「令和4年第4回都議会定例会」代表質問①~太陽光パネル義務化、東京2020大会談合疑惑、都市強靭化プロジェクト、多摩エリアの交通利便性改善

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 日本が失われた30年から長く続くトンネルを抜け出し、飛躍を遂げるために必要なのは言うまでもなく「未来への投資」です。国においても出産・子育てやスタートアップへの支援が議論されるようになったことは評価しますが、現状、スタートアップ等新産業への投資額対GDP比はG7で最低レベル、子育て関連支出の対GDP比は欧州の約半分、そして教育費に対する公的支出はOECD加盟国最低レベルであり、このままでは掛け声倒れと言わざるを得ません。
 失われた40年の入り口から脱却し、状況を打破するためには、成長のエンジンとなる「ひと」や「新しい産業」への投資へ大きく舵を切り、制度を抜本的に変えていく、まさに東京大改革の取り組みが必要不可欠です。

新築住宅等への太陽光パネルの設置推進

 今定例会には環境確保条例案が上程されています。私たちはかねてより、新築住宅等への太陽光パネルの設置について設置の義務化と支援策をセットで進めるべきことを求めてきました。これに応じ、初期費用や更新費用への補助などの支援策が今回の補正予算にも組み込まれ、前回定例会で指摘した、条例の義務化対象となっていない中小メーカーや工務店にもインセンティブを設ける仕組みを新たに講じたことを評価します。

Q改めて、2030年カーボンハーフとその後の脱炭素社会の実現に向けて、条例改正による制度創設の意義と支援策の強化について、知事の見解を

A(知事)
 建築物環境報告書制度は、供給事業者が住まい手等とともに建物の環境性能の向上を 推進する制度である。住宅の規格に大きな影響力を持つ大手ハウスメーカー等の事業者に対して、太陽光パネルの設置等の義務や住宅の環境性能に関する説明を住まい手に行う義務を課すことにより環境性能の高い住宅の標準化を推進する。
 補正予算では新制度の円滑な施行に向け、速やかに準備に着手する住宅供給事業者等が性能の高い住宅モデルの整備・拡充を行う際に必要となる経費に対して新たに支援する。
 また、総合相談窓口の設置など住まい手等の理解促進に向けた支援や太陽光発電設備の設置等に係る補助制度の充実など、きめ細かい支援メニューを用意する。
 さらに、事業者の創意工夫を促すため、経済性・快適性・防災性を備え、住まい手からも支持される住宅モデルを先行的に供給する事業者に対する表彰制度を今後創設する。
 こうした支援などを通じて事業者の取組を更に加速化し、環境性能の高い住宅の標準化に向けたムーブメントを醸成していく。

 太陽光パネルの生産において、部品となるシリコンの生産が現在は中国に集中していることから、特に、新彊(しんきょう)ウイグル自治区における人権問題への対応が懸念されています。
 政府も本年9月に「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を公表していますが、太陽光パネルを含め、都内企業のビジネス展開にあたって、人権課題への対応は重要であり、都としても後押しが必要です。

Q今後、都内企業のサプライチェーンにおける人権課題への対応強化を後押しするべき

A(環境局長)
 持続可能な社会の実現に向けては、企業の責任ある人権尊重への継続的な取組を促進することが重要である。 先般都は、太陽光発電の普及拡大や人権尊重の取組を更に促進するため業界団体と連携協定を締結した。
 今後は本協定をもとに、持続的なサプライチェーンの構築を推進するとともに、継続的な意見交換や研修等を通じて企業の適正な取組と情報公開を促していく。
 また、新制度の施行に当たっては、国内メーカーが強みを持つ建材一体型や軽量な パネルなど、東京の実情を踏まえた商品の普及等を後押するなど、再エネ導入の更なる拡大を目指していく。

東京2020大会テストイベントに関する談合疑惑への対応

 東京オリパラ大会を巡っては、組織委員会元理事がスポンサー選定に関する汚職事件で起訴されたことに加え、テスト大会に関する談合疑惑に対しても捜査が進展しています。組織委員会と大手広告会社が受注調整を主導し、テスト大会の落札企業が、本大会の運営業務についても事実上一体的に請け負う形となっていたとされ、その場合の関連金額は数百億円に上ります。
 こうした状況を受けて、先日、潮田(うしおだ)副知事をトップとした調査チームが設置されました。組織委員会に派遣された都庁職員からの聞き取りや書類の調査、清算法人においても調査を行うとの事であり、あらためて、清算法人や組織委員会の元幹部・元職員を含め、徹底した調査を求めます。
 一方、清算法人は、清算関連業務が終わり次第、清算結了することとなっていますが、このような問題を抱えたまま清算結了することは、都民の理解を到底得ることはできません。

Qテストイベントを担った「大会運営局」へ派遣された都庁職員の数と今後の調査方針を確認するとともに、談合疑惑が解明するまで清算法人が清算結了しないよう対応することや、仮に官製談合に広告会社が関わっていた場合は都の入札参加に制限をかけるなどの対応が必要と考えますが、調査体制のリーダーである潮田副知事の見解を

