「令和6年第3回都議会定例会」総務委員会③~子供政策連携室(少子化対策)

福島りえこ,都民ファーストの会.都議会議員,世田谷区 ブログ

少子化対策を政局や人気とりにしないように、調査やエビデンスに基づく取組みを求めています。

少子化対策

 令和5年予算特別委員会の総括質疑において、私は、都として少子化対策を進めるとともに、その効果検証も重要であること、とはいえ要因は複合的であり、かつ長期的な視点も必要であることから、単年度の政策評価、事業評価の枠組みに沿わないという点から、専門人材と協働し、効果検証と次の政策立案につなげる仕組みを求め、知事より、外部の知見も取り入れながら、より効果的な少子化対策を講じるための不断の見直しを行うとの答弁をいただきました。

 そして今年度、少子化の要因分析と対策の効果検証のための予算として、8700万余円が計上され、取り組みが進んでいます。

 本定例会の代表質問では、都が若者や子育て世帯の生活実態や結婚・子育てに関する意識を把握するために行った若年層や子育て世代を対象とした意識調査において、結婚願望のある未婚者が約七割と多いことやライフステージごとの都民の問題意識など、今後の少子化対策の礎となるデータが明らかとなったこと、そして、今後、調査結果の分析を基に実効性の高い施策の構築に繋げるとともに、経年比較等により長期的な視点に立った効果検証にも活用していくとの答弁をいただいています。丁寧かつ着実な取り組みを求めます。

若年層や子育て世帯の就労環境の整備

 本日は別の観点から質疑を行います。

 年収が一定の金額を超えると税金や社会保険料の負担が増え、結果として手取り収入が減少するため、主に女性が働き控えをする「年収の壁」問題が議論されています。私達の提案により設置された「東京くらし方会議」などでは、社会保障制度に対する理解促進などが議論されていて、これはこれで大切ですが、少なくとも私の周りは、(理系の大学または大学院卒で、大企業の研究職に就くような女性は)仕事と子育てを両立するための制度、さらには性別関係なくキャリアアップできる環境を整え“ようとする”会社の姿勢があったことから、当時の社会情勢からみても恵まれた環境であったことはわかっていますが、子供を産むことを契機に仕事、すなわちチャンスを手放そうという女性はほとんどいませんでした。若い世代において、努力すればなんとかなる、という将来展望が描けることは大事です。

Q1 若年層や子育て世帯の所得や雇用に対し、将来にわたって不安なく過ごすことができる就労環境の整備が重要と考えるが、見解を伺う。


(少子化対策担当部長)
○ 今回の意識調査において、子育てする上で感じる仕事や働き方に関する課題を尋ねたところ、回答の上位は、労働時間の長さに加え、仕事や収入が不安定であること
○ 所得や雇用に対する将来的な不安が結婚や妊娠・出産に踏み出せない要因の一つとなっていると分析
○ そのため、論点整理では、就労環境・職場環境の分野における政策検討課題として、若年層や子育て世帯の経済基盤の充実や子育てしやすい労働環境の整備促進を掲げており、今後、関係局と連携しながら検討

 産業労働局が、東京しごとセンター職業能力開発センターを併設したり、デジタルサービス局で、35歳以下の若手エンジニアなどを対象に、リスキリングと就業支援を行うなど、様々取り組みをしていることを承知しています。業界依存性はあるものの全国の有効求人倍率は2014年以降は1を超えています。都として、努力が報われる社会の実現にむけて取り組んでいること、都事業を利用して頑張り報われた人について、より一層発信していただくことを要望しました。

結婚や妊娠・出産、子育てに対するポジティブイメージの発信

 結婚しない、子供を持ちたくない理由について、「自分の自由な時間が失われる」という意見を聞くことが少なくありません。様々な考えがあることは承知するものですが、結婚したり、子供を持ったりした後に、大変だけどそれを上回る幸せがある、自分の時間を削ってでも、何かをしてあげたい誰かがいることの価値を知った人は少なくないのではないでしょうか。

