平成30年の総務委員会での質疑以降、マンション防災についても継続的に提案を続けています。エレベータ閉じ込め対策、そして、町会・自治会とマンションの合同防災訓練で前進答弁がありました。
また、大規模災害発災後の状況把握に、デジタルを活用した情報収集は不可欠であり、議場でも何度も取り上げてきましたが、そのためには携帯基地局の強化も不可欠です。これに関しても前進答弁がありました。
最後に、令和5年に行った都政報告会を起点に勉強会や議会での質疑を重ねている「都市公共交通」と、そのためのデータ収集基盤について、さらなる前進がありました。
不燃化対策の更なる推進
今年は能登半島地震を契機に、都の防災施策を総点検する1年となりました。私たちも地震発生直後より、「能登半島地震PT」を設置し、様々な提案を行ってきたところです。
能登半島地震では、輪島市の朝市通り周辺で、大規模火災が発生しました。あらためて、燃えないまちづくり、いわゆる延焼遮断や防災拠点などの機能を担う道路や公園等のインフラ整備を加速する必要があります。特に都内には、多数の木造密集地域が存在しており、首都直下地震等から都民の命を守るためのインフラ整備は急務です。
Q 防災都市づくり推進計画の基本方針の改定にあたっては、不燃化対策など防災上重要となるインフラ整備の推進に向け、取組を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
A(都市整備局)
〇 都は、木密地域において、特定整備路線の整備等による延焼遮断帯の形成や、老朽建築物の除却、建て替え、建物の共同化など、市街地の不燃化を推進。
〇 輪島市の大規模火災は、国の報告書では、狭隘道路の閉塞や消火栓の断水等が延焼拡大の要因。
〇 こうした教訓などを踏まえて、震災時において緊急車両の通行路となる生活道路や、防災機能を備えた公園の整備に対する助成制度の拡充などについて檢討。
〇 この結果を、今年度内に改定する防災都市づくり推進計画の基本方針に反映させ東京の強靭化を進めていく。
マンションの災害時エレベーター対処
900万人が集合住宅に住む東京の特性にあわせ、私たちが進めてきたのがマンション防災です。都内にはマンションを含めて約16万6千台のエレベーターがあり、大規模地震発生時には、これらのエレベーターが止まり、中に閉じ込められる可能性もあります。万が一、閉じ込めが発生した場合に備え、11月24日には「災害時エレベーター対処訓練」が行われ、小池知事も参加されました。
Q こうした訓練も踏まえ、マンションのエレベーター閉じ込め対策を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
A(知事・住宅政策本部)
○ 東京には約900万人の都民がマンションなどで生活しており、大規模地震発生時の エレベーターの安全対策は極めて重要です。
〇 先日、港区・江東区・品川区の区長とエレベーターに閉じ込められた際の対処を実際に経験致しまして、備えの重要性あらためて認識を致しました。
〇 都はこれまでマンション防災の普及啓発に加えまして、東京とどまるマンションの登録マンションを対象として、水や携帯トイレ等を収納する防災キャビネットの設置を支援して参りました。
〇 今後、東京とどめるマンションの更なる登録促進を図ると共に、業界団体と連携し、
地震時のリスク軽減に向け、閉じ込め防止装置の設置促進に一層取り組んで参ります。
〇 エレベーターの閉じ込めへの対策を加速させ、都民安全・安心を確保して参ります。
町会・自治会とマンションの合同防災訓練
かつての防災対策は町会・自治会に頼って行われてきましたが、都民の7割が集合住宅にお住まいで、そして町会・自治会への加入率も低下するなか、私たちの提案を受け、都は旧LCP住宅制度を「東京とどまるマンション」を名称変更するとともに、支援内容を拡充してきました。
さらなる発展のため、これも私たちの提案を受け、都は、令和6年度からは、「町会・マンション みんなで防災訓練」事業を開始しています。
Q 一人でも多くの住民が、町会・自治会とマンションの合同防災訓練に参加するよう支援を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
A(生活文化スポーツ局長)
〇 多くの都民が都はマンションなどの共同住宅に住んでいる実態があることから、都は地域の防災力強化に向けて、町会とマンションによる合同防災訓練を支援。
〇 この事業では、町会や管理組合が共同で訓練の計画を立て、チラシなどにより、住民に参加を呼びかけている。地域の学校の協力を得て、参加者が100人を超えるものもあったが、数十人にとどまった事例もあった。
