経済港湾委員会~産業労働局①オープンデータ化の重要性!

福島りえこ,世田谷区,都議会,都議会議員,ブログ
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

3/17も、経済港湾委員会が開催され、産業労働局の来年度予算関連の質疑がなされました。

後藤なみ都議は、協力金と就労支援について質疑、なかでも、専門である介護人材の定着に関して、丁寧な伴走が必要であることを丁寧に伝えました。

滝田やすひこ議員は、これも継続して訴え、そして実現につなげている、多摩地域のテレワークやテラス営業を推進する質疑をしました。

人材流動化

雇用維持を目的に、本来、退場するべき産業まで支援してしまうと、国際競争力が低下します。

一方、デンマークでは、職種毎に労働組合が形成され(加入率70%)、成長産業に転職(平均4年に一度)するため、雇用を守りつつも企業の新陳代謝を進める、すなわち、国際競争力を維持することができます。

以上の理由から、人材流動化は、雇用の維持と経済成長を両立するために、大変重要です。

先日、「東京の中⼩企業振興を考える有識者会議(第3回)」をオンラインで視聴しましたが、中小企業経営者である、ダイヤ精機(株)代表取締役の諏訪貴子氏と(株)浜野製作所 代表取締役の浜野慶一氏も、大企業との人材交流の有効性について述べられていました。

都は、就職氷河期世代の人材の再就労に向けた取組みや、リカレント教育の充実、そして、コロナ禍で離職した人材等に向けた再就労支援に取り組んでいますが、同時に、人材流動化そのものにも取り組むべきです。

Q1 令和3年度予算において、企業間の人材交流・人材確保を支援する取組は

A1 来年度は、副業・兼業について、導入等を検討する企業に対する専門の相談窓口を設置するとともに、労働時間管理などを定めた国のガイドラインの内容を周知するセミナーを開催、就業規則の整備などの各企業のニーズに応じた専門家によるコンサルティングを実施

副業・兼業は、離職せずとも他の職場を経験できることから、人材の流動化につながる取り組みとして有効です。

先行する大阪市横浜市では、イノベーション創出を牽引する次世代人材の育成したい大企業と、事業の加速のため専門人材を求める中小・ベンチャー企業をマッチングしたり、大企業等から中小・ベンチャー企業に、半年間、人材を派遣する枠組みを設けるなどしています。さらに、福岡市では、国家公務員からスタートアップ企業に転職する場合、3年以内に復職すれば、退職手当算定で不利益を被らない制度を設け、官民間の人材流動化を促しています。

副業・兼業の促進を皮切りに、より多様な人材交流の促進策を検討することを要望しました。

福島りえこ,世田谷区,都議会,都議会議員,

働き方改革

働き方改革関連法の施行により、企業には、計画的な休暇の取得、長時間労働の是正、同一労働同一賃金への対応が順次求められていますが、なかでも、今年度から、大企業で一斉に施行された「同一労働同一賃金」は、来年度、中小企業にも適用されます。非正規雇用者の7割を占める女性の待遇改善という点でも、そして、正社員との待遇格差が人材の流動化を阻害していることを踏まえると、人材流動化という点でも、重要な取り組みです。

令和元年の国の調査によれば、これまでに正社員・正職員とそれ以外の労働者の間の不合理な待遇差を無くすための「取り組みを行った」と回答した企業の割合は、3割程度にとどまります。なかでも、「特段、行っていない」との回答割合は、規模が小さい中小企業ほど高くなっています。一方、取組みを行った企業、または、今後取り組むとしている企業の約半数は、「専門家のアドバイスを受けながら自社で対策する」としています。

Q2 中小企業が働き方改革を進めるにはきめ細かな支援が必要だが、具体的な取り組みは

A2 都は来年度、中小企業における働き方改革を促進するため、同一労働同一賃金への対応を含めた様々な課題に応えるワンストップ相談窓口を新たに設置、また、企業が主体的に働き方改革に取り組めるよう、1,000社を対象に人事労務担当者向けの法令・ノウハウ等に関する集中講座を実施、さらに、職場において、具体的な改革を実践する企業に対して、社会保険労務士などの専門家を派遣し助言を行うなど中小企業の取組を後押し


