「令和7年第3回都議会定例会」総務委員会②~子供政策連携室(チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針2025)

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 同じ都民ファーストの会のさいとう都議より、以下の質疑がなされました。今季から総務委員会委員長を務めているので、自身で質疑に立つことができません。よって、私も答弁調整に関わった本橋都議の質疑について、以下に記載します。

子供政策強化の方針2025について

 都は、8月、「チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針2025」を公表しました。
 私たち都民ファーストの会は、これまで「子供の声」と「エビデンス」に基づいて子供政策を不断にバージョンアップしていくべきと様々な機会を捉えて提案してきました。
 とりわけ、子供たちの実態を定点的に把握するために毎年度実施している、都独自の一万人規模の大規模なアンケート調査「とうきょう こども アンケート」は、都の子供政策を象徴する中核的な位置づけであると認識しています。

そこでまず、「とうきょう こども アンケート」の中で見えてきた政策課題と基本的な対応方針は

(企画調整部長)
・都内約1万世帯を対象に当室が実施している「とうきょう こども アンケート」の調査結果によると、東京の子供は、「今の自分は幸せだ」という設問に対し、64.4%が肯定的に回答しており、その割合は、アンケート開始後の直近3年間において増加傾向
・一方、中学生、高校生段階へと学年が上がるにつれて、幸福度は低下傾向となり、悩みを抱える割合は高くなる傾向
・加えて、中高生世代において、身近な地域に安心して過ごせる居場所が少なくなる傾向もある。
・このため、「思春期の「メンタルヘルス」増進」や「多様な「子供の居場所」創出」のリーディングプロジェクトを新たに組成し、様々な政策の充実強化を図ることで、調査により明らかとなった課題に対応

 これまで子供政策は、どちらかと言うと、就学前や小学生の子供たちが政策の中心にあったという印象があるが、中高生を対象にした取り組みの必要性を新たに見出したことは、重要です。
 先ほどご答弁頂いたように、学年が上がるにつれて、幸福度が低下し、悩みを抱える子供の割合が増えるとのことですが、心身の成長が著しい「思春期」は、自分自身や周囲との関係などに敏感になり、自分らしさを模索するだけでなく、受験が控えていることも大きく影響すると考えます。
 一方、「思春期」は活動範囲が拡大することで、様々な人と出会い、刺激を受け、考え、実践を重ねることで主体性や能動性が培われ、自分なら課題を達成できるという「自己効力感」や、他者に必要とされたり貢献しているという「自己有用感」、そして、ありのままの自分を認める「自己肯定感」を養う大切な時期でもあります。
 こうした「思春期」という大切な時期に着目し、子供たちの幸福度をより高めていくため、政策を強化していくことは大変重要です。
 一方で、代表質問でも述べたように、日本のこどもの自殺が過去最多を更新するなど、対策が急務です。今期、私を含む若手メンバーで立ち上げた「若者政策プロジェクトチーム」でも重要課題として認識しており、先の私たちの代表質問でも「生きる支援」の重要性を取り上げたところです。
 相談窓口などのセーフティネットの整備に加え、先に述べた「自己有用感」や、「自己肯定感」を高めていくことは、メンタルヘルスの不調を防ぐことにつながると考えます。

そこで、今後「思春期」における子供のメンタルを支え、幸福度を高めていくために、どのように取り組んでいくのか

(企画調整部長)
・世界的に深刻な課題となっている思春期のメンタルヘルスは、東京においても子供の自殺者数が増加傾向にあるなど、対策の重要性は増加
・このため、今後、「思春期における心身の健康づくりの推進」や、「子供の心の不調に関する気づきと見守りの促進」「子供の日常の過ごし方等を把握し、思春期のメンタルヘルスへの影響等を分析」について政策の強化を検討していく
・また、心身の健康を維持するために必要な要素である自己肯定感や自己有用感を高める上で居場所は重要な存在
今後、中高生の意見反映や主体的な参画といった視点を政策の柱に据え、区市町村等と連携した中高生の居場所づくりの在り方について検討を進めていく
・加えて、中高生の活動を日常的に支える人材が果たす役割等を踏まえ、支援のあるべき方向性について有識者の意見も伺いながら、検討
・こうした政策の強化により、子供一人ひとりに寄り添い、ウェルビーイングを高めていく

 ご答弁の中で対策として述べられた「居場所」の在り方については、先の私たちの代表質問でも異年齢の交流の重要性や、アントレプレナーシップ教育の意義を述べ、参考にするよう求めたところですが、「中高生の意見反映や主体的な参画を政策の柱に据え検討を進める」と、居場所の性質がそれに沿うものであることを改めて確認しました。思春期の子供が豊かな経験ができ、心身の健康を育むことができる「居場所」づくりを進めていただくことを期待します。

