「令和6年度都議会第1定例会」総務委員会⑧~子供政策連携室

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プレーパークについて

 中途議決を行った補正予算の1.7億円の減額は、プレーパーク等の遊び場の整備に対する補助「子供の遊び場等整備事業」に関わるものであると聞いています。

 「子供の遊び場等整備事業」について、改めて、執行率が低くとどまった理由を伺う。

(企画調整部長)
〇 「子供の遊び場等整備事業」は、最大3か年の補助を行うため、令和5年度から令和7年度までの各年度において、区市町村の事業計画額の合計が各年度の予算額・予定額の範囲内に収まるように、事業を採択
〇 区市町村の事業計画では、令和5年度に設計、令和6・7年度に工事となるものが多いため、令和5年度よりも、令和6・7年度の事業計画額の合計が、はるかに大きくなっている
〇 結果として、令和6・7年度の予定額の範囲で最大限に採択したところではあるが、令和5年度については、不用額が発生

「子供の遊び場等整備事業補助」の減額補正には、特段問題があったわけではないことを確認しました。

Q そこで、あらためて令和5年度に申請を出した自治体の数と、どのような基準で採択をしたのか、伺う。

(企画調整部長)
〇 今年度は、13の区市町から17事業の申請があった
〇 子供の意見の聴き取り方や、把握したニーズを遊び場の整備内容に反映させる手法などの項目についてそれぞれ評価をして、令和5年度は6事業を採択

 そもそも3件採択予定のところを6件採択したと聞いています。

 令和6年度は予算額を大幅に増額したとのことだが、来年度の採択予定の事業数を伺う。

(企画調整部長)
〇 令和6年度の新規採択分は6事業を予定
〇 一事業当たりの単年度の補助上限額を1億円としていることから、令和6年度は、新規採択分の事業費として6億円を計上

 採択事業数を予算ベースで比較した場合、令和5年度の3件から令和6年度の6件に増えており、新規採択事業の予算規模も3億円から6億円に倍増させたことが分かりました。

 今年度、選ばれなかった自治体が改めて申請しようとしてきたときには、効果的な子供の意見の聴取方法はじめ、採択された事例の良い点について、情報提供をお願いしました。

 世田谷区にはすでに4つのプレーパークがあるが、課題はプレーリーダーの待遇の低さであり、都にはこれを伝えてきました(「令和5年都議会第1回定例会」総務委員会「令和5年 事務事業質疑」子供政策連携室)。

 かねてより求めてきたプレーリーダーの待遇改善に関する取組みの進捗について伺う。

(企画調整部長)
〇 子供の遊びを支える人材を確保していくために、来年度、プレーリーダー研修や、遊び場における安全対策、プレーリーダーの適切な人員配置などに取り組む区市町村を支援する補助制度を創設
〇 具体的には、補助率は10/10、補助期間は一団体当たり1か年度として、補助対象経費については人件費や研修費など必要な経費を対象とする
〇 この補助制度を契機として、各区市町村におけるプレーリーダーの確保につなげ、子供が身近な場所で、主体的かつ安全に遊べる環境づくりを進めていく

 一年が限度とのことですが、事業を創設したことをまずは評価します。当事者からは、例えば「子育て支援員」との兼業の提案などを受けています。都が来年度から拡大するファミリー・アテンダントとの兼業などの可能性も模索して進めるよう要望しました。

 子供の「やってみたい」ができる、異年齢の子供と一緒に遊べる、そのような遊びを実現するプレーパークは大切です。「こども未来アクション2024」に記載されている、遊び場に関する子供の意見を見ると、私が育ったころにはまだ存在していた、ボール投げができる公園、行けば学年の違う子とも遊べる児童館、登って走れる塀、登れる木、掘れる土、駄菓子屋など、仲間と過ごせる時間や場所、子供にとって大事な経験が、過剰な塾通いなどの大人の都合で失われてきたと改めて思います。

