私たちは、会派メンバーの小笠原諸島の訪問や、村議会議員の皆様に都議会にお越しいただくなど、定期的に、意見交換を重ねてきている。直近では、4月2日~7日に視察に伺い、5月16日に、村議会の皆様に都議会にお越しいただいた。これらの意見交換に基づき、いくつか質疑、そして要望をしたいと思う。
産業振興
小笠原村では、建設業の持続可能性に課題があると聞いた。
今般取りまとめた小笠原諸島振興開発計画素案は、国が定める基本方針に基づき作成したものであるため、「産業の振興開発」には「建設業」に関する記載はないことは承知するものの、建設業の維持に向けた支援も大事な視点である。今後取組を進めていただきたい。
再生エネルギーの活用
小笠原村では、太陽光や蓄電池を導入しようにも、都営の小笠原住宅に住む人が多いなど、他の島しょに比べても戸建ての持ち家率が低いと聞いた。そこで、
Q 集合住宅向けの再生可能エネルギー導入施策はあるか。また、小笠原住宅に導入しているか伺う。
A(小笠原・国境離島担当部長)
〇 小笠原村のエネルギー自給率を高めることは、化石燃料由来のエネルギー消費量の削減に加え、地域防災力の強化にも寄与、再生可能エネルギーの活用を進めていく必要
〇 都では、ゼロエミッションアイランドの実現に向けた取組の一環として、集合住宅や事業所などでの太陽光発電設備及び蓄電池の設置が進むよう、設置者に対し経費の一部を助成
〇 また、公共施設や避難所機能を有する防災拠点施設への太陽光発電の導入に取り組んでおり、小笠原住宅の建替えに当たっても設置を予定
先日ご意見を聞いた印象では、集合住宅向けの支援については周知が足りないように思う。令和4年より新しくできた事業とのことなので、丁寧な周知をお願いする。
また、太陽光発電設備を積極的に活用するとのことだが、太陽光発電設備は点検や維持メンテが必要であり、これができる事業者が育っていないとも聞いた。
小笠原村としても、メンテナンスを行う技術者の育成等について、島内外事業者への働きかけを行うこととしているようであるが、来年春より始まる太陽光設置義務化のタイミングで、例えば、島しょ部以外の都内で研修してもらうなどの取り組みが必要ではないか。改めて村と検討し、取り組みを進めていただきたい。
小笠原村の住宅
住宅についてであるが、村議会の皆様より、
・せっかく移住しても、子供ができると部屋数がある住宅がなく島を出ていかざるを得ない、
・若者は住宅がなくて本土に戻っている
などの課題があると聞いた。計画素案に住宅整備の取り組みがあるが、
Q 今後の住民増減の予測と住宅整備の計画について伺う
A(小笠原・国境離島担当部長)
〇 村の将来人口推計によれば、総人口は減少傾向が見込まれ、本計画素案では、令和10年度末の人口を令和5年度末より増加させる目標を設定、住宅不足の解消が喫緊の課題、住宅整備に向けた取組を推進
〇 現在、小笠原住宅である父島清瀬アパートの一部で建替工事に着手、戸数30戸が建替後44戸になる計画
〇 また、父島においてモデル事業としてファミリー向け賃貸住宅の建設を推進
〇 住宅用地を確保するため、土地利用計画を見直し、集落地域を拡大
答弁にあったモデル事業については、ファミリー向け賃貸住宅であり、今年度には入居開始とのことだが、清瀬第2アパートについては、資料によれば、新築する南棟は令和4年度中に工事が契約できれば令和7年度中に竣工予定、北棟はその先になるとのこと。
現在進めようとしている住宅建設と今後の人口予測の整合を図る必要があると考える。今後、取り組みを進めていただきたい。
また、建築物の老朽化が進み、事業継承しても建物はそのままであり、建築廃材を島外に持ち出すのが高額であるなどにより、廃墟化してしまうとのこと。建築物の更新にあたり、廃墟化を防ぐ手立てを村と連携し、検討していただきたい。
高齢者福祉
母島には老人ホームがなく、最後を島で過ごせないと聞く。グループホームや看取りができる、見舞える環境を望むと伺った。
父島・母島ともに、在宅福祉サービスの拠点となっている高齢者在宅サービスセンターがあるほか、父島では、在宅での介護が困難な高齢者に対応するため、村営の有料老人ホームが設置されているが、一方で、専門性を有する人材が慢性的に不足していると聞く。
大手介護事業者の人材ローテーションに加えてもらうなど、広域的な解決策を都として検討を進めていただきたい。
災害対策
西ノ島を震源地とする地震が発生した場合、津波は10分以内に到達すると聞くが、発電所等の公共設備が平地にあるので対策が必要である。
計画素案のP68には、発電所などの公共施設や住民施設を支える機能の多くは海岸沿いの低地にある一方で、高台に平地がないことから、高台移転等に限度があるとの記載がある。
Q ライフラインである発電所における浸水対策について伺う。
A(小笠原・国境離島担当部長)
〇 小笠原においては、南海トラフ地震等による大規模津波の襲来が想定、居住地域の大部分が津波による浸水地域となる可能性
〇 母島の発電所は、津波による浸水が想定されない場所に整備
〇 父島の発電所は、津波による浸水が想定されるエリアに位置しているが、高台に平地がほとんどなく、適地の確保が困難な状況。
〇 そのため、小笠原村の地域防災計画においては、父島の高台に配備している高圧電源車や島内に設置している非常用発電設備等により、災害発生時の電源を確保していく
引き続き、小笠原の振興に向けて、村と連携して取り組みを進めてもらうことを要望し、質問を終わりました。
コメント