事務事業質疑~総務局② 統計リテラシー向上 他

都議会議員,福島りえこ,世田谷区 ブログ

認証店の感染症対策が継続的になされているかをデジタルを使って確認する「点検・認証済店舗へのデジタルトランスフォーメーションによる支援強化事業」については、有識者の意見を踏まえて行うことを求めました。

EBPM(証拠に基づく政策立案)が実施されるよう、呼びかけるだけでなく、専門人材の雇用含めた体制整備や都職員の研修の充実、そして、内閣府同様の伴走型支援を求めました。

「点検・認証済店舗へのデジタルトランスフォーメーションによる支援強化事業」

第3回定例会で予算化された「点検・認証済店舗へのデジタルトランスフォーメーションによる支援強化事業」は、これまで行ってきた認証済店への支援(コロナ対策リーダーを通じた感染対策に関する情報の発信)に加え、デジタルを活用し、

(1)動画による感染対策に役立つ情報の紹介
(2)質問などに自動的に対応するチャットボットの導入
(3)認証済店が行う感染対策の状況を都がオンラインで確認

することにより、店舗が行う対策の実効性を高めようという取り組みである。しかしながら、(3)については、以下の3点から課題があると考える。

・写真や動画を撮影した状態が維持されるとは限らない
・”人の目で見て” 確認する、つまり、それなりの労力が必要
・最新の研究成果では、新型コロナウイルスの大部分が「空気感染」であるとされるなかで、写真や動画で第三者が、視覚的に、間隔の確保やアクリル板の設置はまだしも、手指の消毒や肝心の換気の状態を確認できない

私は、東芝の研究開発センターで研究者として22年間勤め、世界初の裸眼3Dテレビの開発と製品化を手掛け、映像情報メディア学会の丹羽高柳賞等を受賞するなどしているので、ディスプレイや視覚については、ある程度の専門性があるといってもいいかと思う。その立場から見て、感染防止対策を写真や動画で確認するという方法は、肝心の換気状況がわからないだけでなく、たとえその写真や動画が撮られた時点に限ったとしても、照明や撮影の条件が統一されていない状態で、様々な色や形状の椅子や机、さらには照明条件で見え方が大きく変わるアクリル板を認識して距離等を自動判定することは難しく、人が見て確認するとしても、(両眼視差が失われた状態で)店舗の図面や撮影位置など補足情報がなければ、その場に行ったことがない人が特に距離感について判断するのは難しい。

そこで提案したいのが、都民の声を参考にする、ということである。

私は大都市東京こそ、都民の声を広く集め、政策や事業に反映する方法として、デジタルを活用するべきと考えている。飲食店の感染症対策の確認に関しても認証店の枠組みができる1年以上前から、都民の声を集めて、当時、限定的に行っていた人を派遣するエリアについて、優先順位付けの参考にするべきと訴えてきた。都からは、都民の声が寄せられている区市町村の声も参考にしていることに加え、店舗を特定してしまうと様々な問題がある、との説明を受けているが、
GPSの数mから数十mほど誤差、性能の低さを逆手にとれば、店舗や個人は特定できないので、エリアとしての状況を把握するにとどめられる
人を派遣して点検したエリアを地図上に示すことで、都の努力を可視化し、都民に伝わる
都民も、点検後のエリアの飲食店を選んで訪れることもできる
これが、デジタルだからこそできる、双方向のコミュニケーションだと訴えてきた。

都民の声に基づく、という話をすると、7月に国が実施した、飲食店の利用客から感染症対策に関する情報を収集する仕組みに対する国民の反応が否定的であった、という話がある。例えば「国民による密告制度だ」という意見だが、
・悪意を持った投稿、例えば、同一IDから同一店舗を対象にした複数回の投稿等は、他の値から大きく外れた値、すなわち外れ値として取り除くことができる
・GPSの性能の低さを逆手に取り、店舗ではなく、エリアレベルの把握に留めることができる
・感染防止対策ができていた、安心して飲食できた、というポジティブな声を集める形にするのもよい
このように議論が巻き起こった時こそ、デジタル利活用の意義や、個人情報の保護との両立策、データの取り扱いの工夫などについて議論を深め、国民のデジタル利活用に対する共感を高められるチャンスだったと私は考える。現状を変えるには議論に時間をかけることは不可欠。恐れないでほしい。