 実際、世田谷区は日本国内のプレーパークの発祥の地で、プレーパークは4か所あり、大きな公園もあるものの、一方で、中学受験熱は高く、私立中学に進学する割合は35.44%で、都内でも7番目に高い、これが現実です。塾に誘導する民間からの働きかけは、「子供に何でもしてあげたい」という親の気持ちに付け込んでおり、強い引力を持ちます。

 プレーパークの設置推進に加え、

子供の「遊び」が子供の成長にどれだけ価値があるか
・主体性や協働性などのいわゆる非認知能力を育むために、義務教育課程ぐらいまでは自転車などで子供が移動できる範囲で、よく学び、よく遊び、よく寝ることの大切さ
年齢に応じた経験の大切さ

などを形にして、その効果を伝えていただきたいことをお伝えしました。

日本語を母語としない子供の支援

 私たちは、日本語を母語としない子供への教育機会の提供について、代表質問や委員会質疑で継続してとりあげてきました。

 昨年の「第4回都議会定例会」代表質問では、日本語指導が必要な児童生徒への取組強化を求め、教育庁からは「全国初となる小中高の発達段階を見据えた日本語指導のガイドラインを今年度中にとりまとめ、都内公立学校に周知、区市町村教育連携とも連携を図る」との答弁を得ています。

 多文化キッズサロンの令和6年度の予算額は1億円となっており、2千万円増額されていますが、日本語を母語としない子供の増加に伴い、学校外での支援も非常に大切な取組です。

 「こども未来アクション2024」で紹介されているとおり、今年度は目黒区と八王子市が多文化キッズサロンを設置し、同じく目黒区と中野区において多文化キッズコーディネーターが配置されました。目黒区と八王子市の多文化キッズサロンは、地域における子供の居場所機能を担うものであり、学校との連携が重要です。

 学校との連携など、いろいろな地域での取組の良い点を踏まえて、ガイドラインを作るなどして、質を担保したキッズサロンの設置を、都内全域で、そして、できれば日本語を母語としない子供の多い地域から確実に、進めていくべきと考える。来年度の取組について伺う。

(企画調整部長)
〇 日本語指導が必要な子供に、日本語教育の機会を確実に提供する好事例を取りまとめるため、今年度、都内の全区市町村にアンケートを実施
〇 さらに、アンケート結果から特徴的な事例を抽出し、当該地域の団体や自治体に対してヒアリング調査を行った
〇 その結果、地域で活動する団体や学校・行政等が緊密に連携することは、子供たちに日本語教育の機会を提供するだけでなく、日本での生活に安心感をもたらすことが明らかとなった
〇 来年度以降、子供を日本語教育につなぐ取組の好事例集を効果的に活用して、区市町村と積極的に意見交換を行い、各地域の実情を踏まえながら、多文化キッズサロンの設置を後押ししていく

 大切な取り組みであり、日本語を母語としない子供が希望をもって過ごせるように、より多くの区市町村での設置が進むよう、取り組みを求めました。

とうきょう すくわくプログラムについて

 子供達が自ら未来を切り開いていく上で、コミュニケーション力や意欲、忍耐力など、数値での測定が難しい非認知能力の育成がますます重要になっています。

 非認知能力は、4歳~5歳の未就学児段階で大きく発達し、学童期・思春期に伸びるとされていて、意欲、自己肯定感、社会性等の非認知能力をやしなうことをコンセプトとする「すくわくプログラム」は大変意欲的な取り組みです。

 一方で、非認知能の伸長は、まだ研究段階にあり、走りながらも効果検証し、施策のブラッシュアップにつなげる努力が欠かせません。

 私たちはこの点をもって、令和6年第1回定例会の代表質問にて、「とうきょうすくわくプログラム」の全域展開にあたっては、効果検証の仕組みを取り入れていくべき」と訴え、知事からは「東京大学CEDEPとの連携の下、プログラム実践に伴う効果検証の仕組みのあり方についても検討」との答弁を得ています。

