「令和6年都議会第1回定例会」代表質問⑤~環境・インフラ

ブログ

環境・インフラ

グリーンビズ

 私たちはかねてより、自然と共生した東京の実現を訴えてきました。2020年から2022年にかけては東京ドーム約4個分の都立公園が新たに開園しています。さらに都は、都民とともに、暮らしにゆとりと潤いをもたらす緑を育み、100年先に継承する緑のプロジェクト「東京グリーンビズ」を令和5年7月から始動しています。
 その中には、私たちが推進してきた、住民参加型で目にも美しい、自然のもつ力を活かした豪雨対策である「グリーンインフラ」が盛り込まれており、その具体化に向けた取組が来年度予算にも計上されています。ヒートアイランド現象への対策や生物多様性の推進にもつながる大変意義ある取り組みです。
 このような、自然が持つ力を街づくりに活かす「グリーンインフラ」について、多くの都民の理解と共感を得られるよう取組を進めるべきです。

Q 「グリーンインフラ」に関するシンポジウムや教育、さらには雨庭づくりなどの体験型イベントについて、参加した都民が、都市において人と共存する緑の望ましいあり方について理解し、自らその意義を説明できるように企画・運営するとともに、来年度予算で計上している、都や企業、都民によるグリーンビズに関わる「グリーンビズマップ」において、これらの体験型イベントへ参画を促したり、成果を発信することで、都民の理解促進と機運醸成につなげるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

A(小池知事)
〇東京グリーンビズが掲げる「みどりと生きるまちづくり」を進めるには、都民の共感を得て、参画を促すことが欠かせない。
〇都民と一緒に緑を育てていくムーブメントを民間企業や区市町村等と連携し推進 する。
○その土台となる「東京グリーンビズマップ」では、公園や街路樹、民間施設等の緑溢れるスポットに加え、緑に関するイベント情報等を一体的に発信。
緑の多様な機能や役割を学び、緑に触れる都民参加型のシンポジウムの開催や、民間
イベントとの連携など、積極的に展開。

〇都民一人一人が緑に親しみ、育むきっかけを作り、取組の輪を広げることで自然と調和した持続可能な都市へと進化。

グリーンインフラ

 「グリーンインフラ」の一層の導入を進めるためには、豪雨対策としての有用性を把握するための評価も重要です。

Q 都は来年度より公共施設で「グリーンインフラ」について先行実施するとしていますが、その取組と併せて、その効果を評価することで、より確実な導入につなげるべきと考えますが、見解を伺います。

A(都市整備局長)
〇グリーンインフラは、自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用しようとする考え方。
〇河川や下水道への負荷を軽減し、豪雨対策に有効であることから、都では、昨年12 月に改定した東京都豪雨対策基本方針に、雨水流出抑制に資するグリーンインフラの導入を位置付け。
〇来年度、公共施設においてレインガーデンの設置等を先行的に都内30カ所で行い貯留浸透や遮熱効果などを検証することで、今後の導入促進に繋げていく。

水素取引所

 グリーン水素は脱炭素の有力なエネルギー源として注目を集めており、世界でも様々なプロジェクトが立ち上がっています。
 しかし、グリーン水素は生産コストの高さや需要が不透明なために生産者が投資しづらく、利用者にとっては安定した量の確保が難しいなどの課題があります。今後は取引量を増やし、価格を下げることで、普及に繋げる必要があります。
 小池知事は昨年、東京にグリーン水素の売買を仲介する水素取引所を立ち上げることを表明しました。

Q 海外でもドイツが世界初の水素市場の開設を目指しており、東京が脱炭素で世界をリードしていくためには、そうした関係者と連携しながら、迅速に取り組みを展開すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

A(小池知事)
○脱炭素社会の実現に効果の高い水素の利活用に向け、その取引を効果的に進める仕組み作りは重要だ。
〇私はCOP28で、東京に水素取引所を作る構想を明らかにし、その具体化に向けた取組をスピード感を持って進めている。
海外で水素の利活用について優れた知見を持つ機関 「H2グローバル」との間で、取引所の立上げに関し情報共有や連携を盛り込んだ合意書を今月に締結した。グリーン水素の生産者と利用者が適切な価格で売買を行う事例を増やしながら、同機関と協力し、水素取引所を作り上げていきたい。
来年度には、「H2グローバル」の方法を踏まえ水素の販売と購入の価格をそれぞれ入札で取り決め価格の差を解消する支援を試行的に行い、取引の成立に結び付ける。
〇グリーン水素の普及に向け、国や世界を先導するという気概をもって取り組んでいく。

カーボンクレジットの活用拡大

 GXを進めていくうえで重要となるのが、企業が自ら行う脱炭素の取組に加え、金融面からのアプローチの1つであるカーボンクレジットの活用です。
 海外では、既にカーボンクレジットの活用が進んでおり、その売買を行う取引所を設立する動きも広がっています。日本においても、昨年10月に東京証券取引所がJクレジットの取引市場を開設したほか、民間企業においても市場創設の動きが活発化しています。
 このような中、国内においては大企業を中心にカーボンクレジット取引を活用した脱炭素化の動きが加速化しているものの、都内企業の9割以上を占め、サプライチェーンを担う中小企業においては取引に関する手続きの煩雑さなどにより、まだ限定的な状況です。

