「令和8年第2回都議会定例会」代表質問⑤~産業振興&国への提言

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★の質問を調整しました。

産業振興

 災害から都民を守ることに加えて、東京の成長戦略もまた東京の未来を左右する重要な課題です。都が時代の変化に応じて柔軟に成長するための産業政策について伺います。

「女性活躍推進条例」の施行★

 小池知事の都知事就任以降、都は家庭と仕事の両立支援女性管理職登用の拡大事業者の環境整備支援女性活躍推進特例融資の創設など、多角的に女性活躍を後押ししてきました。これまでが女性の社会参加を支える段階だとすれば、これからはキャリア形成を後押しする段階です。

 責任ある立場に立つには男女ともに経験が必要です。本年7月に施行する「女性活躍推進条例」では、管理職比率や賃金格差の把握、都の調査協力など、事業者に具体的行動を促す仕組みが特徴です。採用・育成・配置の各段階において、性別にとらわれず経験を積める環境を整えることは、女性の力を引き出し、東京の成長力を高めることにつながります。

女性がその個性や能力をいかんなく発揮できる環境整備に向け、女性活躍の重要性を事業者に認識してもらい、具体的な行動につなげていくことが必要と考えますが、知事の見解を伺います。(知事・産業労働局)

A(知事)
〇知事就任以来、女性こそが東京の最大のポテンシャルだと申し上げてきた。その思いを形にした女性活躍推進条例をいよいよ7月1日に施行。
〇これに向け、先日、事業者に具体的な取組を促すための指針や多様な実践事例を公表するとともに、相談窓口を開設。私自身も企業のトップに対し、様々な場面で直接働きかけている。
〇あらゆる産業分野での取組が進むよう業界団体等とも連携し、気づきを促す研修動画等も活用しながら、条例の趣旨を徹底。また、女性管理職の増加や非正規従業員のキャリアアップ等に取り組む事業者への支援も進めていく。
女性が働きやすい環境は、皆が働きやすい。条例元年の今年、このメッセージを力強く浸透させるとともに、現場のニーズを踏まえて施策をアップデートしながら誰もが生き生きと暮らす社会を実現。

グローバル市場への進出支援

 中東情勢の悪化が地政学的な緊張を高め、国際的なビジネス交流にも大きな影響が生じています。こうした中でも、先月開催されたSusHi Tech Tokyo 2026には、100を超える国・地域から過去最大となる6万人が会場に足を運び、大変な賑わいと熱気に包まれました。これは、スシテックがアジア最大のグローバル・イノベーション・カンファレンスとして定着したことを示しています。

 世界情勢が混沌とする今だからこそ、世界の都市間で連携を強め、テクノロジーの力で課題解決を図るとともに、新たなビジネス機会の創出を通じ、スタートアップの大きな成長につなげていくことが求められます。

そこで、スシテックで築いた世界とのつながりを活かし、優れた技術を持つスタートアップのグローバル市場への進出を強力に後押ししていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。(知事・スタートアップ戦略推進本部)

A(知事)
〇4回目を迎えたスシテックには、過去最多の起業家、大企業、投資家、海外都市が集い昨年の4倍となる2万5千件の商談、新製品などの発表は100超。まさに、新たなビジネスを生む起爆剤へ成長し東京に対する世界の期待が高まっている。
〇ここで生まれたチャンスを海外での成果に結びつけるため、スシテックに出展したシンガポールの支援機関と連携し、東南アジアへの本格展開を目指す企業の現地派遣プログラムをこの秋から開始。
○さらに、中東情勢を踏まえ、資源の確保という世界共通の課題を東京が率先して解決していくことが重要。そのため、スタートアップの革新的な技術を活用して、資源・エネルギー構造の転換などを目指すプロジェクトへ の支援を開始
○こうした取組を通じ、日本企業による海外市場への展開を力強く後押しするとともに都市の課題解決に資する革新的な技術を東京から世界へ広げていく。

事業者向けサービスの利便性向上★

 都民の利便性向上に向け、都は東京アプリの構築を進めていますが、事業者にとっても便利になったと実感できる仕組みづくりが重要です。国が推進する事業者向け共通認証システム「GビズID」は、補助金申請などを簡単・安全に行える重要なデジタル基盤であり、都としても積極的な活用を進めるべきです。

 特に、行政手続で一度入力した情報を再度求めない「ワンスオンリー」の徹底は、手続時間を大幅に削減し、事業者が本業に集中できる環境づくりに直結します。こうした負担軽減こそ、デジタル化の実感につながります。

