前回定例会でも申し上げた我が会派の重点領域について順に取り上げて参ります。
先ずは、スタートアップと文化で稼ぐ経済政策です。海外から「選ばれる都市」の実現にむけて、スタートアップ企業や日本の豊かな文化を支えるプレイヤーなど、これからの東京を支えていく「ヒト」と、基盤となるデジタルに対する投資を加速していかなければなりません。
スタートアップ支援
Climate Tech・グリーン分野
スタートアップは成長のドライバーであり、イノベーションの創出、将来の雇用・所得・財政を支える新たな担い手となります。
特に、気候変動対策・環境分野で、Climate Techが世界で注目を集めていますが、ゼロエミッションを掲げる東京こそが、アジアでNo.1の国際 Climate Techのハブ都市となるべきです。
EV・モビリティはアメリカのTesla、低炭素コンクリートはカナダのCarbonCure Technologiesなどの外資系企業にビジネスの根幹をおさえられつつあり、スタンフォード大学がサステナビリティ学部を作るなどして次世代の人材輩出環境も整いはじめています。
Q 長期的な目線でClimate Techなどグリーン分野のスタートアップを積極的に育成、活用、協業することが必要であり、都の様々な事業や補助金について一定割合を優先的にスタートアップに振り向けるなど、ダイナミックな転換を起こす必要がある
A (知事)
気候危機の克服には、これまでにないイノベーションが必要であり、社会課題を解決するスタートアップの力が不可欠 。 東京からグリーン分野のスタートアップを数多く生み出し、サステナブルな世界に 向けたモデルを示す必要。
大学の研究シーズを活かしたグリーン分野の大学発スタートアップの育成、新たな ファンドの組成を通じてスタートアップに資金が流れる仕組みや国内外の挑戦者が交わる一大拠点の構築、都政フィールドを活用した最先端再生可能エネルギーの社会実装など、重層的に施策を展開。
グリーン分野の成長とスタートアップの育成・協働を全力で推進 。
スタートアップファーストな都庁内の体制整備・条例の検討
我が会派のデジタル・スタートアップPTでは、スタートアップ等へのヒアリングを重ね、先日、網羅的な取り組み課題を記した要望書を提出しました。その要点は、スタートアップファーストに取り組むことです。
都の入札要件においてスタートアップが不利になる条件を設けることがないよう、既存の入札要件を総点検し、徹底的にスタートアップファーストに見直しを図り、むしろ、特段の理由がない限り、スタートアップを優先するよう取り組むべきです。
また、都庁各局所管の公有地・公有空間の活用や各局事業において、スタートアップが実施する新たなサービスの実現に協力し後押しすることが必要です。
Q スタートアップに対して、現場を提供し・実績を共につくり、各局の事業においてスタートアップを後押ししていくことが重要であり、各局の予算編成や人員配置において指針を示すなど全庁を挙げて取り組むべき
A(宮坂副知事)
スタートアップとの協働で、都政は新たな政策を生み出すことができる。 また、スタートアップの都政での活躍は、その信用を高め、飛躍につながる。
新たな戦略では、スタートアップの裾野を10倍、グローバル成長を10倍、官民協働の実践を10倍に増やす、三次元のイノベーションビジョンを掲げた。
都が製品やサービスの最初の利用者となるべく、公共調達を大胆な拡大に向け、入札参加資格の登録支援体制を構築するとともに、デジタルマーケットプライスなど、優れた技術等を有するスタートアップが都の調達に積極的に参入できる仕組み作りを進める。
環境、産業、都市づくりなど都政のあらゆる現場で、スタートアップが活躍できる フィールドを開拓し、全庁を挙げて協働の取組を推進することで数多くのスタートアップの成長を生み出す。
東京版ニューディール
DX・GXに対応したリスキリング
私たちは、コロナ禍の雇用への影響に対応するため、東京版ニューディールとして雇用対策を提言し、都はデジタル分野などのスキル獲得と就業支援をセットにした取組など、二万人規模の雇用対策を講じてきました。
一方で、付加価値の高い分野への人材の流動化や産業のシフトが進んでいないことは中長期の目線で大きな懸念です。成長分野であるデジタルやグリーン分野に人材をシフトさせ、東京・日本の国際競争力を高めていくことは不可欠です。雇用創出に留まらず人材の流動化やシフトを生み出す「東京版グリーンニューディール」を検討すべきです。
