11/30の午後は、東大の弥生講堂で開催された表題のイベントを聴講しました。参考になった発表をピックアップして記載します。
第1部 基調講演 等
トークセッション(釈由美子さん)
・麻布台ヒルズや大橋JCTの空中庭園などの取り組みがあるが、今後は都民を巻き込む(認知率を上げる、自分事にする)が大事
・「体験格差」が社会問題化する中、自然と触れ合うにもお金がかかることから、企業や行政の協力が必要
・100年先を見据え未来につながる一歩を踏み出す必要がある
基調講演(東大 横張真先生)
・ソウル、パリ、シンガポールで緑化が進むが、都市緑化でビルに土や水を載せるには躯体の強化が必要になりCO2が本当に削減できているか怪しい
・都市部の高温化(+3.5℃)のうち温暖化は+0.7℃、残りがヒートアイランド現象。これへの対策として緑化は万能ではない。たとえば、皇居で冷やされた空気は150mしか周囲に滲み出さないし、ビルでブロックもされることがわかっている
・江戸の人口密度は現在の4-5倍はあったが、4割が農地だった。都市の中に農地が混在した街づくりは世界的にみても珍しい
・公共貢献としての緑地確保は、敷地外や郊外の農地などより柔軟にできるとよい
・都心の駐車場に、週末限定で、モバイルグリーン(住友林業が開発、深さ5cmの土壌に3mの高さに植樹)を置く提案
イクシバ(育芝)!プロジェクト(尾木和子さん)
・晴海の黎明橋公園で活動。つくば市や横浜市磯子区にも活動が広がっている
・やりがい、居心地、気持ち、健康、人、地域に貢献
・×やらされる、〇やりたい
・「コミュニティ芝生」と命名
第2部 パネルディスカッション 等
株式会社東京チェンソーズ
・2006年から桧原村(93%が森林)で活動、FSC認証取得。
・1本丸ごと活用を目指す。
・企業(サントリー等)の研修を受け入れ、人口1,800人の村に2040年は800人が訪れた。
東京都産業労働局
・森林の36%が都有地(うち7割が多摩、3割が島しょ部)、民有地が67%(所有者は9,010人、うち120ha以上保有する人は約100人)。
・木材価格が低下する一方で人件費が増加し、切らなければならない木が滞留している
・少花粉スギへの植え替えや新規就労支援、林道や作業道の整備、機械化、利用者とのマッチング、多摩の森林活性化PJ(森林環境税)に取り組んでいる
東京都水道局
・水源である山梨県笠取山の手入れを実施。結果、小河内ダムの堆砂は3.7%(他のダムは40%程度)。
・天然林が7割、人工林は手入れが必要になる。
Q 増え過ぎたシカへの対策は
A 苗が食べられないように囲ったうえで植栽、捕獲は環境局で対応(産業労働局)
Q 都内の関係人口を増やす取り組みは
A 工場がある(サントリー)、秋川でナラガレが起きている(水道局)、作業単価が高い&急傾斜が課題(産労局)、資金や情報提供に期待
Q 多摩の山林は36度以上の斜面が6割、石、岩も多い、魅力は?
A アクセスの良さ(従業員向け生態研修)、近いので自分事化しやすい、企業研修を行うと弁当の発注など波及効果
Q 情報発信や参加の工夫
A 顔が見える関係性が大事
損害保険ジャパン
・OECM登録支援を通じて減災につなげようとしている
・約款のペーパーレス化
立飛ストラテジーラボ
・空積率(造語)350%(500%のうち)、植栽管理者を常駐させている。
第3部
デロイトトーマツ
・グリーンインフラの経済効果
東急不動産
・オモカド(2012年)とハラカド(2024年)が既存の緑地をつなぐ野鳥の移動経路にあたるため、巣箱を設置、営巣をカウント
東京建物
・プレフォレストで3年間、粗密、異齢、混交を研究、その結果を踏まえて10年かけて大手町の森を形成。潜在自然植生を考慮。
東京都公園協会
・樹木医は国内に3,000人しかいない。公園協会にも3名のみだが、62公園の樹木について点検、倒木などの未然防止を図る必要がある。
→ Googleマップの位置情報を使った記録アプリを開発、特許申請中。海外のように、市民ボランティアへの公開もしていきたい。
(・デモでの意見交換で、都民参加の継続的な活動も一部都立公園で行っていることを確認)
三井住友海上火災保険
グリーンレジリエンス。地域に緑が少なかったことから、敷地の4割を緑地化することとし、駿河台緑地(1984-)が生まれた。
・1mの土を入れるために耐荷重2t。8mを超える樹木が育っている。
・3,500Lの雨水槽を設け、下水に直ちに排水しないようにしている。
・2012年に新館を建設。人、防災・減災に加え、生物多様性に配慮し「エコロジカルネットワーク」を形成(小鳥が1度に飛べる距離が2km、皇居の鳥を調べて餌に困らない樹木を選定、6種のうち5種の飛来、うち、レッドリストのヒメアマツバメも確認。
森ビル
・1959-、高層化と並行して足元に緑地を確保、緑被率+30%、エネルギー効率+40%
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