公開セミナー「2020東京五輪で使われた合板はどこから」に参加

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2/18の日中は、都議会にて、「令和2年都議会第1回定例会」代表質問の調整、夕刻は、「2020東京五輪で使われた合板はどこから」と表した、熱帯雨林材の違法伐採に関するセミナーに参加しました。

日本は、輸入木材のマーケットとして世界第3位でありながら、違法伐採に対する取り組みは、第1位、第2位のEU、米国に比べて後塵を拝しているそうです。そして、この違法伐採のために、マレーシアのサワラク州の熱帯雨林が過去数十年失われ続け、その範囲はオーストラリアのタスマニア州にも広まりつつあるそうです。

本来、生産国で、違法伐採を取り締まるべきですが、政治の汚職等で法の抜け穴が無くならず、輸入国である日本で、違法伐採した熱帯雨林が使われないことが期待されています。

最初のご講演は、サラワク・ダヤック・イバン協会のマテック・ゲラム(Matek Geram)さんでした。サラワク州の先住民の居住地の保護のために、合板製造企業などからの脅迫、警察による逮捕、拘留を経験するも、継続的に訴訟活動に取り組んでいらっしゃいます。また、GPSを使って、伐採されたエリアの地図の作成にも取り組んでいます。先住民の暮らしがいかに失われているかを写真を使って説明されました。

 

次のご講演は、タスマニアの森林保護の活動をしている、ボブ・ブラウン財団キャンペーン・マネージャーのジェニー・ウェバー(Jenny Weber)さんでした。生物多様性の保護、そして気候変動に悪影響をもたらす問題であると訴えられました。

 

最後に、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)アドバイザーのぺパット(Peg Putt)さんが、「隠蔽された住宅建材」と題して、2019年に実施した、サワラク州の熱帯雨林材の利用に関するアンケート結果を報告されました。トップに挙げているのは、回答を寄せた企業の調達方針評価の比較です(下の表に回答の有無がまとめられており、そもそも回答を出さない企業もあります)。そして、表の左側のほうが、より前向きに取り組んでいる企業が並んでいます。中でも「大東建託」は、専門の部署を作るなど、昨年からの進捗が著しい、ということでした。

 

購入する、ということは、その企業を支持すること・・・「エシカル(倫理的)消費」の考え方です。住宅はじめ、木材を利用した製品を購入の際には、熱帯雨林材の利用に関する配慮の有無も参考にしたいものです。

私自身ですが、約1年前より国際環境NGO「FoE Japan」から、建設時に使う(工事が終われば廃棄される)コンクリート型枠に、熱帯雨林材を原料とした合板が用いられることで、産地であるマレーシアのサワラク州の熱帯雨林の持続性が脅かされているという課題を教えていただくとともに、都の公共事業で熱帯雨林材を原料とするコンクリート型枠が使われないように、ご相談を受けています。

都は「2019 年度東京都環境物品等調達方針(公共工事)」(東京都)の「4 基本的考え方 」の「⑥環境影響物品等の使用抑制」で、

「原材料の調達や製造に環境破壊を伴うもの、使用することにより環境に悪影響を与えるもの、エネルギーや資源を浪費するもの等の環境影響物品等については、使用しない又は使用抑制することとし、都民の健康で安全な生活の確保、自然環境の保全等を図る。」として「適切に管理されていない森林から伐採された熱帯雨林材や針葉樹材」を例示しています。そして、「環境物品等(特別品目)使用予定(実績)チェックリスト(環境配慮型型枠)」において、注1)を満たさない熱帯雨林材は、型枠には原則として使用しないことを確認することになっています。

 注1) 認証材(FSC、PEFC又はSGECによるもの*)、
 又は以下の①、②の条件を全て満たすものであること
 ①原木の伐採に当たって生産された国における森林に関する法令に照らして合法な木材
 ②持続可能な森林経営が営まれている森林から産出されたもの
 *FSC:Forest Stewardship Council(森林管理協議会)
  PEFC:Programme for the Endorsement of Forest Certification schemes
  SGEC:Sustainable Green Ecosystem Council(緑の循環認証会議)

しかしながら、国際環境NGO「FoE Japan」の調査により、消防庁が所管する「赤羽消防署改築工事」のコンクリート型枠に、注1)を満たさない熱帯雨林材が使われていたことが判明、「2019 年度東京都環境物品等調達方針」に熱帯雨林材に関する記載があることとその意義が、十分周知されていなかったことが原因であることが明らかになりました。

これを受けて、各局の調達を取りまとめる財務局が中心となって、来年度より、

・発注先に提出する「仕様書」から、誤って「注1)を満たさない熱帯雨林材を用いた型枠」への配慮が抜け落ちないよう改める
・現場の監督員(都が派遣)に周知、受注者に伝えるとともに、年度途中に点検するルールを設ける

方向で検討をしています。

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