〇 今後、より多くの方に参加いただけるよう、こうじ練習を作成し、丁寧に周知を図るとともに、あらたに都民へのインセンティブなども検討、助け合いの輪が広がるよう取り組む。
災害時にもつながる東京
発災後の状況把握を目的に、都においても「災害時都民台帳システム」、「被災者生活再建支援システム」、「帰宅困難者対策オペレーションシステム」など、ICTを活用したシステムの整備が進むなか、私たちはこれまで、災害時における通信環境の確保が重要であると主張してきました。
私たちの求めもあり、都は役所や災害拠点病院については電源の72時間化を進めており、通信環境についてもこれらと整合させるべきです。
Q 災害時にもつながる東京の実現に向け、被災地内外との連絡や情報共有の手段として通信環境が確保できるよう、携帯電話基地局の強靭化を進めるべきですが、知事の見解を伺います。
A(知事・デジタルサービス局)
○ 能登半島地震では、多くの携帯基地局が停電や通信回線の断線により停波し、初動対応に支障が生じた。モバイル通信は、様々な被災情報の収集・活用に不可欠なインフラ。
○ 都は通信各社のトップが集まる「東京データハイウェイサミット」を毎年開催し、 これまで通信の強靭化に取り組んできた。5回目となる来週の会議には私も出席し、首都防衛に向けた通信環境について、官民で課題を共有し、連携強化を図っていく。
○ さらに、発災時に拠点となる施設周辺の基地局強靭化に向け、通信事業者の電源確保や衛星活用に対し、国とも連携して、支援策を検討。
○ 災害時に命綱となる通信の確保を迅速に進め、都民の命と安全を守っていく。
匿名・流動型犯罪① 警視庁
あらゆる危機から都民の命と暮らしを守る首都防衛という観点から、喫緊の対応が迫られているのは、全国で相次ぐ闇バイト強盗、いわゆる「トクリュウ」への対策です。事件ごとに実行役らが入れ替わるトクリュウでは、SNS等を通じて「闇バイト」に応募し犯行に及ぶケースが多く、望まない若者たちの犯行を防ぐためにも、SNS対策が急務です。
Q 「闇バイト」対策を推進し、匿名・流動型犯罪グループによる犯罪を防止するため、SNS上の投稿への対策を含めた警視庁の取組について伺います。
A(警視庁)〇 警視庁では、犯行に加担させないための対策として、SNS上で、闇バイトを募集する投稿に対する「リプライ警告」や、YouTube等を通じた啓発動画の配信、大学、高校等において防犯講話を行っている。
〇 また脅迫されていることをなど理由に、いわゆる「闇バイト」に加担しようとする者に対して、「 #9110」 への相談を呼び掛けるなど、保護対策等を強化。
〇 当庁では、引き続き、こうした対策を強力に推進すると共に、情報収集・分析による犯罪グループの実態解明及び被疑者の検挙を徹底するなど、匿名・流動型犯罪グループの壊滅に向け、組織の総合力を発揮した対策を推進。
匿名・流動型犯罪② 生活文化ス局 緊急対策事業
強盗被害に不安を感じる都民への防犯対策の強化も重要です。例えば足立区では、個人宅への防犯カメラや防犯フィルムなど侵入盗対策に特化した補助金事業を緊急特別対策として実施しています。こうした取り組みを行う区市町村を都としてもしっかり支援すべきです。
Q 被害を防ぐための啓発を強化するとともに、都民が適切な防犯対策を講じられるよう支援していくことが必要と考えますが、都の見解を伺います。
A(生活文化スポーツ局)
〇 各地で「闇バイト」が関係する強盗が発生し、地域における防犯力の強化は喫緊の 課題。
〇 防犯対策の強化を訴えるため、「防犯フィルムや補助錠 の設置」など被害を防ぐためのポイントを示すポスターを 作成、区市町村等に提供。
〇 防犯に資する住宅設備について、活用可能な都の支援制度を周知。
〇 地域の防犯力の強化には、都民一人ひとりの具体的な行 動が重要。
〇 今後、都民の防犯対策を後押しするための方策を検討。
都市公共交通
次に、都市交通政策について伺います。先日の決算特別委員会総括質疑において、国の公共交通政策では、都市交通政策をカバーできていないことを述べ、首都東京の交通政策において、都が果たすべき役割について認識を伺いました。知事からは、都自らがバス事業者と緊密に連携し、広域的な立場から持続可能な公共交通を実現していくことをご答弁いただきました。
これを受けて、本年11月に設置されたワーキンググループにおいて、バス運転士の確保やDX技術の活用等、対策の方向性について意見交換を実施したと聞いています。
Q 持続可能な公共交通の実現のためには、自動運転技術の導入だけでなく、人口減少社会に向けた計画的な取り組みが必要です。自動運転やオンデマンド等の交通空白地域対策に取り組む場合は、拠点間を結ぶ鉄道や幹線道路を走る路線バスによる基幹交通網を十分に活用しつつ、それを補う策として他の交通モードとの連携を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
