「令和 7年第1回都議会定例会」経済・港湾委員会 中途議決~港湾局

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Y3ターミナルの整備について

補正予算案における中央防波堤外側コンテナふ頭Y3整備に関する補正予算について伺いました。

補正予算の内容

 欧米やアジアの主要港が大規模なコンテナターミナルの開発に合わせ、港湾関連業務におけるDXや脱炭素化を加速させています。例えば、コンテナターミナルの完全自動化や再生可能エネルギーを活用したゼロエミッション化を実現したターミナルも稼働し始めています。

 都は現在、中央防波堤外側地区において、Y3ターミナルの整備を進めていますが、このターミナルは、既存ふ頭とは異なり、更地の状態から自由にターミナルの設計や整備を進めることができるため、大胆にDX、そして脱炭素を推進できる絶好の機会であると考えます。

 本日の質疑では、Y3ターミナルの整備において、DXと脱炭素が重要であるという立場で質問をします。まず、確認のため、

Q1 なぜ、今回の補正予算でY3ターミナル整備にかかる経費として174億円を計上したのか、伺う。

A1
○ 東京港においては、コンテナの取扱量に対して、施設能力が不足している状況が続いており、その結果、ターミナル周辺における交通混雑などの外部不経済が発生していることなどから、早急に施設能力を強化することが必要であると認識
○ 昨年12月に国の補正予算が成立し、中央防波堤外側コンテナふ頭Y3について、国が直轄事業として実施する岸壁の整備に関する予算が措置された。
〇 こうした状況を踏まえ、都は、Y3を一刻も早く完成させるため、直轄事業負担金及び、コンテナヤード等の整備を行う東京港埠頭株式会社に対する出資金などを補正予算案として計上

 国でY3ターミナルの岸壁の整備に関する補正予算が成立し、都としてもY3ターミナルを早期に完成するため、都負担分などの24億円に加え、コンテナヤード等の整備を担う東京港埠頭株式会社への出資金150億円を予算計上したことを確認しました。

福島りえこ,都議会議員,世田谷区選出,都民ファーストの会

Y3ターミナルの競争力を高める整備について

 Y3ターミナルを持続可能、かつ国際競争力のあるターミナルにしていくことは重要であり、東京港埠頭株式会社への出資金150億円は、岸壁と同時に整備する、コンテナヤード等のDXと脱炭素化を加速するための予算であると聞いている。そこで、

Q2 東京港埠頭株式会社は、都の出資金を使って、Y3ターミナルをどのように整備していくのか、伺う。

A2
○ 都としては、今後、東京港埠頭株式会社が出資金を有効に活用し、遠隔操作可能な荷役機械の導入に加え、太陽光発電設備やEV用充電器の整備などを進めていくことを想定しているが、具体的な整備内容については、関係者との協議を経て、決定
○ こうした取組により、Y3ターミナルを効率的で持続可能なターミナルとして整備していく。

 東京港も、欧米やアジアなど世界の主要港で先行するDXや脱炭素に追随することは不可欠です。東京港埠頭株式会社への出資金は、これを加速するためのものであることを確認しました。

国内港湾におけるDXの推進状況と課題

 DXについて、今すぐのコンテナターミナルの完全自動化は難しいとしても、作業者の移動時間削減や、作業空間の確保の観点から有効な、遠隔操作可能な荷役機械の導入は重要ですが、都は、令和5年度から「東京港における港湾DX加速化補助金」で助成するなど取組みを進めています。

Q3 国内における遠隔操作可能な荷役機械の導入状況について、伺う。

A3
○ 遠隔操作可能な荷役機械は、ターミナル内の管理棟から操作を行うことができる機械であり、日本国内ではトラックへのコンテナの受渡しに使用するタイヤ式門型クレーンの遠隔化が進められている。
○ 国内で外貿コンテナ貨物を取り扱っている港湾は62港あるが、本年2月末時点で、遠隔操作可能な荷役機械が稼働している港湾は、名古屋港、清水港、横浜港の3港
○ 東京港においては、青海公共コンテナふ頭に26基導入する準備を進めており、令和7年度から順次稼働していく予定

 国内でも、遠隔操作可能な荷役機械の導入が徐々に進んできてはいるが、世界の主要港に比べると、導入スピードは著しく遅れていると言わざるを得ません。そこで、

Q4 遠隔操作可能な荷役機械の導入を進めていく上で、何が課題となっているのか、伺う。

A4
○ 遠隔操作可能な荷役機械は、ターミナルの管理棟内の快適な環境下で操作することができるため、荷役機械の狭小な運転席で操作を行っている現状と比べて、労働環境が大きく改善されることが期待される。
○ 2倍から3倍のコストがかかることや、導入しようとする民間事業者において労使の合意形成を図る必要があるなど、様々な課題があると認識

 遠隔操作可能な荷役機械の導入の課題として、コストや労使合意などがあることが分かりました。 導入に当たっては、現場で働く労働者の声にも丁寧に耳を傾けていただくよう要望しました。

 一方、コストに関しては、DXや脱炭素化には多額の投資が必要なため、利用料だけでは実施が難しいとも聞いています。世界の主要港でも、政府が率先して推進しているとのことで、これ以上、世界の主要港と競争力の面で引き離されないためにも、今回の補正予算で、都が東京港埠頭株式会社に出資し、Y3ターミナルのDXと脱炭素化を進めることを評価します。

福島りえこ,都議会議員,世田谷選出.都民ファースト

東京港埠頭株式会社への出資の使途の確認

 企業が増資で資金調達を行った場合、その個別具体的な使途については、調達目的の範囲内で、当該企業の経営判断に委ねられるべき事項ではありますが、DXや脱炭素化といった特定の目的をもって補正予算を組んで出資する以上は、その使われ方について、都としてもチェックできることが望ましいと考えます。

Q5 そこで、都は出資金が目的に沿って使われているか、確認すべきと考えるが、見解を伺う。

A5
〇 Y3のDXや脱炭素化を推進するためには、今般の出資金が出資目的に沿って適切に活用されているかどうかを確認することは、重要であると認識
〇 このため、都は、東京港埠頭株式会社からY3ターミナルの整備計画を提出させ、DXや脱炭素化に関する具体的な整備内容を確認し、必要に応じて修正を求めていく。
○ 加えて、定期的に事業の実施状況について報告を受け、整備計画に沿って着実に事業が進められているかどうかを把握することなどにより、出資金が効果的に活用されていることを確認していく。

 計画と実施状況の報告を受けることで、都として、出資金が目的達成に向けて有効に活用されているかをチェックすることを、確認しました。

 Y3ターミナル、そして東京港が、世界から選ばれる港湾であり続けるよう、不断の取組みを進めていただくよう、要望しました。

【おまけ】グーグルマップで比較

 世界の新しい港湾と、東京湾をグーグルマップ(等縮尺)見比べてみました。今回質疑で取り上げたY3ターミナルは、赤で囲った右下のエリアです。

 開発できる土地(海域)の狭さ、外海からの距離など、様々課題があると思いました。

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