都は、本年度の春先に、国の指針もあり、都内の全飲食店に人を派遣し、感染防止対策の状況を確認した。これに11億円を要したが、その後の継続状況の確認に、たとえデジタル化によりコストが抑えられても、信頼性が損なわれては意味がない。万が一、認証済店の感染防止対策に問題があった場合に、どのように確認していたのかと問われて、新型コロナウイルスの大部分が「空気感染」であるとされるなかで、「写真や動画で確認した」といって理解を得られるのだろうか。

以上は、都民の声というよりは私の経験による意見なので、この程度にして、ぜひ、専門家の意見を聞いてほしい。

都は、平成31年度「大学研究者による事業提案制度」で、都民が気づいた道路の補修箇所を、写真や位置情報を添えてアップロードできる、「マイシティレポート」というアプリを使った取り組みを採択、建設局で試行している。マイシティレポートコンソーシアム事務局に確認したところ、「今後、より多くの局で、ポジティブな都民の声を集めるプラットフォームとして展開してもらいたい」という想いがあるとのこと。

「感染防止対策ができている」というポジティブな評価を集める仕組みであれば、例えば、埼玉県で行っている、感染症対策セミナー動画の視聴とセルフチェックを商店街の皆様にお願いするような、コミュニティでの取り組みの支援事業と同時にやることで、より都民を巻き込んだ形で感染防止対策を進められる可能性もある。

Q1 都民の声を、画像を付して集め、行政に反映することに関して知見のあるマイシティレポートコンソーシアム事務局と、感染防止対策への適用可能性について意見交換するなど、改めて、デジタルを活用した都民参加型の飲食店の感染防止対策について検討いただきたいと考えるが、見解を伺う。 

A1 「徹底点検 TOKYOサポート」プロジェクトにおいて、直接訪問・点検を実施、現在、10万を超える飲食店等が認証済。こうした多くの認証済店が行う感染防止対策の実効性を確保していくため、お話のありました団体も含め、外部有識者等との意見交換を通じ、飲食店等における感染防止対策の継続的・効果的な取組について、幅広く検討

前向きなご答弁をありがとうございます。遠隔監視は下水道局等にも知見がある。有識者と意見交換し、デジタルを適切に活用し、実効性のある取り組みにしていただきたい。

統計リテラシー向上

私は2017年に都議会議員になって以降、政策の精度向上に向けて、EBPM(証拠に基づく政策立案)の重要性を訴えてきた。2019年、2021年には、政策の効果を、ランダム比較実験や自然実験など、統計的扱いで測定する研究がノーベル経済学賞の対象になった。事業の評価を執行率で測るなどは論外で、事業の影響がる母集団とない母集団からそれぞれデータを収集、統計的処理を経て、その事業が有為かどうかを検定する内容である。

出生率はじめ、世界が今抱えている問題は、解決が難しいものばかり。単年度では解決が難しく、また要因も複合的である。だからこそ、政策と事業の間にロジックモデルを作成し、因果関係を確認するためには、統計的に有意差があるかどうかの検証が必要になってくる。

Q2 職員に向けた統計リテラシーの向上のための研修はどのように行われているのか。

A2 EBPMを推進するためには、職員の統計リテラシー、すなわち、分析・活用能力の向上を図ることが重要。都では従前より、都や区市町村の統計部門職員を対象に、実務能力の向上を図るための研修を実施。本年度と昨年度は、新型コロナウイルス拡大の影響で開催を控えたが、令和元年度は、総務省担当職員を招いて、政府統計のWEB総合窓口である「e-Stat」活用について実施。平成30年度から、都庁職員等の統計利活用に関する知識やノウハウを高めるため、6回セミナーを開催。こちらも2年実施していないが、令和元年度には、「地方自治体の統計利活用事例」や「ビジネスにおける統計分析」をテーマに実施。平成30年度から毎年、幅広く都職員の統計に関する理解を進めるため、統計用語の解説、具体的な使い方、他県のデータ利活用事例の紹介などを行う、メールマガジンを都庁全職員に9回配信。今月中には10回目を配信予定。

