都議会第1回定例会総務委員会~政策企画局

東京都功労者表彰について

都は毎年10月、名誉都民の顕彰とともに、東京都功労者の表彰を行っている。表彰式では、知事から表彰状が授与され、功績に対して感謝の意が述べられます。
私の地元、世田谷区からも、今年度、地域活動をはじめ、消防・災害対策、税務、福祉・医療・衛生、教育、産業振興の各分野で、12名の方々が表彰されました。情熱を注いできた取組を称えられた皆様の喜びは大きく、地域の活性化にも繋がる表彰制度であると感じています。そこで、

 東京都功労者表彰について、都はどのような目的で実施しているのか伺う。併せて、令和5年度の表彰実績について伺う。

(総務部長)
○東京都功労者表彰は、都民の生活と文化の向上に特に功労があった方々を表彰することにより、都民の福祉増進に資することを目的としている。
○地域活動や福祉・医療・衛生、産業振興などにおける顕著な功績を称え、感謝の意をお伝えするとともに、各分野のさらなる発展につなげていただくものである。
○令和5年度は、13の分野に渡り、296名を功労者として表彰している。

「都民の福祉増進に資する」目的のため、表彰制度を着実に運用していただきたいと思います。
一方で、この制度について、一つの提案をさせていただきました。

私も政治家として地域で様々な皆さまとお会いするなかで、本表彰を受けたという喜びの声を聞く。
一方で、同じ人が複数の役割を、それも長く担うケースもよく目にする。
私は都議会議員として、繰り返しコミュニティ活性化の重要性を訴えてきた。組織と同じでコミュニティも活性化するために必要なのは、人材育成と、そのための権限移譲。
表彰を受ける人が取り組んできた活動を、担う次の人を育成したり、その活動を持続的にする組織づくりをすることを表彰する観点も必要ではないか。検討を要望する。

 東京都の広報紙である「広報東京都」は、今年度、大幅にリニューアルし、見やすくなった印象があるが、都民の評判について伺う。


○「広報東京都」は、より多くの方に手に取っていただき、都政への理解を深めていただくよう、今年度から紙面を大幅に刷新
○漫画家や著名人等を起用することで目を引くデザインとするとともに、企画記事の拡充や文字サイズの拡大、イラスト・グラフの活用により、見やすく読み応えのある紙面へ
○文化を特集した9月号では、人気漫画「ブルーピリオド」を表紙に採用したところ、若者を中心にXでの閲覧数が、141万回と前年度同時期の約20倍の反響、高齢者からも見やすくなった、美術館に行きたくなったとの声もいただく
○今後も、幅広い年代に訴求する紙面作りに取り組んでいく

前年同期の約20倍の反響をはじめとして、広い世代から高い反響をいただいたとのことでした。戦略広報になり、専門人材も参画しての取り組みが結果を出しています。

高齢者等を対象とした情報発信には、紙による広報が、引き続き重要ですが、広報東京都を折り込んでいる新聞の発行数は、減少傾向にあります。必要な方に情報を届けるためには、デジタルでの発信が欠かせません。

 来年度の広報東京都のデジタルを活用した取組について伺う。


○子供から高齢者まで幅広い年代の方が、パソコンやスマートフォンを活用していることから、デジタルでの発信も強化していく必要
○来年度はWEB版でも、より多くの都民の皆様に広報東京都を読んでいただけるよう、読者の目線、使い勝手にあわせた改修を行う
○広報東京都の読み応えやイラストはそのままに、パソコンやスマートフォンでも見やすいレイアウトにするとともに、記事を分野ごとに簡単に検索できるようにすることで、最新の都政情報や暮らしに役立つ情報をいつでも入手できるようにする

紙版のイラストや写真で興味を惹く、そして見やすい工夫が、WEB版でも活かされるとよいと思います。

我が会派の提案で実現した「018サポート」はじめ所得制限のない子育て支援策、生産性向上そして賃金向上につなげる中小企業振興就業支援戸建て住宅への太陽光パネルの設置や断熱などの環境関連施策など、広く都民に利用いただくべき施策の執行率を確実に高めていく必要があります。

