東京都政策連携団体経営改革プランについて
「東京都政策連携団体経営改革プラン2022年度改訂版」は、
・感染症対応や東京2020大会に向けて積み上げた知見等の活用
・DXの推進
・コロナによる収支影響を踏まえた団体事業の安定化
の3つの視点を重視して改訂されました。
Q 各政策連携団体はDXを具体的にどのように進めていくのか伺う
A経営改革プラン2022年度改訂版では、DX推進を改訂の視点の1つとし、各団体はこれを重視して、積極的にプランに掲げる各取組のブラッシュアップを図っている。具体的には、5Gを活用した施設利用サービスの拡大、SNS等の解析による列車内異常の早期検知、保守業務等へのウェアラブル機器の導入促進など、各団体の担っている様々な業務でDXを推し進めることとしている。加えて、申請の電子化など「手続きのデジタル化」や、いわゆる「5つのレス」について、「シン・トセイ2」に掲げる都の取組と同水準となるよう、今年度末までの目標設定を行っている。同プランに掲げた、これらのDX推進に向けた取組について、所管局及び外部有識者とも連携し、デジタルサービス局の技術支援も得ながら、適切な進捗管理等を行っていく。
答弁にあった5つのレスの他に、テレワークの実施状況に関する記載もあります。この実施率は、実施件数を当月の勤務日数と、テレワーク勤務可能な職員数で除して求めています。つまり、テレワーク勤務可能な職員の実施状況を報告しているが、団体によっては、実施率のみ報告しており、テレワーク勤務可能な職員数自体は示していない。つまり、組織の中で該当者が1人が20日中8日勤務しても、100人が20日中8日勤務しても、実施率は40%で変わらない。
Q 進捗管理を適切に実施するためには、より具体的な取組状況を記載するべきと考えるが、対応を伺う
A ご指摘の各団体のテレワーク実施状況は、同プランの改訂に着手した昨年11月末時点の実績として、それまでのテレワーク実施率や推進に向けた環境整備の状況等を、それぞれの団体が把握している範囲で記載している。今後実施する、2021年度末時点での経営目標の達成状況の評価に当たっては、各団体のテレワークに係る定量的な取組実績を適切に把握し、その内容を公表するなど、都民の理解と納得を得られる適切な評価を実施していく。
テスラやホンダなど、テレワークを認めない企業も出てきています。私も前職で製品構造決定のプロジェクトリーダーを担った経験から、報告中心の会議はできても、相手の反応を見る必要がある創造的なディスカッションは、今のテレワーク環境では難しいように思っています。つまり、一概にテレワーク勤務可能な職員数が多ければよいというわけではありませんが、数字がないとテレワーク勤務可能な職員がちゃんとテレワークできているか、の議論ができません。検討を要望しました。
令和3年第3回都議会定例会での質疑のフォロー
東京都社会福祉事業団
令和3年第3回都議会定例会で、「東京都社会福祉事業団」の達成状況がCの理由について質疑し、評価シートから、人材の確保と定着に苦労している様子が読み取れたことから、経営理念である「利用者本位のサービスの徹底と一人一人により沿った支援」をするためにも、コンプライアンスの徹底とともに、職員の働きがいのある職場づくりに向けて、指導監督を要望しました。
今回、新たな取り組みとして、職員の悩みや不安を受け止める訪問相談員の設置や、仕事の悩みを相談する窓口の実施、職員満足度アンケートや、メンタルヘルス研修など、プランの改定がなされたことを評価します。
東京水道株式会社
一方、道路占用許可書の偽造というコンプライアンス問題があったことなどにより達成状況がDであった「東京水道株式会社」については、評価シートには、令和2年度末時点では「コンプライアンス推進体制の強化は道半ば」であること、そして、所管局からも「全社をあげて原因分析を行い、再発防止策の取り組みを徹底的に取り組んでいる」との記載はあったものの、今回の改定では、コンプライアンスに関する記載は殆どない。
Q 東京水道株式会社のコンプライアンスに関する取組について進捗を伺う。
A 東京水道株式会社では、一昨年度に発生した不適正事案を受け、早急に原因分析及び再発防止策を実施し、昨年度策定した経営改革プランには、コンプライアンス強化に向けたエンゲージメント向上を目標に掲げ、社員の負担軽減にも資する業務プロセスの見直しなどの取組を行っている。さらに、今回の2022年度改訂版では、業務改革の意識醸成や若手社員の意欲向上など、目標達成に向けた、コンプライアンス強化に繋がる取組を一層推進することとしている。また、コンプライアンス研修や、団体幹部が約90ある全ての事業所を訪問しての意見交換などの再発防止策については、現在まで着実に実施していると聞いている。今後も団体所管局と連携し、再発防止策の実施状況に加え、経営改革プランに掲げる取組の進捗を適切に把握するなど、社員一人ひとりのコンプライアンス意識の定着等に向けた指導監督を行っていく。
団体幹部だが、具体的には代表取締役と都派遣の職員2名とのことです。本改訂を管轄する総務局として、事業所訪問で何がわかったか、経営上どのような改善を行うのかをヒヤリングし、コンプライアンスの徹底に努めていただくことを要望しました。
東京しごと財団
女性の平均収入が男性の7割にとどまること、非正規労働者の7割を女性が占めること、女性の収入が低いことが、ひとり親家庭の困窮に結びついていること、などが知られているが、日本の給料があがらないのは、女性の就労率があがり、平均を押し下げた、という分析もあります。
先日も日経新聞に、識字率が高まると賃金が高くなるはずなのに、日本だけその傾向から外れており、女性の賃金が低いことが原因という論説が掲載されました。この国は、女性の能力を生かし切れていません。ところが、「東京しごと財団」の戦略の項で、女性に関する記載は、なんと、
・シルバー人材の登録増
・女性仕事応援テラス多摩ブランチ
のみです。実際には様々な女性の就業に関する取組をしていると聞いており、どこまで記載するかという話もあると思いますが、議会つまりは都民の興味の高い内容への取組はしっかりと伝わるよう、改善を求めました。
東京都つながり創生財団
戦略3の運営基盤について、できたばかりとはいえ、「人事考課や昇任制度が未導入で、職員の業績評価する仕組みも構築できていない」旨の記載があり、驚きました。昨年11月末時点の実績や今年度の計画の記載もあるが、早期の対応を求めました。
新型コロナウイルス感染症の影響について
最後に、美術館や都協、動物園や貸しホール、交通など、コロナ禍の影響を受けている事業について、ウィズコロナで収支があう経営の在り方、サステナブルリカバリーをどこも描き切れていないように見えました。簡単な問題ではないが、生業とするなら描くのが仕事です。必要なら専門家を使うなどして、やり遂げていた抱くことを要望しました。
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