 結婚や妊娠・出産、子育てに対するネガティブなイメージをポジティブなものに変えていくことが必要だと考えるが、見解を伺う。

(少子化対策担当部長)
○ 国の調査によると、日本は海外に比べ、自らの国が子供を産み育てやすいと思う人の割合が低い。また、都の意識調査においても、子供・子育てにやさしい社会をつくる上で有効だと思う取組として社会の理解促進が必要との回答が多い
○ こうした点を踏まえ、結婚や妊娠・出産を望む人が安心して一歩を踏み出すことができるよう、論点整理では、「子供の育ちや子育てを社会全体で応援する気運醸成」を政策検討における課題として整理
今後、多様な価値観や考え方を尊重しながら幅広い層に対する戦略的な広報を強化することで、社会全体で子育てを応援する気運を高めていく

 幅広い層への広報を要望しました。

 とはいえ、先に述べた価値は、これは体験しないとなかなかわからないように思います。

 先の「チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針2024」の質疑では、プレーパークの運営に中学生、高校生、大学生が関わる取組を実施していくべき、と述べましたが、親になる前に、自分より幼い、そして、自分を必要としてくれる子供と触れ合う機会も大切ではないでしょうか。検討をお願いしました。

ソーシャル・キャピタル等、地域のつながりの状況調査

 地域のつながりによって安心感や充実感が高まり、人々の生活が豊かになることはこれまでも繰り返し述べてきました私自身、娘が幼かったころ、大規模マンションで子育てをしていて、自分の帰宅が遅くなる時に、同じマンションの友人宅で子供が過ごさせてもらったり、そのかわりに休日に遊びに行く際は、そのお子さんも一緒に連れていくなど、子育てだけでなく精神的にも助けあって子育てをしてきました。

 「ソーシャル・キャピタル」と地域コミュニティと合計特殊出生率に相関があることはこれまでも述べてきた。今年度より地域ごとの調査を検討していることを評価。進捗を伺う。

(少子化対策担当部長)
○ 地域分析は、都の地域の実情に応じた少子化対策の検討に活用することを目指し、地域ごとの社会経済特性や少子化の状況等を調査・分析
○ 現在、都内各区市町村を10程度の地域に分け、人口動態、生活環境や就労状況などに係る様々な指標を検討・収集
○ 今後、地域の特性と少子化の状況との関係について分析を進め、年度内に調査結果を公表することを予定

 ストーリーではなくエビデンスに基づく政策を行うための取り組みとして、期待しています。地域コミュニティなど、子育て家庭を地域で支える仕組みの充実が求められます。共助により子育ての負担感や不安感を軽減し、安心して子育てができるようにすべきです。

 地域分析において、地域コミュニティなど地域のつながりの状況についても把握、分析すべきと考える。その際、例えば地縁団体に関する統計指標の活用も考えられるが、見解を伺う。

 (少子化対策担当部長)
○ 今回の論点整理をとりまとめるにあたっては、有識者から、「行政や地域等、周りの人が子供を歓迎していて、皆でサポートしていくというメッセージが必要」との意見。子供・子育てにやさしい社会をつくるうえで、子供の育ちや子育てを社会全体で応援する気運を醸成することは重要
○ このため、地域分析の視点として、人口動態、生活環境などに加えて、地域のつながりという観点が必要と考えており、こうした点も踏まえ、指標を選定、調査・分析を実施

 地図がなければ進めません。私の子供は一人だけで既に大学院生ですが、保育園児、小学校、中学生以降と、都内3か所で子育てをしてきました。地域によって状況は全く異なっています。

 ご答弁にあった地域ごとの状況調査は、今後、都内のどの地域でも子育てをしやすくするための施策を打つにあたっての地図になるとともに、良好なエリアの施策からは今後の施策のヒントももらえると思います。ストーリーではなくエビデンスに基づく政策を行うための取り組みとして、期待していることを伝えました。

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