そのため、今後、GビズIDを活用して、事業者の負担軽減につなげていくべきと考えますが、見解を伺います。(デジタルサービス局)

A(デジタルサービス局長)
○一つのIDであらゆるサービスを簡便かつ安全に利用できる環境を整備し、手続に要する時間を短縮することは重要。
都は、GビズIDを軸に事業者データの整備・活用を進めており、企業や医療機関向けなど約半数の補助金申請で一度登録した情報の再入力が不要。
今後、更なる対象拡大に向け、利用の多い手続からGビズIDへの一元化を進める。
○手続ごとに分散する情報を一つのIDで連携させ、利用実績に基づく最適な施策を事業者に届けられるようにする。
○加えて関係団体と連携しID取得促進に取り組むこと等を通じ事業者の利便性を向上。

屋外広告物の規制と活用に向けた検討

 都はこれまで屋外広告物について、良好な都市景観の形成や都民等の安全性を確保する観点から、時代に即した規制を実施してきました。近年、世界的な旅行需要の増加に伴い、屋外広告物を取り巻く環境は大きく変化しています。

 こうしたなか、魅力的な景観やまちづくりの観点から、規制のみならず、屋外広告物の適切な活用を図る視点も重要です。例えば、アニメや歴史文化等の広告物を通じて、観光名所となるような「東京らしさ」を象徴する景観を生み出すこともできるのではないでしょうか。同時に、良好な景観や風致の維持にも留意することも大切です。

屋外広告物について、安全性はもとより、表示する広告物の適切さも確保しつつ、東京の景観の魅力向上に向け、時代に応じた柔軟な対応を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。(都市整備局)

A(東京都技監)
〇屋外広告物は、都市景観の重要な構成要素の一つであり、環境の変化に適切に対応することが必要であることから、屋外広告物の活用等について、今年4月に広告物審議会へ諮問を行った。
〇審議会では、来街者が多い地域での積極的な広告物の活用により地域の個性を引き出し東京のプレゼンスを高めることも必要との意見があった。
〇今後、規制に加え、まちづくり団体等の自主的な審査により歴史や文化等、地域特性を踏まえた良質な広告物を誘導する仕組みを構築するなど、広告物の活用による魅力的な景観の創出について検討を進めていく。

築地再開発における埋蔵文化財の扱い

 築地地区では、東京全体の国際競争力の向上に向けたまちづくりが進められていますが、 先日、築地市場跡地の埋蔵文化財調査において、明治期の海軍遺構が出土し、一部の遺構が重要なものであることが示されました。埋蔵文化財は、国や地域の歴史を語る上で欠くことができないものであり、築地まちづくり事業においても、埋蔵文化財の保護とまちづくりの両立を図っていくことが重要です。

そこで、今回出土した明治期の遺構を都民等に公開するとともに、特に貴重な遺構については適切な保護を図るべきと考えますが、見解を伺います。(都市整備局) 

A (東京都技監)
〇都はこれまで埋蔵文化財調査にあたっては、関係法令に基づき、教育庁等の関係機関と協議を行いながら適切に対応してきた。
〇地区東側にて出土した明治期の海軍遺構について、先月、有識者から一部を移設し保存することが必要という意見が示されたことから、関係機関等との協議により、当該遺構については移設保存することとし、今後、具体的な検討を進めていく。
〇また、歴史や文化等の正しい理解の形成に向け、都民等に対し、来月、今回出土した遺構の発掘調査の現場公開の機会を設ける。

カスハラ対策奨励金の受付改善

 私たちが求め、全国に先駆けて制定したカスハラ防止条例は、施行から1年が経過し、カスハラの認知度も約9割に達しています。中でも、中小企業1万社を対象とする奨励金の事業を通し、カスハラ防止対策の実践が社員の安心に繋がり、サービス向上に寄与したという好事例もあり、現場からは継続して大きな期待の声をいただいています。

 しかし、事業者が受付システムにアクセスできない事例もあり、先の予算特別委員会で私たちが改善を求めたところ、都は原因の調査と併せ、事業者に寄り添った対応を検討すると答弁がありました。取組の入口となる募集時の不備はカスハラ対策に留まらず他の職場環境整備を促す事業への信頼にも影響します。

カスハラ奨励金の募集方法について、どのように改善していくのか、また、この教訓を他の奨励金等にも活かすべきと考えますが、見解を伺います。(産業労働局)

