つながる東京展開方針
人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、新たな価値がうまれる社会において、通信は日々の生活に不可欠なインフラとして益々重要になっています。中でも、スマートフォンでの通信は、都民にとって最も身近に利用するサービスです。
都はこれまで、スマートフォンの通信インフラとして、高速大容量、超低遅延、同時多接続という特長を持つ5G通信のエリア拡大を推進してきました。
Q1 国は、都における5Gの人口カバー率は99.5%と発表しているが、都民の実感とは随分異なると感じる。都は現状をどう認識しているのか。
A1(つながる東京推進担当部長答弁)
○ 国が発表している99.5%という数字は、「携帯キャリア4者のエリアカバーを重ね合わせた」ものであるため、1社でも5G通信が可能であれば、人口カバー率に反映されることから、都民の実感とは乖離が生じる場合
○ また、4Gの周波数帯を転用する5G基地局が多く設置されているため、高速大容量などの特長を実感できない場合
〇 こうした状況を改善するため、まず、人が多く集まる通信量が多い場所を重点エリアに指定し、5Gの特長が発揮できる高周波数帯5Gの基地局整備を促進する必要があると認識
基地局を整備するには設置場所の確保が必要となり、都はこれまでも都や区市町村のアセット開放により通信事業者の基地局整備を後押ししてきました。
これまで都で15,000件、区市町村で1,600件のアセットが開放されていますが、通信事業者からは都内にあるアセットを探しにくいという声もあるとも聞いています。
Q2 基地局整備をより一層促進していくためにも、区市町村を含めた都内のアセット情報全体を、通信事業者にとって使い勝手の良い形で公開すべきであるが、都の取組を伺う。
A2(つながる東京推進担当部長答弁)
○ 都はこれまで、都有のアセットについて、地図上に建物の名称や緯度経度情報を掲載した都有アセットデータベースマップを通信事業者向けに公開
〇 区市町村のアセットは、これまで自治体のホームページ上で個別に公開しているが、今後は、都のデータベースマップに一元化し、通信事業者が都と区市町村のアセットを一度に検索
〇 さらに、マップ上に建物の構造や階数などの情報を追加し、通信事業者がアンテナの設置場所を検討する際の利便性を高め、迅速な基地局整備
区市町村とも連携して基地局整備が進むよう、通信事業者への働きかけにしっかり取り組んでいただくよう、要望しました。
一方で、高周波数帯の5G基地局の整備を促進するためには、5Gを活用したサービスを創出し、実際に利用する方々にその利便性を実感してもらうことも重要です。しかし、まだまだサービスの実装例は限られています。
Q3 都としても5Gサービスの実装に向けて、積極的な後押しをする必要があるが、どのように取り組むのか、伺う。
A3(つながる東京推進担当部長答弁)
○ 高速大容量の5G通信を活用したサービスの実装例は未だ少ないものの、多くのスタートアップ企業がサービスの開発に取り組んでおり、今後のサービス拡大が見込
〇 このため都は、区市町村とも連携して、5Gサービスの実証フィールドを創出し、スタートアップ企業に活用してもらうことで、サービス実装につなげ
〇 島しょ地域や住宅街など、様々な地域特性を持つフィールドにおけるユースケースの創出とともに、国の制度も活用した、高周波数帯の5G通信環境の整備を両面で促進
都民が高速大容量、超低遅延などの5Gの特性を実感し、便利なサービスを享受できるよう、様々な主体と連携して取り組みを進めていただくよう、要望しました。
一方で、先月視察に伺った八丈島はじめ島しょ部では、地理的条件により救急搬送に時間がかかり、遠隔診療への期待が高いことを実感しました。八丈島と広尾病院との連携が昨年度末から開始されたものの、心臓超音波検査限定で、しかも今年度になってまだ5件と聞いています。今後は内視鏡検査など他の検査への拡大を目指す、とのことだが、ローカル5Gについても、デジタル局主導で、ニーズに応える取り組みを推進していただくよう、要望しました。
東京デジタル2030ビジョン
3つの変革として行政が必要な都民に情報をお伝える「プッシュ型」、部署間や基礎自治体等の「垣根を超える」、そして、利用者ニーズにこたえる「顧客最適化」があげられ、いずれも本質的な取り組みであると評価します。
マイナンバーの利用推進と個人情報保護
「プッシュ型」、「垣根を超える」には、情報連携が不可欠です。そこで
Q4 「プッシュ型」、「垣根を超える」の取り組みにおいては、マイナンバー、法人マイナンバー(法人番号)を積極的に活用するべき。
A4(戦略部長答弁)
〇 マイナンバーや法人番号は、個人や企業を識別する法で定められた番号である。将来に向けた様々なサービスの連携や、自治体の垣根を越えたサービス提供のためには、その活用が重要
○ 東京デジタル2030ビジョンで視野に入れているサービス提供に向けては、マイナンバー活用に伴う安全・安心の確保や、導入手続きの簡素化・迅速化も課題であることから、今後、国とも連携して検討を推進
まず、都民向けサービスについては、こども分野から先行実施するとのことですが、一方で、基礎自治体においても、DXは一部、進んでいて、分散されているデータベースの同一人物、同一世帯に対し、データを統合するためには、同一のIDを使って名寄せする必要があります。
Q5 子育て支援をプッシュ型で行うとのことだが、バックエンドの情報連携にはマイナンバーを利用することが合理的であり、それを前提にシステム構築をするべき。
A5(戦略部長答弁)
○ 様々な行政機関の情報やサービスを一気通貫で確実に提供していくためには、マイナンバーを用いたデータ連携が有効
〇 今後、データ連携基盤の構築にあたっては、国と連携しながら検討を進め、まず取組を開始する子育て分野について、必要な情報やサービスを、プッシュ型で切れ目なく届けられるよう取り組み