 「とうきょう すくわくプログラム推進事業」の予算額26億円の内訳について伺う。

(企画調整部長)
〇 とうきょう すくわくプログラム推進事業の予算額26億1,900万円の内訳であるが、プログラム実践園に対する実践経費を補助する予算として24億7,500万を計上
〇 そのほか、プログラム実践に係る研修・相談体制の構築、プログラムの継続的なバージョンアップ、幼児教育・保育の充実のための社会気運の醸成などに係る予算として1億4,400万円を計上

 予算のほとんどは、園がすくわくプログラムを実践するための補助とのことである。具体的な補助の内容について伺う。

(企画調整部長)
〇 「とうきょう すくわくプログラム」を通じて実践される探究活動を、日常的な幼児教育・保育の中に浸透させるため、補助対象期間を6年間とし、継続的に幼稚園・保育所等の取組を後押しするとともに、補助率を10/10として財政面から強力に支援していく
〇 補助対象経費として、子供たちが使用する道具や素材等の探究活動の実践に伴う直接経費に加え、探究活動を記録し検証するためのビデオカメラやプロジェクターなどのICT機器の購入経費、「絵画や音楽など探究活動の実践をサポートする専門家」や「園の体制構築に係る非常勤職員」の人件費など、幅広く設定し、来年度は1園当たり150万円を上限に補助

 代表質問では効果検証を求めたが、都は具体的にどのように効果検証を行っていくのか、伺う。

(企画調整部長)
〇 今年度、プログラム実践に協力いただいた14園に対するアンケートからは、「普段あまり自信が見られない子供が自信をもって活動できている」「自分から積極的に動く姿が見られるようになった」といった子供の変容に関する声をいただいている
〇 来年度は、こうした子供の変容の更なる見える化を図るため、東京大学CEDEPとの連携の下、質問項目の改善、回答項目のリスト化や数値化を図り、プログラム実践に資する実効性のある効果検証につなげていく

 私を含め複数の会派の女性議員が「とうきょう すくわくプログラム」を視察しましたが、率直なところ、自らが子育てする中で、または、保育園や幼稚園で先生方がしてくださってきた創意工夫の範囲を大きくは出ていないという印象でした。

 とはいえ、学校の教師に関しては、研修施設があったり、他校の授業を見学する研究授業など、授業の質を高める仕組みがあるが、保育士や幼稚園教諭には、そのような仕組みがなかったことを考えると、「すくわくプログラム」で得られた知見をまとめ、各園の底上げにつなげることは意義があると考えます。

 そして、何度もとりあげていますが、50年以上前に行われた「ペリー就学前計画」ですが、この評価が幼児教育の効果に関する代表的な研究成果として今でも取り上げられるのは、その効果を長期にわたり追跡調査を実施したためです。

 「こども未来アクション2024」では、CEDPを、国内唯一の卓越した国際政策研究拠点、と紹介しています。

 このような研究機関と連携して、非認知能力の伸長という研究的課題にそれなりの予算をかけて取り組むからこそ、研究機関であるCEDPには本事業で得た知見を、後世に残る形、学術論文として発表するなど意欲的な取り組みを期待します。

子供・子育てメンター“ギュッとチャット”

 予算6億円の中身を伺う。

(企画調整部長)
〇 「子供・子育てメンター“ギュッとチャット”」の事業費として、来年度は、相談システムの構築経費、相談相手であるメンター等の体制整備経費、広報経費等に関する経費として、約6億円を計上
〇 なお、これらの経費のうち、相談システムの構築経費については、契約期間が複数年度にわたるため、債務負担行為として約3億円を限度額として別途計上

