「令和5年度 各会計決算特別委員会」総括質疑⑤~都市の持続性を高める、都民の命を守る

福島りえこ,都民ファーストの会.都議会議員,世田谷区 ブログ

 私たちは、都市の持続可能性を高めるため、具体的な提案を重ねてきました。

「グリーンインフラ」の推進

 その一つが、雨水流出抑制や街中の緑として人の心を豊かにするなど、多様な機能を有するグリーンインフラを、東京の街づくりに活かすことです。
 令和5年度は、グリーンインフラについてより都民に知っていただくため、身近に感じられる場所への先行導入を求め、今年に入って都は、公共空間30か所で先行実施に取り組んでいます

Q スピード感をもってグリーンインフラを導入していくにあたり、公共施設で行うことは理解できますが、建物や公園など公共施設の種類も多くあるなか、令和5年度にどのような観点で検討したのか伺います。

A(東京都技監答弁)
〇雨水流出抑制に資するグリーンインフラの導入を拡大するためには、都民にその役割を認識してもらうことが重要であり、多くの方が利用する公園等で設置することが効果的である。
〇このため、令和5年度は既にグリーンインフラが設置されている区立公園の現地調査や、都立公園の管理者へのヒアリングなどを行った。
〇こうした調査等から、雨水排水に課題がある箇所に対し、植栽を伴うレインガーデンを導入することで、景観にも配慮した排水機能の改善状況を確認するとともに、先行実施に向け候補となる都立公園の検討を行った。

 グリーンインフラは、民間での取り組みが広がることでより効力を発揮します。そのために、まずは多くの都民に身近な、そして、雨水排水に課題がある箇所を選定したことを確認しました。
 景観にも配慮、とのことですが、日本には、海外からの評価も高い日本庭園を支える造園技術があります。今後、グリーンインフラの取り組みを進めるにあたり、造園技術の継承とも絡めた取り組みを求めました。

都市公共交通政策

 都民の身近な移動手段として、バス路線は重要です。
 本年第二会定例会の一般質問では、私の地元世田谷区でも、コロナ禍を経てバス路線が廃止または減便され、移動に困るとの声が多く届いていることを紹介しました。
 人口密度の高い都内ではこれまで交通事業が成り立ちやすく、民間事業者により都市交通が維持されてきましたが、コロナ禍で収支が悪化した事業者が、電車やバス便を減便したり、バス路線を廃止したとしても、都は現状、直接交渉する立場にありません。

Q 都は、地域公共交通については、区市町村による取組を支援するという立場ですが、これまでの地域公共交通の支援事業の内容と令和5年度の実績について伺います。(都市整備局)

(都技監)
〇 都は、令和3年度に東京における地域公共交通の基本方針を策定し、高齢者等の移動手段の充実などに向け、区市町村の主体的な取組を後押し
〇 地域公共交通計画の策定及び地域公共交通の事業に対しその経費の一部を補助。令和5年度は31自治体に対し計約2憶7千万円を交付
〇 また、行政連絡会を令和5年度は3回開催し、国の動向やバス共通データの利活用事例等を情報共有

 令和3年度に策定した基本方針に準拠し、令和5年まで、都として基礎自治体の取り組みを支援してきたことを確認しました。


 私たちは、都内公共交通政策の重要性に鑑み、勉強会を重ね、専門家の意見を聞いてきました。そこでわかったのは、都市交通政策の目的は、観光客の受け入れや、高齢者の免許返納、渋滞解消とCO2削減、経済性と利便性向上と多岐にわたっており、交通空白地域解消を目的とした国の公共交通政策ではカバーしきれていないということです。
 このような状況を踏まえ、

Q 首都東京の将来を見据えた交通政策において、都が果たすべき役割について、知事の見解を伺います。(知事・都市整備局)