 戦略広報部が進める「伝わる広報」を徹底していくためには、各局広報を支援し都庁全体の広報力を強化していくことが重要である。都の取組を伺う。


○戦略広報部では、各局の事業効果を最大限に引き出せるよう、ターゲット層に合わせた動画の企画や適切な広報媒体の選択などにおいて専門的見地から支援
○今年度のHTT広報では、若年層に人気のある著名人を起用した動画キャンペーンを企画し、SNSやWEB広告で拡散した。また、ファミリー層に向けては、映画館や大型ショッピングモールでの広告展開などの情報発信を行った。ターゲット層に合わせた広報展開の結果、それらを見た約8割の方から節電の意識や行動が変わったとの回答が得られるなど高い広報効果を確認
○さらに、各局の優れた広報活動を表彰する「伝わる広報大賞」を新たに設け、全庁的な広報マインドを強化

HTTは、小池都知事が、都として環境施策を強力に推し進めるために生み出した言葉であり、施策群です。広報を強化するだけでなく、「節電の意識や行動が変わった」という効果検証も行ったことを評価します。「伝わる広報大賞」も拝見しましたが、各局それぞれの工夫が見られました。

昨年立ち上がった「GoveTech東京」が取り組む3つの変革のうち1つは「プッシュ型」であり、「行政が先回りして、その人の状況に応じたサービスをプッシュでお知らせ、申請後迅速にサービス提供」する、としています。都民への情報提供を連携して進めていただくよう要望しました。

ところで、私はかねてより、HPにアクセス解析の導入を提案するなど、公報の効果検証の重要性についてとりあげてきました。先ほど、HTTの効果検証について紹介がありましたが、

 広報の効果を高めるためには、成果指標を設定してそれを検証することで改善を図るべきである。都の取組を伺う。


○広報効果の測定を改善に繋げるため、全ての局のホームページにアクセス状況を随時検証できるツールを導入し、閲覧数等の成果指標を設定できるようにした。これらの指標を活用して、バナーの位置やレイアウト変更など、利便性や見やすさを向上
○また、SNSについても投稿分析ツールを導入し、閲覧数や「いいね」の数などのユーザーの反応を各局が成果指標に用いて、より多くの都民の共感を得て拡散に繋がるよう、投稿の改善に取り組んでいる
○これらの取組から生まれた好事例やノウハウを、研修や事例集の配布を通じて各局へ共有し、浸透を図ることで、全庁の広報の底上げを一層推進

全局のホームページでアクセス解析が行われ、改善につなげられていること、さらに、SNSでも投稿分析を行い、各局が成果指標に用いて改善に取り組んでいるとのことでした。私が都議会議員になった当時と比較すると、大きな前進です。引き続きの取り組みを要望しました。

「未来の東京」戦略 version up 2024

各戦略の指標について

「令和5年度都議会第3定例会」総務委員会で、各戦略の指標についてとりあげ、「戦略1 子供の笑顔のための戦略」では、「自分達の意見が政策に反映されていると思う子供の割合」、「戦略2 子供の「伸びる・育つ」応援戦略」では、先生の「残業時間」などのアウトカム指標を求めました。

 今回のバージョンアップではどのように政策目標を設定したのか伺う。

(計画調整部長)
・今回のバージョンアップでは、社会情勢の変化などを踏まえつつ、関係局と議論を重ね、アウトカム指標も含め、政策の強化に合わせた政策目標の新設や強化を図った
・具体的には、戦略1では、「『毎日たくさん笑っている』子供の割合を向上」及び「『自分の行動で社会を変えられる』と思う子供の割合を向上」を新たな政策目標として設定
・また、戦略2では、政策目標「スマートスクールを実現」を強化し、「端末を使いこなしている生徒の割合」を加えるとともに、「教員の働き方改革」について目標を引き上げ、「1か月当たりの時間外在校等時間が45時間以下の教員の割合100%」とした

