「豊洲 千客万来」について
本年2月に「豊洲 千客万来」が開業しましたが、平日の利用や持続可能性を考えると、観光客だけでなく地元住民や、近隣のオフィスに勤める会社員に等にも愛される場所にしていく必要があります。そこで、
Q 地域住民やオフィス利用者が増える取組が必要と考えるが、見解を伺う。
A(渉外調整担当部長)
○ 「豊洲 千客万来」の運営事業者は、地元で活動している団体、例えば、和太鼓やブラスバンド、ダンスチーム等が出演するイベントを開催するほか、周辺企業への営業活動などに積極的に取り組んでいる
○ また、各店舗でも、地域住民や周辺オフィスの会社員等の満足度向上のため、例えば、ランチメニューの提供などを実施
○ これらの取組を後押しするため、都は、運営事業者と地元の団体や周辺企業等との連携促進を図るとともに、運営事業者の取組に対する助言などを実施
○ 今後とも、「豊洲 千客万来」が、豊洲市場と一体となって食の魅力を国内外に発信するとともに、地域のまちづくりや活性化に貢献することで、地元からも愛される施設となるよう積極的に支援
一方、観光客向けには、築地場外市場とバス一本(15分)で行き来できることが伝わっていないなど、観光地、観光施設同士の連携が不足しているのではないか。そこで、
Q アクセス面も含め周辺施設と連携することで、より大きな賑わいに繋がると考えるが、見解を伺う。
A(渉外調整担当部長)
○ 運営事業者は、「豊洲 千客万来」へのアクセスとして、「ゆりかもめ」や東京BRTなどの公共交通機関を主に想定しているが、施設の集客力を更に高め、一層の賑わいを創出するため、施設と新橋との間を往復する無料シャトルバスを運行
○ さらに、近隣の商業施設を繋ぐシャトルバスを試行的に運行するなど、周辺施設との連携に取り組んでいる
○ こうした連携が、今後相乗効果により更なる賑わいを生み出していけるよう運営事業者の取組を都として支援
中央卸売市場について
次に、東京都中央卸売市場経営計画で掲げている、強固で弾力的な財務基盤の確保に向けた取組について伺う。私たちはかねてより、市場会計の見直しの厳しさ等を踏まえ、11ある市場別の財務状況の把握や、市場経営の抜本的な改革の必要性を訴えてきた。
Q 中央卸売市場経営計画策定から3年目となるが、経営計画に示している財政収支計画とこれまでの実績との比較について伺う。
A(財政調整担当部長)
○ 経常収支については、植栽管理委託の運用方法の見直し等、施設管理の委託経費等に係る削減による市場維持管理費の縮減などにより、令和4年度が約17億円、令和5年度が約31億円、決算の実績額が財政収支計画を上回る状況
○ また、令和5年度末時点における累積資金残については、先ほどの経常収支の結果に加えて、前年度末までの累積資金残の増加等により、決算の実績額が財政収支計画を約123億円上回っている状況
○ 本年度予算の執行に当たっては、場内警備委託において業務内容の見直しを図り、設備保守委託において執行状況に応じた予算額の精査をすること等により、市場運営費の縮減を進めていく
令和5年度決算は、市場維持管理費の縮減などで営業費用が縮減された結果、経常収支と資金残の両方で財政収支計画を上回ったとのことであり、市場会計の収支改善にむけて着実に取組んでいることを確認しました。しかしながら、市場会計の経常収支は、依然として100億円の赤字が続いています。
今年3月の予算特別委員会では、我が会派の白戸議員からの質問に対し、包括外部監査人の指摘・意見に対して、業界との意見交換を継続的に実施することで課題認識を共有し、理解と協力を得ながら、積極果敢に取り組んでいくとの答弁がありました。そこで、
Q 包括外部監査への対応の進捗、特に黒字化に向けた計画策定のための、市場業者との合意形成に向けた話し合いの進捗について伺う。
A(財政調整担当部長)
○ 経営計画に掲げる施策の実施や強固で弾力的な財務基盤を確保するため、業界と課題を共有し、連携して取り組んでいる
○ 具体的には、市場会計の現状と抱える短期的・長期的課題や、執行状況に応じた予算額の精査を行うことによる設備保守などの市場運営費の縮減、令和5年度に約400平米の実績があった未利用資産の有効活用といった、これまで実施してきた都の経営改善の取組をテーマとし、全11市場を回り業界関係者と直に意見交換を実施
○ 意見交換の場においては、市場会計の収入支出の把握・分析に関することや、市場の公共的役割を踏まえた市場運営に関すること等の具体的な意見があり、これらを今後、市場会計の課題として共有
○ この間、本年5月には、これまで都が分析し、今後の更なる経営改善に向けた検討素材となるべき項目等を内容とする「東京都中央卸売市場会計 経営レポート」も作成し、公表
○ 今後は、市場業者の稼ぐ力の強化につながる市場の活性化などもテーマに、市場業界との意見交換を着実に重ねていく
○ これらの取組を端緒に、包括外部監査で出された意見への対応も含めて、市場会計の収支改善に向けた取組を精力的に進めていく
市場会計や経営の改善に関しては、既に、市場関係者と都職員で答えを出せる段階にはないと考えます。意見交換では、専門家も参加する「東京都卸売市場審議会」でも取り上げるなど、外部有識者の知見も導入しながら議論を重ねることで、市場会計の収支改善に向けたアクションにつなげることを要望する。
一方で、中央卸売市場には、生鮮食品等を国内外から集荷し、適正な価格を付けたうえで、速やかに分荷し、都民の台所に送る役割を担っています。このため、産直取引やネット販売など、卸売市場を経由しない商流が増えても、規模が小さく生産量が変動しやすい都内の小規模な農業事業者や、漁獲量が変動する漁業事業者、安定かつ定時に決められた品目の食材を必要とするが量は少ない学校給食など、市場に依存する生産者や消費者がいるのも事実です。
