「令和7年第1回都議会定例会」代表質問⑤~持続可能な街づくり

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政調会長代行として担当した質疑に★を付しました。
都政報告会を起点に、会派予算要望などを経て、「グリーンインフラ」の導入推進「都市公共交通」の維持も、都民ファーストの会東京都議団の政策の柱になっています。

持続可能性

建築物環境報告書制度(太陽光パネル設置等の義務化)

 都が国に先駆け創設した、大手ハウスメーカー等へ太陽光パネル設置等を義務化する建築物環境報告書制度が4月に始まります。
 私たちは、都民にわかりやすい制度の周知を求めてきました。断熱省エネ性能に優れ、太陽光パネルが設置された住宅は「快適で燃費のよい住宅」であり、制度開始後も、大手だけでなく、中小も含めた様々な事業者の創意工夫促進し、標準化していく必要があります。

Q 新制度施行が4月に迫った今、 知事の決意と今後の取組について伺います。

A(知事)
○ ゼロエミッション東京の実現に向け、エネルギーの大消費地である都が、建物の屋根という大都市のポテンシャルを生かし、地域で 自立したエネルギーを創出していくことが重要
○ 都は、本年四月の制度開始に向け、都民、事業者の理解と共感を得るため、これまで戦略的な都民向け広報に取り組むほか、事業者の実情をきめ細かく把握し、支援を行うことで、万全な準備を推進。これらの取組により、東京ゼロエミ住宅において、太陽光パネル のパネル設置率が、直近では九割を超える等、着実に普及
〇 また、太陽光パネルを標準搭載する住宅が、戸建住宅に加え、賃貸集合住宅にも広がるなど、全ての大手ハウスメーカー等の取組が進展
○ 今後、中小ハウスメーカーや地域工務店等の製品開発や技術向上等を支援することで、快適で燃費がよい住宅の普及のすそ野をさらに広げ、建物の脱炭素化を加速

再エネの地産地消(バイオマス発電の推進)

 2050年ゼロエミッション東京の実現に向けて、再エネの地産地消の取組を推進していくことは重要です。今後、再エネの実装を、より一層加速させていくためには、農地の一部を転用してパネルを設置し、農作物を栽培しながら太陽光で発電する営農型太陽光発電の普及なども期待されます。一方で、こうした取組の中には、地域における合意形成が不十分なケースも少なくないと伺っています。

Q 今後、再エネの地産地消を更に推進していくためには、地域との共生や地域振興の観点も踏まえた取組を進めることが必要であると考えますが、見解を伺います。

A(産業労働局)
〇 再エネ導入に当たっては、地域との共生を前提に、地域活性化につながる取組を後押ししていくことは重要
〇 これまで都は、地域の再エネ資源を活用し、 災害時にも役立つ地産地消型の設備導入を支援
来年度は、こうした取組に加え、 雇用創出や経済活性化等、地域に貢献する再エネ設備導入支援を強化
具体的には、地元自治体等との協定に基づき、営農と両立する太陽光発電や地域で発生する廃棄物等を利用したバイオマス発電に取り組む事業者への補助率を拡充
〇 こうした取組により、地域の振興を図りながら再エネの導入拡大を促進

断熱改修の推進★

 エネルギーの大消費地・東京のリーダーとして、ゼロエミッション東京の実現に向け、HTTの旗印のもと多角的に事業を進めています。
 一方、エネルギー消費量は都内CO2排出量の約3割を占める家庭部門が唯一、2000年比で増加しており、家庭部門のCO2削減には、新築に加え、700万戸ある既存住宅の住宅の断熱性能を高めることが効果的です。
 実際、8割弱の住宅では、特に放熱が著しい窓が複層ガラスになっておらず、断熱と防犯性能を高める機能を併せ持つ断熱防犯窓への改修も有効です。

