データをオープンにすることで、都の課題により多くの方に関わっていただくこと、そして、データに基づき政策の精度をあげるEBPM(証拠に基づく政策立案)は、都議会議員1年目より、質疑を通じて推進してきたテーマです。
オープンデータに関しては、ユーザーとのコミュニケーションを重視すること、加えて、具体的な課題解決に向けた、能動的、戦略的なデータ連携を求めました。
質疑を通じて、方向性をすり合わせられたと思っています。
区市町村連携プラットフォーム
2017年9月、都議会議員になって最初の総務委員会で、都がプラットフォームを検討するにあたり、区市町村や国との連携も考慮するべきと問い、当時、多羅尾総務局長より、国や他の自治体との連携も留意していく、との答弁を得た。データの利活用を推進していく上では、民間や国、区市町村など多様な主体とつながることが重要。
Q1 都では現在、官民による「東京データプラットフォーム」や「デジタルツインの構築」、「オープンデータの推進」に取り組んでいるが、それぞれどのような役割を担い、国や区市町村とどのように連携しながら推進していくのか伺う。
A1 都では、データの利活用を促進するため、庁内で保有するデータをオープンデータ化することにより、シビックテック等がそれらを活用して、新たなサービスの創出につなげる取組を推進。また、こうした庁内データのうち、地図系データを中心に集約・可視化していくデジタルツイン構築に向けた取組では、都民の理解や庁内各局における業務での活用を促進。さらに、東京データプラットフォームでは、様々な主体とのコミュニティを形成する協議の場を設けるとともに、データ整備を支援する取組を進め、官と民が持つデータを連携し、活用を図っていく。これらの取組にあたっては、都だけではなく、国や区市町村のデータと連携させる必要があることから、より一層利活用を進めていくためのルール作りの検討など、国や区市町村と一体となって推進
様々な主体との協議を目的としたコミュニティ形成とデータ整備を支援する、「東京データプラットフォーム」、そして、様々な主体がデータを利活用するための「オープンデータ」、地図上に集約・可視化することでデータの価値を高める「デジタルツイン」、と、データ利活用に、国や区市町村と連携し、多角的に取り組んでいることを確認した。
オープンデータ
オープンデータは、行政課題解決に民間の力を活かす重要な取り組み。これも、都議会議員1年目から推進。また、東京都はホームページ等で情報提供する機会が増えているが、情報提供するだけでなく、情報が届いているかを調べるアクセス解析の導入を訴え、令和2年度より予算化、導入が進んでいる。
データの利用状況を把握する指標として、アクセス分析のページビュー数、さらにそのページからデータにアクセスするリンクのクリックをカウントするイベントラッキングに加え、機械的なアクセスをカウントするファイルサーバーのアクセスログなど、複数の方法があると、都の担当者より伺っている。
私が知りたいのは、民間をはじめとする、都民の参加状況、すなわちオープンデータに興味を示している人の数である。そこで、
Q1 データへのアクセス状況を意味するイベントトラッキング数が、9月に多かったデータとその実数について伺う。
A1 都が導入するアクセス解析ツールを利用すると、9月にアクセス数が多かったデータは、新型コロナウイルス陽性者数、陽性率などの新型コロナウイルス関連情報が多く、次いで、都立施設などにおけるバリアフリー対応のトイレ情報、公衆無線LANの設置場所の情報、東京都防災マップの避難所一覧データ等。ダウンロード総数は約2万6千件。
コロナ関連のアクセスが多かったということで、時期を得たデータ提供が重要であることがわかる。
これに続く、バリアフリー対応のトイレや、公衆無線LAN、避難所の情報についても、一定のアクセスがあるとのこと。アクセスした都民や民間事業者がこれらのデータを自ら使うことに加え、データを使ったサービス提供が進めば、都自らが発信する以上に都民の皆様に情報が届き、これらの施設の利用率があがることが期待できる。
オープンデータの利活用には、データの利用者とのコミュニケーションが不可欠である。
Q2 今年度、オープンデータカタログサイトの改修を行うとのことだが、現時点でどのようなサイトにしていきたいのか伺う。
A2 オープンデータカタログサイトは、サイトが見づらい、重要な情報にたどりつけない、といった様々なご意見をいただいている。こうしたご意見を踏まえ、今年度、データをグラフや図などで分かりやすく表示するなど見やすいサイトに改善するとともに、検索機能の精度を向上させていく。また、利用しやすいリクエストボックスへの改善やダウンロードランキングの掲載等も行い、ユーザー目線に立った使いやすいサイトに改善していく。
現状のオープンデータカタログサイトでは、コミュニケーションがされている感が弱い。
私は、過去の質疑の分析に、フリーのテキストマイニングツールを使ったり、自身のホームページを作るのに、やはりフリーのコンテンツ管理システムを使ったりするが、これらのツールには、例えば掲示板が設けられていて、そこで開発者とユーザー、ユーザー同士で、活発な質疑応答がなされている。活発な議論がされているツールは、ブラッシュアップもされるし、ユーザーも増える。