大変重要な取り組み。各種統計データを使うことはもちろん、EBPMにおいては、事業を計画する段階で、その後の効果検証に必要なのデータを収集するための事業設計が重要になってくる。教育内容を充実していただきたい。研修をした結果、都が作成する産業連関表などの加工統計が、政策立案に当たって活用されないのでは意味がない。

Q3 内容についての問い合わせはあるのか、伺う。

A3 既存の統計データを解析し作成する「加工統計」に関する問い合わせは、「東京都産業連関表」に関係する質問等も含め、各局から毎年10件から20件程度。これらに対し適切な助言を行うことにより、政策立案への活用を促してきた。

引き続き、丁寧な対応をお願いいたします。

総務省が、令和3年7月に都道府県、政令指定都市等の産業連関表作成主管課に対して、令和2年度に実施又は把握した産業連関分析事例について照会し、その結果を取りまとめた結果として、「都道府県等における産業連関分析実施状況」が今月発表されている。残念ながらこの中に東京都の事例はないが、他道府県では、コロナが域内経済に与える影響の把握や、コロナ対策に係る助成・融資の各産業への流れの推計等に使われている例が紹介されており、参考になると考える。

Q3 研修において、具体的な事例を取り上げることにより、事業に統計を活かすことにつながる効果的な研修を実施することができると考えるが、見解を伺う。

A3 都では、職員の統計分析・活用能力の向上を図るため、研修やメールマガジン配信等を行っているが、内容がEBPMにつながる効果的なものであることが重要。このため、職員が業務に具体的に活かせるよう、講師や題材等の内容に工夫している。「産業連関表」についても、4回にわたりセミナーで取り上げ、産業連関表を用いてイベントや観光政策の経済波及効果を測定するような具体的事例も交えて説明し、利活用を働きかけてきた。今後も、適切な具体的事例を選択し、研修等に取り入れていく。

東京都の取り組み事例が他道府県に参考になるようであってほしい。

私は22年間研究開発の現場にいたからこそ、事前に想定していた結果と、実験結果が異なることを何度も経験してきたし、机上検討の軽さ、手を動かすことの大切さこの身に沁みついている。人は見たい方からしか物事を見ないと思ったほうがいい。客観的なデータが教えてくれることは少なくない。

英国から始まったEBPMを諸外国は本気で取り組み、ものにしつつある。都の事業評価でエビデンスベース、という言葉を聞く機会は増えたが、エラーバー付きのデータを見たことはない。日本を牽引する大都市東京の行政機関こそ、EBPMで政策の精度向上に取り組むべきであり、そのためには、統計的観点をもった事業評価、政策評価が必要である。

Q4 このような取組を進めるにあたり、専門人材を雇ったり、大学と連携するなど、今まで以上の体制づくりに着手するべきと考えるが、見解を伺う。

A4 統計部では、令和3年度から、統計専門員として会計年度任用職員を採用し、主に都が作成する産業連関表、都民経済計算などの加工統計業務に活用。加工統計の作成等に当たっては、統計学を専門とする大学教授などの有識者による理論指導を年に概ね10回以上受けながら、精度の維持・向上に努めている。今後も、様々な外部の専門的知見を活かしつつ、統計部職員のレベル底上げを図る。

統計部内の従来の業務の質の向上に専門家を招いて取り組んでいるとのご答弁。私が質疑を通じて訴えたいのは、都のPDCAに統計的観点を導入すること。ただし、統計的取り扱いをするにはある程度の数のデータが必要であり、コストもかかる。国では、内閣官房が、「政策効果の把握・分析手法の実証的共同研究」と称して、関係府省や学識経験者及び総務省と連携して、EBPMに適した事業をモチーフに、政策効果の把握・分析手法を研究することで、EBPMの考え方を活用した政策評価の質の向上を図っている。このような丁寧な取り組みを都でも行うことを求め、質疑を終える。

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