「令和6年都議会第1回定例会」代表質問③~医療・介護

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医療・介護

介護職支援

 私たちは、来年度予算要望の重点項目としてシニア政策パッケージを提案し、その柱の一つにケアする人達を支える「介護職の支援」を掲げました。都はこれまでも、私たちの要望を受け、介護職の宿舎借り上げの大幅な対象拡大や介護DXなどを進めてきましたが、都は全国と比較して最も介護職の求人倍率が高く、更なる対策が急務です。
 国は来年度より、介護職の賃上げ施策として月額6,000円のベースアップを行うこととしていますが、東京都の物価の高さや他産業の給与水準などを考慮すれば、更なる支援策の強化が必要です。

Q 来年度予算において、介護職の賃上げとなる大胆な支援策を講じ、国の処遇改善加算の対象外とされてきたケアマネジャーや障害分野など幅広い職種を対象とすべきと考えます。また、事業の実施にあたっては、都の支援策が介護職の賃上げに確実に繋がる制度とすべきと考えますが、見解を伺います。

A(社会福祉局長)
〇都は、来年度から新たに国が介護報酬等について必要な見直しを講じるまでの間、介護職員や介護支援専門員、障害福祉サービス等の福祉・介護職員を対象に、月額10,000円の居住支援特別手当を支給する事業者を支援する。
〇さらに人材確保の観点から勤続5年目までの介護職員には’10,000円を加算し20,000 円の支援を行う。実施に当たっては、事業者が新たに居住支援特別手当を設け、介護職員等に支給した場合、社会保 険料の雇用主負担相当分も含め、令和6年4月支給分から補助する。
〇今後、事業者等への周知を丁寧に行い、介護職員等の処遇改善に確実につながるよう取り組んでいく。

シニア就労(プラチナ・キャリアセンター)

 超高齢社会を迎える中、シニアの方々が意欲や能力に応じて社会の中で活躍できる仕組みや環境を支えていくことは重要です。企業には定年を過ぎても働きたいと希望するシニアは多い一方で、実際に働く人は3割未満にとどまっており、シニアのニーズと企業の求人の間におけるミスマッチの解決が重要な課題となっています。
 都は来年度、プラチナ・キャリアセンターを創設し、兼業や副業など、スポット的な働き方で新しい活躍の場を広げ、セカンドキャリアにつなげていくとしており、ミスマッチを防ぐ上でも重要です。

Q 都は、プラチナ・キャリアセンターにおいて、多様な就業の選択肢を提供し、シニア人材の円滑なキャリアシフトを支援していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

A(産業労働局長)
〇会社での定年退職の年齢が高くなる中、シニア世代の社員がその経験や意欲に応じ働く機会を増やす後押しは重要である。
〇このため都は来年度、専門的な知識や技術を持つシニアの社員や優れた実務能力のあるベテランの方が、定年に先駆け新たな職場で就業する後押しを行う「プラチナ・キャリアセンター」を設置する。
〇これにより、IT分野の知識に詳しい技術者が中小企業に勤め、職場のデジタル化を進める機会を提供する。また、営業や経理事務の力を、副業などを通じ新たな会社で生かすことができるよう支援する。

 プラチナ・キャリアセンターの実施にあたっては、これまで都が進めてきた「地域参加のトビラ」「ボランティアレガシーネットワーク」等との情報連携を進め、これらを利用するシニア・プレシニアの立場に寄り添った事業展開を求めます。

とうきょう健康応援事業

 シニアの健康寿命延伸に向け、一番身近な健康施策は「ウォーキング」であり、高齢者が週に1,2回8000歩を歩くことで、転倒防止や動脈硬化を予防し、死亡率も15%低下したとの調査もあります。
 一方、長らく続いたコロナ禍の影響でシニアの身体機能は低下しており、サルコペニア等の進行も進んでいることから、健康増進に向けた早急な対策を講じる必要があり、私たちは、来年度予算要望において「東京版健康ポイント制度」の創設を提案しました。

Q 健康寿命の延伸に向け、区市町村とも連携しながら歩数に応じてポイント還元を行う東京都独自の健康ポイント制度を創設するとともに、一定の基準に達した場合にインセンティブを付与するなど、多くの都民が参加しやすい制度とすべきと考えますが、知事の見解を伺います。