Q 先般、都は 2035年までに385万戸の断熱化を進めるとの新たな政策目標案を掲げました。光熱費削減により費用回収できる期間を具体的に示すなど、都民の行動変容を促す取組を積極的に展開し、既存住宅の断熱改修を強力に推し進めるべきと考えますが、見解を伺います。

A(環境局)
〇 都民の行動変容を促すには、改修意欲を高める効果的なPRと着実に実施へ繋げていくサポートが必要
〇 このため都は、今後、健康面や経済面の改修効果を住まい手に合わせた広報媒体や体感イベント等で分かりやすく発信
○ あわせて、住宅の省エネ性能等の無料点検から改修案の提案、施工 事業者の情報提供など、都民が安心して検討できるよう関係局と連携した支援を開始
○ さらに、改修補助の規模を10万戸に倍増するほか、一般的な戸建住宅で約100万円費用増となる断熱防犯窓も通常と同程度の自己負担で設置できる上乗せ補助を実施
〇 こうした取組により、 既存住宅の断熱化を加速

都民の防犯対策の強化

 特殊詐欺は2024年に2万1千件、前年比約10%増と、増加の一途を辿っており、匿名・流動型犯罪グループ、いわゆる「トクリュウ」として、昨年4月から10月までに約4500人が摘発されています。
 「闇バイト」に応募した者は摘発者の約4割を占めており、実態解明と検挙に向けた対策強化が求められています。

Q 若者が闇バイトに関わらないように啓発活動を更に強化することや、都民が自ら対策を講じて犯罪に巻き込まれないようにすることが必要ですが、見解を伺います。(生活文化スポーツ局)

A(生活安全担当局)
〇 加害者の低年齢化をふまえ、闇バイトの見分け方等を中 学・高校を通じて啓発
都内の高校生に改めてメッセージを発信。 来年度は啓発 漫画や保護者向けのコンテンツ等を新たに作成
〇 あわせて、緊急対策として、防犯機器等を購入・設置す る都民に区市町村を通じて最大2万円を支援
自治体が速やかに導入できるよう、現在、要綱などを準備

東京グリーンビズについて★

 私たちは、水害や暑さ対策として有効かつ美しい緑、グリーンインフラの有用性を訴え、 街中への導入を推進してきました。
 都はこれを受け、令和5年より重点政策として、「東京グリーンビズ」を推進し、緑を守り、活かし、育てる取組みを進めていることを、高く評価します。

Q 令和7年度は、緑の保全に加え、緑が持つ多面的な機能についての都民の理解を一層高めるとともに、民間や都民の参画につながるよう、これまで以上に気運を醸成していくべきと考えますが、2050東京戦略も踏まえ、来年度、東京グリーンビズの取組を官民でどのように進めていくのか伺います。

A (政策企画局)
○ これまで都は、東京を自然と調和した持続可能な都市へ進化させるため、 官民連携のもと取組を推進
2050 東京戦略においては、緑の減少に歯止めをかけることや、適切な維持管理、豪雨や暑さ対策にも寄与する緑の多様な機能の認知向上など、取組を加速
来年度は、農地保全に資する体験農園の普及促進や官民連携イベント、緑のスポットを巡る新たなコンテンツなどを通じ、緑に親しむとともに、樹木管理 の重要性も学ぶ機会を創出し、都民の理解と共感を得ていく
今後さらに、都民や企業等との連携を強化し、「みどりと生きるまちづくり」を全庁一丸となって推進

官民一体のグリーンインフラ導入拡大について★

 私たちの求めに応じ、都は今年度、レインガーデン等を新たに都立公園を中心に約30ヶ所に導入したことを評価します。
 国では、ネイチャーポジティブやカーボンニュートラルGXなどの世界的潮流を踏まえ、 昨年、「グリーンインフラ推進戦略 2023」を策定、この中では、官民が一体となって社会実装に取り組む「グリーンインフラビルトイン」により、人々と自然が共生する社会の実現を目指すとしています。
 都においても、これまで以上に官民が一体となった取組みが必要です。

