「都立小石川中等教育学校」視察

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1/23の午後は、東京都教育庁に依頼し、都立学校で唯一、外部人材が指導しているという、「都立小石川中等教育学校」の「パソコン同好会」の視察に行きました。「都立小石川中等教育学校」は都内に10校ある中高一貫校の一つです。

経済産業省が2016年6月に発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」(※1)では「2030年には国内のIT人材が80万人不足する」と予測されていますが、それだけではありません。GAFAと呼ばれるIT大手4社の昨年の時価総額は3.42兆ドルにものぼり、米主要500社のそれの13.2%を占める(※2)こと、つまり、ビジネスの主戦場がシフトしている事実に向き合う必要があります。落合陽一氏が著書で述べているように、これからの世界の構図は、「機械(AI)」vs「人間」ではなく、「機械(AI)を扱える人間」vs「扱えない人間」なのです。
※1 IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果
※2 GAFA、資金集中一段と

教育において、知識の習得と同時に、主体性(コミュニケーション力含む)を育むことは非常に重要です。その意味で、近年導入が進んでいる「アクティブ・ラーニング」は、知識偏重を改める良い取組みだと考えています。そして、主体性は普遍的なものですが、知識については、時代の要請に応える必要があると考えます。

約10年ぶりに改訂された「学習指導要領」では、「情報」教育の強化が明記されました。これでも前進ではありますが、加えて私は、昨年の「文教委員会事務事業質疑」で取り上げたように、プログラミングに興味を持った小学生~高校生が、好きなだけ学べる機会を提供するべきだと考えています。

私は以前、小学生~高校生向けのあるプログラミング教室のボランティアを2年間務めました。その経験によれば、
①ITリテラシー(=きっかけを与えられる)と経済力のある(=PCやネット環境がある、授業料が支払える)ご家庭の子供が教室に来る。
②主体的に取り組む子どもは非常に伸びる。
という傾向があります。

IT人材不足、そしてビジネスの主戦場のシフトという現状を踏まえた、子ども達がこれからの社会をより自由に、そして生き抜くための教育に関する私なりの提案が、「プログラミング(を使ったチャレンジ)に興味を持った子どもが、好きなだけ学べる機会を提供する」ことなのです。

小石川中等教育学校の「パソコン同好会」に関わっている「外部人材」は教員OBで、私が思う、民間の現役プログラマー、とは異なっていました。しかしながら、一事例ではありますが現場を見たことで、色々な気づきがありました。

まず、「パソコン同好会」に所属する生徒は、ゲーム好きが高じて入った、プログラミングを初めて学ぶ生徒が多くいました。発足して5年目という若い研究会であることもあり、生徒の姿勢はまだ受動的で、仲間とチームで開発した経験のある生徒はいませんでした。

一方、主体的、能動的にプログラミングに取り組んでいる生徒は、「物理部」で活動していました。ここでは、生徒は専門性の異なる仲間と力を合わせ、世界大会に向けた「サッカーをするロボット」や、動きを機械学習する「ソーラン節も踊れるロボット」を開発していました。一応、企業の研究所で研究主幹を務めたこともあるのですが、彼らの主体的な頼もしい受け答えに、深く感心しました。

教える側と教わる側という関係ではなく、その領域の高みを目指す者同士、共に切磋琢磨する・・・プログラミングの習得には、そんな環境が合っていると思います。「物理部」で、先輩の影響を受けて取り組む後輩の様子に、一つの理想を見るとともに、足りないものを実感しました。私の専門はディスプレイ、どちらかといえばHWです。優れた、機械学習やAI、ロボットなどの領域の研究者達(次々に顔が浮かびました)がいたら、どんなに彼らは喜び、より有意義なやりとりができただろう、と思いました。

国では既に「未踏PJ」として、限定的ではありますが精鋭の育成のために、その領域の先達とのマッチングに取り組んでおり、「物理部」の二人も採択(※3)されています。IT関連の最新技術に取り組む若い研究者が、プログラミングに興味を持つ生徒たちとより関われる仕組みを考えていきたいです。
※3 未踏IT人材発掘・育成事業:2018年度採択プロジェクト概要

「都立小石川中等教育学校」では、期せずして、「中高一貫校」の意義も学ぶことができました。それは、学校見学ももちろんですが、その後に「物理部」や「パソコン研究会」保護者の皆様(4名が集まってくださいました)と議論する場を、視察を知ったママ友に設けていただけたからです。

「高校受験が無ければ中だるみするだろう、そして、そしてより多くの子ども達とふれあって欲しい」という個人的見解で、私の子供は区立中学から都立高校に進学していますが、議員を務めるにあたり最も大切なのは、このような「個人的見解」を自覚することだと思っています。「都立小石川中等学校」での生徒との質疑、そして保護者の皆様とお話する中で、多くのご家庭が中高一貫を選択する意義を理解することができました。それは、主体性のある生徒であれば、中高6年間という時間を、自らが興味を持つ事柄の追及(例えばロボコンや各種科学系オリンピックへの出場もそうです)に充てられるのです。高校受験がなければ中だるみ・・・、これは単に当時の私に、目的意識と主体性が欠けていたことによる見解だと言えます。

一方、「都立中高一貫校」が様々な奨学金の対象から漏れがちであること、そして、「障害者手当」と「児童手当」の同時受給ができない問題点なども知ることができました。

都民の皆様の声を代弁するにあたり、多くの人の意見を聞き、実態を見る大切さを改めて感じた、有意義な一日でした。

都立小石川中等教育学校
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