Q6 加えて「顧客最適化」のためには、EBPMの観点から、都が事業利用を通じて収集した情報を、各種の制度設計に活かせるようにすることが重要であるが、個人情報保護の観点から、本人に事前承認をとるようにするべき。
A6(戦略部長答弁)
○ 様々なサービスを組み合わせ個人に最適化してタイムリーに提供していくためには、最初に情報連携について利用者の承認を得る必要がある
〇 その際には、データの連携範囲やセキュリティの確保などとともに、プッシュ型の情報提供や一気通貫のサービス提供などについて、丁寧に説明し、理解を得るよう努める
都内には約45万社の中小企業がある一方で、都の事業を利用している企業は年間3,000社程度と聞いています。都が手掛ける各種振興策の事業野精度を高めるための効果検証、そして、新しい事業のプッシュ型通知を行うためには、事業実施後の経営状況についてもトラッキングすることが有効であることを伝えてきました。
Q7 顧客最適化について、特に事業者については、施策実施後の経営状況についても継続して取得する形で制度設計し、その後の都からの情報提供などにつなげるべき。
A7(戦略部長答弁)
〇 現在、申請の度に同じ情報の入力や書類の提出をなくす「手続サクサクプロジェクト」において、事業者の同意を得た上で、補助金等の申請時に入力した法人情報を収集・蓄積
○ 今後、ワンスオンリーを実現し、補助金等の申請手続きの迅速化や事業者の負担軽減を図る
○ 将来的には、各局システム等との連携も視野に入れ、事業者に最適化された情報をプッシュ型で届けることができるよう検討を推進
防災分野のDXにおけるマイナンバー利用の重要性
私はこれまでも総務委員会において、総務局防災部で今年度から来年度にかけて開発する、「災害時都民台帳システム」について度々とりあげてきました。本システムは、1週間以降の被害の把握と罹災証明書の発行などを目的にしています。
それ以前の、72時間~1週間の被害状況や避難所の運営状況等については、区市町村や関係機関がDISに入力するほか、被災者の被災状況については、区市町村の多くが導入した、NTT東日本による「被災者生活再建支援システム」を使って入力することになっており、さらにそれ以前の、人命救助において重要な発災直後から72時間の、要支援者が避難できたかどうか、必要な対応がされているか、といった一人ひとりに紐づけた状況の把握に関しては、「被災者生活再建支援システム」にはその機能がまだなく、今後開発予定と聞いています。
一方で、国が今年度、基礎自治体向けに有償で公開した「クラウド型被災者支援システム」は、発災直後の一人ひとりの状況把握から、「災害時都民台帳システム」が担う罹災証明書の発行に至るまで、マイナンバーと連携させたうえで、現時点で想定される多くの手続きが可能であることを紹介してきました。
昼間人口と夜間人口の差の大きい都内では、一斉帰宅抑制のルールもあり、被災した場所と住まいが区をまたぐことも少なくありません。
Q8 都がこれまで、防災DXを「被災者生活再建支援システム」で進めてきたことは理解するものですが、今後、防災分野でのマイナンバーの活用は不可欠ではないか。
A8(戦略部長答弁)
○ ビジョンでは防災分野での取組も視野に入れており、サービス変革の例として挙げた、被災時の物資や情報が状況の変化に応じて、都民に必要な量・必要な時に届く顧客最適化を実現するためには、マイナンバーの活用は有効
○ 実現にあたっては、関係各局や区市町村、国を巻き込んだデータ連携などの仕組み作りが必要であり、今後、検討を推進
「災害時都民台帳システム」が既に予算化されていたこともあり、事業見直しを何度も働きかけたものの止めることはできませんでした。とはいえ今回、マイナンバーの利用については初めて前向き答弁がありました。本質的な取り組みになるよう継続して働きかけて参ります。
東京デジタル2030ビジョンを推進するにあたっての局長の決意
マイナンバーは、情報を効果的につなぐための鍵であり、ビジョン実現のためには、それを活用したデータ連携基盤が重要になるとの視点から、この日の質疑を行ってきました。
しかしながら、防災分野に代表されるように、Govtech東京が都内のDXを進めるにあたっては、基礎自治体において既に、運用・組み込まれている既存システムがある一方で、サービスの質を高めるには、都レベルで情報の整合性を図る必要があったり、後発のシステムのほうが、より必要とされる性能を持つ、マイナンバーを使っている、といった矛盾は、頻繁に生じることが予想されます。
Q9 ビジョンで目指す将来像に向けては、制度面や技術面も含め、多岐にわたる課題を乗り越えていく必要があるが、実現に向けた、局長の決意を伺う。
A9(局長答弁)
○ 東京デジタル2030ビジョンは、将来を見据え、行政サービスの抜本的な変革を通じて、都民サービスの質の向上を実現させることを目指すもの
○ そのためには、本日ご質疑いただいた、データをつなぐIDの確立、垣根を越えた情報連携を効率的に行う基盤の構築など、一つ一つの課題に向き合い、デジタルインフラの土壌を整備していくことが重要
○ 技術の専門家集団であるGovTech東京を推進力に、技術的な課題を着実に乗り越えながら、全国的なサービスの波及も見据えて、国とは、制度的な課題の解決に向けて連携
○ 住民に身近な区市町村、アイデアと新技術を持つスタートアップ・シビックテックなど、多様な主体の参画も得て、都民のQOLを高める多くの魅力的なサービスを創出
○ 東京デジタル2030ビジョンに掲げる変革への挑戦のマインドを、デジタルサービス局とGovTech東京の職員全てが共有し、一丸となって取組を推進
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