運輸部門における脱炭素化の推進
「ゼロエミッション東京」の実現に向けては、走行時にCO2を排出しないZEVの普及など運輸部門の取組は重要であり、都は、普通車両だけでなく、バス、トラック、バイク、シェアリング用車両のZEV化、充電環境については、来年度から新たにEVバイクについても整備に取り組むとしています。
一方で、アメリカの政策変更など世界の自動車産業を取り巻く環境は大きく変化しており、昨年以降、EVの販売が世界的に頭打ちとなっています。そこで、
Q これまでの運輸部門における脱炭素化の進捗状況とZEVの普及に向けた今後の取組について、見解を伺う。
A(産業・エネルギー政策部長)
〇 東京の脱炭素化を進める上で、ZEVの普及をはじめとした運輸部門における対策は重要
〇 都は環境基本計画において、2030年カーボンハーフの達成に向けて部門ごとのCO2削減目標を掲げており、運輸部門については、産業部門や家庭部門を大きく上回る2000年比65%程度の削減を目標(下図を参照)
〇 都は、この達成に向けて都民や事業者がZEVを購入する際の負担を軽減するために費用の一部を支援するなど、様々な取組を進めており、2022年度の運輸部門におけるCO2排出量は、速報値で50.7%に減少
〇 来年度は、自動車メーカーの環境負荷低減に向けた更なる取組を促すため、バッテリーリサイクルの取組などを幅広く評価してZEV購入時の補助額に反映することで、最大で100万円に引き上げ
〇 こうした取組により、カーボンハーフの実現に向け、運輸部門の脱炭素化を加速

運輸部門の脱炭素化が進んでいるとの答弁でしたが、私の地元の国道246号線などは変わらず渋滞が解消されない状況が続いており、円滑な交通が阻害されることで環境への負荷につながっています。
私は、公共交通の利用は、自家用車の利用を減らし、渋滞の解消、ひいてはCO2の削減につながることから、昨今の運転手不足や民間交通事業者の経営悪化によるバス便の減少が、CO2の排出増加につながりかねないことを指摘してきました。
運輸部門の脱炭素化に向けては、ZEVの普及と並行して、都市公共交通政策の観点も重要であり、関係局と連携して取組を進めるよう、要望しました。
事業者におけるZEVの導入推進
都は、ZEVの普及によるCO2削減効果について、自家用車両と商業用車両で特段分けて検討していません。しかしながら、日々の業務で使用されるトラックやバス、運送や配達事業者などの商業用車両は、一般のユーザーが主に週末に利用する自家用車両に比べて走行距離が長いことから、EVに置き換えた場合の1台当たりのCO2削減量は大きくなるものと考えます。
また、ルートが決まっていたり、営業や配達先などが比較的固定されている路線バスなどは、日中に使用して、夜間事業所の車庫で充電を行うという運用が可能であり、EVの特性に適しているとの意見もあります。そこで、
Q ZEVの普及を進める上では、こうした事業者に対する取組を進めていくことが重要と考えるが、これまでの事業者におけるZEVの導入状況と今後の都の取組について伺う。
A(産業・エネルギー政策部長)
〇 都は、事業者によるZEVの導入を進めるため、乗用車や小型商用車などの導入支援に加え、EVバスやEVトラックを導入する事業者に対してディーゼル車価格との差額への補助を実施。また、カーシェアリングなど一般の車両と比べて利用頻度が高い車両に対して通常のZEV購入費より手厚い補助を行うなど、幅広い用途の車両に支援を実施
〇 これまでに、業務に使用する車両の半数以上をZEVに買い替えた事業者もいるなど、効果を上げている
〇 今後、国産メーカーにおいてもEVのバスやトラックの本格的な市場投入が進むことから、来年度、1台当たりの補助上限額を3,500万円から4,200万円に引き上げるとともに、メーカーの販売計画に合わせて予算規模を大幅に拡充
〇 こうした取組により、事業者によるZEVの導入拡大を図る
来年度、国産メーカーによるEVバスやトラックの市場投入に合わせて、補助上限額を高め、市場投入が遅れた国内メーカーを応援する配慮は大切であり、評価します。
一方、「業務に使用する車両の半数以上をZEVに買い替えた事業者もいる」とのことだが、私の自宅前にある東京ガスでは、多くの車両を保有しているが、ガソリン車のままです。
繰り返しになりますが、同じZEVを導入するのでも、自家用車両と商業用車両では脱炭素化への寄与度が大きく異なります。先の質問の答弁でZEV等導入によるCO2削減量の報告がありましたが、計算において、分けて扱うとともに、商業用車両については目標値を持って置換を進めるよう、求めました。
グリーン製品の普及
「人や社会、環境に配慮した消費行動」いわゆる「エシカル消費」が推奨されるようになってからそれなりに時間が経過していますが、今年度の消費者庁の調査では、その認知度は3割弱にとどまっています。ゼロエミッション実現に向けては、環境に配慮したグリーン製品を選ぶといった消費者の意識変革を促す必要があります。
一方で、昨年の第四回定例会一般質問において我が会派の白戸議員が指摘したように、グリーン製品は製造過程でのコストが割高になることが多く、消費者の購入につながりにくいという課題があります。
また、「消費者は環境に良いものを選びたいと思っていますが、情報不足で行動に踏み出せない」との調査結果もあり、いかに情報提供を進めるかも課題です。そこで、
Q 都は今後グリーン製品の普及に向け、具体的にどのように取り組んでいくのか伺う。
A(産業政策連携促進担当部長)
○ 都は、来年度からサプライチェーン上の複数の企業等が従来品よりも製造過程等でのCO2排出量が少ないグリーン製品を開発、生産し、その価値を消費者等にわかりやすく伝える取組への支援を開始
○ 具体的には、新たなグリーン製品の開発プロジェクトについて、サプライチェーンに加わる複数の企業がグループで取り組むものを2件、企業が単独で取り組むものを3件採択し、製品の原材料調達から製造、販売等までの段階で排出するCO2の可視化や削減計画の策定に関わるノウハウを提供
○ また、こうした製品の開発や生産に必要な設備の導入や原材料の調達、創出した製品のブランディングやPR等に必要な経費について1社あたり5,000万円を上限に中小企業は3分の2、中堅企業は2分の1を助成
○ これらにより、従来品よりも低炭素なグリーン製品の社会での活用を促進
本事業によりグリーン製品の生産等に取り組む事業者が増えるとともに、その価値が消費者に伝わり、都民のエシカル消費の促進にもつながることを期待します。
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