Q そこで、グリーンインフラの導入拡大に向け、多くの民間企業の参加を促す新たな取組を行うべきと考えますが、見解を伺います。

A(東京都技監)
〇 雨水流出抑制や暑熱緩和など、多様な機能があるグリーンインフラの導入を拡げるには、多くの事業者や都民にその効果や役割を理解してもらうことが 重要
〇 都は、今年度、公共空間へレインガーデン等を30か所先行整備し認知度を高めるとともに、事業者の優良な取組の表彰、地元自治体や事業者間の交流を促す情報交換会の開催を通じて、事業者間の協働や取組に対する意欲向上を図ってきた
今後は、意欲の高い企業との連携を強化し、身近な商業施設などにおいても展開することで、官民連携によるグリーンインフラ導入を推進していく

持続可能な東京農業の推進に向けた取組

 東京農業は、都民に新鮮で安全安心な農畜産物を供給し、その生産基盤である農地は、環境保全や防災など多面的な機能を有する、大切な緑の空間です。
 しかし近年は、農業者の高齢化や担い手の不足、相続に伴う農地の減少に加え、夏の暑さなど、東京農業は課題を多く抱えています。とりわけ、団塊の世代が85歳を超え相続問題が深刻化してくる、いわゆる「2035年問題」は、重大な影響を及ぼしかねません。

Q 都は、こうした課題にしっかりと目を向け、若者や女性をはじめ多くの方が活躍できる東京農業を実現するため、柔軟かつ大胆な発想で取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

A(産業労働局長)
〇 東京農業の発展に向けては、担い手不足や農地の減少等の取り巻く課題を解決し、若者等に選ばれる職業として農業の魅力を高めていくことが重要
〇 このため都は、 慶外からの新規就農者等が行う栽培施設の整備への助成や農地の長期貸借を促す奨励金を支給する制度等に取り組んでおり、過去3年間で 219 人が新規に就農している
来年度は、親元で就農する後継者も活用できるよう助成制度を見直すほか、農業機械を助成対象に加える。 また、快適な作業環境となるよう働き方のガイドラインを策定
○ さらに長期貸借向けの奨励金を10アール当たり最大120万円に引き上げるなど、農業の担い手への支援を充実

都発注工事における下請け次数調査について★

 建設業の持続性に影を落とす重層下請。私たちは継続して、都として実態把握を求めてきました。令和5年第3回定例会の代表質問に対し、一昨年の3年11月から12月の間に施工中の工事の143件の工事のうち、土木エ事では3次、建築及び設備工事では4次以上の下請契約がある案件が5件、3.5%に留まり、いずれも必要性が認められたとの見解を伺いましたが、改めて全件調査を求めたところです。
 国においても、令和6年度の補正予算において、重層化の実態調査に取り組むと聞いています。

Q 全件調査の結果について伺うとともに、国より先んじて行った調査を踏まえ、下請け次数削減に向けた具体的な改善策につなげるべきと考えますが、見解を伺います。

A(財務局)
令和6年7月に施工中の一定規模以上の工事 1,000件のうち、 土木工事で3次、建築及び設備工事で4次以上の下請契約がある案件は、148件であった。
○ 都は分離分割発注を原則としており、過度な重層化傾向は見受けられないが、大規模な工事ほど、 専門・ 分業化等のため下請次数の増加が確認された。
○ 都はこれまでも下請契約の適正化を元請事業者に要請しているが、今後、対象の工事に関して、下請次数の増加理由等を確認するなど実態の把握を進める。
その上で、 国の調査結果等も踏まえ、 事業者団体と意見交換を行いながら下請次数含め適切な施工体制の維持に必要な施策を検討する。

