「令和7年第1回都議会定例会」経済・港湾委員会 港湾局②~東京港CNP形成計画

福島りえこ,世田谷区,都議会議員,都民ファースト ブログ

東京港における脱炭素化の取組み

 世界の120か国以上の国が、2050年のカーボンニュートラルを国家レベルの目標として設定しています。国民生活や産業活動を支えるサプライチェーンの脱炭素化は、日本を含む世界各国にとって共通の重要課題です。

 東京港においては、令和5年3月に「東京港カーボンニュートラルポート(CNP)形成計画」を策定し、東京港の脱炭素化を進めており、その中で使用エネルギーのグリーン化や水素エネルギー等への転換を目指すとしています。

東京港の脱炭素化に向けたこれまでの取組状況について、伺う。


○ 都は、「東京港カーボンニュートラルポート形成計画」、いわゆるCNP形成計画に基づき、脱炭素化に向け様々な取組を展開
○ 具体的には、東京港内の全てのコンテナターミナルで再生可能エネルギー由来の電力を導入し、年間およそ3万トンのCO2削減効果を見込んでいる。
○ また大井コンテナふ頭において、ヤード内のコンテナの荷役に使用するタイヤ式門型クレーン、いわゆるRTGの燃料に水素を使用して稼働する、日本初の実証実験を開始
○ さらに、将来の水素エネルギーの本格供給を見据え、RTGを将来水素燃料電池に換装可能なタイプに切り替えた場合、導入経費の2分の1を補助する取組を令和5年度から継続

 グリーン電力の導入や、水素エネルギーの活用など、多角的に脱炭素化に取り組んでいることを確認しました。

東京港における陸電設備の導入

 また、外航船など多数の大型船舶が入港して活発な荷役活動が行う東京港において、これらの船舶が停泊中に、荷役時等の電源を確保するためのディーゼル発電機を稼働させることにより、大気汚染を引き起こす問題も指摘されています。

 東京港CNP形成計画では、先に述べたふ頭などの脱炭素化に加え、停泊中の船舶の脱炭素化にも言及しています。世界ではヨーロッパを中心に多くの港で、停泊中に発電機を停止し排ガスを出さないための陸上電力供給設備、いわゆる陸電設備が整備されていますが、

東京港における陸電設備の導入について、都の見解を伺う。


○ 陸上電力供給設備は、停泊中の船舶が空調や照明などで消費する電力を供給する設備
○ この設備の活用により、停泊中は発電のためにエンジンを稼働させることが不要となり、CO2の排出削減につながることから、陸電設備の導入は、船舶の脱炭素化に向けた有効な方策の一つだと認識
○ 一方、陸電設備の導入には多額の費用が見込まれるため、その費用対効果を高める観点から、当面は東京港を利用する船舶の中で1隻あたりの停泊時間が長く、陸電対応の船舶の割合が高い、クルーズ客船向けの陸電設備の整備を進めていく。
○ 具体的には、大型のクルーズ客船が着岸している東京国際クルーズふ頭での整備を念頭に、令和7年度は将来整備する施設の条件等を整理する基本設計に着手し、施設配置や仕様について調査を開始

 停泊中の船舶への脱炭素化の取組として、陸電設備の東京港への導入に関して具体的に検討が始まっていることを確認しました。

使用エネルギーに関する考え方

 CNP形成計画の取組の中心は水素やグリーン電力の活用によるものですが、どちらのエネルギーも本格的に導入するには、供給能力やコストなど、検討すべき課題があります。そこで、

東京港の脱炭素化に向けた今後の使用エネルギーに関する考え方について伺う。


○ 東京港の脱炭素化を進めるには、供給体制や製造コストなどエネルギー毎に課題があることを踏まえた上で、取組を進めることが重要
○ 都ではこれまで、東京港CNP形成計画に基づき、水素やグリーン電力を活用した港湾の脱炭素化を進めてきた。今後については、設備に関する技術開発の動向や導入・運用する場合のコスト、港湾を利用している事業者の意向などを総合的に勘案しながら、様々なエネルギーを組み合わせて2030年のカーボンハーフ、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた取組を推進

 水素や電力などの各種エネルギーは、製造、貯蔵、輸送、利用技術とそれに伴う出力の特徴など、それぞれに特性があり、適材適所の利用を検討していくべきです。それぞれの事業者が脱炭素化に円滑に取り組めるよう、東京港の脱炭素化を多角的に進める必要があります。

 直近では、一部の国、さらにはこの委員会でも脱炭素を軽視する意見が聞かれますが、経済性を優先し、環境への配慮をおざなりにしてきた結果、地球温暖化や気候変動という現状に至っています。持続可能な社会の実現に向けては、脱炭素化の推進は不可欠です。

 サプライチェーン全体で脱炭素化が進む中で、東京港が利用者から選ばれる港となっていくためにも、引き続きしっかりと取組を進めていただくよう要望しました。

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