「令和6年第4回都議会定例会」代表質問①~チルドレンファースト社会の実現

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 先日の報道によれば、今年の日本の出生数は過去最低を更新し、史上初の70万人を割る見込みとなっています。2016年に100万人を割ってから、出生数は加速度的に減っており、次々と少子化担当大臣は生まれても、子どもは減り続けるという皮肉な現象が起きています。 また、人口減少による慢性的な労働力不足も課題です。中小企業の「人手不足倒産」なども発生しており、分野を超えた総合的な対策と、雇用就業政策の構造的な見直しが求められています。 さらに、首都東京の最大のリスクである災害対策、つまり首都防衛にも一層力を入れなければいけません。元日に発生した能登半島地震を教訓に、都の防災施策を総点検し、来年度予算に向けたバージョンアップが必要です。

 危機的状況の中、今「東京富裕論」をはじめとした、地方と都市の関係が大きく議論されています。本当の意味での共存共栄とは、それぞれの地域が、厳しい現実から目を背けることなく創意工夫を実行し、切磋琢磨することに他なりません。

 これまでの当たり前とされた働き方や価値観、行政サービスのありかたも大きく変え、東京から新たなモデルを創り、日本を牽引していく。こうした未来の実現に向け、私たち都民ファーストの会東京都議団は、東京発の地域政党として、都民のニーズに耳を澄まし、変化を恐れずに、改革の実行に取り組みます。

 まず、チルドレンファースト社会の実現についてです。

保育料第一子無償化

 少子化が進む理由の一つが子育て教育の経済的負担です。賃金は上がらないのに物価は上がる、不安定な時代の中、これから結婚出産を控える若者たちにとって「子育てはリスク」という認識も広がっています。この流れを変えるために小池知事と私たちが進めてきたのは、子育て教育にお金のかからない東京の実現です。所得制限のない10万円の出産支援や保育料第2子無償化、月5,000円の「018サポート」など「真に異次元の少子化対策」の充実によって、子育て教育施策はこの8年で大きく進みました。

 この度小池知事が3期目の公約に「保育料第一子の無償化」を掲げ、先の定例会で私たちも知事の早期公約実現に向けた取組みを求めました。

Q 所得制限なく全ての家庭をこの対象にすることに加え、都独自の制度である認証保育所や企業主導型保育施設など認可外保育施設も含め来年度から実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

A(知事・福祉局)
○ 私は、未来の担い手を大切に育むチルドレンファーストの社会の実現を目指し、子育て支援の充実に全力で取り組んできた。
〇 所得にかかわらず、全ての子供を対象とした018サポートを国に先駆け実施するとともに、認可保育所や認証保育所等を対象に都独自に第2子の保育料を無償化している。
○ こうした施策を一歩先に進め、保育料の第1子無償化について、保育料の改定時期に併せまして、令和7年9月からの開始を目指し、検討を加速していく。事業内容については、認証保育所等の取扱いも含め第2子無償化と同様の内容を念頭に検討していく。

 保育料第一子無償化によるニーズの増大で待機児童が発生することのないよう区市町村の需給状況に応じた対策を適宜講じること、保育の質の維持にについても取り組むよう、求めました。

出産応援事業の拡充

 子育て世代の都民から歓迎の声が多いのが、出産応援事業です。10万円分の様々な子育て用品等をカタログから選べる事業は、国にも広がってます。その後拡充を重ね、現在は産前産後、国と都の支援をあわせて22万円分の支援となっていますが、来年度から国の出産・子育て応援交付金が、現金を原則とする妊婦のための支援給付となる見込みです

Q 東京都出産・子育て応援事業は、今後も子育て支援サービスや育児用品等をこれまでと同じように提供していくべきと考えますが、見解を伺います。

A(福祉局)
○ 都は、子供を産み育てる家庭を社会全体で後押しするため、東京都出産・子育て応援事業を実施している。
○ 本事業では国の出産・子育て応援交付金も活用し、妊娠時5万円分、出産後10万円分の育児用品等を提供しており、1,000点超の品物から選択する仕組みとなっている。
○ 利用した都民へのアンケートでは、96%が本事業に満足しており、子供に必要な物を選べた、都からの後押しを実感したなどの声が寄せられている。
○ 都はこうした都民の声も踏まえ、これまでの仕組みを生かし、子育て家庭への支援の更なる充実に向け、事業スキームを具体的に検討していく。

少子化政策の更なる推進(ポジティブメッセージ)

