「令和7年第1回都議会定例会」代表質問⑥~医療・介護政策

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医療・介護

民間病院支援

 コロナ禍以降、患者数の減少に加え、物価高騰の影響などにより全国的に病院の経営は厳しさを増しています。特に東京は、地方に比べて物価や人件費が高く、現下の状況では、病院の自助努力だけで賄うのは困難な状況にあります。
 私たちは来年度の最重点政策要望に民間医療機関への経営支援を求めました。一部地域では建て替え費用が賄えず閉院を余儀なくされる病院も増加している今こそ、都として大胆な支援策が必要です。

Q 東京の医療を守るため、都として民間病院に対する支援を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

A(知事)
○ 全国と比べて、都内では、民間病院の占める割合が高い中、急激な物価高騰や人件費の増加が、病 院運営を圧迫している。
本来、 こうした課題は、診療報酬制度の改善や必要な財源措置を講じるなど、国が対応すべきものである。一方で、現下の状況にあっても、都民の命と健康を守る医療体制は、揺らいではならない。
このため都は来年度、全ての民間病院を対象に都内の物価等を考慮し、緊急的かつ臨時的に、入院患 者数に応じた支援金を交付する。
○ また、高齢者の医療需要の高まりに対応する高齢者用の病床の確保や、安心して子供を産み育てること ができるよう小児科、産科や救急の年間を通じた受入体制の確保を図るとともに老朽化した病院の建替え に係る支援を拡充する。
○ こうした取組を進め、 誰もが住み慣れた地域で安心して必要な医療を受けられるよう地域医療を力強く支えていく。

看護職員の確保対策

 さらに、看護職員の確保は病院経営の大きな課題です。特に小規模な病院では、看護職員の確保に苦慮しています。

Q 都として看護職員の確保・定着に向けた取組を充実すべきと考えますが、見解を伺います。

A (保健医療局)
○ 医療ニーズが多様化する中、 地域に必要な医療を提供するには、看護職員の安定的な確保・定着は重 要である。
○ 都は、看護職員の確保・定着に向け、勤務環境の改善や宿舎整備の補助など、様々な取組を実施しているが、とりわけ小規模な病院では、宿舎用の敷地確保や費用面の課題などから、 特に居住支援が進んでいない。
○ このため来年度から、病院が看護職員や看護補助者向けの宿舎を借り上げた場合、一戸当たり月額 82,000円を上限として、病院負担額の4分の3を補助する取組を開始し、働きやすい環境づくりを支援す ることで、病院における看護人材の更なる確保・定着を図っていく。

NICU入院児支援

 ファミリーセンタードケアは、NICUにおいて親子が一緒の時間を過ごすことを支援する取組であり、NICU入院児の家族の不安軽減や産後うつの改善、母乳分泌の促進に加え、子どもの成長発達を促し、入院期間の短縮にもつながる効果があります。

Q 都として、ファミリーセンタードケアの取組を進め、家族に寄り添った支援を充実すべきと考えますが、見解を伺います。

A(保健医療局)
○ NICUに長期間入院する子供の家族は、子供と離れて生活することで、子供の健康や将来などに対する不安や家族の役割を果たせない無力感などを抱くことが多く家族への心理的なサポートが重要。
○ 現在、NICUで家族が子供と一緒に過ごし、子供のケアに積極的に関わ れるようサポートするファミリーセンタードケアの取組が十分ではないため、都は来年度から、こうした取組を進めるリーダー的人材を育成するとともにその人材を配置する医療機関への支援を開始する。
○ 今後、ファミリーセンタードケアの推進により、NICU入院児の家族に寄り添った支援を充実していく。

付き添い入院

 入院中の子どもへの親の付き添い入院は、子どもの心理的安定と回復に重要な役割を果たしていますが、長期付き添いによる親の重い負担や経済的問題も生じています。子どもの看護のための人材の配置、付き添う親のためのベッドや食事の確保、きょうだい児のケアなど複合的な課題に対し、都としても支援を行うべきです。

