「令和5年都議会第1回定例会」予算特別委員会~総括代表質疑「グリーンインフラと公園改革他」

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2019年の都政報告会で取り上げてから3年半!ようやく前進しました!

グリーンインフラ

 令和元年東日本台風など、頻発する豪雨により、全国各地で毎年のように水害が発生しています。地表がアスファルト等で固められている都市では、雨水が短時間で低地に流れこみ、浸水被害を引き起こします。河川や下水道などの整備に加え、その場で雨水を浸透させて流入速度を抑える、貯留浸透施設の設置等の「流域対策」についても強化が必要です。

Qそこで、現在の「東京都豪雨対策基本方針」に示された「流域対策」の目標値である時間10mmに対する、現状の実施状況について伺います。(都市整備局)

(都市整備局長)
 気候変動の影響により激甚化・頻発化する豪雨から命と暮らしを守るためには、対策の強化が必要。
 都では東京都豪雨対策基本方針を策定し河川や下水道整備、流域対策等の取組を定め、 総合的な治水対策を推進し、過去の台風においても一定の効果を発揮。
 流域対策については、例えば区部では、目標降雨の時間 75ミリのうち10 ミリを分担し、地元自治体と連携して推進。
 基本方針に定めた豪雨対策を強化する神田川など9流域においては時間 10 ミリに相当する対策量 654万m2を令和19年度までの目標としている。 令和2年度末までの進捗率は約6割となっており、おおむね順調に推移

 おおむね、計画通りであることを確認しました。
 「TOKYO強靭化プロジェクト」では現行水準の1.1倍となる時間約85㎜の対策を進める必要があるとされており、「流域対策」についても同様に強化する必要があります。

 シンガポールやニューヨーク等の諸都市、国内では私の地元、世田谷区などの自治体では、自然地の遊水機能を保全・活用する「雨庭」や、建物緑化など、従来の「流域対策」にとどまらない、そして見た目にも魅力ある雨水浸透策である「グリーンインフラ」を推進しています。
 私たちの働きかけにより、「TOKYO強靭化プロジェクト」には、風水害対策として「グリーンインフラ」のキーワードが新たに追加されました。今後、例えば都立公園に「雨庭」を設けるなど、都の率先した取組が期待されますが、現状では、都有施設にどれだけ浸透機能を追加できる余地があるかなどは把握していないと聞いています。

Qそこで、「東京都豪雨対策基本方針」の改定にあたっては、諸外国や国土交通省、先行自治体の取り組みにも学びつつ、流出抑制策として「グリーンインフラ」の観点を加え、施策の強化を図るべきと考えますが、見解を伺います。(都市整備局)

A(都市整備局長②)
 グリーンインフラは、 自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用しようとする考え方。
 雨水貯留浸透施設は雨水を地下に浸透させる機能を有しグリーンインフラの趣旨に合致する施設であり、都はこれまでも、 基本方針に基づき道路や学校、公園、庁舎などの都が管理する施設の更新時等に雨水貯留浸透施設の設置を行うことや、区市町が設置する浸透施設等に対して補助を行うなど流 域対策を促進。
 今後、豪雨対策基本方針の改定にあたってはグリーンインフラの趣旨も踏まえ、雨水流出抑制対策の強化に向け都や地元自治体が管理する施設における取組なども含め幅広に施策を検討

 グリーンインフラの推進が難しい理由の一つに浸透機能の評価がありますが、研究事例も増えてきています。調査研究をあわせて求めました。

都心の緑の確保

 ロンドン、ニューヨーク、シンガポールなどでは都市づくりにおいて、緑や公園へのアクセスを数値目標として設定するなど、都市づくりにおいて緑の重要性が位置づけられています。
 特に、シンガポールでは屋上緑化、壁面緑化に加え、中空階や屋内の緑化をも実現した緑化建築・グリーンビルディングが普及し、立体的緑化を実現しています。また、一昨年「シンガポール・グリーンプラン2030」を策定し、2030年までに「年間の植樹本数を2倍とし100万本の植樹を達成する」・「すべての居住地から徒歩10分の距離に公園を作る」などの高い目標を設定し都市の魅力創造に力を入れています。

Q再開発で緑の総量を減らさず増やしていく取り組み、使われなくなったインフラ等を緑化し活用する取り組み、緑化建築等の立体的な緑の創出を支援推進するなど、こうしたあらゆる開発機会を利用し、都市空間の中に戦略的に緑を創出し、東京の新しいまちづくりを推進してくべきとと考えますが知事の見解を伺います。(知事・都市整備局)