都市公共交通★

 令和3年度末に策定された「地域公共交通の基本方針」においては、都が鉄道やバスなどの交通ネットワークの充実を担い、基礎自治体はコミュニティバスをはじめとする交通空白地域対策に取り組むという役割分担がなされ、この方針に従って区市町村が地域公共交通計画を作りました。
 その後、コロナ禍により民間の交通事業者は収益が悪化、特に利用者の減少がそのまま収支に直結するバスにおいて、収益性が低い路線を中心に廃止・減便がなされたことから、都民の移動に多くの課題が生じています。ところが、現状の方針には、既存のバス路線や本数を維持する仕組みがありません。
 令和8年度に予定されている方針改定においては、都が責任をもって都民の移動手段を維持する内容に改める必要があります。

Q 方針改定にあたっては、都民の通勤・通学などの移動手段の確保という観点から、地域ごとに維持するべきサービス水準を定め、これの維持につながる交通ネットワークへの再構築を目指す内容とするべきですが、 改定に向けての基本的な考え方について見解を伺います。

A(東京都技監答弁)
〇 交通政策の推進に当たっては、利用者本位で使いやすい、総合的な交通体系を 実現することが重要であり、都は、基本方針に基づき交通不便地域解消に主体 的に取り組む区市町村を支援
〇 現在、路線バスの減便、 廃止など、 地域公共交通を取り巻く環境が変化しており、交通モードの連携による持続可能なネットワークの実現が急務である。 このため、地元自治体と連携して地域特性等に応じた目指すべきサービス水準の 考え方を整理、共有
こうした考え方を令和8年度に改定する基本方針に反映し、交通ネットワークの再構築に取り組む区市町村を後押し

シルバーパスについて★

 都の公共交通は、渋滞解消、CO2削減、高齢者の社会参加や免許返納支援など大都市特有の役割を担っており、国の交通空白地域対策とは異なる独自施策が必要です。
 運転手不足やエネルギー価格高騰への対応に加え、都が主体的に公共交通網を維持するには、利用状況の把握と利用者増加による事業者の収益改善が求められています。

Q この観点から、私たちは、 高齢者の社会参加のためのシルバーパスについて、実態把握のためのICカード化、そして、利用状況を踏まえた再構築に至るまでの、利用者増につながる年間負担額の低減を要望してきましたが、令和7年度の取組について、知事に伺います。

A(知事)
○ 制度導入以降の高齢者像や交通事情の変化を踏まえ、利用実態を把握しながら、 制度の抜本的な見 直しを検討する必要がある。
○このため、来年度、ICカード化に向けて関連するシステム改修や関係機関との調整などに着手し、令和8 年度の一斉更新以降できるだけ早期の導入を目指す。
○ また、抜本的な見直しまでの間、年間20,510円の利用者負担額を本年10月から12,000円に引 下げ、多くの方々に御活用いただき、高齢者の社会参加を後押ししていく。
○ こうした取組を進めながら、 アクティブな「Choju社会」の実現を目指し、高齢者施策全体を総合的に議 論する中で、制度の改善に向けて検討していく。

バス運転手の不足問題★

 都内民間バス事業者から、都営バスに運転手が転職し、路線維持に支障が生じているとの声が届いています。京都市営バスでは、採用試験において大型二種免許保有者を対象としない工夫を行ったこともあると聞いています。

Q 都営バスの乗務員不足の対応にあたっては、都内公共交通を担う民間事業者に配慮するべきと考えますが、見解を伺います。

A(交通局長)
○ 路線バスは、公共交通機関として、地域の身近な移動を支える重要な役割
○ 全国的に大型二種免許の取得者が減少する中、都営バスでも、養成型選考の 実施等人材確保に努めてきたが、 乗務員不足により路線の維持が困難に
民間事業者の人員状況を踏まえつつ人材確保を図るため、本年春以降、養成 型選考の年間募集人員の倍増とともに、 短時間勤務の導入による交通局OB 等の活用を図る
乗務員志望者の増加に向け、関係局や業界団体等と連携して取り組む

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