A(知事)
〇 交通政策の推進にあたっては、利用者本位で使いやすい総合的な交通体系を実現することが重要である。
〇 都はこれまで、高密な鉄道網の整備とともに駅を中心にバス等の交通モードを組み合わせ、乗換え利便性の高い交通環境を充実してきた。
また、日々の都民生活の豊かさにも直結する、地域公共交通については、区市町村の主体的な取組を技術的、財政的に支援してきた。
〇 一方、バス交通については、二〇二四年問題等に起因して運転士不足が深刻化し、バス事業を取り巻く環境が、より厳しさを増している
〇 引き続き、ハードとソフトの両面から首都圏の交通ネットワークを充実するとともに、都民生活を支えるバス交通に係る課題についても事業者等と緊密に連携するなど、広域的な立場から総合的に取り組み、持続可能な公共交通を実現していく。

 都自らがバス事業者と緊密に連携し、広域的な立場から持続可能な公共交通を実現していくことをご答弁いただきました。大変画期的なことであり、私たちも都民の立場から共に進めていくことを誓いました。

新たな感染症危機への備え

 昨年5月に、新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行しました。
 知事のリーダーシップのもと、医療従事者、都庁職員、都民、事業者など、未知なる感染症に対して、総力を挙げてこられた皆様に改めて敬意を表します。

 そして、将来の未知なるウイルスに対して、早期かつ効果的な対応が取れるよう、私たちは、新型コロナウイルス感染症での経験を踏まえた対策を求めてきました。

Q 令和5年度のコロナ対策に関する認識と、コロナ対策の経験を新たな感染症危機への備えにどのように活かしていくのか伺います。(保健医療局)

A(局長答弁)
〇 都は、新型コロナの五類移行後も、高齢者等のハイリスク層を守りながら、より多くの医療機関がコロナ患者に対応できる体制の構築に取り組んでいる。
〇 昨年度改定した感染症予防計画では、コロナ対応における最大時の保健・医療提供体制を踏まえて数値目標を設定しており、現在、検査機関や保健所の体制強化等を図るとともに、医療機関と病床確保等に係る協定締結を進めている。
〇 さらに、これらの医療機関に対して、設備整備の支援や医療従事者向けの研修を実施している。
〇 今後、関係機関等との連携を進め、新たな感染症が発生した際に、都全域で統一的かつ機動的な感染症対策が講じられる体制を構築していく。


 新型コロナウイルス感染症の感染が最も拡大した時を参考に数値目標を設定し、病床の確保と人材育成に取り組んでいることを確認しました。

 とはいえ、感染患者を受け入れた病院や診療所の医療機能が、その後低下するようなことがあってはなりません。適切な支援を求めました。

集合住宅向け防災施策「東京とどまるマンション」の推進

 令和5年度は、関東大震災から100年という節目の年でした。都民に自助・共助はじめ、常日頃からの備えの大切さを伝えるべく、都は様々な取組を行ったと認識しています。

 なかでも私たちは、都民の7割が居住していながら、町会・自治会への加入が低調な、集合住宅に向けた防災対策の重要性を訴えてきました。
 これを受け、都は昨年、東京都LCP住宅の名称を「東京とどまるマンション」とわかりやすく変更するとともに、マンション向けの防災施策を抜本的に強化してきました。
 先の分科会質疑において、昨年度、東京とどまるマンションに防災備蓄資器材の補助制度を新たに設けたところ、一昨年度まで7件2、640戸だった登録数が、昨年度新たに219件51、104戸が追加され、大幅に増加したことを確認しました。

Q そこで、これらのマンションで防災力を実際に向上させるため、令和5年度の補助制度を実施するにあたってどのような工夫を行ったのか、また、それによってどのような効果があったのか伺います。

A (住宅政策本部)
〇都は昨年度新たに、東京とどまるマンションに防災備蓄資器材の購入補助を実施
〇災害時の停電、エレベーターでの閉じ込めなどに対応するため、ポータブル蓄電池、エレベーター用防災キャビネットなど、多くのマンションで資器材購入
補助にあたり、購入した資器材を用いた訓練の実施と報告を要求
〇蓄電池からの充電などを体験したマンションからは、実践的な訓練により参加者が増え、防災意識が高まった、コミュニティ形成にも役立ったとの報告

 ニーズの高い資器材の購入の支援に加え、訓練を義務付けたことで、防災意識の高まりとコミュニティ形成へとにつなげたことを高く評価します。

 

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