「令和5年度 各会計決算特別委員会」総括質疑③~稼ぐ東京

福島りえこ,都民ファーストの会.都議会議員,世田谷区 ブログ

 少子高齢化が進むなか、誰一人取り残さない東京の前提になるのが「稼ぐ東京」です。そのための都内経済の活性化や働き方改革についていくつか伺いました。

スタートアップ振興

 稼ぐ東京とは、すなわち、国内外から求められる商品やサービスが生まれる東京です。そのため、私たちは繰り返し、グローバルな課題解決に取り組むスタートアップの支援を求めてきました。

 これを受け、都は令和4年11月にスタートアップ戦略を公表、昨年度にスタートアップ・国際金融都市戦略室を発足、さらには国内外のスタートアップの交流拠点「Tokyo Innovation Base」(TIB)をプレオープンさせました。

Q この間、知事も、海外のユニコーンを生み出すエコシステムを視察するなど精力的に取り組まれてきましたが、海外と日本の違い、東京からグローバルに活躍するユニコーン企業を生み出すには何が必要か、昨年度を振り返り、知事に伺います。

A (知事)
世界の都市に足を運び、強く感じたのは、失敗を恐れず挑戦する若者たち、当たり前のように世界と交流する国際感覚、そして、行政や民間支援者の熱量とスピード感だ。
〇 世界との競争を勝ち抜くために、ボーン・グローバルをキーワードにスタートアップ戦略を策定した。「みんなで創る」を合言葉に、官民の力を結集して1年後にTIBを稼働し、さらに半年後、アジア最大級のスタートアップイベント、スシテック東京を開催した。これらは、東京のエコシステムの中心をなすプラットフォームだ。
国内外の投資家や支援者、大企業、大学など、プラットフォームに集う多様なプレイヤーが、それぞれの強みを掛け合わせることで、有望なスタートアップの世界市場への挑戦を強力に後押しし、東京発ユニコーンの創出につなげていく。

 私たちは、本年の予算特別委員会にて、スタートアップ企業の視座を高める目的で、世界トップ人材によるスタートアップ企業への直接指導を求め、先日、台湾の元デジタル担当相のオードリー・タンさんによる直接の指導の機会が設けられました。
 国際感覚と発信力を兼ね備えた知事による、引き続きのリーダーシップに期待します。

中小企業の賃上げに向けた支援

 都の中小企業振興策を都民の暮らしの向上につなげるため、私は令和2年の事務事業質疑以降、
都の支援を受けて生産性向上のための設備を導入した場合、生まれた利益を従業員の待遇改善につなげる仕組みを導入するよう求めてきました。

 これを受け都は、令和4年度より「生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業」において、賃金引上げ計画を策定した事業者の補助率を高める枠組みを創設し、中小企業の賃上げに向けた取組を後押ししています。

Q そこで、令和5年度の賃上げに向けた支援の実績について伺います。

(産業労働局長答弁)
〇 都は、中小企業の賃上げの原資となる収益を確保する取組を後押しするため、ITの専門家が生産性向上に向けた助言を行うほか、社内のデジタル化の成果を賃上げにつなげる計画を策定した場合に、その実現に必要となる経費について、助成率を引き上げている。
〇 昨年度は、専門家を257社に派遣し、生成AIを活用した業務の効率化やRPAの導入による内部管理事務の自動化などにより、従業員の賃上げを図る18社に約4,300万円の交付決定を行った。
〇 また、競争力強化につながる最新設備等を導入する助成事業も同様に助成率を引き上げ、28社に約9億7,000万円の交付決定を行った。

 賃上げに取り組む、意欲的な事業者の支援が進んでいることを確認しました。
 引き続き、都の中小企業振興策の検討にあたっては、その成果が都民に還元されるまでを念頭においた、制度設計を求めました。

都職員の両立支援~「小一の壁」 への対応

 知事のリーダーシップのもと、都内の待機児童問題がほぼ解消するなか、次なる課題が「小一の壁」です。

 私たちの求めもあり、学童保育の待機児童解消に向けた検討も進んでいると認識していますが、現状、学童クラブの開所時間が保育所より短いことなどが課題になっています。
 令和4年予算特別委員会において、わが会派の成清都議より、「小一の壁」への対応として 小学生の子を持つ都職員に対する勤務時間を短縮できる制度の創設を訴え、知事からは、都職員のライフ・ワーク・バランスの充実を目指すとの答弁を得ています。

Q 都職員の両立支援に係るこれまでの取組みと今後の方向性について伺います。

A (総務局長答弁骨子案)
〇 都は、いわゆる「小一の壁」 に対応するため、未就学児のみを対象としている部分休業制度について、小学校就学後の子供も対象とするよう国に要望してきた
〇 今般、国の制度改正が実現するまでの間、 小学校一年生から三年生までの子供を育てる職員が、勤務する時間を短縮できる、新たな休暇制度を導入
〇 今後、来年度四月実施に向けて具体的な制度の構築を進めていく

 国の制度改正を待つことなく都が動くことで、小学生の子供を持つ親が仕事を諦めずに済む職場環境の整備が社会に根付くことを加速するものと考えます。

「グリーンツーリズム」の推進

 都内一次産業活性化に向けた新しい切り口として、私は、多摩・島しょ部における「グリーンツーリズム」の導入について意見交換を重ねてきました。
 農林水産省の資料によれば、「グリーンツーリズム」とは「緑豊かな農村地域において、その自然、文化、人々との交流を楽しむ、滞在型の余暇活動」とされており、これによって、農村と都市の相互補完と共生が進むことが期待されます。
 これに関連して、先の産業労働局の事務事業質疑において、農業の6次産業化などに取り組む農業者に対する支援について確認したところですが、都民の郷土愛とシビックプライドの醸成を目的に、令和4年度からは「あしたの東京プロジェクト」が実施されています。

Q この事業の中で、昨年度は多摩地域での農業体験が行われたと聞きましたが、グリーンツーリズムにもつながるその取組実績を伺います。

(産業労働局長)
〇 都は、自然や文化など東京の多様な観光の魅力を都民が体感できるキャンペーンにより、地元への理解や愛着を深める取組を行っている。
〇 昨年度は、多摩地域において、江戸東京野菜等を栽培する農地での見学や収穫体験に加え、直売所の訪問や地元の食材を使った料理の試食などを行った。これらにより、多摩の豊かな自然に触れる機会を提供するほか、農家との交流を通じて農業の魅力を効果的に伝えた。
〇 参加した都民からは「多摩の魅力を再発見できた」などの感想が、農家からは「農業の楽しさを知ってもらえた」などの声が寄せられた。

 東京の農地には、都心から近いという強みがあります。
 一都三県に住む人口が日本の総人口の3割を占めるなか、帰省先も都会、という子供も増え、一次産業に触れる機会が減っています。

 一次産業の振興と理解の促進、エシカル消費の推進、関係人口の創出、そして観光資源化と、数多くの効果が期待されるグリーンツーリズムについて、農林漁業の皆様のお声を聞きながら、一層推進することを求めました。

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