「令和3年第3回都議会定例会」総務委員会~政策企画局②ロジックモデルの研究について

福島りえこ,都議選,世田谷区,都民ファーストの会,都議会議員ブログ

都の事業の多くは、執行率、つまり、予算を使い切ったかどうか、で評価されてきました。補助事業の場合、申請の負荷に対して恩恵を大きくすれば、執行率は高まります。しかしながら、少子高齢化社会では、生産年齢人口の減少に伴い、収税額が減少し、一方、社会保障費は増大する可能性が高いです。これまで以上に、政策の精度を高める必要があります。

そこで、私は都議会議員一年目より、政策立案の精度をあげるためのEBPM(証拠に基づいた政策立案)の重要性を訴えてきました。政策の効果を定量的に測り、次の事業に生かす取り組みです。

そのためには、事業と政策の効果を論理的につなげる、ロジックモデルが不可欠です。これの作成は容易ではありませんが、重要な課題については、それに紐づく事業が、本当に効果をあげているのか、検証するべき時期に来ていると考えます。

今回も前向き答弁はありませんでしたが、都民からお預かりした税金で行う諸事業のブラッシュアップのために、粘り強く訴えてまいります。

ロジックモデルの研究について

「2020年に向けた実行プラン」のレビューに関する質疑を通じて、目標値の根拠や実績の数値の意味、政策目標と実績の関係、長期的な評価の必要性、環境変化をとらえた目標変更の必要性など、課題をあげてきた。

私は都議会議員一年目より、政策立案の精度をあげるためのEBPMの重要性を訴えてきた。そして、令和2年第3回都議会定例会の一般質問で「政策評価」についてとりあげ、「今後、複合的な要因から構成される課題への評価策や分析手法を検討し、複雑化している行政課題の解決に寄与する制度にする」との答弁を、また、令和2年第4回都議会定例会の代表質問では、「成果指標の視点を取り入れた政策評価と、予算編成と密接に連動している事業評価とを一体的な取組として新たに実施し、一つひとつの事業が、成果指標の達成に向けて、 どのような効果を与えているのか、多面的に検証することで、事業内容や仕事の進め方の見直しにつなげる」との答弁を得ている。

東京都の課題の多くは、関係者が多く、多方面からのアプローチが必要であり、一つの政策目標に対して複数の事業が計画されるものが多い。だからこそ、事業の実績と政策目標の間を、丁寧につなぐ必要がある。

Q7 まず、政策評価と事業評価の一体化において、政策企画局はどう関わるのか

A7 2020実行プランのPDCAサイクルの運用にあたっては、政策目標の進捗状況や各事業の予算の執行状況など、財務局と情報を共有して、政策を推進。「未来の東京」戦略の推進においても、政策評価、事業評価を所管する財務局としっかり連携して、財政的視点からの検証も踏まえながら、政策の実効性を高めていく

私は、4年前のこの総務委員会で、「新しい東京」の実行プランのレビューに関する質疑で、八王子市のがん検診の受診率向上のソーシャル・インパクト・ボンドの事例をとりあげ、積極的にスキームの研究、施行に取り組んでいただきたいことを求めた。ソーシャル・インパクト・ボンドは、インパクト、すなわちアウトカムで評価することから、実際に行う事業の評価であるアウトプットと、政策評価、アウトカムをつなげるロジックモデルがその背景にある。

例えば、P10に示された、子供を安心して産み育てられる環境」という大目標に対して、「待機児童解消」や、「保育サービス利用児童数」は事業の進捗を図る指標ではあるが、子供を産み育てるにあたっては、高額な学費など、把握はしていても、ここに書けていない要因も多い。

同じく、P52に示された「金融都市化」という大目標に対して、「東京金融賞の創設・表彰」や「都による金融系外国企業誘致数」も、事業の進捗を図る指標ではあるが、これ以外にも、外国人への課税の問題や英語によるアクセスが制限される問題、生活環境など、同じく、把握はしていてもここに書けていない要因は多い。

ロジックモデルを作るのは、労力も要するし、評価にもコストがかかる。よって、すべての事業に必要だとは思わないが、重要、かつ確実に結果を求められる政策については、各事業が大目標にどれだけ寄与できているか、の測定を試みる時期にきているのではないだろうか。

例えば、こども宅食事業が、保護者・家庭の「心理的ストレスの減少」「可処分所得の向上(食費負担の軽減)」「食事内容の改善」に効果があるかどうか、という評価を、都立大の子ども・若者貧困研究センターの阿部 彩センター長が、ロジックモデルを用いて行っている

Q8 ビジョンや戦略をとりまとめ、進捗管理をする政策企画局が、政策評価と事業評価の一体化という機会を生かして、ロジックモデルの研究と先行事例創出に取り組むべき。都庁内ではゆっくり検討できないのであれば、シンクタンクとして都立大など研究機関を活用するのもよい。

A8 目指すべき姿に向けて、どのような政策を立案していくかということを可能な限り分かりやすく示していくことが重要。「未来の東京」戦略においては、目指すべき2040年の東京の姿をビジョンで示し、その実現に向けてこの10年間で達成すべき政策目標を設定し、この達成のための3か年のアクションプランとして具体的な施策を積み上げて提示。引き続き、データも活用しながら、具体的な数値目標を掲げ、政策の効果も検証しながら、取組を推進。

答弁は不十分。データや数値が必要なのではなく、アウトプットをアウトカムに結びつける必要があると言っている

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