 小池知事のもと子育て支援が充実し、今や東京で暮らす子育て世代の6割が子育て環境に満足していると答えるようになりました。こうした流れを、子どもを持つことに躊躇する若者世代にポジティブに伝え、自らも東京で子育てができるという安心感に変えることが重要です。

 私も、結婚や出産、子育てを通じて、人生が豊かになったという声をしばしば伺います。よって、私たちの求めに応じて、今年度大学生を対象に、職場見学に加え、実際に子育て家庭を訪問する事業が実施されていることを評価します。

 一方で、SNS等ではこれらに関する大変さばかりが発信・拡散される傾向があることから、関する情報の偏りへの対策も必要です。

Q 都民が、結婚、出産、子育てに対して、ポジティブな気持ちが持てるよう、情報を正しく伝えていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

A(知事・子供政策連携室)
○ 少子化の要因は複合的であるため、結婚や妊娠、出産、子育てといったライフステージごとに都民が真に必要とする施策を、スピード感を持って、シー ムレスに展開。
○ 一方で、ネガティブな情報により結婚や子育てをリスクと捉える若年層が存在しており、都の充実した支援策を知ってもらうことで、安心感を醸成していくことは重要。
若年層が抱える悩みや困りごとなどのリアルな声を丁寧に把握し、SNSを戦略的に 活用するなど、当事者目線を徹底して、若年層に必要な情報が届く広報を強化。
○ 今後とも、都民一人ひとりの思いに寄り添って、都民の共感を得られる施策を幅広く展開し、望む人の結婚、出産、子育てを後押し。

前回都議会定例会の総務委員会での質疑に応え、都の取組みが進みます!

母乳バンク

 国内には、早産や極低出生体重児によりドナーミルクを必要としている赤ちゃんが年間5,000人います。そんな赤ちゃんたちは母乳よりも粉ミルクで育てたときのほうが壊死性腸炎になる確率が高いことがわかっています。

 そのため、母乳バンクが精力的な活動を行っていますが、充分な供給量が確保されているとは言えません。会派の仲間たちが、母乳バンク施設を2回視察し、政策提言を行ってきました。

 今年8月には、私たちの求めの応じ、都は都内の産婦人科などに母乳バンク団体が作成した啓発チラシを配置し、メルマガで紹介したところ、母乳ドナーが急増しました。先日、都がドナーミルクの利用料補助に乗り出す報道がされましたが、私たちのもとには、関係者から喜びの声が届いています。

Q 極低出生体重児のいのちをつなぐ母乳バンクにおいて、必要となるドナーを確保するとともに、医療機関におけるドナーミルクの使用が進むよう、都として支援すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

A(知事・保健医療局)
〇 早産児等にとって、母乳は、命と成長のために必要なものであり、母親の母乳を得られない場合には、ドナーミルクの活用が推奨されている。
〇 都は今年度、出産・子育て応援事業のメールマガジンなどを活用し、母乳バンクの普及啓発を実施しているが、ドナー登録やドナーミルクの使用に当たり、医療機関の負担が大きいため、都内で対応できる施設は限られている。
今後、更なる普及啓発に取り組むとともに、ドナーの登録や、ドナーミルクの使用ができる施設を一層確保するための方策について、検討していく。

5歳児検診

 私たちは障がいがある子もない子もともに学び育つ、インクルーシブ社会の取り組みを進めています。障がいの中でも近年特に増えているのは発達障害の子どもたちです。発達障がいと診断される子どもの数は、平成23年度からの10年間で倍以上に増加しているというデータもあり、私たちは昨年の第四回定例会で発達障がいの早期診断や支援の整備を都へ提案、今年、緊急対策事業が創設されました。さらに、今月子ども家庭庁は発達障害の可能性を見極めるのに有効な「5歳児健診」の実施100%を目指すと表明しました。

Q 都は、今年度始めた、区市町村における発達検査に関する実態把握と検査体制の充実に向けた
と考えますが都の見解を伺います。

A(福祉局)
○ 都が今年度実施した実態調査では、支援を要する児童の増加に伴い発達障害の検査までの待機期間の長期化や検査に携わる心理士等の専門人材の不足等の課題が確認された。 また、検査体制の充実に向けた都の緊急支援事業を活用する区市町村からは、専門人材の配置を増やすことでより多くのニーズに対応できた等の報告を受けた。
○ 一方、子供の個々の発達特性を早期に把握するには、5歳児健診の取組も重要であり、国は本年1月から、区市町村への補助を開始している。
今後、都は、区市町村の発達検査の体制を強化するほか、5歳児健診の普及やフォローアップ体制の構築に向けた取組を推進していく。