戦略1では、こども基本条例の主旨ともいえる、「①毎日たくさん笑っている子供の割合」と、そして、私がかねてより取り上げてきた、日本財団の「18歳意識調査」に基づく、「②自分の行動で社会を変えられると思う子供の割合」が含まれました。

目標を設定することで取組みが進みます。各施策の方向性に影響する、大変重要な前進でこれを評価することを述べました。


戦略2に関して、教育庁が手掛ける「次世代リーダー育成道場事業」は、これまで実施するなかで、実際リーダーが育ったかどうかの検証は永らく行われてきませんでした。

「令和5年都議会第2回定例会」の私たちの代表質問、「グローバル人材には、学力などの従来型の指標では図れない非認知能力も求められており、エビデンスベースでの施策を進めるため、グローバル人材育成に係る施策の成果検証の在り方について検討すべき」との代表質問に対し、都は、「個々の生徒について、英語力の伸長のみならず、意識や行動の変容等について卒業後も継続的に調査・分析するなど、成果検証について検討し、グローバル人材育成に向けた施策の充実を図る」と答弁、来年度予算には、卒業後の追跡調査の設計を含む「グローバル人材育成の成果検証」3,800万円が新規に盛り込まれました。大きな前進です。

また、先生方の長時間労働働き方改革についても、私たちが提案した、都内全小学校の低学年におけるエデュケーション・アシスタントの配置、そして、教員自ら業務の優先順位をつけ、業務削減に踏み出せるよう「ノー残業デー」の設置など好事例の周知と、残業時間削減に向けた、業務改革を専門とするコンサルタントを派遣してのモデル事業の実施などが盛り込まれています。

こうした施策の強化に合わせて、今回のバージョンアップでは、政策目標として教員の時間外在校等時間に関するアウトカム指標が設定されており、これも評価します。

一方で、戦略7「住まい」と「地域」を大切にする戦略では「居場所の数」や、「ボランティア人材の数」、「相談支援体制」などが指標となっており、これらは施策の実施状況であり、アウトカム指標ではありません。都民のQOL向上につなげるためにも、アウトカム指標の導入を前向きに検討することを求めました。

例えば、子供政策連携室が今年度より開始した子供アンケートには、既に「困っていたら近所の人が助けてくれるか」、「住む地域は子育てに良い場所か」という、人と人のつながりを示すソーシャル・キャピタル系の設問が盛り込まれました。先日の私たちの、予算特別委員会の総括質疑でも「災害の際の住民のつながりについて、本調査の精度を上げることや、その結果を都民の具体的な行動につなげる手法などについて、専門家の意見も聞きながら議論を深めていく」との答弁を得ています。

都内の地域コミュニティが衰えたことで、子育て、教育、防犯、防災、そして高齢者の見守りと、本来コミュニティが担っていた役割が行政の役割になってしまっています。

戦略7においては、これらソーシャル・キャピタル系の指標を活用するなどして、戦略7に紐づいた施策がコミュニティ形成に役立っているかに向き合い、例えば、評価が高い地域では何が行われているかを研究する、低い地域では何を行うべきかを提案する、という、コミュニティ活性化が一歩ずつでも前進する取組みを要望しました。

また、戦略17多摩・島しょ振興戦略では、アウトカム指標のみならず目標・指標がないことを指摘、「都民生活に関する世論調査」地域定住意向を用いることを提案しましたが、これを含め、新たに7つの指標を政策目標として位置づけました。

 多摩・島しょ振興戦略で新たに設定した政策目標について、考え方を伺う。

(計画調整部長)
・多摩・島しょ振興戦略では、各地域の特色を生かし、賑わいと活力に満ち溢れた地域社会を都と市町村でつくりあげることを目指している
・今般のバージョンアップでは、各局と調整し、多摩・島しょの特色を表す産業、まちづくりなどの指標に加え、住み続けたい地域であることをはかる地域定住意向を新たな政策目標として設定
・これらの政策目標のもと、地域の特色・ポテンシャルを活かした多様な取組を展開していくことで、東京の多様性を彩る多摩・島しょの魅力を更に磨き上げ、世界から選ばれ、持続的に賑わいと活力あふれる地域へと進化

