「令和4年第2回都議会定例会」一般質問④事業評価とEBPM

福島りえこ,世田谷区,都民ファーストの会,都議会議員ブログ

私は、総合電機メーカーである「東芝」の研究開発センターで、研究開発を担う研究者として22年間勤めました。世界初の製品開発に成功し「21世紀発明賞」「ウーマンオブザイヤ-2011大賞」等も受賞しました。理系であるだけでなく多くの仲間とともに製品化を実現した経験を持つ議員は珍しいと思います。冒頭に、その経験があるからこそ言える「評価」の意義をお伝えしました。


科学技術は仮説検証を重ねることで発展してきました。すなわち実験し、そして評価することで、発見や進歩、そして改革がなされてきました。

「発見」:仮説どおりにいかない時こそ、考慮していなかった事柄の発見や新たな仮説の創造につながる。
「進歩」:発見は、追試や、統計的な検定等などの評価を経て、定説となり、その先に進むことができる。
「改革」。長く続いてきた慣例や主観を打ち破る時こそ、状況を客観的にとらえたデータが重要。

今年の方針を示す言葉として、小池都知事は「光」を選びました。都庁を、スピードと実行力を兼ね備えた課題解決型の組織にしようとされています。そこで、スピード感をもって行った事業を、ワイズスペンディング、さらには改革につなげるには、事業の実施と評価が「両輪である」ことを強調したいと思います。

令和4年度予算編成では、都議会議員になって継続してとりあげてきた、同じ施策目標の達成に向けた複数の事業から構成される「事業ユニット」を複数選定し、政策評価と事業評価の一体的な実施「令和4年度東京都予算案の概要」のP129~)がなされました。これは一歩前進です。しかしながら事業評価の多くは計画に対する実施状況の把握にとどまっています。一体的な評価に期待されるのは、施策目標への寄与度を明らかにし、事業体系をブラッシュアップすることです。この寄与度を求める方法が、ロジックモデルや統計的手法といった、いわゆるEBPMです。

2019年2021年のノーベル経済学賞の受賞対象はEBPMであり、内閣府もEBPMを伴走型で支援しています(各省庁に実施を促しても知見がないままでは難しいため)。他国の国家予算並みの予算を扱う東京都も取り組むべきです。とはいえ、EBPMのためのデータ収集や分析には専門人材や費用等がかかります。よって、まずは、実施効果が見込まれる事業を選定して取り組むべきです。

Q 一層のワイズ・スペンディングにむけて、都として今後の政策評価をどのように取り組むのか、見解を伺う。

A令和4年度予算から、編成プロセスの一環として、政策評価と事業評価を一体的に実施している。評価制度の実施に当たっては、より効果的な事業の見直し・再構築に繋がるよう改善を図っていくことが重要である。
お話のEBPMについては、成果指標に対する事業の寄与度を定量的に分析できる手法として認識している。そのような評価がふさわしい事業については、EBPMの観点から各局に分析を促すとともに、外部有識者から、データ分析を含め幅広く意見を聴取するなど、より成果重視の視点で制度を運用していく。
こうした見直しを通じて、各局と連携しながら、ワイズ・スペンディングの取組を一層推進していく。

EBPMについては継続して質疑で取り上げてきましたが、一般論として語られることはあっても、このように都の取り組みとして発言されたのは初めてです。しかしながら、まだ評価の主体は各局で、財務局が促すという構図になっており、現状のままでは知見と動機がない各局が取り組む理由がありません。外部有識者から意見を聴取するだけでは不十分であり、5月に立ち上がった「TMUサステナブル機構」の活用や、専門人材の確保を働きかけていきます。


【補足】経済産業省も半導体補助金や「グリーンイノベーション基金事業」など、大型政策の効果検証をこの4月に設置した専門組織「EBPMセンター」で行うとの報道がありました。

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