環境大臣のご経験をお持ちの知事ならではの、2030年カーボンハーフ、2050年ゼロエミッションに向けた多角的な取り組みに対する前進答弁がありました。
EV充電設備の設置の促進
脱炭素化の取組みとして、都内のEV充電設備の設置を促すことも重要です。
東京のCO2排出量の約2割は運輸部門が占め、そのうち約8割は自動車部門に起因します。2030年のカーボンハーフ達成に向け、ZEVを普及させるためには、都民が安心してEVを利用できる充電インフラの整備が必要です。とりわけユーザーの利便性の観点からは、自宅での充電環境の充実が求められています。都内に多い集合住宅では、充電設備の設置に住民の合意形成が必要なため、その導入は簡単ではないと聞いています。また、都内によく見られる機械式駐車場では、EVの規格に合わないために駐車場の台座交換が必要な場合もあります。
Q 都内の充電環境の充実に向けて、機械式駐車場への対応を含め、集合住宅へのEV充電設備の設置促進を進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
A(環境局)
〇 EVの普及拡大には、都内に多い集合住宅での充電設備設置に加え、機械式駐車場のEV対応が重要である。
〇 都はこれまで、集合住宅の管理組合等に対して、充電サービス事業者とのマッチング会を開催するとともに、充電設備設置に係る調査費の助成を行ってきた。
〇 また、機械式駐車場に設置する際の補助上限額の引き上げや、ランニングコストの 助成対象への追加支援を実施するなど検討から導入、運用まで幅広くサポートしている。
○ 今後は更に、機械式駐車場設備の更新時にEVの重量等に対応した規格となるよう支援策を検討し、集合住宅でのEV対応を促進していく。
データセンターの脱炭素化
災害時にもつながる東京をはじめ、安心安全な生活の基盤となるのが、データセンターの整備です。研究機関等の調査では、今後、国内のデータセンターの消費電力は増加するものの、省エネ技術の進展により、その増加には大きな幅があると報告されています。データセンターには、省エネだけではなく、再エネ導入を促していくことが必要です。
都はこれまで国に先駆けて先進的な制度を導入するなど、脱炭素化を進めてきましたが、さらなるデータセンターの脱炭素化を後押ししていくことが重要です。
Q 都内のデータセンターの省エネ、再エネ利用を一層促進し、脱炭素化を図っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
A(環境局)
○ デジタル社会に不可欠なデータセンターについて脱炭素化を制度と支援の両面で促進することが重要である。
〇 都は、条例により、データセンターを含め、建築物の計画から設計、運用に至る各段階において、省エネの更なる徹底に加え、再エネ設置義務化や再エネ利用割合の向上などの強化を図り、実効性ある対策を求めている。
〇 今後は、その対策の効果を一層高めるため、少ないエネルギーで高い冷却効果を実現する新技術等の実装化や、大規模な電力需要に対応できるよう再エネ設備導入支援の拡充などを検討する。
〇 半導体技術等の開発動向も見極めながら、データセンターの脱炭素化を進めていく。
東京港におけるDX、脱炭素化の戦略的な推進
さらに、物流機能の強化も重要です。東京港は、国内最多のコンテナ貨物を取り扱う国際物流拠点であり、首都圏4千万人の生活と産業を支える重要な役割を果たしています。
一方で、労働力不足の深刻化や、脱炭素化への社会的な要請の高まりなど、東京港を取り巻く環境は大きく変化しています。
Q 東京港が将来にわたり都民生活や産業活動を支えていくためには、中長期的な視点を持って、DXや脱炭素化などを戦略的に推進していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
A(知事・港湾局)
○ 世界と日本を繋ぐ物流の要である東京港は、東日本の約6割のコンテ貨物を取り扱い、国内最大の貿易額を誇る港として、重要な役割を果たしている。
○ 人口減少社会の到来や急速に進む気候変動など、東京港に大きな変化の波が押し寄せる中、今後も東京港がその役割を果たし続けるためには、AIや最先端技術なども活用しながら、 戦略的に施策を展開していくことが必要。
○ このため、都は、東京港の目指すべき姿とその実現に向けた具体策を盛り込んだ経営戦略を年度内に策定し、DXや脱炭素化をダイナミックに推進することで、世界トップクラスの効率性を備え、持続可能な港へと発展させていく。
洋上風力導入
未来のまちづくりに向け欠かせない視点が、気候危機への対応です。先日の知事の所信表明でも、気候変動に対応した「発電する未来都市」を目指すとの表明がありました。さらに先日、アゼルバイジャンで開催されたCOP29において、伊豆諸島の海域で、GW級の浮体式洋上風力の導入を目指していく旨の発言がありました。
このプロジェクトは、島しょ地域はもとより、東京全体の再エネ利用割合の向上や温室効果ガス削減にも大いに貢献するものと期待しています。
Q ゼロエミッション東京の実現に向け、再エネの基幹エネルギー化を進める上で、島しょ地域で新たな洋上風力をどのように導入していくのか、知事の見解を伺います。
A (知事・環境局)
〇 気候危機が全世界で深刻化する中、エネルギーの大消費地である東京には、その地域特性を最大限生かしながら、再エネ導入を進めていく責務がある。
〇 このため都は、国内初の新築住宅等への太陽光パネル設置義務化や、日本生まれの 再エネ技術である次世代型ソーラーセルの実装加速化に取り組んできている。
○ さらに今後は、風況に恵まれた広大な伊豆諸島の海域において、世界最大クラスの ギガワット級浮体式洋上風力の導入に向け、地元自治体や漁業者、国とも連携し、具体的な海域など事業スキームの検討を進めていく。
〇 これにより、島しょ地域のゼロエミッション化とともに、首都東京の電力を支える 再エネ拠点を構築し、あらゆるエリアで「発電する未来都市」を実現することで、世界の脱炭素化に貢献していく。
グローバルサウスのGX促進
また、COP29では、先進国から途上国への資金支援も主要なテーマとなりました。気候変動を1.5℃以内とするためには、世界各国が協力し、途上国の脱炭素化を進めることが重要です。知事は、COP29の場において「東京の企業が持つ優れた脱炭素技術を、グローバルサウス諸国で役立てるため、都と民間で合わせて200億円規模で新たな取組を展開する」と表明されました。東京が世界の脱炭素化に貢献していくという強いメッセージは非常に高く評価されるべきです。
Q 東京の企業の優れた技術やノウハウをグローバルサウスの国々の脱炭素化にどのように活かしていくのか、知事の見解を伺います。
A (知事・産業労働局)
〇 気候危機は全世界で深刻化し、経験したことのない豪雨や猛暑に見舞われる中、脱炭素化の更なる取組は市民の命を守る最前線に立つ都市の責務である。
〇 この解決に向け、優れた技術を持つ企業が集積する東京こそがリーダーシップを発揮すべきだ。
○ 私はCOP29で、東京の企業がグローバルサウスと呼ばれる新興・途上国の脱炭素化に貢献していく構想を明らかにした。
〇 これらの国の各都市が抱える課題を把握し、解決に役立つ脱炭素技術を持つ中堅・ 中小企業、スタートアップに参加を呼び掛ける。
○ 都内企業の海外でのビジネス機会の創出を後押しするとともに、現地企業と協力して事業を行う仕組みとすることで、グローバルサウス諸国での省エネや再エネ利用など脱炭素化に向けた自立的な取組につなげる。
○ 東京が培った技術やノウハウを役立て、世界のネットゼロ実現に貢献していく。
コメント