Q デジタルとグリーンを柱に雇用対策としての東京版ニューディールに磨きを掛けると共に、特にリスキリングについては再就職や正社員化等の視点だけでなく、大企業等の人材の活用も促し、転職や副業・兼業等を通じて成長分野に人材が供給される環境をつくるよう、企業と個人を大胆に支援していくべき
A(知事)
将来の成長が見込まれるデジタルや脱炭素の産業分野で人材を確保するためには、
様々な業種でリスキリングを進めるとともに、DXなどで対応の進む大企業の人材の
力を効果的に活用する視点も大切。これからの産業構造の転換に中小企業が柔軟に対応できるよう、その人材確保に向け
たリスキリングを着実に進めていかなければならない。また、大企業でデジタルに精通
した人材が中小企業に出向き、実力を発揮する工夫や後押しも重要。中小企業の社員がデジタルのスキルを習得する機会を増やす後押しを進めるほか、IT企業を目指す求職者には様々な知識や技術を学ぶ場を提供し、就職のサポートも行う一体的な支援を行っている。
大手の企業からITや環境関連の産業への就職を目指す方等と中小企業をマッチング
するイベントを開催するほか、今後は、大企業で力を培った社員が中小企業の職場で様々なノウハウを提供する後押しやその働き方に副業や兼業を取り入れる支援の充実を検討。
これらにより、新たな産業分野で活躍する人材の育成と確保を着実に促していく 。
職業能力開発センターの更新
都は、都内13か所の職業能力開発センター等を有しており、建築や電気など様々な分野の職業訓練を実施していますが、昨今の企業ニーズを踏まえ、就職先で即戦力として活躍できるとともに、環境変化に強い人材を育成するための環境を整える必要があります。
Q そこで、今後、DX・GXの動向を見据え、職業能力開発センターの施設・設備のバージョンアップを戦略的に行い、時代のニーズに応える人材を育成していくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
A(知事)
職業訓練で学ぶデジタル化の知識や技能の水準は、日進月歩の技術革新にあわせ、
速やかに高めなければならない。EVの普及を見据え、実際の車体や構造に触れ、現場で役立つ力を身に付ける後押しが必要。
再生可能エネルギーである太陽光を活かし、それを蓄電して効果的に利用する一連の
整備のノウハウを最新の実習機材を使い習得する訓練を充実 。
職業能力開発センターで、デジタルやEVなどの教材と機材のレベルを高めるととも
にGXの担い手を重点的に育てる拠点を選び、設備と施設の更新によりそのバージョン
アップを図る。
新たな時代のDXやGXに対応した技能を持つ担い手を数多く育て、東京の産業の一 層の発展に結び付ける。
中小企業のデジタル化における支援員の派遣や外部人材の活用
中小企業のデジタル化・DXについては、そもそも本業が忙しく人手が足りない中で、社として取り組む時間が無かったり、人員を研修に出す余裕がなく、目先の業務を優先せざるを得ずに推進できていない場合も少なくありません。
Q 人手不足によりデジタル化に踏み込むことができない中小企業に対して、業務を遂行しながらデジタル化のノウハウを蓄積していくことができるよう、例えば支援員を派遣し業務最適化を並走したり、社内教育体制のサポートを行うなど、労務負担を軽減しながらデジタル化を推進すべき
A (産業労働局長))
中小企業がデジタル化を円滑に進めるうえで、ITに係る知識を効率的に確保し、社内でリスキリングを着実に進めることが重要。
これまでは、中小企業が生産性を高めるため、デジタル技術を活用した設備を導入する場合専門家を派遣し現場の実態を踏まえた効果的な助言を2年間にわたり実施している。また、社員向けにeラーニングなどによりDXの知識を学ぶ機会を設ける中小企業への 助成も行っている。
今後は、専門家が中小企業に出向き、業務フロー全体を見直したうえでデジタル化を効果的に進めるほか社内でリスキリングを計画的に行うため助言をするサポートの充実を検討し、これにより、中小企業のデジタル化を着実に支援して参ります。
ディジタルディバイド対策
デジタル化を推進する上でも、高齢者等がデジタル化に取り残されない環境をつくることは極めて重要です。そのため、私たちではデジタルデバイド対策をかねてより提案してきました。特に、スマホサポーター事業を先行的に実施するなど、取り組みの前倒しを求め、都が、都内大学生を活用した相談会等を夏休み等を利用して早期に開催したことを評価します。