A(産業労働局長)
〇本年3月の受付では、先着順としたため、募集開始時に申込アクセスが集中しシステムの不具合により申請画面に繋がらない事象が生じるとともに、2,000 件の枠が短時間でいっぱいとなった。
〇こうした状況を踏まえ、今月25日に開始する今年度第1回募集では、申込アクセスの処理能力をこれまでの2倍以上に強化するとともに、一定期間、事前エントリーを受け付ける方式に改め、申請機会を確保し、件数も2,500件に拡大。
今回の対応で得たノウハウを職場環境整備に係る他の施策を実施する際にも活用し、より一層利用者目線に立った運用となるよう取り組んでいく。

都発注工事における熱中症対策の強化

 気候変動に起因して今年も「酷暑」が予想されるなか、屋外作業における熱中症対策は、まさに命を守る最優先の課題です。工事に関わる皆様からは「熱中症対策で休めと言われても、工期が遅れたらペナルティになるのではと不安」「熱中症対策費の積算が実態と合っておらず、結局自社で持ち出している」という声をいただいています。

 加えて、中東情勢による資材不足や価格高騰への不安から、「工期が間に合わないのでは」、「資材の高騰が予定を上回るのではないか」との声もあります。

そこで、都発注工事における熱中症対策や資材不足に的確に対応するとともに、区市町村にも都の取組を周知し、都全体で取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。(財務局)

A(財務局長)
○都発注工事についてであるが、事業者が不安なく働くことができる環境の整備は重要である。
○これまでも、熱中症対策に必要な費用の計上や猛暑日を考慮した工期設定等を行ってきた今夏の新たな取組として、一斉休工など猛暑の時期等を避ける工期上の更なる工夫や、 新規・既存の契約で、作業効率の低下に伴う労務費の割増しを行う。
○また、中東情勢の影響を踏まえ、契約金額や期間の変更に柔軟に対応するよう、各局に周知するとともに、都の取組を定例の会議体等を通じて、区市町村にも共有している。
○こうした取組を通じ、区市町村とも連携を図りながら、事業者の安全安心への取組を進めていく。

 また、『暑さに配慮した職場環境づくり奨励金』は一人親方が対象となっておらず、物価高騰下において、建設業等の現場実態を踏まえた支援拡充を要望しました。 

持続可能な水産業の確立

 また、猛暑の常態化や集中豪雨の激甚化が河川や海洋等の水域環境の変化も深刻です。水温の上昇に伴う生育環境の悪化や、漁獲される魚種の変化等が発生しており、漁業経営に大きな影響を及ぼしています。

都はこれまで、海洋環境の変化に伴う藻場(もば)の回復や、ゲリラ豪雨等への対応として内水面養殖における飼育環境のモニタリングなどを行っていますが、気候変動の影響を前提とした上で、新たな魚種や方式にチャレンジするなど、漁業の質と量の両面を高める、さらなる取組が必要と考えますが、見解を伺います。(産業労働局)

A(産業労働局長)
〇気候変動により漁場環境が悪化する中、持続可能な漁業を実現するには、先端技術の活用など新たな視点での取組が必要。
〇このため都は今後の漁獲対象となる魚種の検討に加え、東京に適したコンパクトな施設での陸上養殖のモデルを構築。多摩地域では、先進技術を持つ企業や漁協と協力し、特産のヤマメを海水飼育でサクラマスに成長させる技術を開発。
〇また、湧水が豊富な神津島村と連携し、チョウザメの養殖に取り組む事業を開始。
〇これらの養殖技術を確立することで、生産基盤の強化と高付加価値化を実現。

全庁システムの脆弱性対策★

 災害への備えと同様に、デジタル基盤の強靱化も重要です。 都では、各局において都民サービスを支える多様な業務システムが運用されていますが、サイバー攻撃を未然に防ぐためには、個々のシステムごとのセキュリティ対策にとどまらず、全庁横断的な対策を進めることが重要です。とりわけ、脆弱性が残されたままになると、攻撃の侵入口となる恐れがあることから、平時から構成や更新状況を把握し、必要な対策につなげていくことが不可欠です。

 また、Claude Mythosなど最新型AIによる加速度的な学習によってもたらされる予期せぬ危険性も議論を呼んでいますが、こうした状況を踏まえて、システムの弱点を早期に把握し、放置しない管理が一層重要となります。

そこで、全庁にまたがるシステムやネットワーク機器等の状況をどのように把握し、脆弱性対策を進めていくのか、見解を伺います。(デジタルサービス局)

