「令和7年第2回都議会定例会」代表質問③~社会基盤の整備

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セーフシティ

首都防衛のこれまでの取組と課題

 小池知事は、あらゆる災害から都民を守る「首都防衛」というスローガンを掲げ、東京都の災害対策・危機管理体制の強化に取り組まれています。私たちも、地下調節池整備やグリーンインフラの導入などの水害対策、雑魚寝の解消などスフィア基準に基づく避難所改革、「東京とどまるマンション」事業によるマンション防災の強化など、様々な施策を提案し、後押ししてきました。

 南海トラフ巨大地震や首都直下地震の切迫性も指摘され、激甚化・頻発化する風水害などのリスクに対応するため、ハード・ソフト両面における備えのさらなる進化が求められていると考えます。

Q あらゆる災害から都民を守る首都防衛について、知事の決意を伺います。

A(知事)
○ 巨大地震や激甚化する風水害から都民の生命や財産を守ることは都の重要な責務 
○ 都は燃えない・燃え広がらない街づくりや調節池の整備などを推進。また、防災DXの推進、マンション防災の充実強化等に取り組むとともに、雑魚寝の解消やペットとの同行避難などの内容を盛り込んだ避難所改革に着手 
○ 今後、都市の強靭化を一層推進するとともに、「備えよ、常に」の精神を都民の皆様と共有し、地域防災力を向上するなど、ハード・ソフト両面から取組を強力に進める
○ 自助・共助・公助の総力を結集し、東京のレジリエンスを高め、首都防衛を実現

 昨年1月に発生した能登半島地震は、避難所改革の重要性を改めて浮き彫りにしました。能登半島地震では災害関連死が直接死を上回る状況となり、首都直下地震の備えとして、避難所の環境整備を抜本的に進めていくべきです。

 私たちの求めに応じ、都は、今年3月に避難所運営指針を策定・公表しました。発災時に都民の生命と健康を守るためには、指針を示すだけでなく、都が指針で示した基準の達成に向け、避難所の運営主体である区市町村が実効性をもって取組めるよう、後押しが必要です。

Q そこで、都は区市町村を支援し、避難所改革を推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。

A(総務局長)
○ 本年4月、新たに策定した避難所運営指針の内容と補助制度の概要について全区市町村に対し説明 
○ 今後、補助金の活用に向け、避難所の状況やニーズに合った資器材を紹介するなど区市町村を支援。また、専門家のセミナーや、地域住民との避難所開設準備訓練を実施
○ さらに、指針で示した目指すべき避難所の実現に向け、在宅避難を含めた避難者支援のあり方について検討を進める 
○ こうした取組により避難所改革の実効性を向上

トクリュウ

 セーフシティの観点において、防災対策と同時に重要なのが、治安対策です。都民の体感治安は悪化しており、その原因になっているのが、凶悪化する強盗被害や、匿名・流動型犯罪グループ“トクリュウ”による特殊詐欺被害です。先の定例会でも、強盗被害から都民を守るための啓発や防犯設備の導入支援を求め、また“トクリュウ”についても若者が巻き込まれないための取組を確認してきました。

Q あらためて、匿名・流動型犯罪グループの特徴と、それに対応するための警視庁の体制について、警視総監の見解を伺います。

A (警視総監)
○ グループはSNS等を通じた緩やかな結びつきで離合集散を繰り返すなど、 そのつながりが流動的
○ 匿名性の高い通信手段等を活用しながら役割を細分化させ、その都度、末端の実行犯を使い捨てにし、メンバーを入れ替えることから、組織の把握やメンバーの特定が困難
警視庁では捜査の指揮命令系統を明確化、情報の一元的な集約・分析をする体制を構築する「匿名・流動型犯罪グループ対策本部を設置し、刑事部と組織犯罪対策部を統合

経済

我が国の経済を牽引するエンジンである東京の産業を育て、守ることは、極めて重要です。

スタートアップの成長支援

 まず、育てる観点として、私たちは一貫して新産業やスタートアップへの積極的な投資の必要性を訴えてきました。スタートアップ戦略の策定から2年半が経過し、専管部署としてスタートアップ戦略推進本部が発足した今こそ、さらに先を見据えた取組をスピーディに展開させていくべきと考えます。

Q 世界に誇るスタートアップ先進都市の実現に向け、ユニコーンとなりうるスタートアップに資金や人材面の集中支援を行うなどして、グローバルに活躍する環境を拡充すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

A(知事)
○ 100の国等から過去最大となる56,000人が参加したアジア最大級のSusHi Tech。スタートアップ戦略の策定以来取り組んできた、TIBとSusHi Techを軸とするプラットフォームが大きく育ってきている
○ 一方、世界も、すさまじいスピードで進化している。当日、経団連の南場副会長とも議論を交わし、日本の未来に思いを寄せる人々の力を結集し、更なる高みを目指す決意を新たにした
○ 戦略で示した取組の到達点や課題について、世界の潮流を見据えて検証し、グローバルに活躍するスタートアップを生み出す取組を加速する
○ サステナブルな技術を持つスタートアップを、スシテックの理念の下で世界に売り出す、「SusHi Tech Groval」の取組を大胆に展開する
○ ITAMAEの活動を発展させ、北欧の学生イベントに参加し、先進都市の実践を体感することなどにより、日本のエコシステムをさらに進化させていく

