「令和7年第3回都議会定例会」代表質問③~都市間競争、財源

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★は私が主体的に関わっている案件です。

都市間競争

 続いて、「世界に選ばれる都市」として、都市間競争に勝ち抜くための、世界を視野に入れた戦略について質問します。

国際機関の誘致

 都はMICEを観光・ビジネス振興の重要な柱と位置づけ、その誘致と開催を積極的に進進するための戦略と施策を展開しています。本年7月、知事は国連本部を訪問し、グテーレス事務総長に都への国連機能の誘致の意欲を伝えました。

 シンガポールやスイスのジュネーブ、米国のニューヨークなどは、国際機関があることでMICE誘致につながっています。

Q 東京に国際機関の一部でも移転することは、国際社会での我が国のプレゼンス向上に加え、都のMICE政策にも弾みをつけるものと思いますが、知事の見解を伺います。

A(知事)
○過去30年間にわたり内向き、また、縮み志向に陥り、国際社会で存在感を失っていた我が国に国際的プレゼンスを取り戻す。そうした想いで、一石を投じた。
○分断が進む世界情勢の中、 地政学的要所にある日本に、国家の枠組みを超えた国際機関を誘致することは、我が国から国際的な協調の流れを生み出すとともに、日本の安全・安心な環境など様々な魅力を世界に発信する契機。
○さらには、世界から高度な専門人材や国際会議などを呼び込み、国際的なビジネス拠点の形成につながるなど東京の持続的な成長を後押しする原動力。
○今後も、国内外の情勢を注視しつつ、国際機関の誘致に外交の主体である国が動くのであれば、全面的に協力し、様々な活動を通じて、東京日本のプレゼ ンスの向上を図っていく。

データセンターの整備促進

 データセンターは、デジタル社会の基盤となる重要な社会インフラであり、日本の国際競争力や経済力の強化のため、国内での整備が不可欠です。 

 整備の最大の課題が、電力の確保です。国は、再生可能エネルギーの豊富な地方への分散配置を構想していますが、多くの事業者が都心への近接立地を望んでいます。 

 一方、生成AIの進展に伴い、 データセンターの消費電力は今後大幅に増加すると予測されています。カーボンニュートラルとの整合性を保つためには、電カインフラの整備と同時に、省エネや脱炭素化の取組を促進することが重要です。 

Q 都内へのデータセンター整備を進めるため、電力基盤の強化を国や東京電力に働きかけるとともに、事業者に対して徹底した省エネ、再エネ利用を求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

A(知事) 
○都民の日々の暮らしや企業の経済活動は大量の情報やデータを基盤に成り立っている。膨大な情報を正確に把握し、分析、活用できるデータセンターの存在こそが都市の競争力を左右する。
○一方で、AIの普及によりデータセンターは高度化・大型化が進んでおり、都は、電力需要増加への対策として、省エネ効果の高い最新の冷却技術の実装化や、事業者による大規模な再エネ電源確保の取組を支援。
〇加えて、電力の供給面の対策として、国や東京電力に対して、再エネの導入拡大や電力系統の増強を強く求めている。
今後は、各データセンターの情報を把握するための都独自の仕組みを整備するなどより実効性の高い対策を進める。
〇環境に配慮したデータセンター整備を後押しすることで、快適な都民サービスの提供と経済活動の発展を強力に推し進め世界に誇るデジタル先進都市・東京を実現。

スタートアップ支援海外展開

 都のスタートアップ戦略では、ユニコーン企業を10倍に増やすなどの目標を掲げています。SusHi Tech Tokyo はアジア最大級のカンファレンスに育ち、 TIBはエコシステム関係者が集う「結節点」になるとともに、利用者のステータスを把握し、それにあわせたイベントを行うようにするなど、成長のプラットフォームとして整備が進んできました。

 ギアを一段上げ、ユニコーンの誕生を目指すなど戦略 2.0 を起動し、更に加速する時期にきています。TIBを活用し、グローバル市場で成功した先輩起業家によるマインドセットや経営戦略の伝授、資金面での大胆な支援が必要です。また、世界に向けてSusHi Techブランドを活かした戦略的なプロモーションを展開すべきです。

Q 都はSusHi TechやTIBで培った海外とのつながり等を活かし、これまで以上に大胆な支援策を展開し、社会を変えるイノベーションを生み出すべきと考えますが、知事の決意を伺います。