認証保育所のインクルーシブ保育制度の創設

 発達障がいと診断されても、適切な療育を行うことで子どもたちは大きく成長します。特に、早い段階から適切な療育に繋がることが重要で現在、認可保育所に児童発達支援事業所を併設し、保育と一体的に療育するいわゆるインクルーシブ保育が制度化されました。

 一方、認証保育所は、制度の制約があり保育所と児童発達支援事業所の併設は認められていません。認証保育所は、少人数できめ細かな保育を実施しており、当事者の受入れや保護者への対応などに適しています。

Q 発達障害を含む障害児への支援が効果的に実施されるよう、認証保育所においてもインクルーシブ保育の取組を支援すべきと考えますが、見解を伺います。

A(福祉局)
○ 障害のある子とない子が共に学び、体験しながらお互いに理解し合う機会を創出することは重要である。
○ 国は、令和5年度から、児童発達支援事業所等と一体的な支援を行うインクルーシブ保育の実施を可能としたが、対象施設は認可保育所等に限られている。
認証保育所に対して、都は、これまで医療的ケア児の受入れや障害児保育の取組を支援しており、今年度からは発達障害など特別な配慮や支援を必要とする児童の受入れが 一層進むよう、新たな補助も開始している。
今後、認可保育所等と同様、認証保育所においてもインクルーシブ保育に取り組めるよう、環境整備に早急に取り組んでいく。

都独自の制度である「認証保育園」においても、インクルーシブ保育が進むよう、取組みが進みます!

教員の働き方改革

 教育に関わる人材の確保と質の向上のため、教職の魅力を高める必要があります。その課題が、長時間労働と給与体系です。

 国で給特法の見直しが行われている一方、長時間労働については、私たちの求めに応じ、都は今年度より民間コンサルを学校に派遣し、業務改革と意識改革を進めてきました。

Q 教員の在校時間を把握しつつ、この取り組みによって得られた課題と解決策について展開することで、全都立校、さらには都内学校の働き方改革を実現するべきと考えますが、都の見解を伺います。

A(教育長)
○ 学校の現場での働き方改革を実現する上で、様々な業務の内容を正確に把握し、教職員の負担を減らす効率的な仕事の進め方を確立することは重要である。
〇 都教育委員会は、現在、四つの公立学校にコンサルタントを派遣し、業務の内容を 分析し、教員が主体的に仕事の効率化を図るサポートを行っている。
今後、公立学校において、コンサルタントを活用し、教職員の業務の改善に向けて、事務作業を学校外で集約する効率化の後押しをモデル的に行うことを検討する。
○ また、勤務時間の見える化を進め、 教員が仕事を効率的に進める意識の向上にも力を入れる。

 先生方の長時間労働対策については、前職(総合電機メーカーでの研究開発業務)では、長時間労働が多いグループがあった場合にはその上司の責任になったという経験などを踏まえ、教育庁の担当職員と議論を重ねた結果、先生方の働き方にも民間の感覚を取り入れる方策として、コンサルタントの活用が本年事業化され、結果が出ていると聞いています。勤務時間の見える化ついても取り組みが進むことから、校長や副校長などの経営層の意識改革をも含めた取り組みが進むことが期待できます!

こどもDX

 こどもDXについては、昨年12月より「こどもDXプロジェクト」を開始し、子育て世帯の負担を軽減する様々なサービスを実現してきました。とりわけ、10月31日にサービスを開始した保活ワンストップは、保護者の反響も大きく、さらなる拡充を望む声があります。さらに、子育て世代からは、出産に伴う様々な行政手続きをデジタルで一元化してほしい、という声も届いています。こどもDXを保活以外の様々なサービスで進め、子育て世代が便利になったとの実感につなげていくべきです。

Q そこで、保活ワンストップサービスの更なる推進をはじめ、こども分野でワンストップの取組を広げていくべきと考えますが、見解を伺います。

A(デジタルサービス局)
〇 子育てに係る様々な手続のワンストップ化を進め、子育て世代の利便性を飛躍的に 高めることが重要。
〇 保活については、10月に施設検索や見学予約等がオンラインで完結するワンストップサービスを、3自治体で開始した。約200件の予約があり、情報収集が簡単、いつでも 申し込めて便利等の声。
今後は保活開始前の相談や保育園選びの参考となる指数シミュレーション機能の実装等、サービスの拡充を目指す
出産後に行う医療費助成や児童手当等各種手続の一元化に向け取り組む。
○ こうした取組を通じ便利になったと都民が実感できるサービスをオール東京で展開。

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