A(小池知事)
 東京が、世界から選ばれ、世界をリードしていくためには、人々の活力と都市の成長とともに、都市づくりの様々な機会を捉え、都心の緑を保全、創出し、安らぎや潤いのある快適な都市環境の形成が必要。
 都はこれまで、 民間事業者による都市再生を適切に誘導し、生物多様性に配慮したまとまった緑を創出しており、大規模開発の多い都心3区で緑被率は増加。
 今後、海外の事例も参考とし、例えば、ベイエリアにおいては、建物の中間階や低層部のテラスなどにおいて、緑の質や量の評価に新たな視点を取り入れ、人々が憩う緑の空間として、立体的な緑を充実。
 銀座を走るKK線では、世界から注目される観光拠点を目指し、豊かな緑に囲まれた空中回廊として、早期開放に向けて取り組んでいく。あらゆる方策を駆使し、世界に誇るゆとりと潤いに満ちた東京を実現し、東京の国際的なプレゼンスを高めていく。

 現在、都は「緑溢れる東京プロジェクト」を推進、緑被率やみどり率など平面的な指標を用いていますが、例えば、緑がどの程度目に入るかを表す「緑視率」を用いれば、立体的な緑の価値が高まります。都民のQOL向上のため、都民が求める緑の在り方を反映した指標を検討するよう求めました。

都立公園大改革の抜本的な見直し

 海外の先進都市では公園や緑を核にまちづくりを行い、治安や生活環境を改善し、都市の魅力を高めています。こうした世界的な潮流の中で、私たちの提案に対し、2018年に都は「都立公園大改革」を掲げましたが、最も期待を寄せる民間活用については、一部の都立公園で部分的にPark PFIの取り組みが進められているにとどまっています。

QパークPFIやその他の官民連携手法を積極的に活用し、民間が公園を企画・整備し運営していく取組を拡充すべきです。そうした観点から、改めて、戦略と実効性ある都立公園大改革を推進するため、外部有識者や民間委員を入れて抜本的な見直しと取組の加速を行うべきですが、知事の見解を伺います。(知事・建設局)

A(小池知事)
 都民の貴重な財産である都立公園を、民間の発想を活かし、より親しみや楽しみを感じる公園へと変え、東京の魅力につなげていくことは重要。
 これまで、誰もが遊べるインクルーシブな遊具広場の整備や、民間と連携したカフェ等の設置、四季を通じた大花壇や照明による演出など、新たな取組を推進。
 現在、明治公園等において、パークPFI制度による公園整備を実施。日比谷公園大音楽堂 でも、この制度等を活用して新たな整備を進める。
 来年度には、社会状況の変化も捉え、学識経験者や都民の意見等を聞きながら、都立公園の整備運営の基本となるマスタープランを1年前倒しして改定。
 今後、他自治体の好事例も参考に大胆な民間活用も含めて、検討を進め、都立公園大改革の取組を加速。

 公園の魅力を評価する指標として、私からはロケーションデータの活用を提案します。これは、スマートフォン等から取得する位置情報をもとに、どんな属性の人がどのように動いたかを分析できるというものです。
 私たちが考える「都民にとって価値ある公園」は、多様な都民が、立ち寄り、条件が整えば長く過ごしたくなる公園であり、利用者の数、属性、滞在時間などを評価できると考えます。公園に関する様々な取り組みが奏功しているかどうかの評価にデータ分析を導入するなど取組みの確実なブラッシュアップを求めました。 

多摩地域のホームドア整備の加速

 ホームドアの整備の補助対象を決める際の基準として、都は、駅の利用者数を用いてきました。このために相対的に利用者数の少ない多摩地域では、ホーム上や駅周辺の環境から早期に整備すべき駅においても取り組みが遅れてきました。
 2018年に我が会派から補助基準の見直しを指摘、都は利用者十万人未満の駅にも補助の対象を拡大しましたが、都の求めに応じJR等私鉄各社から示された整備計画によれば、対象となる駅は限られています。今般、3月18日より、鉄道各社はホームドア等整備にあてられる運賃上乗せ制度を利用し、多くの路線で10円値上げを実施しますが、これを好機に整備を一気に加速すべきです。

Q 東京都の補助制度を維持することと併せて、JR等私鉄各社の整備計画の加速を求め、特に遅れている中央線や京王線等の多摩地域のホームドア整備が2020年代中に進むよう、各社の運賃上乗せを契機に取り組みを加速すべきですが見解を伺います。(都市整備局)

A(都市整備局長)
 都は、令和元年に取りまとめた 「優先整備の考え方」 も踏まえ事業者に整備計画の策定を 求めるとともに、令和2年度からは補助対象駅の拡大など、支援策を拡充。
 国は、都市部では利用者の負担も得て、駅のバリアフリー化を加速するため、令和3年に新たな料金制度を創設。
 都内では、JR東日本など5つの事業者が、この制度を活用した2030 年代半ば頃までの長期的な計画を公表。
 都はこの機も捉え、更なる整備の加速を図るため、補助制度を継続するとともに、鉄道事業者に整備計画の充実・前倒しを求めるなど、ホームドアの早期整備を働きかけていく。

 運賃上乗せに加えて、都の補助を継続させることは非常に大きなインセンティブであり、鉄道事業者と整備の加速を具体的に協議するよう求めました。

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