今年度の改修で、リクエストボックスを改善する、とのことだが、リクエストボックスへの問い合わせや、回答を公開することを提案する。回答内容を他のユーザーも参考にできるし、都のレスポンスのスピードなどの状況もわかる。また、例えば、犯罪の発生状況のデータを使って、犯罪発生を予測する事業者があるが、青少年・治安対策本部は、犯罪発生の住所は丁目まで、件数は月単位の集計結果しか公表していない。予測精度の向上には、より詳しい情報が必要とのことだったが、青少年・治安対策本部からは、犯罪被害者が特定される恐れから、公開情報を限定していると聞いた。このような公開する範囲を限定する理由なども公開すれば、公開に後ろ向きではないことが利用者に伝わる。ユーザーとのコミュニケーションを活性化するために、リクエストボックスを通じたやり取り等を公開することを提案する。
ユーザーの声を直接聞く取り組みとして、ラウンドテーブルは有効。
Q3 都は昨年度、オープンデータ・ラウンドテーブルを開催したが、提案内容のオープンデータ化状況について伺う。
A3 本年2月に開催した「オープンデータ・ラウンドテーブル」では、シビックテック等から3つの提案をいただいたところ。具体的には、「駅のエレベータの点検情報、観光分野における統計情報、中央卸売市場日報を、機械判読可能な形式で公開してほしい」との要望があった。要望があった3つの提案については、各局に働きかけを行い、本年4月にオープンデータとして公開した。公開にあたっては、オープンデータカタログサイトのトップページに新着情報として掲載するとともに、noteやツイッター等を活用し広く情報発信等も行った。
大切な取り組み。会議を設定せずとも、要望が届くようになれば本物。
Q1では新型コロナ関連のDBへのアクセスが多かった、というご答弁があったが、4万件を超えるオープンデータの中でも、アクセスの多い情報とそうでない情報があると聞いている。機械判読性があるデータ形式など、都民が利用できる形でデータを公開していくためには、データのクレンジングなど、多くのコストがかかる。そこで、
Q4 民間ニーズの高いデータからオープンデータ化していくべきと考えるが見解を伺う。
A4 都は今年度、オープンデータ化を進めるため、各局が保有するデータの棚卸を実施し、準備ができたものから順次オープンデータカタログサイトで公開していく予定。公開にあたっては、シビックテックや民間企業へのヒアリング等を通じて、オープンデータ化の要望や活用方法のアイデアを収集し、民間ニーズの高いデータから優先して取り組んでいく。
私からは、都がどんなデータを持っているかを、まず都が公開することを提案する。そして、都民から使いたいという声が多く寄せられたデータを、コストをかけて公開する。目的は、データの公開ではなく、データを介した、都民をはじめより多くのリソースの社会課題の解決への参加であり、インタラクティブ性を大切に、取り組みを進めていただくことを要望する。
加えて、将来的には、都のデータを活用してサービスを提供する民間企業等から、得られた情報をフィードバックしてもらうことについても、検討していただきたい。
最初の質問で、多く閲覧されているデータは、
・都立施設などにおけるバリアフリー対応のトイレ情報
・公衆無線LANの設置場所の情報
・東京都防災マップの避難所一覧データ等
等である、と聞いた。必要とする都民にこれらの施設をご利用いただくことも大切だが、今後、新しく施設を設ける場合に、どこに設ければいいのか。サービスによっては、ユーザーの意見や、さらには、各施設の利用状況などを収集しているケースもあると思う。都民の声を今後の施策に反映できてはじめて、本当の意味での都民参加型になる。
オープンデータは、都民とともに社会課題を解決するための入り口に過ぎない。展望を持った取り組みを求める。
また、オープンデータの流れを止めないためには、都職員に、オープンデータの意義を感じてもらうことも重要。そのためには、取り組むべき課題を明らかにしたうえでの、能動的な連携も有効だと考える。
例えば、埼玉県では、交通事故削減という明確な目標のもと、ホンダと連携、ホンダは県からの「道路開通情報」や「観光情報」の提供によりカーナビユーザーのサービス向上に努め、県はホンダからの「通過時間データ」「急ブレーキ発生箇所データ」の提供により、道路交通の安全性・利便性の向上のための施策の実施が可能になった。具体的には、平成 23 年度までに 160 箇所(モデル箇所含む)で実施した結果、対策前に比べて 1 か月間の急ブレーキ総数が約 7 割減少(995 回→ 326 回)し、一年間の人身事故件数が約 2 割減少(206 件→ 161 件))した。
他道府県の好事例も参考に、能動的、戦略的なデータ連携にも取り組んでいただきたい。
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