政調会長代行として担当した質疑に★を付しました。
子供・子育て施策
少子化対策の更なる推進について★
少子化対策は永らく日本の課題でありながら、国レベルで有効な対策が打てなかった領域です。同じ轍を踏まないためにも、データに基づく施策展開と効果検証を求めてきました。
Q 少子化対策の効果をより高めていくため、継続的に都民ニーズや課題を把握し、取組の充実につなげるべきと考えますが、少子化対策のさらなる推進に向けた、知事の見解を伺います。
A(知事)
○ 少子化の要因は複合的で複雑に絡み合っており、何か一つの手立てを講じれば解決するものではない
○ ライフステージを通じた支援をシームレスに展開し、出産や子育てなどに関する都民の不安を解消し、安心に変えていくことが重要
○ 実効性ある少子化対策を更に推進していくため、子育て世代などのニーズや 抱える課題を把握・分析し、都民目線に立って施策に反映することで、 幅広い取組を不断にバージョンアップ
○ 来年度予算案では、保育料の第一子無償化など、子育て・教育費の負担軽減 に向けた取組や、病児保育の充実、認証学童クラブ制度の創設など、 都民の 不安や悩みに寄り添った施策を盛り込んだ
○ 都民の共感を得られる施策に果断に取り組み、「結婚したい」、「子供を持ちた い」と望む人を強力に後押し
体調不良になった子供の保育
仕事途中に保育園から呼び出しがかかる、病児保育室が自宅の近くになくて連れていけない、病児のベビーシッターは高くて利用できないなどの都民の声があります。私たちは、来年度予算への重点要望として、病児保育室整備、保育所での対応支援、病児ベビーシッター利用の補助などを求めました。
Q 都として、体調不良になった子供の保育についての取組を充実すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
A(知事)
○ 働きながら安心して子育てをする上で、体調不良となった子供を預かる病児保育は、重要である。
○ 保護者からは、子供が急に体調不良になった場合に仕事を休みづらい、預け先を見つけられないなど、 切実な声が寄せられている。
○ 都は、育児と仕事の両立に向け、 短時間勤務やテレワークなど、 柔軟な働き方が企業に広がるよう様々な取組を進めている
○ 来年度からは、区市町村の病児保育の取組を更に促進するため、確実な利用者数を見込むことが難し い病児保育施設の経営の安定化や、保育所等の看護師の確保に向け、都独自の新たな補助制度を創設する。
○また、急な依頼にも対応可能な体制を整備するベビーシッター事業者への支援や、サービスを担うシッター の確保、利用者の負担軽減のための補助を行う検証事業を開始する。
○ こうした取組により、子供と子育て家庭を全力で支援していく。
東京都無痛分娩費用助成等事業
チルドレンファーストの社会に向け、私たちが提案・実現してきたのが、出産応援事業です。前定例会での私たちの質問を受けて来年度予算案の中で、出産応援事業を現行の22万円から、27万円に拡充する方向が示され、歓迎の声が届いています。
無痛分娩は、出産時の痛みを和らげ、身体的・精神的負担を軽減することができる一方で、現在、対応できる医療機関は限られており、また、追加で約10万円程度の費用が必要です。
私たちは、これまで、経済的支援の拡充、実施可能な医療機関の拡大や、麻酔科医の確保、医療スタッフの研修体制の充実などを提言してきました。知事が無痛分娩費用の助成を公約に掲げ、早速来年度予算案に、計上していることを高く評価しています。
Q 無痛分娩費用等助成事業に込められた知事の思いを伺います。
A(知事)
○出産した母親から、あの痛みは二度と経験したくないという声を聞いた。
○都のアンケート結果では、無痛分娩を希望したものの、費用などを理由に実際には選択できなかった方が 約3割にのぼっている。
○ 私は、無痛分娩を希望する方の思いに応えるため、女性目線の発想で、安心して無痛分娩を選択でき るようにすることで、都民の出産に対する多様なニーズに応えられる社会を実現したい。
○そのため、本年10月から、無痛分娩に関する国の自主点検表の項目を満たす都内の医療機関でにおい 出産した方に対し、 無痛分娩に係る費用を最大で10万円助成するとともに、必要な環境整備を行っている。
○ また、医療従事者向けに無痛分娩時の急変対応に関する研修を実施するなど、必要な環境整備を行 っていく。
○ こうした取組を進め、 望む方が安心して子供を生み育てられる社会を実現していく。
朝の子供の居場所づくり
共働き世帯が増加する中、保育所等は朝7時から開所している一方で、小学校の登校時間は通常8時以降となっています。この時間差は、「小1の壁」の一因となっています。