道路や一次産業に関する指標、経済成長率、保全地域、そして地域定住意向と偏りなく設定し、なかでも地域定住意向は最終的なアウトカム指標といえます。今回のバージョンアップにおいて、これらの政策目標を設定し、戦略を進めていくこととしたことは、大きな前進であり評価するものです。

今回、この質問に関わり興味深かったのは、「都民生活に関する世論調査」のH30以降の経年変化をみると、区部と市町村部で地域定住意向が大きく変わらないということです。「多摩格差」の解消は長年の課題であるが、引き続きデータドリブンで取り組んでいただくことを求めました。

戦略3 女性の活躍推進戦略 について

「働きやすさ」とは別のもう一つの軸が、「働き甲斐」です。男性の収入が高いと専業主婦化が進むという論説があります。仕事で自己実現できないと思えば、女性は仕事をやめ、家庭に居場所を探します。性別によらず仕事で自己実現できれば、女性も結婚や育児等を理由に退職しなくなり、結果、家庭の収入も増え、持ちたい数の子供も持てるのではないでしょうか。

 「働きやすさ」だけでなく、女性が自らの希望に応じてキャリアアップできるなど「働き甲斐」の面の支援を充実させ、女性も自己実現できる社会環境にしていく必要がある。見解を伺う。

(計画調整部長)
・今回のバージョンアップでは、女性が自らの希望に応じて働き輝けるよう、キャリア形成とマインドチェンジの両輪により社会の構造的課題を解決していくことを掲げている
・キャリア形成の観点では、短時間勤務の従業員を管理職に登用するなど、働く女性が活躍できる職場環境づくりに取り組む企業を支援するほか、女性一人ひとりの状況にあったきめ細かな支援を行う働く女性応援拠点を開設
・また、マインドチェンジの観点では、進路選択におけるアンコンシャス・バイアスを払しょくするため、新たに女子大学生と女子中高生との座談会を開催するなど、施策の強化を図っている
・こうした取組を通じて、社会における女性の自己実現を支援

答弁にあった、「短時間勤務でも管理職に登用する中小事業者を応援する事業」や、「育業を支える同僚に対して応援手当の支給などを行う企業への奨励金拡充」については、私たちの提案を踏まえたものであり、評価します。

戦略3の政策目標のうち、①「女性が活躍できると思う」割合はアウトカム指標として大切ですが、②「女性の就業率」では、非正規雇用割合が高いことが隠れてしまいます。また、③「審議会等の女性委員任用率」、④「都の管理職に占める女性の割合」は都としてできることとして評価するものの、都の役割を考えると、「民間企業における管理職割合」、「民間企業における男女の平均給与格差」をKPIにすることが望ましいと考えます。中小零細企業で難しいとするのであれば、昨年11月に経済産業省が方針を示した、例えば「中堅企業」について取り組めないか、研究を行うよう要望しました。

戦略4 アクティブChoju社会実現戦略 について

「未来の東京」戦略の「アクティブなChoju社会実現」には、「安心して出かけられる」、「どこへでも不安やストレスなく移動し、生活できる環境を整備」とあります。

これを支えるのが、地域公共交通です。都民生活の安定向上及び地域経済の健全な発展には欠かせないインフラであると同時に、脱炭素社会の実現や、渋滞の解消、高齢者の運転免許証の返納の推進など、社会的課題の解決と人間中心の都市空間の構築に欠かせない要素といえます。

このように地域公共交通が果たすべき役割が大きくなるなかで、都は、令和4年3月に「東京における地域公共交通の基本方針」を策定しました。この中で、都は幹線系統の確保・維持に関して責任を持つ一方で、生活交通やラストワンマイルの移動については基礎自治体の役割であり、都は、技術的・財政的支援を通じて地域公共交通の充実に取組むとしています。そして、このような役割分担に基づき、都は現状、バス路線の路線や本数など、都内交通の現状を把握する術を持っていません。当然、先に述べた「東京における地域公共交通の基本方針」には数値目標がありません。

