受け、都は今年度、都は初めて4月の東京レインボープライドに参加しました。また、性的マイノリティの方々への理解や支援の意思を表明している人を意味する「アライ」について、自身がアライであることを表明するための「アライマーク」を都は新たに作成するとともに、来年度予算では、動画等によりアライマークの認知度向上や利用促進を目的とした普及啓発等を行う予算が計上しています。様々な取り組みを通じて多様な性の理解促進が図られていくことは非常に重要です。

Q パートナー宣誓制度については、民間でこれに基づく取組みが広がる重要性を訴えてきた。現状を伺う

A(人権部長)
○ 制度導入時から業界団体等に継続して働きかけ
○ 性的マイノリティに関する民間団体が主催するイベント等において、制度の理解や周知
○ 年11月に「性的マイノリティに関する企業向けポータルサイト」を新たに開設し、多様な性の理解の促進と合わせて、顧客向けサービスや社内福利厚生において制度の活用が広がるよう、協力を呼び掛け

○ こうした取組により、受理証明書を活用した顧客向けサービス等が着実に広がっている

誰もが、あらゆる機会で、その在り方が当然に認められている、と感じられる社会、インクルーシブな社会の実現に向けて、引き続きの取り組みを求めました。

都立大学の授業料実質無償化

わが会派が要望していた所得制限なしの授業料無償化が今回の予算案に盛り込まれたことは歓迎。

 令和6年度からの都立大学における授業料実質無償化について、減免対象となる学生数はどの程度拡大する見込みか、予算規模と合わせて伺う。

(都立大学調整部長)
○ 令和5年度の対象人数は約1,000人、予算規模は約5億円
○ 令和6年度は約3,600人と見込んでおり、予算規模は約19億円

 現在と比べ、約2,600人も対象者が拡大し、予算規模も14億円増という大規模な支援がなされることが分かりました。所得制限のない子育て教育政策を推進することは、わが会派の予算要望でも言及しており、所得制限の撤廃を決めた知事の英断といえます。

 一方で、東京都以外の他団体でも授業料無償化の動きは加速しており、他団体では、学年ごとに段階的に実施するとして、一部の在校生は対象から外れるところもあるとも聞いています。

 来年度からの都立大学の授業料無償化では、どのように実施するのか伺う。

(都立大学調整部長)
○ 生計維持者が都内在住の学部生及び博士前期課程等の学生を対象としており、新入生を含め、制度の対象となる学生は、全学年一斉に導入する

子育て施策はスピーディさが求められることから、この判断は妥当であると思います。

次に、大学院生の取扱いであるが、博士前期課程の学生も今回の無償化の対象になるとのことであるが、理系では大学院に進学することが多く、これは妥当だと考えます。

 今回の制度を検討するにあたって、大学院の博士後期課程の学生についてはどのように位置づけているのか伺う。

(都立大学調整部長)
〇 博士後期課程の学生は、大学の研究活動を支え、その原動力となる存在
〇 今般の授業料実質無償化にあたっては、都内子育て世帯の教育費の負担軽減という制度目的や、教育費に係る家計負担の実態等を踏まえ、博士後期課程の学生は対象外とした
○ こうした博士後期課程の学生に対して、ティーチングアシスタントとして、教育訓練の機会を提供するとともに、手当を支給することにより支援を実施

博士後期課程の学生の位置づけについて理解しました。国際的な大学間競争の中にあっても、大都市課題の解決など、都立大学がその使命を果たせるように、研究活動の基盤を充実させ、博士後期課程学生を含む若手研究者の育成に取り組むよう要望しました。

都立大学の研究力を活かした都政貢献の取組について

 都政が抱える課題は多様化・複雑化するなか、課題解決に長期的に専門性を持って取り組める機関として、都立大学が果たす役割は大きく、また期待もしていることはかねてより述べてきました。都立大学は、都政のニーズと大学の研究力を積極的に結びつけるために「サステナブル研究推進機構」を一昨年設立し、都との連携強化に取り組んでいます。

 サステナブル研究推進機構を中核とした、都立大学による都政課題の解決に貢献する取組の状況について伺う。

(天野都立大学調整部長)
○ 都立大学は、第四期中期計画期間において、都の課題解決に資する調査研究を6年間で延べ100件実施することを目標に掲げており、令和5年度は、小規模な太陽光発電を活用したグリーン水素の製造に関する研究など、22件の研究プロジェクトを実施
○ また、令和6年度予算に係る大学研究者による事業提案制度において、二酸化炭素を空気中から回収し、炭素資源を合成・供給するカーボンステーションの開発を、東北大や東大と共同で提案
○ 事業の選定に当たり実施された都民投票では、トップの得票数を獲得して採択され、来年度から事業を開始

研究者同士のつながりを活かして、私の母校でもある東北大等とも連携し、持続可能な東京の発展につながるプロジェクトに取り組んでいくとのことでした。都政を取り巻く課題がますます複雑化、高度化する中で、都立大学の持つ人的な資産を活用した取組が拡がっていくことを期待していることを述べました。

産技高専の新しい教育プログラム

高等教育機関の社会への貢献という意味では、研究だけではなく、将来のイノベーションを担う人材の育成も重要です。今年1月に都が公表した「未来の東京」戦略version up 2024に掲げるゼロエミッションエナジープロジェクトでは、都立産技高専において、再生可能エネルギーインフラについて学ぶ新しいカリキュラムの編成に向けた準備を進めるとされています。

 産技高専の新しい教育プログラムはどのような人材の育成を目指すのか伺う。

(都立大学調整部長)
○ 東京都立産業技術高等専門学校では、エネルギーの脱炭素化などに対応し、持続可能な社会の構築に貢献できる技術者を育成するため、令和7年度から電気電子工学コースのカリキュラムを改編
○ 再生可能なエネルギーを活用した実験実習科目などを通じて、発電効率の高い太陽電池やエネルギーロスの少ない送電網の開発等に必要な知識や技術を実践的に身につけられるプログラム
○ 令和6年度は、新コース開設に向け、必要な機器の導入や、新たな機器を使ったグループワークが可能な教室の整備を推進

カーボンニュートラルな社会を実現するには、グリーンとデジタルの両面での技術革新に加え、その技術を社会に実装することができる人材の育成が必要です。都立産技高専の新しいカリキュラムによる人材の育成に期待します。

公立大学法人のダイバーシティ推進の取組について

昨年の第三回定例会の総務委員会では、都立大における女性教員の割合が、保健系学部では54%と高い一方で、理系学部等においても女性教員が5%未満となっている学科が4学科あることを確認、文理・学科、さらには役職別の女性教員比率を把握し、分析するなど、戦略的に多様性を高めていく必要性を指摘しました。

 第3回定例会の総務委員会で確認した女性活躍に向けた取組について、その後の検討状況を伺う。

(都立大学調整部長)
○ 東京都公立大学法人は、人材の多様性を高め、優秀な人材確保やイノベーションの創出を促進するダイバーシティ経営を実現すべく、令和4年度にダイバーシティ推進委員会を設置
○ 今年度は、多様性や公平性、包摂性を理念に掲げ、教職員アンケートの意見を取り入れつつ、課題の抽出や対応策を検討し、年度内に、全体方針や基本計画を策定する予定

第3回定例会の総務委員会で述べたことと同じことを言いますが、アメリカでは1980年には「理工系科学技術機会均等法」を制定、それから約半世紀が過ぎようとしています。現状の学科別、役職別の女性教員比率偏りの是正に正対して取り組むことを求めました。

附属機関について

例えば、教育庁関連の審議会の委員に「東京都PTA協議会」の役員が選任されているが、当該協議会からは過去に基礎自治体ごとのPTA連合会の脱退が生じるなど、既に保護者の声を集める組織としては機能していないと、都民の声が寄せられています。委員として期待されているであろう、保護者の代表という役割を果たすことが難しい状況になっているのではないかという懸念があります。

こうした例に限らず、選任時から状況の変化等が生じることはありうると思いますが、

 附属機関等の委員について、設置目的を果たすために適切な構成となるようにするとともに、定期的な見直しを行うべきだが、見解を伺う。

A
〇 附属機関等については、設置目的に応じて、専門知識の導入、公正の確保、利害の調整又は民意の反映に資する委員構成とすることが重要
〇 委員の任期は原則として1期2年、再任する場合でも、連続する在任期間は8年を超えないなど、各局等で社会経済状況の動向等に的確に対応した適切な委員の選任を行うよう促している
〇 引き続き、各局等と連携しながら、各附属機関等が常に適切に運営されるよう取り組んでいく

審議会は都民の暮らしや価値観の多様性を代表する、また、専門家の意見を聞くための、都政運営の基本ともなる大切な組織です。その観点からの定期的な見直しを、審議会を主管する各局に求めることを要望しました。

人材育成について

私は、昨年の総務委員会で「都庁版・越境人材」の育成の重要性を訴えました。DXなど、社会全体のアップデートが必要な中で、リスキリング文化の定着や、グローバルな視座を持った人材の育成、分野を横断して課題を解決できる人材の育成は極めて重要であり、都の職員も、海外や民間企業などと様々な形で行き来を繰り返しながら、絶えず自身を成長させ続けていくべきです。そこで、

Q 海外や民間企業など、職員の能力向上を目的とした都庁外への職員派遣について、令和5年度の取組と、これまでの成果を伺う。

(人事部長)
○ 今年度、海外研修については、「国際競争力強化プロジェクト」の海外調査の規模を350人から500人に拡充しており、海外大学院や海外都市等への派遣についても、新たにパリ市やロサンゼルス市へ派遣するなど、派遣先や人数を拡大
○ また、民間企業等への派遣は、現場感覚の醸成や多様な主体との協働を推進するため、スタートアップなど新たな派遣先の開拓とともに、庁内公募を実施し、職員のチャレンジする機会を設定
○ こうした派遣を通じて、先進的な取組を学び、施策に反映するほか、専門的な知識・技術の習得など職員の能力向上や、人的ネットワークの構築・強化を図っている

海外や民間企業等への派遣の拡大や庁内公募が実施されており、その成果として学んだことが施策に反映されていることや、職員の能力向上や人的ネットワークの構築に活かされていることを確認しました。

民間の労働市場の流動性が高まる中、退職後に更なる経験を積み、復職を希望する人材も増加の動きを見せており、いわゆる「出戻り」を対象とする柔軟な採用制度を導入する企業も増加しています。
これまで取り組んできた都庁外への職員派遣を一層推進するとともに、こうした社会全体の動きも踏まえ、都職員を越境人材として活躍させていくべきと考えます。そこで、

 職員が、より活発に外の世界と行き来することで、組織の活性化を図っていくべきと考えるが、局長の見解を伺う。

(総務局長)
複雑・困難化する都政課題に対応するためには、職員が新たな発想で政策立案できるよう、成長し続けていくことが必要
○ 先般公表した「シン・トセイ4」では、都政のQOSを確保・向上していくため、時代の変化に合わせた職員の採用・人材育成に取り組むこととした
○ より多くの職員が都庁の外に出て学ぶ機会を拡大することで、都庁内外の様々な知恵を融合し、政策のイノベーションを生み出していく
○ そこで、来年度は、新たな海外都市への派遣を開拓するほか、民間企業等との異業種交流研修や海外大学院への派遣規模を拡大していくなど、都庁外への人事交流を一層推進
○ また、都を退職した後、様々な経験を積んだ有為な人材が、再び都庁で活躍できる都庁版アルムナイ採用制度を開始
○ こうした取組により、多様な人材の活躍を促進し、更に活力ある組織へと変革することで、都民サービスの向上に結び付けていく

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