A(知事)
○「あらゆる挑戦者を応援する」ことを掲げ、戦略を皆で推進し、世界市場へ果敢に挑戦する起業家が生まれ始めている
〇次なるステージへの鍵は「成長」だ。有望企業の飛躍的な成長を強力に後押しし、社会全体の成長に繋げることが、何より重要だ。 「スケールアップ」に軸をおき戦略の取組をバージョンアップしていく。
○先日、スケールアップ企業を生み出す新たな枠組み 「スシテック・グローバル」を 多くの支援者とともに始動した。
AIや資源・エネルギーなどの分野で革新的な技術を持つスタートアップを厳選し、集中的に投資する。世界の有力な支援機関等と連携し、現地のエコシステムと繋がり、投資家や海外企業との協業に結び付けるなど、世界市場へ本気で挑む企業を徹底的に支援する。
○TIBとスシテックのプラットフォームを最大限に生かし、私自身も海外でトップセールスを展開しイノベーションが次々と生まれ、成長する東京を実現していく。

インターナショナルスクールの誘致

 グローバルなイノベーションを生み出すためには、高度外国人材を東京に呼び込むことも必要です。高度外国人材に、世界各地の先進都市の中から東京を選んでいただくためには、その家族にとっても暮らしやすい・暮らしたいと思える街としての環境整備も重要です。私たちは、その一環として教育環境の充実が必要だと考え、世界最高峰レベルの英語環境での教育が受けられるようなインターナショナルスクール誘致や拡充を訴えてまいりました。第1回定例会では「都は学校へのヒアリング等を通じて把握した諸課題を踏まえ、解決に向け、取組を進めていく」との答弁がありました。

Q そこで、インターナショナルスクールの誘致・拡充に向けて、さらなる取組の拡充を図るべきと考えますが、見解を伺います。

A(産業労働局長)
○都が昨年度実施した調査では、インターナショナルスクールを巡る課題として、既存校の情報や地域における理解の不足、学校設立等に向けたきめ細かなサポートの必要性などが明らかになった。
○このため都は、都内インターナショナルスクールの情報を一元的に発信するポータルサイトを来月開設し、11月には新たに地域の理解促進に向け地元自治体と連携した交流イベントを実施
○更に、都内への進出や増設を検討する事業者等に対し、予定地域における需要調査から事業計画の策定、各種申請手続等に至るまで、包括的な伴走支援を行うなど取組を加速。

世界陸上のレガシー ★

 世界を視野に入れた取組は、経済活動だけでなく、スポーツ、芸術、文化にも拡がります。

 世界陸上東京大会が閉幕して1週間余り、その熱気と感動の余韻が残っています。4年前の東京2020大会ではコロナ禍により無観客でしたが、今回は大勢の観客で盛り上がりました。大会を支えた全ての方々に深く敬意を表します。今回の世界陸上は東京2020大会後、初の大規模国際スポーツ大会であり、ボランティアの活躍などレガシーを継承し、新たな価値を創出したことは重要です。さらに本大会は、大手広告代理店に依存しない初の開催となりました。都はこの経験を活かし、広告・スポンサーシップを代理店任せにせず、組織力とノウハウを強化すべきです。

Q 世界陸上で得られたレガシーを次のスポーツ施策に繋げるべきと考えますが、見解を伺います。

A(スポーツ推進本部長)
○今大会は、今後の国際スポーツ大会のモデルとなるよう、財団と一体となり、情報公開の徹底や、引率者含め四万人を超える子供たちの観戦招待など多くの都民の参画、スポンサーの直接公募など、様々な取組を進めた。
都は、財団に職員を派遣し、 競技会場の運営や宿泊・輸送のオペ レーション、国際競技連盟との調整など、大規模大会ならではの貴重な経験を積むことができた。
○こうした大会の成果や知見をレガシーとして、今後のスポーツ施策の推進に活用。

 そして、次はいよいよデフリンピックです。私たちは、2022年9月の開催決定直後から、国内外から多くのデフアスリートや観客が集うこの大会を契機に、AIなどを生かしたユニバーサルコミュニケーション技術の社会実装化の取組を通じて、誰もが円滑にコミュニケーションができる共生社会の実現に取り組むよう、都に求めてきました。

Q デフリンピックの大会本番時には、様々な場面でユニバーサルコミュニケーション技術を活用し、国内外にPRするとともに、大会後もレガシーとして継承されるよう取り組むことが重要と考えますが、見解を伺います。

A(スポーツ推進本部長)
都はこれまで、110の都有施設への透明ディスプレイの設置、区市町村や鉄道施設への支援などを実施。
○大会時にはデフリンピックスクエアで、 国際手話を多言語テキストに変換する先端技術等を展示・PRし体験した選手から意見を収集して更なる技術開発にもつなげていく。
○街中では大会後も見据え、民間企業と連携し、駅のアナウンスをスマホで確認できる 技術やホテルにおける多言語翻訳タブレットの活用などを行う。これらの取組がレガシーとして社会に浸透していくよう、関係者と連携を進めていく。