中小企業の人材確保・人材育成支援(賃上げ支援)

 次に、産業、とりわけ都内企業の約99%を占める中小企業を守るための取組についてです。都民の賃上げ機運を高め、全ての都民が手取りの増加や年収の向上を実感できるようにすることは、政治の重要な役割です。

 私たちは、賃上げが一過性でなく定着することが重要であることを訴え、企業の生産性向上や適正な価格転嫁を通じた賃上げの促進を求め、都の政策をリードしてきました。社員の自発的な貢献意欲を引き出し、短時間で成果を上げる効率的な働き方やイノベーティブな働き方への転換を進め、生み出した付加価値を、賃上げまたは手取り時間として働き手に還元していくことが重要です。働き方改革を生産性向上につなげ、好循環をつくり出していく、この後押しを今後も強力に進めていくべきです。

Q そこで、これまでの賃上げを促す取組を伺うとともに、今後若者の採用や育成につながる処遇改善の支援も強化すべきと考えますが、見解を伺います。

(産業労働局長)
○ 人手不足が深刻化する中、中小企業が新たな社員を獲得できるよう、賃上げや働きやすい職場づくりを後押しすることは重要であり、都は、これまで正社員への転換に併せ賃上げを行う企業への支援などを行ってきた
○ 今年度は、週休三日制やリモートキャリアなど手取り時間の確保とともに賃上げを行う企業の取組に対して奨励金を支給
○ また、若手社員の定着に向け、育成計画の策定に加え、賃上げを行う企業への助成も新たに実施
○ これらにより、中小企業の魅力を高め、人材の確保とその定着を後押し

女性活躍

 女性の活躍推進について伺います。知事が述べているように、日本の最大の未活用エネルギーが、女性のパワーです。女性活躍推進法の成立から約10年が経ち、この間、男女の賃金格差などは縮小しているものの、ジェンダーギャップ指数では経済分野における女性管理職の割合の低さにより諸外国に比べて大きく遅れるなど、我が国の女性活躍は道半ばです。

 こうした中、私たちは女性が仕事を通じて力を発揮できる環境を整えていくため、時短で勤務する者の管理職への登用や、働く意欲のある女性が働き控えをせず経済的な自立を手に入れられる取組等を強力に実施すべきであると主張をしてきました。

Q 小池知事とともに私たちが8年間で進めてきた女性活躍の取組を確認するとともに、今後の決意を伺います。(知事・産業労働局)

A (知事)
○東京の最大のポテンシャルは女性。女性の活躍は東京の持続的な成長の原動力であり、知事就任以来一貫して申し上げている
○こうした思いの下、女性が経済の分野で能力を十分に発揮できる社会の実現に向け、 先んじて施策を打ち出してきた
○これまで、男女間賃金格差の解消や、就業制限をせずに働くことができる環境づくりなどに挑む企業を後押し
○今年度は女性の力を更に引き出すことができるよう、「年収の壁」を越えて働いても手取りを減らさない取組を新たに支援するなど強化
○東京が先頭に立って「女性活躍の輪」を拡げ、誰もが持てる力を発揮できる社会を目指していく

都市づくり

 誰もが暮らしやすい都市・東京の実現、その基盤となるのは公共交通です。安全で、快適で、誰にとっても使いやすい。そうした公共交通の実現のために、核のある政策の必要性を訴えてきました。

ホームドア整備

 その中でもホームドアは、視覚障害者や高齢者等の転落や接触による事故を防止する上で重要です。これまで、私たちは小池知事とともに、ホームドアの整備推進に積極的に取り組んできました。 小池知事は、公約にホームドアの整備加速を掲げるとともに、昨年度、鉄道事業者と行政が一体となって協議会を立ち上げ、具体的に動き出しました。

 協議会において、2028年度までに、都内におけるJR及び私鉄駅の約6割にホームドアを設置することを目標に、鉄道事業者と共に取り組んでいくことを共同宣言したことは大きな前進です。

Q 鉄道事業者による技術面の工夫と合わせて、行政も必要な支援を行うことで、整備をより一層加速して行く必要があると考えますが、見解を伺います。(都市整備局)

A(東京都技監)
○ ホームドアは、駅利用者の転落を防止し、人の命を守る重要な施設であり、一刻も早い整備が必要。 ○ 鉄道事業者は、「ホームドアの整備加速に関する協議会」を踏まえ、都内のホームドア整備計画を公表し、整備を進める。
○ また、都が創設した補助制度の活用に向け、各鉄道事業者が、整備加速に取り組む箇所を公表する予定。
○ 今後は、協議会を通じて、事業の進捗状況の確認などを進め、目標達成に向け、整備促進を図る。

シルバーパス(多摩モノレール)