かねてより私たちは、都が都内のバス路線の状況を把握していないことが問題であると指摘してきました。都内のバス路線の状況を把握できなければ、都民の足の確保にも責任を持つことは難しいと考えます。実際、私の地元である世田谷区でも、かろうじてバス路線が維持されていても本数が減少し、移動に不便を感じているという声が、特にご高齢の区民の皆様より大変多く届いています。「どこへでも不安やストレスなく移動し、生活できる環境」ではなくなりつつあります。

昨年、大阪のバス会社が事業撤退するとの報道がありましたが、これをもって改めて都の担当者と、都内地域公共交通の持続可能性について議論したところ、「都は、人口が集積しているために経営が比較的成り立ちやすい」という認識が示されました。都内の現状、都民の感覚と解離しています。

 地域公共交通の確保について、「未来の東京」戦略ではどう位置付けているのか?

(計画調整部長)
・「未来の東京」戦略では、誰もが移動しやすい利便性の高い都市の実現に向け、地域公共交通ネットワークを形成
・具体的には、様々な交通手段の乗り換えが行われる駅等を中心に、バスやタクシー、デマンド交通などを組み合わせ、都民の生活を支える身近な移動手段である地域公共交通の充実を図っていく
・今回のバージョンアップにおいても、区市町村と連携し、駅前広場の整備や再編に合わせ、新技術も活用しながら、フィーダー交通の充実や新たなモビリティの導入など、交通結節機能の向上に取り組んでいく
・こうした取組により、持続可能な地域公共交通の実現を目指していく

バスをはじめ様々な交通手段を組み合わせ、新技術も活用しながら地域公共交通を確保しようとしているとの答弁でした。

私は、半年に一度のペースで都政報告会を開催しています。昨年9月は「地域公共交通」をテーマに開催、専門家や区の担当者を招くとともに、参加者の皆様からもご意見を聞きました。

区の担当者は、民間事業者と取り組むデマンド型交通など、新たなモビリティサービスなどへの都の技術的・財政的支援に感謝をしているとのことでしたが、デマンド型交通やコミュニティバスといった事業は基本的には赤字で、民間事業者は、基幹バスで得た収益を削って対応している状況とのことでした。持続性がある取り組みであるとは思えません。

専門家によれば、ヨーロッパの諸都市では、車の削減の数値目標から、公共交通や徒歩・自転車の交通分担率の目標を定め、運行本数、運賃などのサービスレベルを規定し、公共交通や、徒歩や自転車の道路環境整備の財源を手当てする、という順番で議論を進めているとのことです。

基幹鉄道と基幹バス以外は、基礎自治体と民間事業者にまかせ、デマンド型交通やコミュニティバスといった対処療法で対応するのではなく、「安心して出かけられる」、「どこへでも不安やストレスなく移動し、生活できる環境を整備」するため、まずは、バス路線の路線や本数など、都内交通の現状を把握したうえで、都民の足であり、脱炭素社会の実現や、渋滞の解消、高齢者の運転免許証の返納のといった社会課題解決のためのインフラとして、所管である都市整備局とも連携しながら、大所高所から課題解決に取り組んでいただくよう、要望しました。

戦略13 水と緑溢れる東京戦略 について

東京グリーンビズにおいて、屋敷林や農地を守る取組、公園整備や参画促進など緑を育てる取組、グリーンインフラなど緑を活かす取組、について大変手厚く行っていることを評価します。