Q こどもが入院した際、家族が付添いをする場合に十分に休息が確保できるような環境の整備をすべきと考えますが、見解を伺います。

A(保健医療局)
○ 子供の入院の際、 家族が安心して過ごせるよう、医療機関の環境を整えることは重要である。
○ このため、都立病院では希望する家族等に簡易ベッドの貸出しや食事場所 の提供等を行うほか、小児総合医療センターでは、昨年十一月から病院食の提供を開始した。
○ 一方、国は、今年度の診療報酬改定において、 医療機関が看護補助者や複 数名の保育士を配置した場合の評価項目を新設するとともに、補正予算で、 家族の付添い等に係る医療機関の環境改善への補助制度を創設した。
都は今後、国の補助制度の活用などにより、家族に過度な負担がかからないよう、必要な支援を検討していく。

障害者の医療型施設

 重度の肢体不自由と知的障害が重複する重症心身障害児の中でも、人工呼吸器の管理や経管栄養といった濃厚な医療的ケアが必要な方が入所する民間の医療型障害児入所施設に対し、都は、質の高いサービ提供を支援するためサービス推進費の補助を行っています。
 近年、都内から都外の施設にも児童が入所しており、支援に関する要望を頂いています。

Q 重症心身障害児がどこにいても質の高いサービスを受けられるよう、都外の医療型障害児入所施設に対してもサービス推進費補助による支援を行う必要があると考えますが、見解を伺います。

A (福祉局)
○ 都はこれまで、重症心身障害児が地域で安心して暮らせるよう、在宅サービスの充実を図るとともに、入 所が必要な重症心身障害児に対しては、 都立施設の運営のほか、都内の民間施設に運営費を補助し、 質の高いサービスを提供してきた。
○ 近年、医療の充実等を背景として、入所年数の長期化とともに重症心身障害児が増加し、都外の医療 型障害児入所施設に入所する都内の児童が増えている実態もある。
○ こうしたことを踏まえ、都外の施設に入所している児童に対しても、障害の特性に応じて質の高いサービス が提供できるよう、 来年度から必要な措置を行っていく。

訪問介護支援の拡充

 高齢者にとって医療・介護のインフラは安心の基盤ですが、とりわけ危機的な状況なのが訪問介護事業所です。昨年度国の報酬改定により2%超の報酬減となったことから経営状況が悪化、介護事業者の倒産件数が過去最多となり、その内訳の最も多くを占めるのが訪問介護となっています。
 私たちはこうした危機的状況を踏まえ、昨年度の予算最重点項目の一つに訪問介護支援を掲げ、採用費や移動費といった固定費について支援する東京独自の支援策を提案しました。

Q このままでは東京の在宅介護が受けられないという危機的状況を踏まえ、採用費や移動費について東京 都独自の支援策を提案した。 都内の在宅介護を支える訪問介護事業に向け、経営支援に繋がる大胆な 人材確保策を講じるべきと考えるが、見解を伺う

A(福祉局)
○ 都はこれまで、 訪問介護の人材確保に向け、未経験者の雇用経費の補助や、居住支援特別手当を支 給する事業者への支援など、様々な施策に取り組んできた。
来年度からは、新たに、求人サイトへの掲載費などを一法人当たり最大 80 万円支援する。
○ また、高齢者宅への訪問に必要な電動アシスト自転車の購入経費に対し、 補助率4分の3で一事業所 当たり最大 15万円、電気自動車などの購入経費に対し、補助率2分の1で一事業所当たり最大 250万 円を支援する。
○ こうした施策により、訪問介護の更なる人材の確保・定着・育成に取り組んでいく。

世界陸上・デフリンピックに関する取組について

 東京2025デフリンピックに向け、都は、都庁舎など38の都有施設に音声を多言語で表示する透明ディスプレイを設置するなど、技術を社会に普及させるための取組を進めてきました。

Q 大会開催を好機と捉え、ユニバーサルコミュニケーション技術の活用場面をより拡大していくとともに、大会本番においても、この技術を活用し、社会に広げていくことがデフリンピックのレガシーとなると考えますが、今後の都の取組について伺います。

A( 生活文化スポーツ局)
○ 技術を社会に広めていくためには、身近な場所への導入を進め るとともに、有用性を知ってもらうことが重要
○ 来年度、透明ディスプレイを設置する都有施設を百以上に拡充するほか、引き続き、区市町村や鉄道事業者に働きかけ、公共施設 や駅への機器導入を支援していく
大会時は、 デフリンピックスクエアで、スタートアップ企業が開発する、競技音を振動で体感し楽しめる先端技術などをPR
○ こうした取組により、 技術の社会実装につなげ、レガシーとして いく

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