「令和4年第1回都議会定例会」総務委員会~政策企画局⑤世界から選ばれる都市にむけて

福島りえこ,都議選,世田谷区,都民ファーストの会,都議会議員ブログ

都の魅力発信や、観光やビジネス目的の外国人受け入れに向けた新規予算に関連して、議員としての経験から思うところを伝えました。

「歴史・文化を軸にした東京の魅力発信」と「デジタルコンテンツを活用した東京の魅力発信」について

東京が目指す「世界から選ばれる都市」の実現に向けて、令和4年度に、デジタルを活用した2つの新規事業が計画されています。いずれもポストコロナを見据え、デジタルの力を活用して、過去から現在、未来へと続く東京の都市像を描き、発信する事業となっている。要望を伝えるために質疑でとりあげました。

Q9 「歴史・文化を軸にした東京の魅力発信」の来年度の取組は

A9 本事業は、現在の東京の礎を築いた江戸の英知が、訴求力の高い歴史・文化の資源であることから、その魅力を広く発信していくもの。来年度、資源の再利用などの暮らしの知恵や、独創性溢れる文化、計画的なまちづくりなど、江戸の多様な英知について、現存しないものを再現できるデジタルコンテンツの強みを活かして、効果的に発信。また、有識者や著名人等による江戸をテーマとしたシンポジウムを開催するとともに、デジタルツールを活用した都民の意識調査も実施。今後、有識者のヒアリングなども実施しながら、より効果的な方法で事業を進め、より多くの方に江戸の魅力を伝えていく

サスティナビリティ、特にごみを出さない暮らしなど、現在に通じる江戸の英知に改めて学びたいという都民の声は、これまで私のところにも届いている専門家の意見も踏まえ、期待に応えるコンテンツにしていただきたい。

Q10 「デジタルコンテンツを活用した東京の魅力発信」の来年度の取組は

A10 都は、成長と成熟が両立した持続可能な都市の実現を目指す。本事業では、国際社会での東京のプレゼンスを一層向上させるため、都が目指す都市像のさらにその先に広がる未来の東京の姿や、様々な東京の魅力を、時間や場所等の制約を超えた多様な表現が可能なデジタル技術を活用し、令和5年度に世界に向けて発信。それに向け来年度は、国内外の方に興味関心を持っていただけるようなデジタルコンテンツの内容や、魅力あるバーチャル空間、多くの方に伝えていくための発信手法の検討や制作などを、民間の知見やアイディアも活かしながら進めていく

以前から、ヘルシンキがデジタルツインに取り組んでおり、メタバースも、国内では大阪、そして最近ではソウルなどが、行政プラットフォームのひとつとして着手。一方で、国内でも、NFTアートや食、ファッションなど、売買が絡む領域では民間が先行している。目的に応じて、民間と都の役割分担を精査する必要があるように思う。例えば、民間主導なら、デジタルサービス局が取得する都内地形の点群データや、建設局が持つ建物の立体データを提供すれば、バーチャル東京のリアリティ向上に貢献できる。

一方で、例えば舟運の活性化や緑化、東京ベイeSGプロジェクトなど、東京が取り組む各種事業が進捗した結果の2030年の姿を可視化し、都民と合意形成することにも使うこともできると考える。活用を期待する。

「企業誘致や英語力の向上に向けた施策の展開」について

来年度の予算案には、「企業誘致や英語力の向上に向けた施策の展開」という新規事業も計上されています。外国企業の更なる誘致など、国際都市として、英語が通じにくいという東京の弱みを克服するために、暮らしや行政手続において英語を活用できる機会を広げることに加え、地域において日本人と外国人が英語で活発に交流できる環境を創出するとのこと。

Q11 来年度、本事業は具体的にどのような取組を進めていくのか

A11 英語でのコミュニケーションが積極的に行われる環境を構築するため、まず、英語が多く使われている地域の把握など、現状の分析を進めた上で、地域と連携してモデル的な取組を進めていく予定。また、都庁においても、外国人へのサービス向上を図るため、都の事業や手続、例規等に関する情報について、英語による発信を推進。こうした先行的な取組を来年度中にスタートできるよう、有識者の意見や海外の事例も参考に検討。また、海外企業の誘致等の窓口となっているビジネスコンシェルジュ東京や東京開業ワンストップセンターなどのビジネス支援事業との連携を含め、事業構築も合わせて検討。こうした取組により、英語が気軽に使える環境の整備を進めていく。

これまでも、オリンピック・パラリンピック開催に向け、多言語化を官民一体となって推進するなど、外国人への分かりやすい情報提供に取り組んできた。例えば、都が作成した「多言語対応表示・標識等に関する調査報告書(R2.1)」によると、案内表示等の英語表示については、飲食店では80%以上の店舗で、商店街・観光施設・文化施設では90%以上の施設で整備されるなど、一定の進展があったとされている。また、「外国人おもてなし語学ボランティア」の育成講座(H27~R1)を5万人以上の方が受講するなど、外国人と積極的にコミュニケーションを図りたいと考えている都民も少なくない。これらの結果を生かした事業設計を行っていただくことを要望する。

加えて、国際都市というのであれば、外国をルーツとする子供の日本語教育が十分でないことに是非目を向けていただきたい。

令和2年10月の文教委員会での質疑でも取り上げたが、「東京の日本語教育を考える会」が、平成30年度の文部科学省の調査結果に基づき、「日本の学校に在籍する外国人児童生徒数」に占める「日本語指導が必要な児童生徒数」の割合を求めている。これによれば、外国人児童生徒数が最も多い愛知県の小学校で70.3%、中学校で66.7%、次に外国人児童生徒数が多い神奈川県の小学校が52.3%、中学校で44.5%となるのに対し、三番目に多い東京都では、小学校で19.0%、中学校で32.8%と著しく低い。つまり、都内では、日本語能力が十分でないまま、公立小中学校で過ごす外国人児童生徒が少なくない、つまり、十分な教育を受けることができていない。そして日本語指導が必要な高校生の高校中退率は9.6%と全国平均の7倍強、一方、大学進学率は42.2%と6割にとどまっている。また、非正規就労率は40%と9倍強、進学や就職をしていない割合は、18.2%と、全国平均の3倍弱である。

英語はツールであり、目的があって初めて必要とされる。そして、国際交流に欠かせないのが、文化的背景が異なる相手に対する共感力、相手の立場に立って考える力である。観光やビジネスより先に、既にともに暮らしている外国をルーツとする児童生徒に寄り添いましょう、と言いたい。歴史あるNPO団体もあるし、生活文化局の政策連携団体として昨年、東京都つながり創成財団もできた。ぜひ、これらの組織と意見交換を進めて、事業設計していただくことを要望する。

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