Q 今後、大学生等を活用したスマホサポーター制度を本格実施し、高齢者等もデジタルの恩恵を受けられるよう取り組んでいくべき
A (デジタルサービス局長)
7月から先行的に活動いただいた、延べ約 200人の講師経験者や、意欲ある大学生などからは「スマホの知識だけでなく、高齢者に丁寧に寄り添えるコミュニケーションスキルを磨くことが重要」などの意見があり策定中の育成プログラムに反映することとした。
来年1月には新たに一般の方から広く募集を開始し、オンラインによる講習やスキルチェックを経て、学生や元気な高齢者等をサポーターとして登録し、今年度は、都のスマホ相談会等で活動 。
区市町村やNPO、地域で活動する団体、大学などと連携して幅広い方々に参画を頂き 来年中に登録者を1000人まで拡大し、地域で支え合い、誰もがデジタルの恩恵を受けられる社会を構築 。
デフリンピック招致に絡めたインクルーシブテックの推進
テクノロジーのチカラで、バリアを超えていく社会の実現を目指し、「インクルーシブテクノロジー」として、障がいのある方の暮らしを支えるデジタルやテクノロジーの導入をあらゆる分野で検討するよう先の定例会で求め、知事からデフリンピック大会を絶好の機会としたいとの力強い答弁がありました。
2025年11月の大会開催までの3年間、実装に向けた具体的な動きを迅速かつ、コミュニケーションだけでない、様々な分野での取り組みを進めるべきです。
Q 国内外で既に研究や実装が進む様々なインクルーシブテクノロジーについて、東京都がハブとなり、障がいのある方々や技術を持つ事業者等と連携して実装に取り組んでいくべき
A (生活文化スポーツ局長)
2025年には、大会に海外から多くの選手・大会関係者、観客が東京を訪れる。 この機を捉え、日本の最新技術を活用し社会の多様性や包摂性を一層高め、共生社会実現への弾みとしていくことが重要。
現在、駅の音を文字や手話で視覚化する表示装置など様々な技術が創出されており、日本の持つ優れた最新技術の調査・発掘を進め、 障害のある方の声も伺いながら、そうした技術の活用促進について検討 。
今後、大会に向け関係局や事業者等と連携し、都庁各局等が実施する各種展示会やイベントにおけるPRとともに、競技会場や文化施設等の都立施設をはじめ街中の様々な場面における技術活用の実証を進めていく。
文化支援
文化支援については、小規模な芸術文化団体等がコロナ禍で大きな影響を受けており、私たちはそうした団体等の行動を支える新規の支援策の創設をかねてより求めてきました。例えば、ライブハウスや小規模の劇団などは、独創的な作品を生み出すポテンシャルがあるものの、資金調達に困難な面があり、新たな公演の開催を躊躇するような不安定な環境に置かれています。
Q コロナ禍を乗り越え、意欲をもった団体の活動が存続できるよう、ライブハウスや小規模の劇団など中小規模の芸術文化団体等を支える、新たな支援策を講じるべき
A(知事)
芸術文化都市である東京では、劇場やホール、ライブハウスにおいて多種多様な演劇や音楽、ライブエンターテインメントの公演が行われている。都内に多数存在する個性豊かな小規模な劇団や音楽グループなどはクリエイティブで実験的な公演を展開し、東京ならではの芸術文化の魅力を発信 。
そこで、今後の国内外の人流の活発化やインバウンドも見据えて、中小規模の団体による幅広い芸術文化、エンターテ インメント活動を後押しする支援を検討。
中小規模の団体ならではの困難な状況も踏まえ取組を進め、東京の芸術文化の多様性をさらに進化させるアーティスト等の活動環境を整備。
Q また、芸術文化の業界においても、性別や年齢によるハラスメント等や、フリーランスならではの課題があると聞いており、芸術文化をより一層進行していくためには、事業に対する支援だけでなく、担い手であるアーティスト等の活動環境についても支援すべき
A(生活文化スポーツ局長)
芸術文化はアーティストや制作スタッフ等による幅広い活動によって支えられており、安心して活動できる環境整備が重要。現在、制作の現場におけるハラスメントや、書面によらない不明確な契約など、例えば女性やフリーランスなどの弱い立場にあるアーティスト等が多くの課題に直面 。
ハラスメントなどへの対応や、外部の専門家を活用した契約や税務に関する法律相談など、アーティスト等の活動環境向上に寄与するサポートセンター設置について検討 。
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