 システム構築が複数年にわたるとのことだが、来年度の具体的な取組を伺う。

(企画調整部長)
〇 「子供・子育てメンター“ギュッとチャット”」事業においては、子供や子育て中の保護者が、日常的な不安や悩みについて、匿名により、自らメンターを選択して継続的に相談できる環境を創出していく
〇 来年度は、今年度整理した相談システムの要件を基に、SNSとの連携機能や、子供向けと大人向けでデザイン・レイアウトを切り替える機能、メンター情報の一覧表示機能など、ユーザー目線に立って、利便性が高く、分かりやすいシステムの設計・開発を行う
〇 また、システムの運用開始に備えて、相談者の自殺願望や虐待が疑われる事例など、緊急時の対応も想定しながら、メンターの相談体制等を整備し、安心して気軽に相談できる環境を具体化させていく

 子供や子育て中の保護者の日常的な不安や悩みに応えるという、時代の要請を踏まえた大切な取り組みであることを確認しました。

 一方で、子育て家庭の孤立化が招いた結果でもあり、個人と行政との間にあったコミュニティが失われたために、行政の仕事が増えていると感じます。改めて知事が進める3Cのコミュニティが大切であることを認識するとともに、引き続き、コミュニティ活性化に向けた具体的取り組みを提案していきます。

ファミリー・アテンダントについて

 ファミリー・アテンダント事業について、どのような事業か、伺う。

(企画調整部長)
〇 ファミリー・アテンダント事業においては、地域の民間団体の人材等と連携し、0歳児家庭などに対して、全戸への「定期訪問による見守り」や、希望世帯を対象とした「傾聴・協働による伴走支援」を行う区市町村を後押ししていく
〇 具体的には、区市町村においては、子育て家庭に対してきめ細かな訪問型の支援を行うことから、支援体制の構築や運営に係る経費などの財政的負担が大きいため、より多くの自治体が参画できるよう、都は運営費等に対して補助率を10/10とし、財政面から強力に支援していく

 これについても、特に0歳児家庭という、最も子育てが大変でそのために孤立もしやすい時期を行政が応援するという、コミュニティが失われたことによる、子育て家庭の孤立化を行政が補う事業であると思います。

 具体的には、どのような世帯を対象とし、どの程度の頻度で訪問するのか。

(企画調整部長)
〇 今年度の先進事例創出事業においては、対象世帯については、特に不安が生じやすい0歳児家庭を中心として、主に就学前までの子供を養育する子育て世帯を対象とすることを補助要件としており、具体的な訪問世帯については、区市町村が地域の実情に応じて設定することとしている
〇 また、「定期訪問による見守り」の訪問頻度については、区市町村に対し、0歳児家庭への訪問は「毎月が望ましい」と示しており、先行実施の自治体の中では、「生後4か月から11か月の乳児」「満1歳に達していない乳児」の子育て家庭を毎月訪問し、見守りを行う事例が創出されている

 東京都医師会からも、0歳児家庭への定期訪問が、母子の健康にとって大切であることが指摘されており、取り組みを評価します。

 大規模な実施となると、担い手の確保や育成も難しい。どのように解決していくのか、都の取組を伺う。

(企画調整部長)
〇 各自治体で地域団体の形態や規模は様々であることから、各地域の特徴を生かした多様な事業展開を後押しできるよう、来年度に向けては補助制度の改善などに取り組んでいく
〇 具体的には、補助基準額において、年間の訪問回数や対象人口に応じた区分を設けることにより、自治体の実施体制構築への支援を強化
〇 また、地域の支援団体との連携手法について、補助要件を緩和し、自治体が行う委託事業や補助事業など、多様な取組を支援していく
〇 さらに、補助制度による財政的支援のほか、自治体との連携により、傾聴や協働を行う訪問支援員等を対象とした、地域の実情に応じた実践的な研修を都が企画・実施し、本事業に対する理解促進や傾聴スキル等の向上を図っていく

 本事業については、担い手確保と育成が肝であり、都の努力を期待します。

ヤングケアラーへの気づきの促進について

 ヤングケアラーが必要としている支援を行っていくためには、教育、福祉等の多機関が連携することが重要であり、その連携の中核となるヤングケアラー・コーディネーターの担う役割は大変大きいものがあります。都では、令和4年度から区市町村への配置を促進するため、国事業に上乗せする形での補助を開始し、令和5年9月1日時点では13区市で配置していますが、今後、全区市町村への配置が求められます。