Q ゼロエミッションを目指す都として、中小企業でもこうしたカーボンクレジットを簡単に取引し、活用できる環境を作っていくことが重要と考えますが、見解を伺います。

A(産業労働局長)
〇脱炭素社会を実現する上で、東京の中小企業等がCO2を減らすほか、金融の仕組みを活用し排出量を売買し、その削減に結び付ける取組は重要である。
〇このため都は、来年度、CO2の排出量の削減に見合った価値に値段を付けたクレジットを取引できるシステムを立ち上げる。これにより海外で森林を保護 しCO2の吸収を進めて生み出すクレジット等を中小企業等が容易に購入できる後押しに繋げる。
〇また取引の信頼性を高める最新のデジタル技術であるブロックチェーンも活用し国際的にクレジットを安全に売買する工夫も行い、これにより脱炭素化の取組を着実に進める。

宅配ボックス

 運送ドライバーの深刻な労働力不足など、物流業界の2024年問題も深刻な課題となっています。こうした中、再配達を抑制する宅配ボックスの設置は、2024年問題への対応にとどまらず、ゼロエミッション東京の実現に向け家庭で取り組むことができるCO2削減にも寄与するものであり、環境配慮の観点からも後押しすべきものです。

Q CO2の排出量削減と運送業の2024年問題対応の双方に寄与する、住宅への宅配ボックスの設置支援とあわせて、再配達削減の必要性や荷物の受け取り方の工夫について都民への普及啓発を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

A(環境局長)
〇宅配便の取扱い個数が増加している中、物流の2024年問題に対応しながらCO2削減を図るには、家庭の工夫による再配達の抑制も効果的。
〇このため来年度、区市町村が集合住宅や戸建て住宅を対象に宅配ボックスの設置を支援する際、その経費の1/2を新たにサポート。
〇また、関係各局や物流事業者と連携し、再配達削減の必要性等を広く発信。例えば、 コンビニエンスストアでの受取りなど有効な手法を、広く分かり易く都民にPR。
〇これらの再配達削減に向けた取組により、CO2排出量削減を加速。

家庭部門の省エネ促進・ゼロエミポイント

 都内CO2排出量の約3割は家庭部門から排出されており、家庭における省エネ対策をさらに進める必要があります。住宅の環境性能の向上やエネルギー効率のよい家電の導入は、電気代等の高騰が継続する中にあって家計負担の軽減にも効果的ですが、家庭部門のエネルギー消費量は他の部門に比べ唯一2000年比で増加しており、抜本的な対策の強化が必要です。

Q 2030年のカーボンハーフ実現が迫った今こそ、家庭での省エネ促進を都民が進められるよう支援を大胆に拡充すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

A(小池知事)
〇家庭部門は、都内エネルギー消費量の3分の1を占め、部門別でも唯一増加している。 2030年のカーボンハーフ実現に向け、その対策の促進は、待ったなしの状況である。
〇都はこれまで、住宅の高断熱化などへの支援を通じ、省エネで快適な居住環境の実現に取り組んできた。
〇これらに加え来年度は、東京ゼロエミ住宅において、国内最高レベルの省エネ性能となるよう基準を強化し、その助成を拡充することで、環境性能の高い住宅の普及を加速していく。
〇また、電力消費量の多い家電について、買替時に加え、新規購入時にも、より環境性能の高い製品の選択を促す新たな取組を開始する。併せて、店舗で直接値引きが受けられるなど、利用者にとって使いやすい仕組みとしていく。
〇これらにより、都民の理解と共感を得ながら家庭での省エネの取組を加速させ、ゼロエミッション東京を実現していく。

防犯カメラ

 セーフシティ実現のためには、地域防犯力の向上が不可欠です。都内刑法犯認知件数は2002(平成14)年をピークに減少傾向にあったものの、令和4年に20年ぶりに増加に転じ、昨年はさらに1万件以上増加する中、治安対策への都民ニーズも高まっています。
 私たちはこれまで、安全安心な東京の実現に向けて地域コミュニティ強化の重要性を訴えてきましたが、町会や商店街への加入数、会員数の減少による弱体化が懸念されており、7年程度で更新時期を迎える防犯カメラの更新費用の負担が大きいという声があがっています。また、街路灯の撤去や無電中化による電柱の撤去などにより商店街に設置したカメラの移設が必要となるケースも生じています。

Q こうした状況を踏まえ、防犯カメラの設置に関して地域団体への支援強化を図るべきと考えますが、見解を伺います。

A(生活安全担当局長)
〇地域団体が設置した防犯カメラの多くが更新時期を迎えることから、地域の防犯力向上
を図るために適切な維持管理への支援が重要。
来年度から3年間の時限措置として、防犯カメラ設置・更新費用の補助率を引き上げ
〇防犯カメラを移設する事例が生じていることから、移設 経費も新たに補助対象とし、 地域団体の費用負担を軽減。
〇地域の実情等を踏まえ、区市町村と連携し、地域の見守り活動をより一層支援。