Q 子育て世帯が安心して働き続けられる環境を整備するため、小学校の校舎や体育館を活用した朝の居場所づくり、地域ボランティアによる見守り体制の構築など、各地域の実情に応じた支援策を展開すべきと考えますが、見解を伺います。
A(教育長)
○ 小学校の授業が始まる前に保護者が出勤をする事例は増え、そうした児童に関し朝の時間を安全で安心に過ごす場所を確保することは重要である。
○ これまで都教育委員会は、地域の住民等が放課後の児童を小学校の中で見守る取組について区市町村を通じ支援を行ってきた。来年度は、 始業前の2時間に関しNPO等の力を活用し小学校に児童の居場所を提供する取組への支援を開始する。 具体的には子供を見守る人材に係る経費等の3分の2について地元自治体へ助成を行う。
○ これにより、子供が学校で安全・安心に過ごす環境の充実を図る。
認証学童クラブ
小1の壁打破に向け、来年度予算案に計上された認証学童クラブ制度では、国の基準に上乗せした人員配置基準や支援員の処遇改善、開所時間の延長や夏休みの昼食提供などが都独自の認証基準に盛り込まれました。学童クラブは保育と異なり区市町村によって実施実態が大きく異なることから、多くの区市町村で速やかに実施されるよう、都として後押しすべきです。
Q 財政支援はもとより、都が積極的に、区市町村の取り組みを後押しすることが必要と考えますが、見解を伺います。
A(財務局)
○ 都は来年度、 国の基準を上回る職員体制や専用スペースの面積等の確保を要件とする認証学童クラブ 事業を開始する。
○ 事業の実施主体である区市町村の積極的な取組促進に向け、認証学童クラブの設置計画の策定等を要件に、3年間の時限で運営費の区市町村負担分を3分の1から6分の1に軽減するとともに、賃借建物等を確保するための補助額を約1,000万円まで拡充する。
○ また、多様な事業者の参入が可能となるよう、都にウェブ相談窓口を設置するほか、就職相談会等を実施し学童クラブで働く人材確保にも取り組む。
○ こうした取組により、認証学童クラブの設置を強力に進めていく。
都立高での昼食提供
都立高校では、法に基づき夜間定時制高校においてのみ学校給食が提供されていますが、全日制高校に通う生徒と保護者の双方から、昼食提供を求める声が届いています。私たちの要望を受けて、都は来年度予算案に「都立高校等における昼食提供環境の整備促進」を計上しました。
Q 保護者の負担軽減、生徒の健康面へ配慮しながら、速やかに都立高における昼食提供環境の確保を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
A(教育長)
○ 全日制の都立高校に通う生徒が昼食を持って登校することができない場合に、校内で食事を提供する対応を行う上での工夫は重要である。
○ これまで都教育委員会は、 都立高校でパン等の出張販売や自動販売機の設置のためのコーナーを整備する取組を進めてきた。
○ 来年度は、様々な昼食をより簡単な方法で確保できるよう、弁当を作り配達する会社に対し、 保護者がネットを通じ注文と支払いを行うサービスの導人を進める。
○ これらの取組により、 都立高校での食事の提供に係る対応の充実を図る。
都立高校における東京発の「新たな教育のスタイル」について★
子供を産み育てやすい東京の実現に向けて、私たちは所得制限なしでの子育て支援の実施を求め、これを受け都が、私立高校の授業料実質無償化を所得制限なしで行うことを高く評価するものです。
これにより生徒は、世帯の収入によらず進学先を選択できるようになりますが、同じく重要なのが、教育の質向上です。特に学費の安さという優位性が失われる都立高校においては、特徴を活かした改革が不可欠です。
私たちは日本財団の18歳意識調査を引用し、子供の主体性・能動性を育む重要性を訴えてきました。
従来の偏差値偏重の教育ではなく、多様な子供一人ひとりの興味関心を大切に育み、「こうなりたい」という想いから学習に取り組む流れに改めていく必要があります。
Q 先日、東京都教育施策大綱の改定案が公表され、今後、「新たな教育のスタイル」を都立高校から進めていくことが示されましたが、東京が目指す教育のあり方について、知事の見解を伺います。
A(知事)
○ 将来の社会と経済に予想のつかない変化が生じ、日々の暮らしを支える技術の進歩が加速する中、これからの東京を担う子供を育む仕組みを根本から見直す改革は待ったなしだ。 デジタルとリアルの学びを巧みに組み合わせた新たな教育のスタイルを創り上げていきたい。
○ 子供の関心に応じ斬新な知識をリモートで提供し学校外の様々な現場での幅広い学びもサポートする。 教員は学習状況をデジタルで把握し、生徒をより高いステップへと着実に後押しのできる次世代の学びの基盤をつくるLPXを進める。