 さらに、交通不便地域ゼロに向けては、交通政策の抜本的な改革も必要です。

 とりわけ多摩地域では運転手不足やエネルギー価格高騰などの供給的要因、進行する高齢化という需要的要因の両面から、公共交通へのアクセシビリティが低下しており、その維持が急務です。

Q その一環として、知事の公約である多摩都市モノレールへの対象拡大について、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。(福祉局)

A(福祉局長)
○ シルバーパスは、現行制度となってから四半世紀が経過し、平均寿命、健康寿命の延伸や、交通事情の 変化、地域における移動手段の多様化など、 本事業をめぐる環境は大きく変化している。
○ このような状況の変化を踏まえ、アクティブな 「Choju社会」の実現を目指し、高齢者施策全体を総合的 に議論する中で、ICカード化により利用実態を把握しながら、 制度の改善に向けて検討していく。

 都が主体的に公共交通網を維持するためには、公共交通の状況を把握するとともに、利用者を増やし、事業者の利益を上げる取り組みが必要です。

 この観点から、子どもパスの創設や多摩都市モノレールとコミュニティバスのシルバーパス適用など、新たな利用者増の施策をエビデンスベースで検討・構築し、東京の交通不便地域ゼロを目指すよう求めました。

スマートシティ・その他

デジタル化

 都政における都民の利便性の最大化のカギは、DXです。都は「東京デジタルファースト条例」の制定をはじめ、都政のデジタル化に積極的に取り組み、4年前にわずか5%だった行政手続きのデジタル化は、80%を超えるまでに進展しました。

 今後は進化を続けるAIの活用など、新たな技術も活用して都民の手取り時間を増やすDXの進化が必要です。

Q 行政においても、デジタルを通じて都民の暮らしに寄り添った新たなサービスの創出や、組織や分野を超えた大胆なDXを進めていくべきと考えますが、これまでの成果と、今後の展望について、知事の見解を伺います。

A(知事)
○ 都民が便利になったと実感できる、この信念の下、東京大改革を進める柱の一つとして、DXを掲げ、これまで変革を推進
○ GovTech東京を立ち上げ、区市町村との協働を加速し、人材やデジタルツールの共同化等で成果が表れている
○ 忙しい子育て世代に着目し、保活ワンストップサービスなど、こどもDXの取組は利用者から好評を得るなど、着実に実を結びつつある
○ 都民の「手取り時間」を増やすため、組織や分野を越えたサービス変革の取組を拡大。東京アプリでは、GovTech東京の開発力を生かし、都民の利便性向上等に役立つ機能を充実させ、行政の新たなモデルに進化
○ こうした取組を重層的に展開し、都民一人ひとりが幸せを実感できる東京を実現していく

世界陸上・デフリンピック

 今年はいよいよデフリンピックが開催されます。私たちは、この大会を契機に、AIなどを活かした、ユニバーサルコミュニケーション技術の社会実装化の取組も求めてきました。これらの技術を活用することで、多様な人々が共に生きる共生社会への理解を都民の間でより深めていく必要があります。

 子供たちがデフリンピックを観戦することは、多様な価値観を認め合うことの大切さを実感する貴重な機会となり、未来の東京に向けた重要な礎になると考えます。デフアスリートがきこえない、きこえにくい中で、様々な工夫のもと、 熱戦を繰り広げる姿を、ぜひ子供たちに会場で見てもらいたいと思います。

Q そこで、デフリンピックの子供観戦について、多くの子供たちに実りある体験をしてもらえるよう、取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。

A(スポーツ推進本部長)
○都は、都内の小中高等学校等を対象とした観戦事業を実施
○観戦に当たっては、視覚的な合図を用いた競技運営など、デフスポーツの特徴を体感できるよう取り組む
○ユニバーサルコミュニケーション技術への理解につながる機会も提供
○子供たちが、スポーツの素晴らしさや共生社会の大切さに気付くきっかけとなるよう準備

結びに

 これまで、政治倫理条例検討委員会が集中的に開催されてきました。そこでの検討を踏まえて、私たちは本定例会に、都議会公明党の皆様とともに「東京都議会議員の政治倫理に関する条例」案を提出いたしました。

 条例の実効性を高めるポイントとなる連座制については、議員の会計責任者に対する監督責任等を明文化し、審査会の構成委員を全て議員以外の有識者とすることで第三者性を確立し再発防止を図ります。また、この条例を4年ごとに見直すことも規定しています。

 政治倫理の確立及び不正の再発防止は、都議会として迅速な対応が求められており、賛同を求めました。

 東京大改革の旗印の元に集まった多様な人材による、都民の声に基づいた現実的で幅広い政策提案。私たちは知事と車の両輪となって、そうした提案を積み重ね、東京の変革を推し進めてきました。しかし、物価高騰、首都直下地震への備え、少子化への対応など、いまだ取り組むべき課題は山積しています。子育て・教育政策等で培った確かな実績を、全ての世代へ。もっと東京をよくするために、これからも私たちが、東京の改革に必要であると確信しています。

 この先も都民ファーストの理念を貫き、小池知事と車の両輪となって、政策提案に邁進することをお誓いしました。

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