都市力強化

世界陸上・デフリンピック

 今年2024年には、パリでオリンピック・パラリンピック大会が開催されます。
東京2020大会はコロナ禍の大変な状況の中で開催され、多くの都民・関係者のご協力により成功させることができました。東京2020大会のレガシーを、東京の未来の発展につなげるため、いよいよ来年2025年に開催が迫った、世界陸上・デフリンピックの成功に向けた取組を加速させていく必要があります。
両大会は、自らの限界に挑むアスリートの姿を直接見ることができる貴重な機会であると共に、ユニバーサルコミュニケーションの促進などを通じた共生社会の実現など、東京の都市の魅力の向上にとっても極めて重要な機会となります。

Q 世界陸上・デフリンピックの成功に向け、都民の理解を得ながら大会を盛り上げるとともに、両大会を通じてインクルーシブな都市・東京を実現するための取組を加速させていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

A(小池知事)
〇両大会は、スポーツの素晴らしさ、多様な価値観を認め合うことの大切さを伝えられる 共通の開催意義や魅力持っている。これを発信し、都民の理解を得るとともに、共生社会への変革の推進力とすることが重要。
〇そのため都は、両大会一年前の節目を捉え、世界のトップアスリートの迫力を体感できる取組や、 相互理解を深める取組などを展開。大会に向け大きなムーブメントを起こして参ります。
〇さらに、国籍や障害に関わらず、誰もが円滑にコミュニケーションできるデジタル技術を社会に実装する契機とするため、新たに、都庁舎をはじめとする都有施設での活用や区市町村・鉄道駅への導入支援を実施。
〇両大会に向け取組を推進し全ての人が輝くインクルー シブな街・東京というレガシーを残していく。


 東京2020大会が様々なレガシーを残した一方で、組織委員会元理事がスポンサー選定に関する汚職事件で起訴されたことに加え、テスト大会の入札談合の疑いで組織委員会の元次長らが起訴されるなど、大会の意義を失墜させる事態が連続していることは決して許されません。

これらの事件については、法廷で争われている最中のものもありますが、都としては、スポンサー汚職と談合事件の双方に関して、これまでの裁判で明らかになった事実も踏まえて更なるコンプライアンス体制の強化を図るとともに、都が今後主催する国際的なスポーツ大会やイベント等において、同様の事態を生じさせることがないよう、ガバナンスの強化にも取り組むこと求めます。

世界陸上・デフとあわせたアート振興

 東京2020大会においては、大会に関連して都が開催した文化イベントで様々なアートが展開されました。アートは東京の都市としての魅力を高める重要な分野ですが、世界のアート市場国別割合では、世界のアート市場規模は約9兆円とされている一方で、日本のシェアはその1%程度にとどまっています。世界陸上・デフリンピックの両大会をアート振興の観点からも活かしていくべきです。

Q 世界陸上・デフリンピックの開催にあわせてアート振興を強化し、インクルーシブシティ実現への貢献も含めた東京の芸術文化の魅力を世界に発信すべきと考えますが、見解を伺います。

A(生活文化スポーツ局長)
〇大会開催の機を捉えた芸術文化の発信は、人と人との絆を深めるとともに、都市のプレゼンスの向上につながる。
〇そのため都は、両大会を見据え、ベイエリアを舞台にしたアートイベントを実施するほか、日本の伝統文化を生かしたパフォーマスや、ろう者と聴者が協働した舞台創作などの準備も進める。
〇これらをコアに、様々多様な文化事業を一体的にプロモーション展開し、多様性に溢れた東京の芸術文化の魅力を世界に発信。

最後に

 これまで「東京大改革」では、無電柱化推進条例、中小企業・小規模企業振興条例、人権尊重条例、ソーシャルファーム条例、デジタルファースト条例、パートナーシップ宣誓制度の制定など、安全・安心で、誰もが輝き、世界をリードする東京の実現に向けて、全国自治体の先頭に立ち、国に先んじた取り組みを進めてきました。

 加えて、知事報酬の半減等により改革姿勢を明確にするとともに、既存事業の見直しなど「賢い支出」を徹底して新規財源を確保した上で、待機児童数の劇的な減少や、子育て・教育施策における所得制限の撤廃をはじめとする東京の未来への投資を進めてきました。これらはまさしく「東京大改革」のレガシーです。この流れを止めるわけにはいきません。

 都民・国民の理解と共感を得ながら改革を進めるためには、政治家自身が、厳しく自分を律していかなければならず、不透明な政治資金などは決して許されるものではありません。
 他方で、重箱の隅をつついたような批判や、反対のための反対といったパフォーマンスを繰り返すことでは、都民・国民の信頼を得ることはできません。

 東京・日本のあるべき姿について高い理想を掲げながら、現実を直視し、課題解決に向けて地に足の着いた取組を一つ一つ重ねていくことこそが重要です。

私たちは引き続き、都知事と車の両輪である都議会の立場から、「都民ファースト」の都政にまい進していくことを誓います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました