経済・デジタル
時短管理職・年収の壁
昨年の夏から、従業員301人以上の企業における男女の賃金差の開示が義務化され、その分析が進められた結果、女性の平均賃金は男性の7割程度にとどまっているのが現状と指摘されています。国際的にみても日本の男女間の賃金格差は大きい状況であり、合理的な理由がない男女間の賃金格差の是正を強力に進めていくべきです。
その原因としては、制度上就労制限を促してしまっている「年収の壁」の存在等により短時間で働く女性が多いことや、所得の高い管理職層に女性が少ないことなどが挙げられ、その是正に向けた取組を強化していかなければなりません。
Q 都は、男女の賃金格差を縮めるために、着実に取組を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
A(小池知事)
〇女性が自らの能力と意欲に応じて、経済の分野で十分に活躍することは不可欠だ。
男性と比べ収入や処遇の面で格差が生じている状況を速やかに解消し女性の力をより一層引き出す対応を確実に進めなければならない。
〇企業の最前線の現場を担う女性が今後の働き方に応じた収入を正確に理解すると共に、会社でも活躍に役立つ仕組みの見直しを進めることは重要だ。 働き方と生涯収入の関係をデジタルの力で瞬時に提供するシステムを作る。会社には配偶者手当から収入要件を外すなどの工夫を行うよう後押しする。
〇マネジメントの力を持つ女性の登用を加速する。女性管理職を増やすほか短時間勤務でも優れた成果を出す女性を管理職とする企業へ30万円の支援を致します。
〇こうしたキャリアアップの中で直面する悩み等には青山に設ける「はたらく女性スクエア」で相談に応じ解決への道筋を作る。これらにより女性が仕事で輝く社会を実現する。
ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011の受賞後、女性活躍をテーマにした講演会に多数お招きいただきましたが、そこで知ったのが、男女共同参画の先進国であるスウェーデンではパートタイマーでも管理職になれること。当時の知見が東京都での政策実現につながりました!
育業
都内事業所における男性の育業取得率は、2015年の4.5%から2022年には26%を超え大きく上昇していますが、さらなる後押しが必要です。そのためには、夫婦本人たちのみならず、企業における意思決定層が多い世代や、職場の同僚の理解を得る取組など、幅広いアプローチが重要です。
Q 企業の経営者・役員が育業を「自分ごと」にするための取組や、仕事が増加するおそれがある職場の同僚への支援強化、男性の家庭での活躍を促すための働きかけなど、育業しやすい職場環境整備をさらに後押しすべきと考えますが、見解を伺います。
A(産業労働局長)
〇男性の社員が、会社の育業の仕組みを効果的に使いこなすことができるよう適切なサポートを行うことは重要である。
〇このため都は、来年度、男性社員が育業の経験を経営者や同僚等に伝えるほか、職場での気運醸成を進める取組に対し新たにサポートを行う。
〇また育業をする社員の同僚を表彰し、手当を支給する中小企業を奨励金により、後押しする。さらに、子供の誕生する前から育児の準備をできるよう、様々なノウハウを提供する機会を設ける会社への支援も行う。
〇こうした取組により、男性従業員の育業を促進する。
レイター期へのスタートアップ支援
経済分野での新しい挑戦を後押しする観点から、スタートアップへの支援は極めて重要です。私たちはかねてよりスタートアップ支援の抜本的な強化を求めており、都は、Tokyo Innovation Baseの開設をはじめスタートアップ支援をこれまでにない規模で充実させてきています。
他方で、産業を創る観点からは、事業確立後に製品を拡大させていく段階であるレイター期における支援も極めて重要であり、欧米では、スタートアップ企業が更なる飛躍を図るため、大規模な資金提供などの公的な支援が行われた事例も見られます。
Q 既存の都の制度融資では規模が小さいという声もあり、こういった海外の取組も参考に、レイター期におけるスタートアップの資金供給支援を検討すべきと考えますが、見解を伺います。
A(スタートアップ・国際金融都市戦略室長)
〇クライメイトテックをはじめ、世界の様々な課題の解決に取り組むスタートアップが、技術や製品等の開発を加速させ、また、世界市場を見据えた事業展開を図るには多額の資金が必要となる。
〇こうした、レイター期のスタートアップがグローバル市場へ飛躍するための投資の促進に新たに取り組むため、都は来年度、100億円を出資し、民間資金と合わせ、300億円規模の官民連携ファンドの組成を進める。
〇大規模な都の出資を呼び水として、大きな成長を目指すスタートアップへの投資の流れをつくり出し、東京発のユニコーン創出に繋げていく。
Tokyo Tokyo Point(仮)
私たちは、地域活性化・消費喚起や、健康増進・イベント参加促進など様々な目的に活用可能となる、東京都独自のデジタル地域通貨プラットフォームの創設を求めてきましたが、都が、来年度予算に「デジタル地域通貨プラットフォームの構築」を新たに計上していることを高く評価します。
都独自のシステム構築にあたっては、これまでの民間のQRコード決済事業者を活用した取組の経験を踏まえ、地域へ継続的な経済効果を生じさせることや、地域通貨のユーザー・対象店舗の適切な設定など、様々な声が届いており、様々な関係者の声を反映した実効性あるものとしなければなりません。