 他方、ヤングケアラー当事者が交流し、新たな情報を得られる機会を創出していくことも重要です。ヤングケアラー当事者とのWSにおいては、子供政策連携室が今年2月に発表したホームページ「ヤングケアラーのひろば」を見たところ、「ケアラー同士がつながることのできる仕組みを作ってほしい」「とりあえず話をするだけでも楽になる」等の意見があがっており、当事者同士で経験談を共有することのできる場へのニーズがあることがわかります。

 一方で、子供は自分の家庭がスタンダードだと思うため、当事者同士の話し合いだけでは、ヤングケアラーでない子供に比べて自分の時間が少ないことに気づきにくいと考えられます。自分のために割く時間が減ることは事実であり、宮城県はケアに割いている時間を具体的に聞き、進路で妥協せざるを得ない状況を示すなどしています。

 自身が置かれている状況に気づくためには、当事者同士の意見交換を中心とした取組だけではなく、施策の推進にあたっては様々な工夫をしていく必要があると考える。見解を。

(企画調整部長)
〇 来年度、ヤングケアラー当事者及び支援団体が交流する座談会を開催し、これまでの経験を共有するとともに、適切な助言等を受けることにより、それぞれが置かれている状況を客観的に見える化し、新たな気づきを得る機会としてもらう
〇 この取組に加えて、ヤングケアラーの支援に携わる教育、児童福祉、高齢者福祉等の関係機関への調査を実施し、ヤングケアラーがいる家庭全体の家事やケア等の生活状況、利用している支援・サービス等について、多角的に把握していく
〇 把握したヤングケアラー及びその家族が直面している様々な状況については、分析した結果を取りまとめ、ヤングケアラー当事者に加えて、まだ自分自身がヤングケアラーと認識していない子供にも、気づきや支援につながるきっかけとなるよう、ホームページ等を活用して戦略的に情報発信していく

 座談会で支援団体とも交流することで、自らが置かれている状況を客観的に見える化し、新たな気づきを得る機会を設けるとともに、ヤングケアラーと認識していない子供に向けた情報発信にも取り組むとの答弁を得ました。子供達が、自分の未来に向けての時間が確保できるよう、取組みを求めました。

中高生政策提案ミーティング

 来年度の取組の特徴について、伺う。

(プロジェクト推進担当部長)
〇 中高生政策提案ミーティングは、参加する中高生を広く募集し、子供に関する課題について、当事者目線で議論を行いながら政策提案をまとめていく取組
〇 実施に当たっては、オリエンテーションによる参加者同士の交流や、少人数グループワークによる全員が議論に参加できる雰囲気づくりなど、議論が円滑に進むよう工夫していく
〇 その成果は、イベントとしての発表にとどまることなく、都の施策に着実に取り入れていくことで、子供の社会参加意識や自己肯定感の向上につなげていく
〇 さらに、活動内容を広く発信することで、多くの子供たちに意見表明することの大切さを啓発していく

 類似の事業はこれまでもあったが、都の施策に取り入れるところが特徴とのことで、主体性を育む良い取り組みであると考えます。

 今後は自らの意見を述べるにとどまらず、学校はじめ自分が所属するコミュニティの意見を集約し代弁者として議論する、社会における意思決定や民主主義を学べる場所にするよう要望しました。