A(小池知事)
〇全ての都民が健康を維持し、年齢を重ねても元気に活躍するためには、一人一人が日頃から生活習慣に気をつけることが大切である。
〇特に、ウォーキングなどの運動習慣は都民の健康寿命の延伸にも寄与するものであり、 来年度は、区市町村が行う健康づくりの取組と連携し、優待サービスを提供する協賛店の確保や歩数などに応じた都のデジタル地域通貨によるポイントの付与を新たに開始する。
〇こうした施策により、 関係機関と連携しながら都民の健康づくりを後押しすることで、誰もが生涯にわたり、健やかで心豊かに暮らせる社会の実現を目指していく。

高齢者の聞こえの支援

 私たちはかねてより、フレイル対策の強化を訴えてきましたが、「聞こえ」の機能の衰えは、人とのつながり・他者とのコミュニケーションの困難さにつながる結果、フレイル・認知症の原因になると指摘されています。65歳以上の約半数の方に聞こえの問題があるとも言われており、高齢者の聞こえへの支援の強化は必要不可欠です。

Q 都として、高齢者の聞こえの課題の早期発見や補聴器の購入支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

A(福祉局長)
○都は、これまで区市町村が高齢者への補聴器支給等事業を地域の実情に応じて柔軟に実施できるよう、包括補助により支援してきた。来年度からは、より多くの区市町村で取組が進むよう、補聴器を支給する区・市町村への補助基準額を国が定める基準額も参考に、一人当たり137,000円としその2分の1を補助する。また加齢性難聴に係る普及啓発等、早期発見・早期対応に係る経費を新たに10分の10で補助するなど支援を強化する。
〇こうした加齢性難聴に関する高齢者本人や周囲の早期の気付きと対応への支援を通じて、コミュニケーション機会の確保を推進し介護予防の取組を進めていく。

補聴器の購入に関する補助は基礎自治体毎に差があるものの、多くは1~1.5万円でした。補助がより高額な欧州では、補聴器の普及率が高いそうです。高齢者の社会参加をはじめとするQOL向上のために重要な取り組みです。

認知症施策

 シニアの方々が抱える不安の一つとして挙げられるのが、認知症です。特に大きな不安となっているのが「徘徊」であり、認知症高齢者の増加により、徘徊による行方不明者は10年で倍増、なかには事件や事故に巻き込まれるケースもあります。この課題に対しては、他の自治体においてGPS等のICTを活用した見守り施策が効果を挙げており、私たちは来年度予算において「東京都版認知症見守りサポート制度」の創設を求めたところです。

Q 都としても、認知症高齢者の見守り機器等に必要な費用の助成や、地域における認知症高齢者の見守りをサポートする仕組みを構築すべきと考えますが、見解を伺います。

A(福祉局長)
○都は、認知症の方や家族が地域で安心して暮らし続けられるよう、行方不明になった方を早期に発見するためのネットワーク構築に取り組む区市町村を支援している。
〇来年度は、こうした取組を加速するため、行方不明者の位置情報を探知するGPS機器の導入等への支援をネットワーク構築と併せて行う場合の補助率を10 分の10に引き上げるほか、GPS機器の導入等支援のみを行う場合も新たに補助対象とすることにより、区市町村への支援を強化する。
〇これらの施策を通じて、認知症の方や家族を地域で見守り、支える体制づくりを推進していく。

単身高齢者

 2030年には都内の高齢者の3分の1が単身世帯になるという推計もあり、シニアの不安を安心に変えるためには、単身高齢者に向けた政策も重要です。
 単身高齢者の困りごととして挙げられるのが、もしもの際の身元保証や意思決定の課題です。入院や介護施設入所の際に保証人がおらず、スムーズに手続きが進まない、亡くなった後の手続きや遺品整理を頼む相手がないなど多くの課題を抱えています。
 私たちは来年度予算要望において、こうした課題を都独自でサポートする「東京都版身元保証サポート制度」の創設を求めました。

Q 来年度予算においては、専門家も活用しながら単身高齢者が地域で任意後見のサポートやエンディングサポートを受けることができるよう相談支援体制を強化すべきと考えますが、見解を伺います。(福祉局)