A (潮田副知事)
 都は、清算法人に対し、捜査に全面的に協力するよう求めるとともに、テストイベントに係る契約手続等の適正性などを確認するため、速やかにチームを立ち上げ調査。具体的には、共同実施事業の書類の確認、清算法人による手続の確認。また、テストイベント等に関係した職員から、契約手続や意思決定過程等を聞き取り。これらの調査について、必要に応じてコンプライアンスや契約調整の担当部署などから助言を得て確認 。
 都から大会運営局への派遣職員は、平成30年8月1日時点で116名。捜査の状況によるが、今月中を目途に中間のまとめを行い公表予定。東京都競争入札参加有資格者指名停止等措置要綱によると、談合容疑による逮捕等の 事実が確認された場合などは、指名停止などの措置が規定
 清算結了は、債権の取り立て、債務の弁済、残余財産の引き渡し等、法令に定められた清算業務が終了した場合は、評議員会の承認をもって行われる。清算法人において、本件が清算業務にどのような影響を与えるか、法的側面などから 確認。都としても適切に対応するよう伝えている。

 私たちはかねてより、組織委員会のガバナンスに関して、様々な問題点を指摘してきました。にも関わらず、このような事態が生じていることは、極めて遺憾です。今後の捜査の状況に応じ、高橋理事の任命経緯や、発注等にかかわる組織の意思決定や監督責任に瑕疵がなかったのか、あらゆる手段を視野に、議会の責任を果たしていくべきと指摘しておきます。

都市強靭化プロジェクト

 関東大震災発生から来年で100年の節目を迎えます。私たちはこれまでも、新たな課題に対応し、例えば、タワーマンションの停電対策などの「マンション防災」や発災時に共助の要となる「コミュニティ」の強化を提案してまいりました。町会自治会や商店街などの加入率低下を踏まえ、これらに加入していない人を巻き込む実効性のある対策が必要です。
 都が今後策定する「都市強靭化プロジェクト」では、こうした課題に対応する等、ハード・ソフト両面で備える視点が必要です。

Q 迫りくる危機に対して、発災後も都民生活への影響を最小限に抑えることができる、強靭な東京を実現するため、新たな課題への対応も含め、どのように取り組んでいくのか

A(知事)
 気候変動の影響によって頻発化・激甚化する風水害や、人口構造や住環境等の変化に 伴い課題が重みを増す首都直下地震など、これまでの想定を超える自然災害のリスクが 高まっている。こうしたリスクに直面する中にあっても、 都民の生命と暮らしを守り抜くためには、発災後の都民生活の継続性も見据え、ハード面の備えに万全を期すことはもとより、多様な主体との連携などソフト面の取組を充実する必要。
 そのため、従来の防災施策を前提条件から見直し、対策をレベルアップした「都市強靭化プロジェクト」を、総事業規模も併せ、年内に公表。その中で、中高層住宅も含めた 防災対策の強化、町会自治会をはじめとしたコミュニテ ィでの共助を関心の低い方々や幅広い世代にも促す取組等、新たな課題への対策も含め加速
 来年は関東大震災から100年の節目の年である。百年先も安心できる東京を目指して、自助・共助・公助の取組を更に強化することで、強靭で持続可能な東京を創り上げていく。

多摩地域から空港エリアへのアクセス路線の整備

 小池都知事の就任後、国際競争力に資する鉄道ネットワークとして、6路線および臨海地下鉄構想を大きく前進させてきたことを高く評価します。
 一方で、多摩地域の鉄道網については更なる強化が必要です。特に、多くの多摩地域においては、空港へのアクセスが悪く、所要時間が1時間以上・3回以上の乗り換えを要するエリアがほとんどあり、今後、多摩地域に住む都民の利便性を高め、競争力をさらに高める上で、空港、特に羽田空港へのアクセス向上は必要不可欠です。

Q既存の鉄道インフラを活用し、武蔵野南線の貨物路線がつながっている府中本町(ふちゅうほんまち)から鶴見間とその先の貨物路線を旅客利用することで、多摩地域の多くの地域から羽田空港にダイレクトに接続することが可能になりますが、これらを長期的な東京、特に多摩地域の競争力を高める路線と位置づけ、国や神奈川県内の自治体とも協議し推進していくべき

A(都市整備局長)
 東京圏における鉄道ネットワークについては、基本的に、国の交通政策審議会の答申に基づいて、整備などが進められているため、まず、答申に反映されることが必要であると考える。
 答申に位置付けのない本路線については、 多摩地域から空港へのアクセス利便性の 向上等の効果が見込まれる一方、収支採算性の確保など、検討すべき様々な課題があり、沿線自治体や鉄道事業者間でこれらの課題について検討することが必要
 都としては、こうした取組等を見極めながら、適切に対応していく

 それ以外にも、南武線を南部支線の浜川崎(はまかわさき)を通じて羽田空港に直結する路線についても検討を求めます。また、空港アクセス線の整備に併せて、普通列車も含めて中央線の羽田直通運転が進められるようJRとの調整を求めます。

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