定点調査

 エビデンスベースの子供施策の推進の基本ともなる重要な事業であるという認識であり、「未来の東京戦略」に指標として2つ入ったことを評価します。

 前回の令和5年度調査から、どのような部分を変更したのか、伺う。

(プロジェクト推進担当部長)
〇 令和6年度の調査に向けては、前年度の調査で明らかになった子供の意識や実態の背景を探るべく、学識経験者等による検討会議での議論も踏まえ、「なぜ保護者が話を聞いてくれないのか」、「学校のどういった部分に不満を感じているのか」といった設問を新たに追加
〇 また、調査・分析の信頼性を向上させるため、調査票の送付世帯数を従前の7,500世帯から10,500世帯とし、分析対象となるデータの数を増やしていく
〇 調査結果については、従来の親子間・男女間の意識ギャップの分析や、国内外調査との比較分析などに加え、新たに前年度調査結果を用いた経年分析を行い、子供たちを取り巻く環境の変化について分析していく
〇 こうした取組により、定点調査の深度化を行い、調査結果の施策立案への更なる活用につなげていく

 「子供の意識」の調査結果については、年齢があがるにつれ、「自分が幸せか」、「自分が好きか」、「学ぶことが楽しい」、「自分の考えをしっかり言える」、のいずれも減少傾向にあり、悲しいことですが実感に合います。

 もともと持っていたそれらの気持ちを、学校や社会での経験を経て育むどころか、学力という一つの指標で測り、自信を無くしています。多様な物差し(価値観)、多様なグループ(異年齢のお兄ちゃん、お姉ちゃんだったり、地域で子供役だったり)で、様々な役割を果たせるようにしてあげたいと改めて思いました。

 私からの働きかけで、総務局が防災面でソーシャルキャピタルを評価する予定であり、意見交換をするよう求めました。

世界こども東京会議(仮称)について

 世界こども東京会議(仮称)は、都は海外の子供政策の先進都市等から実務責任者を招くとしているが、どのような観点から招待都市を選定するのか?

(企画調整部長)
〇 仮称・世界こども東京会議は、子供政策を推進する上での共通の課題やそれに関する様々な知見を共有・議論することを通じて、都における子供政策の更なるバージョンアップや、国際社会におけるプレゼンス向上を目的に開催
〇 開催に当たっては、こども未来アクションの策定過程における子供の声や、国際社会において関心の高い事項などを踏まえてテーマを設定し、その分野の先進都市等から行政の実務責任者を招へい

 「18歳意識調査」「とうきょうこどもアンケート」や18,000人のヒヤリングなどに基づき、エビデンスベースでテーマを設けることで、本取組みを課題解決につなげていただくよう求めました。

少子化対策について

 私はかねてより、出生率と地域コミュニティにおける人と人のつながり、いわゆるソーシャル・キャピタルとの相関についてとりあげてきました

 子供政策連携室で実施した「とうきょう こども アンケート」には、私の提案により「子供が困っていたら近所の人が助けてくれる」というソーシャル・キャピタル系の設問を導入、幸福度が高い子供で「そう思う」と回答する子供の割合が高く、傾向は合致しています。

 少子化要因分析の8,700万円の中身について、事前説明では、「子育てしやすいと感じる人の割合」、「地域で支えられていると感じる人の割合」といったソーシャル・キャピタルの観点を導入するとともに統計的手法も用いるとのことで、前進を評価します。

 少子化要因分析として、来年度どのような取組を予定しているのか、改めて確認する。

(少子化対策担当部長)
〇 対策の実効性を高めるためには、ニーズや課題を継続的に把握・分析し、施策に反映するなど、エビデンスに基づいた取組が重要
〇 来年度は、「若年層や子育て世代を対象とした意識調査」や「都内の地域ごとの状況分析」、「長期的な視点に立った効果検証」の実施を予定しており、ソーシャル・キャピタルの観点の導入や統計的手法の活用を図りながら取り組む

 地域ごとの状況分析や、長期的な視点に立った効果検証、そしてソーシャル・キャピタルの観点の導入や統計的手法の活用と、まさにエビデンスベースの政策立案に向けた取組です。少子化対策という複数の要因が絡まった、日本においては長年解決されてこなかった課題に都が正対して取り組もうとしていることを高く評価します。