 東京グリーンビズの推進にあたり、これまでの政策でも言ってきたように、目標や指標を定めた方がいいのではないかと思うが、見解を伺う。

(計画調整部長)
・これまでも、あらゆる機会を通じて緑を創出・保全するなど、緑の量的な底上げと質の向上を図り、緑を増やす取組を推進
・近年、気候危機による自然災害、生物多様性の保全など、都市に求められる機能や人々の価値観が多様化していることから、これまでの取組に加え、緑の持つ多様な機能を最大限活用するため、「東京グリーンビズ」を立ち上げ
・東京グリーンビズでは、様々な主体との連携・協力により、「まもる」「育てる」「活かす」の観点から取組を強化し、「自然と調和した持続可能な都市」へと進化させていくことが目標
・都立公園の整備や海上公園の整備、保全地域の指定拡大など個々の事業の推進にあたっては、具体の指標となる政策目標を立てて取り組んでいる

緑を「まもる」「育てる」「活かす」という大きな目標に向かい具体的な指標をたて、取り組みを進めていることを評価します。今後、取り組みを加速する中においては、KPIの上方修正など、柔軟に対応するよう要望しました。

緑を巡っては、再開発などの際の樹木伐採を批判する声もありますが、グリーンビズの専門家や、グリーンインフラの普及啓発を進めるNPOのメンバー等から、外苑前の再開発等に関する批判を聞いたことはありません。

都市のなかの緑の多面的な役割や適切な管理について、より多くの都民の皆様に理解していただき、都民の幸せと都市の持続可能性を高める緑のあり方に対する、建設的な議論ができるようにしていく必要があります。

 そのためにも、東京グリーンビズの取組について、認知度、理解度を向上させていくべきと考えるが、見解を伺う。

(計画調整部長)
・東京グリーンビズは、百年先を見据え、都民をはじめ様々な主 体との協働により、東京の緑を継承していくプロジェクト
・都民との協働にあたり、まずは東京グリーンビズの取組を認知・理解していただき、共感を得ることが重要
・民間企業や区市町村等と連携し、それぞれが実施する緑をまもる・育てる・活かす取組を効果的に発信
・都民が緑を身近に感じ、親しみを持ってもらえるよう、東京グリーンビズマップによる緑溢れるスポットやイベント情報の発信や、企業等と連携した都民参加型のシンポジウムの開催

来年度のグリーンビズマップを通じた発信、そして、グリーンインフラ等について学ぶシンポジウム等の開催は大変重要です。

グリーンビズマップの参考として、世界の他都市では、緑の効果を様々な指標で測る取組が行われています。例えばニューヨーク市では、「NYC Tree Map(ニューヨークシティツリーマップ)」というものを作り、ウェブ上で公開しています。マップ上では、樹木の位置が示され、樹種や幹のサイズの他、樹木一本一本のエコロジカルベネフィット(雨水流出抑制量、節電効果、大気汚染物質の除去量やこれらが生み出す経済効果など)が確認できます。加えて、樹木に関する行政のメンテナンス情報やボランティアによる清掃活動など、様々な情報を得ることができます。

 今後、東京グリーンビズにおいては、民間や都民も巻き込み、様々な主体と連携して取り組むと聞いている。都民の参加を促すためにも、こうしたニューヨーク市の取組なども参考に、グリーンビズマップを作成していくことが効果的ではないかと考えるが、見解を伺う。

(計画調整部長)
・ 東京グリーンビズマップについては、都民が緑の多様な機能や役割を学びながら、緑を育てる取組へ参画するきっかけとなるものとしていく
・ 世界の取組事例等を参考に、今後、掲載情報や機能の検討

都民が緑に親しむきっかけを作り、都民の理解促進と機運醸成につなげるよう、要望しました。

東京グリーンビズでは、公園の魅力向上についても取り組んでいます。インパクトのあるアートやイベントも公園の魅力を高めることに有効ですが、国内で名所として名高い公園は、人々が慈しみ手入れをして受け継がれてきたという、時間と想いに感動するのではないでしょうか。

 魅力ある公園の緑を将来に引き継ぐ適切な管理が必要である。どのように進めるのか、伺う。

(計画調整部長)
・東京グリーンビズでは、緑のネットワークの拠点となる公園についても、緑をまもる・育てる・活かす観点から、様々な取組を実施
・生物多様性の保全や、人々の安らぎや潤いなど、公園の持つ緑の多面的な機能の発揮に加え、安全かつ安心して利用できる環境を整えるため、剪定や枯れ木の撤去など、適切に人の手を加え、維持管理することが重要
・豊かな緑を活かした魅力ある公園づくりを進め、未来に継承