A(福祉局長)
〇都内の単身高齢者は増加しており、従来家族などが担ってきた、判断能力が低下した後の生活上の手続や死後の対応について、元気なうちに自分の意思を反映しながら準備することが重要になっている。
〇このため都は、来年度から、遺言書の作成や遺品整理などに関して、弁護士や司法書士などが専門的な相談に応じ、個々の状況に応じて支援や助言などを行う総合相談窓口を設置する区市町村を包括補助により支援する。
〇今後、区市町村に相談窓口の設置を働きかけるとともに、地域住民の様々な相談に応じている民生委員等とも連携し、窓口の周知を図っていく。

高齢者の住まい

 東京の高齢世帯は増加を続けていますが、そのうち、前期高齢者で要介護認定を受けている方は約5%、後期高齢者においても約3割にとどまるなど、自立した高齢者が多くを占めており、そのような元気な高齢者が、健康な状態をなるべく長く維持できることが必要です。また、単身高齢者の急増により、見守りの必要性や地域とのつながりなど、とりわけ東京において、課題が先鋭化してきています。
私たちの要望を受け、都はこれまでも、バリアフリー機能を有し、入居者の安否確認等が行えるサービス付き高齢者向け住宅の登録や、「東京ささエール住宅」の供給促進など先進的な取組を行ってきましたが、都独自でのさらなる取組が求められています。

Q 都は来年度、高齢者が生き生きと暮らせる住宅の認定制度の構築に向けた予算を要求していますが、高齢者を取り巻く課題が先鋭化する状況を踏まえて制度構築を進めるべきと考えますが、見解を伺います。(住宅政策本部)

A(住宅政策本部長)
〇高齢単身世帯の増加等を受け、見守りなど多様化するニーズに応えていくことは重要。
〇「東京ささエール住宅」等の既存の取組に加え高齢者の新たな住まいの在り方を発信するため都は来年度、事業者が新築や改修を行う先導的な取組に対し、1戸当たり200万円を上限に支援。
〇今後、この取組で得た知見をいかし、見守り等に配慮された住宅を認定する新たな制度の構築を目

医療AI

 私たちはかねてより、持続可能な社会保障制度の実現に向け、医療と介護の質の向上に資する取組みを重点的に訴えてきました。なかでも問診や診断、文献など、これまで医療現場で積み重ねられてきた知見をビックデータ化して医療現場で活かすことができれば、持続可能な医療制度の実現と医療の質の向上が期待されます。
 一方で、医療現場では、今年の4月以降「医師の働き方改革」として時間外勤務労働の上限規制が開始されるため、その対策も急務です。

Q 医師の働き方改革への対応や将来の生産年齢人口の減少を見据え、医療機関におけるAI技術の活用を促進すべきと考えますが、見解を伺います。(保健医療局)

A(保健医療局長)
〇医師の働き方改革や生産年齢人口の減少に対応しつつ将来にわたり質の高い医療提供体制を確保するには、医療の質の向上や医療現場における業務の効率化を進める医療DXの推進が重要である。
〇このため都は、電子カルテの導入や更新、オンライン診療の機器整備など、医療機関におけるDX推進に向けた環境整備を支援している。
来年度はこれらの取組に加え、AI問診や看護記録等の音声自動入力、多言語対応など、AI技術の活用等に取り組む中小病院や有床診療所を支援することにより医療機関におけるDXの取組を一層推進していく。

都立病院✕2次データ提供

 医療情報をデータベース化して利活用することは、新しい治療法の開発、創薬・医療機器開発等の医学の発展に寄与するだけでなく、エビデンスベースの医療の推進や医療費の適正化にも繋がるものです。ただし、医療情報は機微性の高い個人情報であり、慎重な取扱が求められます。
 国においては、研究者や企業等が質の高い医療情報を効率的・効果的に二次利用できるよう、法整備を伴う環境整備が進められているものの、協力する医療機関が少なく、なかなか取組が広がらない実態があります。そこで、医療情報の二次利用を促進する動きに弾みを付け、全国へ波及させていく第一歩として、個人情報の取扱いに万全を期しつつも、都立病院が国の取組に協力していくことが重要です。

Q 都立病院において、二次利用を目的とした医療情報の提供を進めるべきであると考えますが、都の見解を伺います。(保健医療局)

A(保健医療局長)
○国は、医療分野の研究開発を促進するため、次世代医療基盤法に基づき、医療機関などから健診結果やカルテ等の個々人の医療情報の提供を受け、匿名加工を行う事業者を認定し、認定事業者が情報セキュリティを確保しつつ、大学や製薬企業の研究者等に医療情報を提供する仕組みを構築している。昨年9月末時点において認定事業者に医療情報を提供する協力医療機関等は、全国で113件、都内では6件である。
新薬の開発など医学の発展に向け、都立病院が有する豊富な医療情報を提供できるよう個人情報保護をはじめとした課題を整理しながら、準備を進めていく