自転車レースを通じた自転車利用すそ野拡大

 本年7月、私たちが求めた、2020大会レガシーコースを活用したTHE ROAD RACE TOKYO TAMA 2025が、国際競技団体UCIの公認レースとして開催されました。交通規制を伴うため様々な課題も生じましたが、国内外から集ったトップアスリートが多摩地域を駆け抜ける姿に、「こんな本格的なレースを国内で見ることができるとは」との声も寄せられました。

 また12月には、レインボーブリッジ・東京ゲートブリッジを自転車で走り抜けるレインボーライドが、4回目の開催を迎えます。

 自転車は、温室効果ガスを排出せず、健康増進のための運動習慣の醸成につながるスポーツであり、GRAND CYCLE TOKYOの取り組みを高く評価します。

Q 今後、GRAND CYCLE TOKYO事業を通じ、都民の自転車利用の裾野を拡大していく必要があると考えますが、見解を伺います。

A(スポーツ推進本部長)
○多摩地域で開催したロードレースでは、多くの関係者の協力のもと大会を実施し、国際レースを多くの方に間近に体感。
○臨海部のレインボーライドでは、自転車ファンから家族連れまで楽しめる、より魅力あるコースを設定。
○同日開催のイベントでは自転車を更に身近に感じてもらえるよう、コンテンツを充実
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〇寄せられた意見なども踏まえ、環境にやさしく健康づくりにもつながる、都民の自転車活用の裾野を広げるよう、本事業をさら に展開。

都の新たな文化芸術祭

 都市の成熟度を測る指標の一つが文化資源です。先進諸国と比べ、日本は文化芸術市場が小さいことから、私たちは街の魅力を高めるアートや障害者アート等の可能性を発掘・育成するよう求めてきました。

 私たちは「新たな文化芸術祭」の必要性を訴え、都は来年度から臨海地域をはじめ複数のエリアを舞台に、都市の祭典を始動するとしています。世界的に見ても、東京にはエリアごとに異なる街の魅力があります。新たな芸術祭では、個性豊かな街とアートを繋ぎ融合させることで、都でしかできない唯一無二の芸術祭にしていくべきです。

Q 新たな文化芸術祭ならではの仕掛けや開催の機運を高める取組等、先進的で発信力ある祭典とすべきと考えますが、見解を伺います。

A(生活文化局長)
○都内には多彩な催しがあり、それらを繋いでいくことでこれまでにない視点や価値の 連鎖が生まれていく。
○現代アート・舞台演劇・エンタメなど秋から冬を彩るイベントを結び合わせ、魅力を 創出する国際的な文化芸術祭を立ち上げる。
〇多くの催しが集積する3つのエリア、臨海地域、代々木、日比谷・丸の内を核として、各エリアを印象付ける魅力的な企画、 祝祭感を演出する街中のドレッシング、体的な プロモーション等を展開。
〇都内各地の様々なイベントとも連携して広がりを生み出し、クリエイティブの力で世界を魅了する都市像を描きだしていく。

築地まちづくり

 続いて、東京の魅力をつかさどる食文化について伺います。

 先月、事業者により、築地地区まちづくり事業の基本計画が公表されました。

 私たちは、これまで、水や緑に加え、築地が持つ歴史や食の魅力などの資源を生かすよう求めてきましたが、この計画では、シンボリックな景観デザインに加え、食文化の発展に取り組むことなどが示されました。 

 また、先日、埋蔵文化財調査や土壌汚染対策等に要する概算費用が示され、現地でも都有地活用に向けた準備工事が動き出しています。

Q このように、新たな段階に入りつつある築地まちづくりですが、引き続き、「食の魅力」をはじめとする「築地らしさ」をまちづくりの中にしっかりと取り入れ発信していくべきと考えます。見解を伺います。

A(都市整備局長)
〇本事業は先進性と国際性を兼ね備えた東京の新たな顔となる重要なプロジェクトで
ある。
〇8月に事業者が公表した基本計画では、築地市場の歴史を継承する扇をモチーフと
した景観デザインや、多様な活動の舞台となる隅田川沿いの水辺空間等を創出することとしている。
〇また、場外市場とも連携して食の専門家を入れた検討体制を構築し、築地が培ってきた食文化の更なる発展に取り組むなど、広く国内外に魅力を発信していく。
〇今後は、この基本計画をもとに、地元関係者とも連携して事業の具体化を図り、世界に誇れるまちづくりの実現に向けて取組を推進していく。

 

財源

世界と伍して戦える、魅力ある都市であり続けるためには、それを支える財源も重要です。

宿泊税

 現在、都の宿泊税については見直し議論が進められていると承知していますが、持続可能なインバウンドという観点から、受入環境の整備などの観光振興に加えて、観光客の増加に伴うゴミ問題への対応など、