A(デジタルサービス局長)
○高度化するサイバー攻撃から都民サービスを守るため、システムやネットワーク機器の状況を把握し、脆弱性対策を着実に行うことが重要。
〇昨年度立ち上げたサイバーセキュリティセンターでは全庁システムを常時監視しており、外部からの脆弱性が発見された際は、GovTech東京と連携して各局の対応を支援。
今後、AIを活用した監視に加え特に重要なシステムについては攻撃者の視点でリリース前に脆弱性の有無を確認する等、取組をさらに強化し都民サービスを安定的に提供。

国との関係

 最後に、国への政策提言について伺います。昨今の国の政策に通底するのは、未来への“視座の欠如”です。本来、国は東京の力を削ぐのではなく、東京や地方の力を引き出す存在であるべきです。東京の成長を阻むのではなく、共に未来を拓く方向へ舵を切ることを強く期待します。 

23区大学定員規制について

 東京23区の大学定員規制について、私たちはかねてよりこの規制について、地方創生を目的としながらも、東京の大学改革や高度人材育成に大きな制約を与えるものとして問題視してきました。生成AIをはじめ技術革新が急速に進む中、我が国の持続的成長には高度人材の育成が不可欠であり、大学にも時代に応じた変革が求められています。しかし、東京23区内にあるという場所だけを理由に定員増が認められない不合理な規制により、学部・学科の新設やキャンパス再編が妨げられ、大学改革に支障が生じています。都の調査でも、大学や若者から規制への懸念が多く寄せられており、こうした声を重く受け止める必要があります。 

来年度末の時限を控え、国でも規制のあり方の検討が始まった今、東京の成長力を支える人材育成の観点から、この不合理な規制の撤廃に向けて今後どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。(知事・政策企画局)

A(知事)
○大学は 「知の拠点」として、次代を担う人材育成やイノベーションの創出に極めて重要な役割を担っている。国際競争が一層激化する中、時代の変化に応じて大学の教育・研究機能を発展させていくことが不可欠。
○本規制は場所だけを理由に大学の改革を阻む不合理なもので、「人こそ資源」の我が国の国力低下につながりかねない。現に23 区の多くの大学からは、規制に対する懸念の声が寄せられている。
○また、若者からも、進学先の選択肢が狭まることへの不安の声や、学びたい分野を自由に選べる環境を求める声が数多く寄せられておりこうした切実な声に応えていく必要。
○今後、大学や経済界などとも連携し、規制の不合理さを社会全体に訴えていく。また、国と都の協議会など、あらゆる機会を通じて、国に規制の撤廃を強く働きかけていく。

地方税制の不合理な見直しについて

 昨年12月に示された令和8年度税制改正大綱以降、いわゆる偏在是正に関する議論が激しさを増しており、都議会としても、超党派で問題提起を行っています。全国の自治体で財源不足に苦しむ事情は理解するものの、もとより、地方全体の財源確保は国がしっかり責任を持つものであり、東京で稼いだ税収は東京に還元されるべきであり、都民の大切な税金がさらに奪われる動きは見過ごすことができません。

 国は都市と地方の財政力格差が拡大しているとして、令和9年度税制改正で結論を得るとの考えですが、そもそも、一人当たりの一般財源額でみれば、都は全国平均と同水準であり、是正すべき格差はないはずです。

国の不合理な措置には、ファクトを示してしっかりと反論していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。(知事・財務局) 

A(知事)
○都の税収を狙い撃ちにする一連の措置は、地方分権に逆行する不合理なものである。
本来、各自治体がその個性や強みを発揮できる地方税財源の充実こそが重要であり、限られたパイを奪い合う内向きの議論の先に、我が国の持続的な成長はない。
○こうした中で、国は地方交付税算定上の都の財源超過額を追加措置検討の根拠としている。しかしこれは、「国の物差し」で都の財政需要を過少に算定した値に過ぎず、実態を正確に表していない。
○例を挙げると、都は、通勤や通学による昼間流入人口が三百万人を超えているが、交付税算定上、七十二万人分しか考慮されていない。
また、警視庁は、国会等の重要施設の安全確保など首都を守る警察活動を担うが、こうした都特有の需要が十分に反映されていない。
○更なる不合理な見直しを進める動きには、ファクトを示して反論するとともに、国などに対して、地方の責任と役割に応じた地方税財源全体の拡充を働きかけていく。

 以上、あらゆる世界情勢の変化にも対応できる東京を築いていくために、今後も都民ファーストの観点から政策実現を進めていくことをお誓い申し上げ、質問を終わりました。

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