【補足】
 社会保障費の増大を抑えつつ国民皆保険を維持するためには、日々行われている診療・医療行為のデータを収集し、医療資源の再配分、適切な保険点数の設定など、医療経済の研究を進めていく必要があります。これの基本となるのが、二次利用可能な医療データのデータベースです。「次世代医療基盤法」はこれを進めるための法律ですが、より多くの医療機関がこれに参画する必要があります。
 私は、長年、医療データの二次利用の実現に向けて取り組まれてきた京都大学の吉原 博幸先生や、順天堂大学の阿曽沼 元博先生などの専門家の皆様と1年以上の意見交換を重ね、都立病院の担当者と引き合わせ、個人情報保護はじめ様々な課題の解決に向けた取組みが進みつつあることなどを紹介してきました。この結果、都立病院の担当者が医療データの二次利用を行うためのサポート状況を理解、都の担当者が、医療データの二次利用を進めてきた先生方の志に共感してくれたことなどから、都立病院の参画に向けての準備を進めることが決まりました。都立病院が参画することは、国内の取り組みを大きく前進させるものと考えます。
 私はこれまでの社会経験から、言われてやる仕事は進まないが、志をもってそれに共感する仲間とともに進める仕事がブレークスルーにつながると確信しています。その信念が今回も間違っていないことを確認することができました。

精神障害

 昨年2月、滝山病院での患者虐待事件が発覚し、看護師ら5名が逮捕・書類送検されました。都は、関連法令に基づき滝山病院に改善命令を出すとともに、転院を希望する患者の受け入れ支援等を進めていますが、収束したと言える状況ではありません。患者の安定した療養生活を取り戻すことを第一に進めるとともに、事件の全容把握と責任の所在、再発防止策の構築が求められます。

Q 精神保健福祉法が改正され、令和6年4月から、精神科病院における虐待発見の通報が義務化されます。患者が安心して入院できる環境を作っていくため、虐待通報への対応を進めるべきです。さらに、患者への支援や、病院職員のスキルアップに向けた対応も進めるべきと考えますが、見解を伺います。(福祉局)

A(福祉局長)
〇都は、本年4月に虐待の通報が義務化されることに先立ち、精神科病院で虐待を受けた患者や家族等からの通報・相談に対応する専用の窓口を3月から開設する。
窓口には、精神障害に関する専門的な知識や経験を有する看護師等を配置し、寄せられた情報を的確に判断して、速やかな立入検査などにつなげていく。
〇また、来年度は、患者の生活に関する相談や傾聴を行い、困りごとの解消に必要な情報を提供する支援員を病院に派遣するほか、病院の管理・監督層や現場のリーダー層を対象にした虐待防止研修を開始するなど患者が安心して入院できる環境づくりを進めていく。

重度障がい者GH

 滝山病院の事件は、入所施設で暮らす障害者が多いことなど、日本の精神科医療が抱える構造的な課題を明らかにしたものであり、都としても、障がい者の地域移行に向けたあらゆる支援策を講じるべきです。
国は地域移行後の主な受け皿として、グループホームの整備を掲げてきましたが、課題となっているのが重度者の受け入れです。現状、重度障害者を受け入れられるグループホームや専門的知識を持つ職員が不足し、当事者側が希望しても地域移行ができないという実態があります。

Q 重度障がい者を受け入れるグループホームの施設整備や人材配置、育成に対して、都として支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。(福祉局)

A(福祉局長)
〇都はこれまで、障害者・障害児地域生活支援 3か年プランに基づき、施設整備の設置者負担を軽減す特別助成等により、グループホームの整備を促進してきた。
次期3か年プランでは、グループホームにおける重度障害者の利用者数を1,000人増やす目標を新たに設定し、重度障害者に対応するグループホームを整備する場合に、補助基準額を1.5倍に設定するほか、民間事業者への特別助成の補助率を社会福祉法人並みに引上げて参ります。
〇また、重度障害者の支援も担う中堅職員向けの研修を充実するほか手厚い職員配置等を行う事業所 の支援を拡充するなど、 重度障害者の受入れを促進していく。

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