中小企業の取組を進めるにあたり、経営者の姿勢が要であるとの声を多くいただいています。そもそも、都の「働き方改革」関連事業に対して手をあげる事業者は、そもそも課題として認識しているわけで、問題は、課題意識のない経営者です。

やや遠回りではありますが、課題意識のない経営者に働きかける方策として、「見える化」があります。例えば、国の男女共同参画局は、「女性の活躍「見える化」サイト」を作成、各企業の現状を、投資家、消費者、就活中の学生等の皆様から「見える」ようにし、自主的な取組が他の企業に波及させる、としています。都も、「東京ライフバランス認定企業」や、「家庭と仕事の両立支援推進企業」については、それぞれ個別のHPで、認定・登録企業のリストを作成し、社名やHPへのリンク、紹介pdf、動画などを掲載しています。そこで、

Q3 これらのHPは、それぞれ、誰に情報を見てもらう目的で作成しているのか

A3 「東京ライフ・ワーク・バランス認定企業」は、広く都民・企業に向けて「家庭と仕事の両立支援推進企業」は、学生等の求職者や取引先などに向けて作成

紹介pdfは大変綺麗にまとめられており、事業者の情報提供だけでなく、ライターやデザイナーも使ったであろう、すなわち、コストをかけていることがよくわかります。アクセス解析によれば、それぞれ数万のアクセスがあるようだが、加えて、提案があります。

我が会派の本定例会における代表質問で、「都の助成金を受けて、感染防止対策を講じた店舗リストをオープンデータとして公開するべき。」と質疑し、宮坂副知事からは、「事前に了解が得られた事業者を対象に、名称や所在地、取り組んでいる感染防止対策の内容などを取りまとめたリストを、オープンデータとして広く公表」との答弁がありました。これは大変重要な答弁です。

例えば、就職情報を提供している民間サイトが、企業を選ぶための視点として、ライフ・ワーク・バランスに取り組む企業かどうかを取り上げたいと考えたとします。現在の都のHPに掲載されている企業を、人間がひとつひとつ転載することもできなくはないが、「東京ライフバランス認定企業」や、「家庭と仕事の両立支援推進企業」のリストがオープンデータとして提供されていれば、自社の管理するリストに、機械的に情報を流し込むことができます。つまり、引用する際の障壁が格段に低くなります。その結果、民間の就職情報提供サイトを通じて、ライフ・ワーク・バランスに取り組む企業を探して就職しようと考える求職者に、間接的に、情報を届けられる可能性が高まります。

また、世界的な潮流として、長期的な投資リターンの向上のために、非財務情報であるESG(環境・社会・ガバナンス)情報を投資判断に組み込む、いわゆるESG投資の拡大がありますが、当然ながら、働き方改革や女性活躍に取り組む企業が、その先見性、そして持続性の面から評価が高くなります。すなわち、魅力ある投資対象として判断されます。では、どうやって、働き方改革や女性活躍に取り組んでいる企業かどうかを投資家は判断するのでしょうか。内閣府が行ったヒヤリングによれば、機関投資家は、機関投資家向けに開示されている情報が不十分な場合には、新卒の求職者に向けて発信している採用に関する情報や、従業員向けの情報などから読み取る場合もあるそうです。一つ一つ会社を調べるなら、それもありかもしれません。しかしながら、多数の企業をスクリーニングする場合には、証券会社等が出している、ESG指数を参考にします。オープンデータであれば、ESG指標の算出に使うこともできます。その結果、投資に資すると判断されれば、資金が集まることになります。

令和3年度予算案でも、「働き方改革の推進」事業には、5億円以上の予算を計上しています。直接支援に加え、これからの「データ駆動型社会」を見据えた「オープンデータ化」について、産業労働局も、速やかに検討に着手することを要望しました!

福島りえこ,世田谷区,都議会,都議会議員,

②女性のキャリア支援事業の講演会の対象に、男性役職者が加えられました!に続く)

コメント

タイトルとURLをコピーしました