「令和6年第3回都議会定例会」総務委員会①~政策企画局

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私が都議会議員になった当時は、都の事業評価は予算の執行状況や事業の実施状況が中心でした。具体的な提案を重ね、アウトカム視点の評価に切り替えていっています。導入が進んでいます。

また、行政中心の取り組みから、都民、具体的にはコミュニティを改めて活性化し、これと連携した取り組みを丁寧に進めています。

未来の東京戦略政策ダッシュボード

指標のブラッシュアップ

 指標を定めて取り組むとともに、その進捗を都民に見せることは大切です。

 1年前の総務委員会で、私は、指標がなかった「多摩島しょ振興」に「定住意向」などのアウトカム視点の目標値の設定を求めましたが、「定住意向」を含めて複数の指標が設定され可視化されるなど、事業の実施状況に留まらず、その事業が求める効果をもたらしたかという、アウトカム指標の設置が浸透してきたことを評価します。

 とはいえ、まだまだ、改善を進めてほしい。アウトカム指標で評価するべき領域はまだ存在します。
例えば、

「戦略1 子供の笑顔のための戦略」
・「全区市町村の子育てを徹底的に支援」は、事業の実施件数ではなく、実際に子育てしやすい環境になっているかがアウトカム
「男性の育業取得率」では取得したかどうかを評価しているが、アウトカム視点では、期間も考慮する必要がある

「戦略2 子供の「伸びる・育つ」応援戦略」
・新学習指導要領の「主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)」の施策と評価がない。
アクションプランとして「探求的な学びの展開」があり、これについては毎年、「全都立高校でフィールドワークや成果検証をやっているか」という観点で評価しているとのことだが、アウトカムではない

「戦略4 アクティブChōju社会実現戦略」
・「認知症」関連の評価に共生の指標も必要。
例えば認知症でも働けている人の割合や、認知症の人への対応を理解している割合などがアウトカムになりうる。

「戦略8 安全・安心なまちづくり戦略」
・「自らのまちを自らで守る地域活動活性化プロジェクト」や、「人生100 年時代を支える質の高い医療提供プロジェクト」も、それぞれ事業の実施状況が指標になっているが、都民にとっては、地域のために活動している人の人口あたりの数や、医療従事者や介護人材の人口あたりの数がアウトカム

「戦略12 稼ぐ東京・イノベーション戦略」
・「世界一の美食都市」も事業の実施状況が指標になっているが、それらが本当に目標に適った取り組みになっているか、アウトカム視点の目標値の設定が必要

「戦略13 水と緑溢れる東京戦略」
・「東京グリーンビズ」については緑(グリーンインフラ)の面積や効果に加え、緑に親しみ、理解の深い人が増えたかどうかがアウトカム指標になりうる

 また、そもそもの指標の意味が分かりづらいものや目標の見直しが必要なものもある。例えば、

「戦略1 子供の笑顔のための戦略」
「家事・育児関連時間の男女差を半減」は半減を目標にするのでいいのか。

「戦略2 子供の「伸びる・育つ」応援戦略」
・「児童・生徒の学力を向上」の指標である「小学校2教科以上 全設問で全国水準を上回る」の意味が分かりにくい

「戦略5 誰もが輝く働き方実現戦略」
「障害者雇用数を増加」については、2023年の雇用者数が239,332人と、2026年の中間目標235,492人を既に上回っている。新たな戦略の策定においては、目標の見直しが必要

 さらに、ダッシュボードに新たに指標を設定すべきものがあると考える。例えば、

「戦略3 女性の活躍推進戦略」
多様性こそ価値創造の源であり、「女性が活躍できると思う」割合を向上」というアウトカム指標があるが、審議会や都の管理職に占める女性の割合だけでなく、都内中小企業や都立大の女性研究者比率も必要。

「戦略8 安全・安心なまちづくり戦略」
私達の提案により、都が令和5年度より「東京とどまるマンション」に名称変更して取り組みを強化しているが、都民の7割が住まう集合住宅向けの取り組み、「マンション防災」の進捗を入れるべき(現在、とどまるマンション登録率0.2%)

「戦略10 スマート東京・TOKYO Data Highway戦略」
キャッシュレス決済やデジタルシフト、区市町村DXなど量の指標が示されているが、デジタルサービス局は、指標を設けてデジタルの品質を高める取り組みをはじめている行政手続デジタルクオリティマップ)。採用を。