都立病院の使命に行政的医療を担うことがあるように、中央卸売市場にも、行政的機能があれば、その部分のコストは一般会計で対応すべきと考えます。既に、現場取引業務の指導監督等の公正取引の実現を目的とした業務などについては行政的経費とみなし、一般会計からの繰入れが行われていると聞いていますが、
「行政的機能を担っているので中央卸売市場は、赤字であっても無くせない」
という状況から一歩踏みだし、現実的な、すなわち都民が理解・納得できる経営計画にしていくために、今後は、卸売市場の公的な役割を説明するだけでなく、それに該当する部分を明確にするという意味で、行政的経費の対象の見直しに向けた検証を進めることを要望しました。
市場業者の新たな販路開拓
私たちは、令和5年都議会第4回定例会の代表質問において、市場の新たな魅力創出に向けて、市場に近接するバーベキュー施設との連携などによる、市場業者の新たな販路開拓について、提案した。
Q こうした市場業者の新たな販路開拓の取組への支援について、その後の進捗を伺う。
A(事業部長)
○ 都は、昨年度、市場業者向けの広報誌において、消費者ニーズの変化を捉えて新たなビジネスにつなげた事例や、市場に近接する施設やイベント等、立地の優位性を活かした新たな販路開拓に関する専門家の助言などについて紹介
○ また、今年3月には、コロナ禍後の経営環境の変化を踏まえた、市場業者の経営戦略をテーマとした、中小企業経営の専門家による市場業者向けの経営セミナーを開催
○ これらの取組などを通じて、都は今後とも、お話のあったような、市場業者の新たな販路開拓などの取組が、市場の活性化や市場の魅力向上に資するよう、経営支援策等を通じて後押ししていく
都は、新たなビジネスチャンスにつながる市場業者の取組が、市場の魅力向上につながるよう、引き続き、経営支援策等により後押ししていくことを要望しました。
市場業者のデジタル化
都は、中央卸売市場経営強靭化推進事業により市場業者の経営基盤の強化に向けたデジタル技術を活用した取組に対して支援してきましたが、市場業者を取り巻く経営環境は刻一刻と変化しており、その必要性はより一層高まっています。
私たちはこれまで、市場業者の方々がデジタル技術を積極的に活用することにより、経営力を高めることや、限られた経営資源で効率的に業務を行うことの重要性について、訴えてきました。そこで、
Q そこで、中央卸売市場経営強靭化推進事業における、市場業者のデジタル技術の活用に向けた支援について、これまでの取組状況を伺う
A(事業部長)
○ 都は、令和5年度から、中央卸売市場経営強靭化推進事業において、日々変化する商取引などのデジタル環境の変化に迅速に対応できるよう、市場業者のデジタル化の取組を対象とする補助区分を新たに設け、経費の一部について補助を実施
○ 令和5年度は、電子帳簿保存法へのシステム導入の対応や、販路拡大につながるホームページの制作など、42件の取組に対して支援を実施
○ 都は今後も、市場業者による業務のデジタル化に向けた、行動革新につながる取組を後押ししていく
市場流通のデジタル化は、従来、手で行ってきた作業の労力や時間を軽減するだけでなく、サプライチェーン全体が見渡せるようになれば、データをもとに事前に需給を調整するなど、これまで競り任せだった価格も安定するという効果も期待できると聞きます。
引き続き、都は、生産性の向上につながる市場業者の取組が、一層加速されるよう、下支えしていくことを要望しました。
市場のDX推進に関しては、市場業者が支払う使用料等のキャッシュレス化に向けた取組も重要です。先日、私の地元で開催された世田谷市場まつりにおいて、市場業者より金融機関窓口での現金納付に限られることが不便との声を聞きました。
現在、都では、都民及び事業者が利便性を実感できる行政手続等のデジタル化を進めており、こうした市場業者の日々の事務手続きについても利便性の改善に取り組むことは重要です。そこで、
Q 市場使用料等の納入について、キャッシュレス化を進めるべきと考えるが、都の取組状況を伺う。
A(財政調整担当部長)
○ 市場使用料等の納入について、現在は、市場業者が、都が発行する納入通知書を金融機関の窓口に持参して納入する方法となっている
○ 一方、近年は、一部の市場において、取扱金融機関が近くに存在しないなどの理由から、納入手続の利便性向上を求める声も伺っている
○ そのため、都は、キャッシュレス化を導入するに当たってのシステム改修に向けた課題等を整理しながら、市場使用料のキャッシュレスでの納付等に向けた検討を鋭意進めている
シン・トセイのプロジェクトにもなっていることから、確実に進むものと理解しています。課題や関係者が多く、時間がかかっていると聞きますが、引き続き、市場業者から寄せられている声を踏まえ、デジタルサービス局とも連携しながら、納入手続のキャッシュレス化に向けた取組を確実に進めていただくよう要望しました。
本日は、豊洲市場の賑わい創出やブランド力の向上、経営計画の進捗状況、市場会計の収支改善、市場でのデジタル活用など、幅広い分野について質問しました。
特に、今後、中央卸売市場やそこで働く市場業者が、厳しい国際競争を勝ち抜くためのDX、デジタルトランスフォーメーションといった観点から、市場業者への支援策や、市場でのデジタル化、デジタル活用など、答弁がありました。
日本全国の研究熱心で丁寧な仕事をできる生産者による多種多様な食材が集まり、大消費地であるだけでなく、世界的に魅力を認められた食文化を有し、そして港も空港もある、こういった東京に立地する中央卸売市場の特徴を生かし、競争力の向上に向けた改革に期待をします。
コメント