 意識調査のサンプル数と決めた理由について伺う。

(少子化対策担当部長)
〇 今年度は、都内に暮らす18歳から29歳の1,000名の方に対して、結婚や子供を持つことの意識等に関する調査をオンラインで実施
〇 来年度は、東京に暮らす若年層や子育て世代の状況をより丁寧に把握するため、18歳から29歳の方を5,000名に拡充することに加え、30歳から49歳の方5,000名を新たに対象とし、合計で10,000名とする予定

 地域や年代など、より細かく区分して分析をしようとすると、どうしてもサンプル数が必要になりますが、EBPMには必要な取り組みであり応援します。

 20代で女性が都内に転入する理由は、女性が働きやすい環境が整備されている(大)企業が多いからだと言われます。令和4年の調査ではありますが、東京の子供を持つ女性の有業率は28位で、全国平均をぎりぎり上回ってはいる状況です。

  働きやすさとは別のもう一つの軸が、働き甲斐です。男性の収入が高いと専業主婦化が進むという意見があるように、自己実現できないとなると、女性は社会から退場します。社会で自己実現できれば、育児等を理由に退職することがなくなり、結果収入が増え、持ちたい数の子供が持てると考えます。

 要因の中で少子化対策を推進する上で、働き甲斐の面のアプローチも必要に思う。見解を。

(少子化対策担当部長)
〇 国の調査によると、女性・男性ともに結婚・出産後も働き続けることを望む方が最多。また、都における共働き世帯の割合は約7割で上昇傾向
〇 こうした状況を踏まえ、「東京都の少子化対策 2024」では、取組強化の視点として、「希望に応じた働き方の選択と経済基盤の確保」など、子育てしやすい環境整備を促進することを掲げている
〇 来年度は、多様な勤務形態の導入や賃上げに取り組む企業への奨励金の支給等、仕事に対するやりがいや働きがいを感じることができる職場環境づくりなどに取り組む

 私たちの予算要望も受け、来年度予算には、短時間勤務でも管理職に登用する中小事業者を応援する事業や、育業を支える同僚に対して応援手当の支給などを行う企業への奨励金の拡充が盛り込まれました。都として取り組みを拡充していることを評価します。

 民間が手掛けるワーク&ライフ・インターンという、学生の子育て体験のプログラムがあります。京都府はこれを、「仕事と育児の両立体験プログラム」として実施、2コマの授業内でも子育てや両立へのポジティブ意識が90%以上向上したとのことで、企業にも興味を持たれています。

 コミュニティが劣化し、核家族化が進むなか、子育て家庭のリアルを見ることがなくなり、一部の能力の高い人だけが仕事と家庭の両立ができる、という認識がハードルを上げているとのことです。リアルを知ることで、私も頑張ってみよう、に変わるとのことでした。

 学生、若者に対する働きかけも検討するべき。見解を。

(少子化対策担当部長)
〇 今後人生における様々な分岐点を迎える学生や若者に対し、自らのキャリア形成や人生設計を考える機会を提供することは重要
〇 来年度、新たに学生等を対象として、育児と仕事の両立を体験する機会を提供する事業を実施。具体的には、公募した学生等に、子育て家庭では育児を、企業では仕事をそれぞれ体験してもらい、その経験をHPに掲載し広く発信
〇 また、座談会やトークカフェを通じて若年女性が将来について考える機会や交流の場を創出

都としても、学生等を対象とした、育児と仕事の両立を体験する機会を提供する事業を創設することを確認しました。京都府の事例も研究して取り組みを充実するよう求めました。

最後に、欧州などと比べると、30歳以降の出生率は変わらないが、20代の出生率が劣る、というデータが知られています。産休・育休で休むことでキャリアが途切れる、20代である程度キャリアを積んでおかないといけない、という声を今も聞きます。大学卒だと22才、院卒だと24歳となり、20代で出産はなかなか難しいのが現状です。20代における出産を支える諸制度についても調査に着手するよう求めました。

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