日本大学 商学部 商業学科の学生の皆様と中央卸売市場会計に関する意見交換を実施

福島りえこ,世田谷区,都民ファーストの会,都議会議員 ブログ

7/10の午後に、日本大学商学部商業学科で、秋川卓也教授のご指導の下「青果物流通」をテーマに研究する3年生の学生4名から、中央卸売市場会計に関するヒヤリングを受けました。市場の流通量が縮小傾向にあるなかで都税を投入し続ける背景を調べるなか、私が、令和6年10月31日の「事務事業質疑」において、中央卸売市場の経営改善に関する質疑を行ったことを知り、連絡してくれたものです。

大きく分けて以下の2点について議論をしました。

中央卸売市場の今後の方向性

平成30年(2018年)に開設した豊洲市場開設のための投資額が高額になったことから、市場会計全体の収益的収支に占める減価償却費、キャッシュフローにおける企業債の償還が嵩み、収支が悪化が見込まれました。

そこで都は、持続可能な市場経営に向けて、令和4(2022)年に東京都中央卸売市場経営計画を策定しました。その中で、売上高の減少傾向が今後も続き、毎年150億円弱の赤字が続いた場合に、令和46年(2064年)には、資金がショートすることを示されています。

都は中央卸売市場につて毎年経営レポートを発行しています。和5年度の決算でも、150億円弱のマイナスであったことが示されています。

以下は資金収支です。旧築地市場跡地を一般会計に有償所管換をすることで、いったん増加した資金を切り崩して運営していることがわかります。

一方で、豊洲市場以外の市場の施設は老朽化しており、改修費用や維持管理費が増加しています。

この状況を打開するためには、市場の取引量が毎年増加し、これに連動する売上高割使用料が増えるか、施設使用料を引き上げるなどが必要になりますが、市場全体の取扱量減少(直接取引の増加)は、世界的な傾向です。

中央卸売市場の赤字に関して、都としてどう認識し、対応しているか

私をはじめ都民ファーストの会のメンバーは、収支均衡を成し遂げるのが難しい中央卸売市場会計の状況を踏まえ、これまで、未利用地の活用や新たな販路開拓デジタル化の支援などを提案・後押ししてきましたが、解決策として十分であるとは考えていません。

一方で、委員会などでは、地元の市場の老朽化対策を求める質疑、すなわち「ボトムアップ」の提案が行われる傾向が強く、令和5年の包括外部監査人により指摘された「トップダウン」の取り組みに関する質疑が相対的に手薄に感じています。

1) 令和9年以降の次期経営計画の策定に向けて、令和8年度までに、個別の建物における維持更新の計画と市場単位のマスタープランを策定するとともに、それまでの毎年の詳細なスケジュールを策定
2) 中央卸売市場全体の機能を最適化するための、市場全体の施設整備に係る長期的かつ具体的なロードマップの作成

以上の状況を踏まえ、私は「地方卸売市場も含めた市場ネットワークから各市場の役割や機能を精査し、各市場の設備の計画に落とし込む」という「トップダウン」の取り組みも並行して行うよう、繰り返し求めています。

大学生の皆様の質問も、まさに、今後改善が見込まれない市場に資金を投入し続ける意味という1点に集約されていました。具体的には、収支が悪化している市場から順次整理をしていくべきではないか、なぜそれをしないのか、というものです。

(繰り返しになりますが)議会には、市場関係者の何とかしてくれ、という声は届いても、市場会計の課題に気づき、その改善を求める声はほぼ届きません。

その意味で、本課題に気づき、連絡をしてくださった学生の皆様の視点は大変重要であり、市場流通量が縮小する中での市場のあり方についてのレポートを作成、学会発表も計画しているとのことだったので、完成の暁にはぜひその見解を共有していただくようお願いをしました。完成が楽しみです!

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