これまで受け継がれてきた美しい公園を適切に管理し、将来に引き継ぐよう求めました。

とりわけ、都民が身近に感じる街路樹や公園などの、都市における緑は適切に管理されてこそ、その効力を発揮します。これらが適切に管理されない場合、根上りにより歩行者にとってのバリアになったり、台風や雪などの際に枝が折れたり、倒木も招きかねません。さらに、成長しすぎることで信号の視認性低下など、安全安心を脅かすことになります。夏の木陰は大切ですが、暗くなることで治安上の問題も発生します。

身近な事例として、現在、私の地元世田谷区の等々力渓谷では、大規模な倒木等により、立入禁止となっています。区が園内708本を対象に調査したところ52本が危険な樹木であると判定され、再開までに、3、4年かかるとも言われています。渓谷ならではの難しさがあったとはいえ、普段からの管理が重要であると改めて認識しました。一度木を植えたら一切伐ってはならないということではなく、適切に管理をしていくことは何よりも重要です。そういった観点も考慮しながら東京グリーンビズを強力に進めていただくよう、要望しました。

都民意見アンケートについて

小池都知事が就任移行、都は「都民提案制度」「大学提案制度」の創設や、「子供都庁モニター」、LINE公式アカウントアンケートなど、都民の声を踏まえて都政を進める取り組みを拡大してきました。

近年、私の地元世田谷区をはじめとする多くの自治体でも総合計画等の策定段階における市民意見の反映・市民参画をさまざまな形態で取り入れるようになってきています。そこで、市民参画の手法の一つとして注目されているのが、討議型・熟議型の会議・ワークショップです。

事前に討議テーマについての詳細な情報を受け、学習した市民が、十分な知識を持って住民同士で議論を重ね、そこで出されたさまざまな意見を住民同士で集約・合意形成を図り、その結果を市民の意見として表明するものですが、この会議への参加者を選出するにあたり無作為抽出とすることで、サイレント・マジョリティと呼ばれる一般の市民の声なき声を吸い上げることが可能になります。

○都が一層のオープンガバメントを推し進めるにあたり、多様な意見があると思われる事象については、広くサイレント・マジョリティも含めた意見を集約することが大事です。

 そこで、計画や政策の策定過程において、多様な都民の意見を集める手法を検討、導入するべきと考えるが、見解を伺う。

(計画調整部長)
・多様な都民の意見を聞き、それらを計画の策定や政策の強化に活かしていくことは重要
・これまでも「未来の東京」戦略の策定やそのバージョンアップの過程においては、インターネットやSNSを活用し幅広い世代を対象としたアンケートを実施するなど、広く都民の意見を取り入れてきた
・今後、東京グリーンビズなどの取組においてシンポジウムの場で都の施策を周知するとともに、都民参加で意見を交わす場を設けるなど、多様な声を受け止め、「未来の東京」戦略に示した政策の強化に活かしていく

行政側が住民の意見を求める場としてこれまで行ってきた、住民説明会やパブリック・コメント、審議会などでは、「あえて反対意見を示す必要のない多数派」であるサイレント・マジョリティの声が拾えない、という問題はこれまでも指摘されてきました。

討議型・熟議型の会議・ワークショップは世田谷区で実績がありますが、報告書によれば、参加した市民にとっても、地域社会への関心を持っていただくとともに、日常生活の中で生活者として感じている意見・考えを確認できるよい機会となるとされています。

まずは東京グリーンビズなどの取り組みで、都の施策の周知と、都民参加で意見を交わす場を設けるなどする、との答弁でした。暮らし方や価値観の多様性に配慮するために、広く都民の声を聞く。都民ファーストの都政の実現に向けた、新しい取り組みに期待します。

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東京都議会議員 福島りえこ オフィシャルサイト

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