「令和5年度 各会計決算特別委員会」総括質疑④~誰一人取り残さない

福島りえこ,都民ファーストの会.都議会議員,世田谷区 ブログ

 一人ひとりが自分らしく生きられるように。私たちは支援が行き届いてこなかった分野での取り組みを後押ししてきました。そのなかからいくつか伺いました。

卵子凍結支援


 令和4年第3回定例会の代表質問で私たちは、子供を持ちたい親の思いに応える支援のひとつとして、妊孕性を高め、不妊治療の短期化も期待される卵子凍結に対する支援の創設を求めました。続く第4回定例会で、知事より検討するとの答弁があり、令和5年度予算において、卵子凍結への支援が盛り込まれました。

Q 事業の実施に当たっては、都民が安全かつ安心して卵子凍結を行えるよう支援していくことを求めてきましたが、令和5年度の取組について伺います。

A (福祉局)
〇 都は、女性が自分らしく人生を送るための選択肢を広げられるよう、加齢等による妊娠機能低下を理由に卵子凍結を希望する方への助成を令和五年度から開始した。
〇 助成対象となる医療機関については、常勤の生殖医療専門医の配置等を要件とする登録制とし、登録医療機関は昨年度末時点で六十二箇所となっている。また
、助成希望者には、卵子凍結を正しく理解するための説明会への参加を義務付けている。
〇 昨年度は、7586人が説明会に参加し、想定を大きく上回る方からの助成金の申請を受けた。このうち、先月末時点で1452人に対して支給を決定している。 

 想定を上回る申請があったとのことで、女性の生き方の選択肢を広げる、新たな一歩になったと評価します。卵子凍結後の調査事業や、凍結卵子を使用した生殖補助医療の助成など、関連事業の執行を通じた丁寧な取組みを求めました。

フリースクールの利用者と事業者の実態調査

 私たちは、不登校の子供たちの学びの機会の確保という社会的役割を担うフリースクールに関して、会派内プロジェクトチームでの検討も踏まえ、利用者や運営事業者に対する行政支援の創設を求めてきました。
 都は、令和3年より保護者を対象にした調査を開始、令和6年より、フリースクールの利用者と運営事業者への支援に踏み出したことは、全国的にも注目されています。

Q 令和5年度に教育庁が行った調査研究や、子供政策連携室が行ったフリースクール事業者の実態調査によって明らかになった利用者や運営事業者のニーズを踏まえ、令和6年度の利用者への支援事業と運営事業者を対象にした支援事業の制度設計にどう反映したのか伺います。

(子供政策連携室長)
〇 教育庁が行った「フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業」では、約九割の保護者がフリースクール利用料に負担を感じていることが明らかに
〇 当室が実施したフリースクール等への実態調査では、スタッフは子供への対応を優先し事務作業にまで手が回らないといった声や、心理や福祉に関する専門家派遣を望む声など、現場の実情やニーズを把握
〇 調査結果を踏まえ、利用者に対して、経済的負担の軽減を目的とした利用料に対する助成制度を創設するとともに、運営事業者に対して、子供一人ひとりのサポートプランの作成等に係る人件費補助や、心のケアの充実に資する専門家派遣などの支援を開始

 引き続き、当事者に寄り添った支援の実施を求めました。

ソーシャルファームとB型事業所の連携の推進

 インクルーシブな社会の実現に向け、私たちは知事とともに、就労に困難を抱える方の個性や能力に応じた活躍を引き出すソーシャルファームの創設を推し進めてきました。
 一方で、雇用契約のもとで働くことが難しい方の就労や生産活動の場を提供するB型事業所では、客観的に見れば魅力ある製品やサービスを生み出しているにもかかわらず、それに見合う工賃が設定されていない場合があります。
 このようなB型事業所とソーシャルファームが連携すれば、障害者の処遇をより高められるのではないでしょうか。

Q ソーシャルファーム支援事業について、B型事業所の運営主体による、ソーシャルファーム経営事例について伺います。

A(産業労働局長)
〇 企業等で働くことが困難な障害者が通うB型事業所とソーシャルファームが連携し、障害者の雇用促進と処遇向上を図ることは重要
〇 都は、障害者がコーヒーを提供する店舗を運営するソーシャルファームについて、同一法人が運営するB型事業所で製造された高品質な製品の販売促進を支援。また、障害者がB型事業所からソーシャルファームに移り、キャリアアップする仕組みの構築も後押し
〇 同様に、B型事業所とソーシャルファームであるフラワーショップを経営する事業者についても、昨年度、販路開拓を支援し受注を増やすことにより、就労困難者の雇用の拡大につなげている

 障害のある子供の保護者からは、親なき後の子供の経済状況に関するご相談の声をしばしば頂きます。その理由の一つが、B型事業所の工賃の安さです。
 B型就労での仕事内容のなかには、コーヒー豆の選別など、高い集中力とその持続が必要な、健常者でも難しい仕事もあります。こういった就労を評価するのがソーシャルファームです。事例を分析し、福祉局と連携して広げることを要望しました。

要介護高齢者に対する自立支援や重度化防止の取組み

 要介護高齢者に対する自立支援や重度化防止の取組を促進するため、私たちは、これらに資する取組を行う事業者に対する、都独自のインセンティブを求めてきました。
 これを受け都は、令和5年度から、科学的介護の定着・促進のための啓発と、利用者のADL、日常生活動作、及び、要介護度の維持・改善を達成した事業所への報奨金の支給の、2つの事業を始めています。

Q 令和5年度のそれぞれの実績と成果について伺います。

(福祉局長)
〇 都は、令和5年度から科学的介護の導入を促進するため、約400事業所が参加した講演会のほか、オンラインによる動画配信も実施し、科学的介護の取組を評価する国の加算を取得した都内の事業所は、令和5年4月の約3,700事業所から1年間で約1割増加した。
〇 また、利用者のADLや要介護度の維持・改善に資する取組を行う事業所に対し、独自の報奨金を支給しており、令和5年度の交付実績は470事業所で、そのうち3割強の事業所で要介護度の維持・改善が見られた。
〇 今後、科学的介護の更なる導入促進に向け、取組を強化していく。

都がインセンティブを創設したことにより、取り組みが前進していることを確認しました。

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