「とうきょう すくわくプログラム推進事業」について

 就学前の子どもの意欲、自己肯定感、社会性などの非認知能力を養うことをコンセプトとする、「すくわくプログラム」も、大変意欲的な取組です。
 一方で、この非認知能力の伸長というのはまだ研究段階にあることから、走りながらでも効果検証し、施策のブラッシュアップにつなげる努力が欠かせません。
 そこで、私たちは、令和6年の第1回定例会の代表質問で、すくわくプログラムの全域展開に当たっては、効果検証の仕組みを取り入れていくべきと訴え、知事からは、東京大学CEDEPとの連携の下、プログラム実施に伴う効果検証の仕組みの在り方についても検討との答弁を得ています。

効果検証についての現在の取り組み状況を伺う。

 (企画調整部長)
・ とうきょう すくわくプログラムの効果検証に向けて、本プログラム実施の保育者等に対し、子供や保育者自身の変化を分析・検証するためのアンケートを行い、回答結果の分析を進めている
保育者に対して「探究活動を重ねることで、日常の幼児教育・保育の中で、子供の姿に変化があったか」と尋ねた設問では、保育者のうち73%が、「子供の物事への興味・関心が高まった」と回答し、63%が「自分から、『これがやりたい』『試したい』と積極的に発言、行動するようになった」との回答
・この結果から、本プログラムの取組により、子供の好奇心や探究心、意欲が高まっている姿が見られた
・また、約9割の保育者が、「取組の中で子供の姿に驚くことがあった」と回答しており、「子供がやってみたいと目を輝かせることが多くなった」、「試したい、やってみたいといった言葉を発する姿がみられた」など、プログラムに取り組む子供の姿について回答
・今後、東京大学CEDEPと連携し、回答結果の詳細な分析を進め、各園における質の高い実施につなげていく

 保育者を対象にしたアンケート結果では肯定的な反応が多いことを確認しました。研究機関と連携しているのであれば、これまでも述べてきたように、子どもの育ちに与える長期的な評価にも取り組むことを改めて要望しました。

 また、研究段階にあるからこその対策として、「令和6年第3回都議会定例会」総務委員会において我が会派の福島都議より、学校教育で実績のある「研究授業」などを参考にするよう求め翌年の予算特別委員会の総括質疑では、ナビゲーター園制度を立ち上げ、相互に学び合う仕組みを構築するとの答弁を得ました。保育者からは、園同志の学び合いに期待する声をいただいています。

そこで、ナビゲーター園制度の意義と、その取り組み内容は

(企画調整部長)
・ 幼稚園や保育所等における、とうきょう すくわくプログラムの探究活動の質の向上を後押しするため、プログラムを実施する園同士のネットワークを創出し、相互に学び合う環境を整えていく
・ このため、今後、プログラム実施園全体の探究活動をリードする、すくわくナビゲーター園制度を創設
ナビゲーター園は、園同士のネットワークの中心となり、他園からの見学を受け入れる中で、交流や取組の紹介等を実施
・ これにより、すくわくプログラムを実施する園同士の活発な学び合いを促進

 令和7年度は約42億円、1園あたり最大150万円の予算をかけて取り組んでいる事業であり、就学前の子どもたちの非認知能力を育む効果的な事業へとブラッシュアップを重ねていただくよう要望しました。

東京都こどもホームページについて

 「子供政策強化の方針2025」19ページ・20ページによると、このホームページは、子供たちと「一緒に作る、一緒に育てる」をコンセプトとして、子供の声を聴きながら継続的にアップデートをしてきたとのことです。
 これに加えて、公立小学校の一人1台端末への接続が年々拡大していることも相まって、昨年度の年間閲覧数は1億PV(ページビュー)を突破しています。主に東京こどもタイピングレースがその人気をけん引しているとはいえ、行政の子供向けサイトとしては異例の数字であり、評価します。
 これだけのポテンシャルのあるホームページであれば、これを入口に、都庁各局が子どもを対象に個別に作成してきた、例えば、消費者教育、がん教育、環境、防災などの様々なコンテンツを、必要とする子どもに伝えられる可能性があります。そこで、

Q 都として周知を図りたい情報やコンテンツについて、各局との連携を強化し、こどもホームページを活用して発信することで更なる効果が期待できると考えるが、見解を

(プロジェクト推進担当部長)
・ 「東京都こどもホームページ」には、1日当たり最大約7万人の子供が訪れており、閲覧数は9月末までの半年間で9,600万PV(ページビュー)を超え、昨年度実績を大きく上回る見込み
・ 現在、「東京都こどもホームページ」内に各局が作成した子供向けの学習コンテンツ等を掲載するページ「こどもリンク集」を設けており、約70件のリンクを掲載しているところであるが、閲覧数の増加に伴い、「こどもリンク集」から各局等のコンテンツに送客された回数についても昨年の同期間と比較して約1.4倍の約3万2千回
・ 今後、こうした実績をもとに、各局に対してこどもホームページへのリンクの掲載効果を丁寧に説明し、子供とつながる情報プラットフォームとして戦略的に活用することで、庁内各局の施策やコンテンツの広報・PRに寄与

 こどもリンク集に掲載したことで送客が増えたというエビデンスは重要。答弁にあったように各局に情報提供し、より政策効果を高めるよう要望しました。

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