Q 今後、新たな戦略を策定し、政策目標の見直しや新たな指標の設定を行うこととなるが、どのような視点で進めていくのか、見解を伺う。

(計画調整部長答弁)
○ 「未来の東京」戦略では、数値化・定量化を図った政策目標を設け、政策ダッシュボードを作成する過程で関係局と連携することで効果的な事業展開となるよう工夫
○ その政策目標の設定に当たっては、定量的なアウトカムのほか、都民の皆様に対し取組の進捗を分かりやすく示すことができるよう、事業の象徴的な特性を捉えて目標として設定
○ 国際紛争や災害の深刻化、予想を超える速度で進む少子高齢化、AIの急速な進展など世界の急激な変化を踏まえ、未来の東京戦略を発展させ、新たな戦略を策定
○ 今回取りまとめた政策ダッシュボードで得られた成果や課題を活用し、関係局とも議論を重ね、新たな都民ニーズや社会情勢の変化などを踏まえ、政策目標の見直しや適切なアウトカム指標の設定も含め、政策を強化する中で検討

(今回の質疑は1問になりましたが)先立つやり取りのなかでは、都の担当者より、多くの提案に共感するとの声をいただきました。新たな戦略の策定においても、各局とよく議論を交わしながら、より良い目標の設定について取り組んでいただくよう要望しました。

指標に基づくコミュニティの活性化

 戦略の見直しに当たり、2点提案をしました。

 地域コミュニティ活性化に関連し、「戦略7 「住まい」と「地域」を大切にする戦略」ですが、「ボランティア行動者率」を除いて、施策の実施率に留まっています。

 私の提案で、「TOKYO強靭化プロジェクト」にコミュニティの役割を入れるとともに、「令和6年予算特別委員会」の私たちの会派の総括質疑において、「地域住民のつながりの状況を、防災の観点から把握し、地域防災力向上の施策展開に生かしていくべき」と質疑を行い、「今後、災害の際の住民のつながりについて、防災に関する都民の意識調査の精度を上げることや、その結果を都民の防災意識をより高め、具体的な行動につなげる手法などについて、専門家の意見も聞きながら議論を深める」との答弁を得ています。

 またこれも私の提案で、子供政策連携室の「とうきょうこどもアンケート」に、「地域の子育てのしやすさ」を調査項目に入れていただいます。
 このように現状は、コミュニティの状況と関連のある事業を手掛ける各局が、それぞれコミュニティの状況を調査しようとしています。
しかしながら、調査にも費用がかかります(対象者1人に1設問を聞くのに100円程度など)。そして、コミュニティと関係するのは、子育てや防災だけではない。高齢者の見守りや地域包括ケア、防犯などにも共助が欠かせません。
 都が発行する東京都区市町村年報によれば、都内の自治会、町内会など地縁団体の数は減少傾向にあり、コミュニティの劣化が懸念されます。そこで、私からは、(かねてより求めてきた)コミュニティの状況、例えばソーシャル・キャピタルを、例えば中学校区で比較ができるように、都として定点調査を行うことを提案しました。

 ソーシャル・キャピタルをご存じない方にとっては、調査が大変というイメージもあるかと思い、例えばの質問項目についても説明しました。

信頼に関する質問:
 「あなたは、一般的にこの地域の人々を信頼できますか?」
ネットワークに関する質問:
 「あなたは、地域のイベントや活動にどのくらい参加していますか?」
互酬性に関する質問:
 「この地域では、困ったときにお互いに助け合う文化がありますか?」

などが考えられます。事業の実施主体は、局によって分かれるのは仕方がありませんが、手をあげるのは都民であり、都民からすれば、各局がそれぞれ事業を実施したかどうかではなく、それによって、自分や家族を取り巻く地域に関わり、地域を信頼し、助け合えるコミュニティがあり、安心して子育てをして、暮らし、歳もとれることが大切です。

「戦略18 オールジャパン連携戦略」の事業のラインナップについて

 本戦略は、その目指す姿として「全国各地との連携を深め、真の共存共栄を実現」を掲げています。
 本定例会の私たちの代表質問を通じて、スタートアップ振興拠点のTIBや、行政のDXを牽引するガブテックなどを通じて共存共栄に取り組むことは承知していますが、都の発展が地方の発展に結びつく具体的な施策を計画に入れ込み、真に他道府県が実感できる取組みを進めるべきことを伝えました。 

以上、①指標のブラッシュアップと、②コミュニティの試作のブラッシュアップにつながる、状況の定期的な調査、さらに、③地方との共存共栄のための政策強化を求め、政策の強化に繋げていただくようよう要望して質問を終わりました。

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