9月入学・始業と、学校再開に関する課題と対策をまとめました。

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9月入学、始業に関する議論が始まっていることは既にお伝えした通りです。

私は、以下の理由から、(来年度からの)9月入学・始業導入に賛成の立場です。

・諸外国と入学・始業時期を合わせることで、人材流動化と大学の切磋琢磨が進む
・休校措置による学習の遅れを年度内に解消するほうが教育機関、学生・生徒への負荷の面から問題であり、今年度の教育課程に1年5ヶ月をかけることで教育格差をできるだけ解消する

一方、9月入学・始業には【課題】もあります。これを洗い出し(国と都、基礎自治体の役割はまだ分けていません)、対策を整理、会派にたたき台として提供しました。

寄せられた声、「【解説】教育に「魔法の杖」はない 科学的根拠に基づいて“9月入学”を考える」(中室牧子氏)(※1)の論説を踏まえ、一部追記しています。

【課題】この時期に短時間で議論するべきではない
・これまで蓄積された議論(※1)等を活かす
・関係者(生徒、保護者、学校関係者)に丁寧に説明
・夏休み短縮(※2)
や土曜日の補習など、よりリスクとコストの低い方法と比較、検討(5/21追記)
※2 夏休みに授業を行うなら早急にエアコンを設置する必要あり、また、AI教材など知識獲得の効率化手法も検討

【課題】9月になってもCOVID-19が終息していない、再流行のおそれがある
・オンライン学習環境整備とセットで推進(学校再開後の3密対策としても有効)

【課題】5ヶ月の後ろ倒しにより就学がさらに遅れる(英国は5才、中国韓国は6才入学、日本のこれまでの9月入学・始業の検討は半年前倒しが前提)
・新学年は13ヶ月を対象期間とし、学年の構成人数の急激な増加を防ぎながら、12年間かけて5.5歳就学に移行するなど(以下、これを1学年13か月策と呼ぶ)、就学開始年齢の前倒しと両立する策を検討、就学開始年齢の前倒しを希望しないケースに備えて選択肢(前倒しに参加する/しない)を用意する(5/12追記)

【課題】幼稚園~大学までの教育と就職(4月の一括採用)でギャップタームが発生
・幼稚園から大学まで連携して取り組む
・企業については(4月採用に加え)9月採用の実施、ひいては通年採用への移行を働きかける

【課題】カリキュラムや教材の季節感との整合性
・見直しに早急にとりかかるとともに、季節感との整合は低学年を優先

【課題】海外留学の課題は入学・始業時期のずれだけではない(費用の面で課題がある)
・意欲と能力のある学生・生徒の支援を拡充(実践的な英語教育、国際交流プログラムや単位互換の推進、留学のための奨学金充実など:5/21追記)

【課題】移行時期の浪人生の浪人期間が半年伸びる
・4月入試の実施継続と、後期からカリキュラムに参加できるなどの対応を大学に依頼(5/10修整)

【課題】会計年度と整合しない
・他国も会計年度とは特にあわせていない

【課題】移行時の半年間は新規労働力が100万人減少
・氷河期人材の採用を進めるなど新人以外の採用の促進

【課題】(1学年13か月策をとっても、現在在学中の小~大学の(16+α)学年+移行期間の半分の6年間、計(22+α)年間に卒業する)若者の生涯賃金減少
・成果主義への移行を推進

その他、課題と対策
・(1学年13か月策をとっても来年以降の入学が半年後ろ倒しになるので)私立学校の経営危機対策
・(1学年13か月策をとっても、現在在学中の小~大学の(16+α)学年+移行期間の半分の6年間、計(22+α)年間に卒業する学生生徒の)保護者の養育期間が半年延長する経済的負担の緩和
・保活、保育、学童保育への影響も考慮(5/10追記)
・学校に馴染めないなどで早く卒業したいと思っている児童生徒のケア(5/21追記)

【中長期】
(現状、海外留学には家計の負担が大きく、9月入学・始業にしたとしても留学が進むとは考えにくいため、)意欲と能力がある生徒・学生が海外留学するための支援
・意欲と能力がある生徒が早く社会に出るための、飛び級制度の導入

【将来の姿】
個に対応した教育の実現(通年入学や個別学習)、そのための資金も人も足りていないので、今回を機として日本の教育改革を推進

同時に、学校再開にあたっての考えられる課題への対策も整理しています。

・オンライン授業環境整備に対する一層の支援
(オンライン学習環境整備と並行して)学校あたりの回線数(現在2回線、FAXを入れても3回線)を拡充
・安全・安心な学校再開基準の策定

(過度な学校責任論にならないための)ウイズコロナの学校運営のためのガイドライン策定
・3密になりがちな職員室の運用ガイドライン策定(PC持ち出し可、会議時間とやり方、回線不足)
・学校再開に向けて必要な物資(体温計、マスク、消毒液など)の支給
・コロナウイルス感染症防止教育、(医療従事者の子供に対するいじめなの発生などに対する)人権教育の充実
・学校清掃や子供達の精神的サポートなど必要な人材の拡充
・教職員の休暇の確保

皆様もお気づきのことがあれば、是非ご意見お寄せください。

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