Q 民間のQRコード決済事業者、商店街や区市町村、さまざまな関係者と意見交換し、システム構築を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
A(小池知事)
〇デジタルの力で利用者目線のサービス変革を推し進める中、区市町村を含めた東京全体の活性化に資する共通基盤として、この新たなプラットフォームを構築。
〇民間QRコード決済を活用することで、多くの都民が利用できる効率的な仕組みを作り上げ、都の健康づくりなど各種施策へのインセンティブや地域振興に加え区市町村の施策とも効果的に連携。
〇地元自治体や事業者の意見とともに、利用する都民の声にも耳を傾けながら、できるだけ早期のサービス開始を目指し、GovTech東京と来年度上半期に開発。
○この新たなプラットフォームを通じ、都民が身近な暮らしの中で、利便性を実感できるサービスを実現。
アドトラック規制
私たちは、映像や発光など派手なデザインを施し、都内の繁華街を繰り返し低速走行し交通安全上の危険を有する、いわゆる「アドトラック」について適切な規制強化を求めてきました。
都は来月、屋外広告物条例の施行規則を改正し、都内を走るすべての広告宣伝車が、許可申請手続きや、都条例に定める規格の遵守が必要となります。今後、都外ナンバーの広告宣伝車に対する新たな規制を円滑に進めるためには、都内自治体への説明と調整が重要です。
Q 今回の規制により生じる業務について、都は、都内自治体と丁寧に調整するとともに、規制後は区と連携した対策を行うべきと考えますが、見解を伺います。(都市整備局)
A(都市整備局長)
〇都外ナンバーの広告宣伝車への規制開始に当たっては許可権者である区と連携が重要。
〇このため、都は、これまでも区に対する説明会等を行うとともに昨年十一月、新宿区、警視庁との合同実態調査を実施。
〇三月には区に対し、規制の運用に向けた説明会を開催する予定。
〇大規模な繁華街を有する区に対しては、手続に関する支援を実施するなどよりきめ細かな対応を行っていく。
〇規制開始後も、新たな規制について事業者への普及啓発を行うとともに、区と連携した調査や取締りを行い、規制を着実に実施。
カスハラ条例
私たちはかねてより、顧客や取引先からの著しい迷惑行為への対応の必要性を指摘し、カスハラ防止条例の制定を求めてきました。知事が施政方針で、独自に条例化の検討を進めると述べたことは大きな前進です。
カスハラは職場の努力だけではなくすことはできず、広範な都民や関係者に要請できる条例こそが効果を発揮します。都が立ち上げた専門家による会議でも、条例においてカスハラをしてはならないと明記すべき、明確な線引きが難しい行為を広く禁止するには条例に加えて異なる方法で実効性を確保すべきなどといった意見が示され、有識者の認識が共有されてきています。
Q 都は専門家による会議の議論も踏まえ、都独自の条例により、働く人へのハラスメントは決して許されないという姿勢を明確に示し、そうした理念や関係者の責務もしっかりと示していくべきと考えますが、条例の検討に向けた基本認識について、知事の見解を伺います。
A(小池知事)
〇製品を買い求める顧客やサービスの利用者等から過大な要求や不当なクレームを受け
働く方が人格を傷つけられ精神的なダメージを受ける状況をなくすことを目指し、適切な対応を進める仕組みづくりは不可欠だ。
〇公労使会議の議論を受け、専門家等が検討を進め、こうしたハラスメントに関し、民間や公共サービスの現場の実態やルールづくりの必要性が明らかとなった。 顧客とのやり取りの最前線に立つ従業員等に対し、社会的な常識や通念を超えた言動を行うことをハラスメントと位置付け、その発生を抑えたい。
〇カスタマーハラスメントの考え方と、防止に向けた理念を明確な形で示し、対応の拠り所となる条例の制定を検討する。 その実効性を確保するガイドラインも作り、現場での取組の後押しや幅広い普及啓発を行う。
〇議論と検討を積み重ねまして、働く方が安心して仕事に打ち込める環境をつくりあげるため、議論と検討を積み重ねる。
物流・建設の2024年問題
2024年4月から時間外労働の上限規制が建設・運輸業にも適用される、いわゆる「2024年問題」に対し、都として対応の強化は急務です。これまで私たちは、都発注事業の適正化などを強く訴えてきましたが、社会インフラの一つと言える建設・運輸業の担い手を確保できるよう、人材の採用に向けた支援に加えて、DXを通じて業務の効率化を進める取組へのサポート強化も必要不可欠です。
Q 2024年問題への対応として、建設・運輸事業者における担い手確保・デジタル技術を活用した業務の効率化を後押しすべきと考えますが、見解を伺います。
A(産業労働局長)
〇中小の建設や運輸等の分野で、今年の4月より時間外労働に上限が適用されるため、
現場での人材の確保と生産性の向上を後押しすることは重要である。
〇このため都は、こうした業界を対象として、人材確保に役立つセミナーを開くほか、
中小企業と求職者が参加する合同就職面接会を新たに開催する。
〇また、中小企業が生産性を高めるデジタル機器を導入する際の助成について、建設等の会社が利用する場合には、上限額を300万円から 3,000万円に拡充する。
〇これらを速やかに進め中、小企業が人材を確保し、生産効率の向上を実現できるよう、支援して参ります
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