Q 都民ファーストの視点で、インバウンドの環境整備に資する財源として宿泊税を活用すべきと考えます。見解を伺います。

A(主税局長)
○制度の創設から二十年以上が経過し、高額な宿泊を含む観光客の増加に加えて、地域における生活と観光の調和を図る視点が重要性を増すなど、宿泊税を巡る状況は大きく変化〇こうした中、宿泊税の制度見直しに向けた取組の一環として有識者や宿泊施設事業者の 皆様などと意見交換を実施し、課税方式など、見直しにおける論点についてご意見を伺った。
〇また宿泊税の使途に関しては、観光の持続的な発展に向けた施策や、観光客増 加への対応の財源として活用すること、税の使途について積極的に公開することなど、幅広い観点からご意見を頂いた
〇こうしたご意見も参考にした上で、年内の素案公表に向け、使途のあり方や公表方法についても検討を深めていく。

消費税

 一方、都は先般、特別会計である東京都都営住宅等事業会計において、令和4年度以前の事業分に関する未納の消費税、およびそれに伴う延滞税・無申告加算税を申告・納付したことを公表しました。

 これまでわが会派の清水やすこ都議は、監理団体や公営企業会計における消費税処理の誤りにより加算税や延滞税といったペナルティーが発生していることを指摘し、同様の支出を繰り返さないよう求めていました。税収が重要であるのと同様に、税の支払いにおいても厳正な対応が求められます。

Q まず、他に同様の事例がなかったか、特別会計を所管している局が点検を行っているとのことですが、都営住宅以外の特別会計の状況について伺います。

A(財務局長)
〇都営住宅等事業会計において消費税の未申告が判明したことを受け、各局が、その所管する全ての特別会計を対象に申告義務の有無について、点検を行った。
〇この結果、その他の特別会計において、新たに消費税の申告が必要な事案はないことを確認した。

Q 併せて、今回の消費税の未申告の件について、事務方の責任者である中村副知事に基本的認識を伺います。

A(副知事)
○消費税末申告に関する基本的認識についてだが、
今回の事案は都民の皆さまの信頼に関わる重大な問題と認識。特に、未申告の状況が長期間継続したことは、組織運営上の課題であると考えている。
○現在、組織運営上の課題も含め、徹底した原因究明を行うため、総務局が監察を実施している。
○詳細な結果を監察によって明らかにし、徹底した再発防止策を講じこれにより、都民の皆様の信頼回復に努めていく。

 支出の無駄をなくすとともに、都民の信頼を得るためにも、消費税申告手続きの適正化を強く求めておきます。

偏在是正

 最後に、「偏在是正措置」について伺います。

私たちは知事と共に東京大改革を推し進め、国をリードする多くの政策を実現してきました。一方、一部の自治体からは「財政力格差」という声も聞かれ、国に税源の偏在是正措置を求める要望書が提出されたほか、国においても、自治体間の税収偏在の分析が進められています。

都は「賢い支出」の徹底などで財源を確保した上で、生活コストが高い都の事情等を踏まえながら積極的な施策を展開してきたのであり、改革努力を無視した都への批判は大いに疑問です。また、都市間競争に勝ち抜く戦略的な取り組みの基盤となる税収をこれ以上奪われることは、国全体の損失になりかねません。

 偏在是正措置により、すでに年間約1.5兆円、都民一人当たり年間10万円以上が国に収奪されています。こうした国の不合理な措置に対しては、党派を超えて都議会が一丸となって対応を進めていくべきです。

Q 都を狙い撃ちする、「偏在是正措置」の動きに対しては、国などに、都の主張を毅然と訴えていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

A(知事)
○地域間の財政力格差を是正する名目で繰り返されてきた地方法人課税の見直しは、地方分権の理念に逆行する不合理な措置である。
○昨今、行政サービスの地域間の相違を理由に税収の偏在を是正すべき、との主張がなされているが、地方交付税等を加えた人口一人当たりの一般財源額で見れば、都は全国平均と同水準であり、是正すべき偏在はない。本来、各自治体が地域の実情を踏まえ、それぞれの優先度に応じて必要な行政サービスを展開することが、地方自治の基本である。
〇こうした観点から、各自治体が個性や強みを発揮できるよう、地方税の充実、確保こそが重要であり、地方同士で限られたパイを奪い合う内向きの議論の先に日本の持続的な成長はない。
○更なる不合理な見直しを求める意見には、そもそも是正すべき偏在はないことや、東京特有の財政需要を含め様々なファクトを示し、あらゆる機会を捉えて強く反論していく。
また、地方税財政制度の抜本的な改革に向け国などに対してしっかりと働きかけていく。

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