○ 特に、最先端の生成AIを使いこなすほか、将来のユニコーンを目指す起業家精神を培うなどの学びを提供し、 生徒の意欲を育み、 未来の担い手としての成長をしっかりと支えたい。
○ こうした取組を都立高校から展開するため、新たな教育施策大綱を幅広く示し、子供たちが希望をもって自ら伸び、育つ東京を実現していく。
私たちは、学校のデジタル化が進む中で、得られたデータを活用し、一人ひとりに合わせた指導につなげる「AIドリル教材」や「教育ダッシュボード」の活用をはじめとする、教育データの利活用を訴えてきました。都立高校の特徴として、学校数・生徒数の多さがあげられます。その教育データを活用し教師の負担軽減とともに、一人ひとりにあった指導を行えるようになれば、どの都立高校に通っても質の高い教育を受けられるようにできます。
また、経済、技術、芸術などのあらゆる分野で国内一流の人材が集まる東京において、興味ある子供達を一流の人材に引き合わせたり、同じ志や夢を持つ子供同士が出会える場をつくることも、都立高校ならではの取組みではないでしょうか。
Q 今後、都立高校から「新たな教育のスタイル」を展開していくにあたり、デジタルとリアルを融合した学習者中心の学びを進めるとのことですが、デジタルをどのように活用し、取組を進めていくのか伺います。
A(教育長)
○ 将来の東京を担う子供たちが、社会や経済の急速な変化に柔軟に対応する力などを習得できるよう、新たな教育のスタイルを導入することは不可欠である。
○このため都教育委員会は、 都立高校において、最先端のデジタルの利用と学校や社会でのリアルの学びを組み合わせた学習基盤をつくるLPXを展開する。
○ 具体的には、モデル校を選定し、デジタル教科書を用いて、 教員が指導の方法や生徒の理解の度合いを把握し、授業の質を高める取組を推進する。また、学習状況などを教員と生徒がデジタルのシステムで共有することで、指導の内容への理解を高めるラーニング・マネジメント・システムの開発を進める。
若者の海外留学制度
私たちの求めに応じて拡大してきた都立高校生の海外派遣事業では、令和5年度に米国やフランス、UAEなど各国へ200名以上が派遣され、参加生徒と報告会に参加した生徒かの双方に良い影響があったことが報告されています。
現在円安により海外留学に要する費用が上昇するなか、意欲・能力ある若者に、短期・長期など多様なニーズに応えた留学の機会を提供するべきです。
Q 留学支援を受けた方からの学びの報告などを通じて、海外で活躍する人材のすそ野の拡大にもつなげるべきと考えますが、ご自身も留学経験のある知事の見解を伺います。
A(知事)
○ 日本人の海外留学者数が大きく減少する中、若者の内向き志向の加速が懸念される.
○ 東京から世界に羽ばたくグローバル人材を数多く輩出していくため、若者への投資を積極的に行っていかなければならない
○ こうした思いのもと、来年度予算案に、都独自の新たな海外留学支援を盛り込んだ。円安等の影響で増加傾向にある留学費用を都が支援することで、より多くの若者が海外留学の最初の一歩を踏み出すきっかけ作りをサポート
○ 若者の留学経験を広く共有するため、活動内容や成果をホームページ等で発信するほか、帰国後にアンバサダーとしての活動の機会を創出し、同世代への普及啓発を図る
○ 実効性の高い都独自の海外留学支援制度を構築することで、若者の挑戦の好循環を創出
学校教員や技術系職員を対象とした東京若者奨学金応援制度
多くの若者が奨学金を借りており、卒業後・就職後にその返済のために若者の生活が圧迫されています。一方で、学校教員及び技術系職員の人材不足が深刻化しています。都は、人材不足の業界に就労する学生を対象に、令和8年度から奨学金返還支援を実施する予定です。
Q こうした制度を通じて都の安定的な人材確保と若者の経済的負担の軽減を同時に実現していくべきと考えますが、知事の思いと見解を伺います。
A(知事)
○ 大学生等高等教育機関に通う学生への支援は、本来、国の責任で行うべきも の。一方、少子高齢化が進み、人手不足が深刻化する中、 東京の持続可能性を支える人材を安定的に確保するため、若者への奨学金返還支援を強化していくことが今まさに求められている
○ こうした思いのもと、来年度から、貸与型の奨学金を借りていた学生が、未来を担う子供たちを育てる都内の教員や、都市の強靭化に携わる技術系の公 務員になった場合、都が本人に代わり奨学金を返還する支援を新たに実施
○ これらの支援は、代理返還という手法を活用し、相対的に給与水準の低い採用2年目から11年目の若者の奨学金返還に係る負担を軽減するものであり、本人にとっては、実質的な給付型の奨学金
○ こうした若者への積極投資を通じ、 東京の将来を支える人材を安定的に確保
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