都民のライフ・ワーク・バランス推進を目的に開催されている表題のシンポジウムに、昨年に続いて参加しました。「ワーク・ライフ・バランス」を「ライフ・バランス・バランス」と「ライフ」を前に持ってきているのは、知事の想いです。

多様な人が働きやすい職場環境整備に取り組む28社からの申し込みがあり、11件の事業者が認証されました。評価の観点は、以下の通りです。
・社内の課題が明確化されており、目標設定がされていること
・経営層を含め、社内全体で主体的に推進している取組であること
・取組が社内に周知されており、利用実績があること
・従業員の意見を反映できる仕組みがあること
・企業のアピールポイントで評価できる事項があること
・他の中小企業の模範となる取組であること
認定されなかった事業者にはコンサルタントが派遣され、改善の方向性を提案するアフターフォローがなされるとのことです。
表彰式の後、大賞、優秀賞を受賞した2社の代表者をお招きしてのパネルディスカッションがありましたので、これを聴講しました。
【大賞】株式会社パーキングマーケット 上田代表取締役

・採用において魅力的な会社にする必要があり、業務削減に取り組んだ。PDCA で社員と制度をつくり、残業時間を10時間、減らせることができ、在籍期間も伸びた。
・フレックス導入するだけでなく、帰りやすさ(周りの目を気にする気持ちへのケア)を重視。結果、平均1ー2時間の残業時間になった。
・結果、ライブイベントに関して会社に相談してくれるようになった。
Q 生産性は下がらないか?
A 利害を合致させれば進む。今までの課題の多くが仕事と育児の両立だったが、今後は介護との両立もあると想定。フォローを丁寧に行う。瞬間的に頑張って何とかするのではなく、頑張らなくても回る仕組みを作る。頑張るのは仕組みづくり。企業が大変と思われがちだが、筋トレや自己啓発に似てる。チャレンジを。
パネルディスカッション終了後、帰りやすい環境づくりのために社長自らが取り組んでいることを伺いました。「夕刻に外回りを入れるようにしている」とのことでした!
【優秀賞】在住ビジネス株式会社 馬込代表

・自らが育業を経験し、家族との時間の大切さに気付いた。
・アンケートを取ったり、一般社員で構成される委員会をつくるなど、声を出しやすい環境を整備してきた。実現できるものから実施、実現できないものは難しい理由を伝えるようにした。
・1日単位で在社時間を設定できるようにした,
・勤務時間内で交流の時間を作った。
・企業は人が作る,お互いを思いやる気持ち。制度の押し付けではなく使いやすい制度を作るのが大切。
社風を変える最も確実な方法や、リーダーが気付くことであり、自分事とすることです。私は前職、従業員数が数万人という総合電機メーカーに勤めていましたが、管理層が人事権を持つことで、世代交代が進んでも価値観は継承されることをこの目で見てきました。そういう意味では、大企業の風土変革は容易ではないと改めて思いました。
【認定企業】社会福祉法人 大三島育徳会
世田谷区で特別養護老人ホームの運営等を手掛けている「大三島育徳会」も認定企業になりました!私も視察させていただいたことがありますが、男性介護士も働いているのが印象的です。日本では男女の賃金格差があるなかで、家庭において大黒柱を担うことが多い男性は、待遇が低い職場で働き続けることは困難です。
大三島育英会では、10人配置するべき職場に12人を配置することで、休みを取りやすくするとともに、空きベッドを作らないようにできている、とのことでした。都は特別養護老人ホームの受け入れ人数拡大に取り組んでいますが、稼働率についても考慮に入れるべき、という大変重要な視点をいただきました。

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