A(都市整備局)
〇 交通政策の推進に当たっては、利用者本位で使いやすい、総合的な交通体系を実現することが重要である。
〇 都はこれまで、高密な鉄道網とバス等を組み合わせ、利便性の高い交通ネットワークを充実するとともに、地域公共交通では区市町村の取組を後押ししできた。
〇 今後は基幹交通としての鉄道やバスを補完するための交通モードとの連携強化に向け事業者や地元自治体と、地域特性や環境変化に応じたサービス水準等を共有した上で、 交通ネットワークの再構築に取り組んでいく。
〇 こうした取組を関係者と連携して推進し、利用者目線に立ち、公共交通の更なる充実を図っていく。
シルバーパスのICカード化
都市交通を検討するための基盤として、都内公共交通の運行状況や利用状況の把握は不可欠です。
シルバーパスについては、値段や、利用範囲、事業者への支払いなど、様々な意見が寄せられるなかで、まずは利用状況の見える化が必要です。シルバーパスが高齢者のQOL向上を目的に、いかに安価に提供されても、自宅前のバスが廃止された都民にとっては意味がありません。
Q 都として、シルバーパスの利用状況把握に向け、ICカード化に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
A(知事・福祉局)
○ 人生100年時代、高齢者がいつまでも活躍できるアクティブな「Choju社会」の実現を目指し、現在、シルバーパスも含め、高齢者の社会参画を促すための移動支援の在り方など、 高齢者施策全体を総合的に議論している。
○ シルバーパスについては、現行制度導入以降の高齢者像や交通事情の変化を踏まえるとともに、高齢者の移動の実態も把握しながら、検討を進める必要がある。
○ 今後、実施主体である東京パス協会や関係機関とも連携して、ICカードの導入を検討し、利用実態の把握や利便性の向上に向け、取組を進めていく。
貸し切りバスへの燃料費支援
都市交通基盤を支えるバス業界は、深刻化する人手不足に加えて、燃料費の高騰が経営を圧迫しています。都は第三回定例会において、運輸事業者に向けた燃焼費の支援を実施しましたが、その中に含まれていないのが貸切りバスです。貸切りバスは、学校行事や観光など様々な目的で使用されています。
Q 都として、既に支援が実施されている乗合いバス等と同様に、貸切りバスへの支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
A(都市整備局)
〇 都が実施している燃料費支援において、バス事業者については燃料価格の高騰による都民生活への影響を踏まえ、路線定期運行バス事業者への支援を実施しているところ。
〇 観光バスなどの貸切バスは、一度に多数の利用者を特定の目的地まで運ぶものであり、公共交通を補完する役割も一部担っていると認識。
〇 今後の運輸事業者への支援に当たっては、燃料価格の動向や都民生活への影響等を 踏まえ、貸切バス事業者も含め必要な対応を検討。
地域医療の体制確保について
公共交通と同様に、コロナ禍を経て傷んだ、都民の安全・安心な暮らしを支える重要なインフラが、医療ネットワークです。医療機関は、コロナ禍以降、患者数や病床利用率の減少に加え、物価高騰や人件費の上昇により、全国的に医療機関の経営は厳しさを増しています。救急医療や周産期医療に代表される行政的医療については、東京都立病院機構が担っていますが、民間病院も同様に地域医療を守っています。都立であっても民間であっても、東京の行政的医療は都が責任をもって守るための支援策の強化が必要です。
Q 小児科・産科などの小児・周産期医療や救急医療の体制確保など、東京の医療を守る更なる取組が必要と考えますが見解を伺います。
A(保健医療局)
〇 都内では、小児科や産科・産婦人科を標榜する病院、救急告示医療機関が減少傾向にある。
〇 都は、地域医療の確保や人材確保対策に取り組むとともに、先般国に対し、地域医療の確保に向けた必要な財源措置を講じるよう、緊急要望を実施した。
〇 都民が安心して出産・子育てができ、住み慣れた地域で暮らし続けられる環境を整備するには、小児・周産期医療の確保や在宅療養者が急変した際の確実な受入れ、看護人材の定着、老朽化した病院の改築などに取り組むことが重要である。
〇 今後、都内の地域医療体制の確保に向け、更なる取組について検討を進めていく。
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